タカは、一番拳銃を撃った刑事。俺は、この街を一番走った刑事―。今回は、昨日5月24日(金)より上映されている、『帰ってきたあぶない刑事』の感想記事です。
『さらばあぶない刑事』以来8年ぶりとなる「あぶない刑事シリーズ」の映画が、満を持して公開。タカもユージも70歳を超え、さらに時代の変化もあって「令和のこの時代にあのエッセンスを再現できるのか?」と疑問に思っていましたが、そんな考えなど開始5分ほどで杞憂に終わり、しっかりと『あぶない刑事』が帰ってきたと言える映画になっていました。
私が観に行ったのは、自宅から少し行った映画館の朝イチの回。本当は昨日の公開初日の仕事終わりに観に行く予定でしたが、諸事情により行けず、また本日も舞台挨拶の中継つき上映を余裕で予約できそうな感じでしたが、時間帯の都合で避けました。いやでも、「令和の現代に『あぶない刑事』が本当の意味で帰ってきた」という事実と体験で、胸がいっぱいになりましたよ!
なお、前作『さらばあぶない刑事』を公開当時観に行ったときの感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
また、本作に関連した各種記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
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※今回は、敬称略でお送りします。
STORY:現地でいざこざを起こしたせいで、ニュージーランドでの探偵を廃業し、8年ぶり横浜に帰ってきたタカこと鷹山敏樹(舘ひろし)と、ユージこと大下勇次(柴田恭兵)。探偵稼業をのんびり再開するつもりだったが、タカが偶然目にしたステラ・リー(吉瀬美智子)と、ユージのもとに転がり込んできた依頼人:永峰彩夏(土屋太鳳)が、2人を新たなる事件に巻き込んでいく。中華街にシマを持つ劉飛龍(岸谷五朗)と、あらゆる業界とパイプを持つ、タカ&ユージにとってある種因縁の相手の若手社長:海堂巧(早乙女太一)が絡む、横浜を舞台にした巨大な陰謀とは何か?県警本部も手をこまねいている中、横浜を救えるのは、タカ&ユージ、そして町田透(仲村トオル)率いる港署の面々しかいない!
お話は、敵味方ともに各種登場人物をしっかり絡めた謎解き要素も含めており、単なるアクションやタカ&ユージのやり取りを楽しむだけの映画にはなっていないのがGood。舞台も意識的に中華街や本牧等の港湾部を頻繁に起用しており(一部シーンは横浜以外で撮影)、横浜の街を舞台に、タカ&ユージが駆け回り、海堂という巨悪に立ち向かうさまが描かれます。アクションは爽快ですが、お話は中盤から段々とヘビーになり、涙を誘う描写もあるのがいい塩梅です。
かなり現代的にアレンジされてはいるものの、海堂は完全なる悪役ポジション。今どきの悪役で、進んでドンパチやったり「皆殺しだ!」と叫んだりするのなんて珍しく感じますが、それが逆に往年の刑事ドラマらしさを醸し出してくれています。
タカ&ユージは、齢70を感じさせない程にバリバリ動き、山下公園沿いや倉庫街でちゃんとアクションをしているのがいい感じ。さすがにTVシリーズ放映当時と同じような動きは出来ていませんが、それでも銃は撃つわ犯人たちから逃げるために走りまくるわと、「ああ、これが『あぶ刑事』だ!」と感じさせてくれるアクションをしています。
もちろん銃も撃ちまくりで、タカ&ユージが公に銃を撃てることにする理由付けがムリヤリでしたが、もうなんか勢いで受け入れられちゃいました(よく頑張ったよ透!)。日産レパードをわざわざ出す理由は、お話の中では全く合理性も何もないのですが、そんなツッコミは野暮ですよね。
そんなタカ&ユージは、上述のとおり既に70歳を超えていますが、老いたことを悔やむような発言が2人からほとんどないことも、本作の特徴。『まだまだ』や『さらば』では、「寄る年波には勝てない…」みたいな2人らしくない発言やシチュエーションもありましたが、本作ではそんなことほぼどこ吹く風となっています。そうだよね、年取ったことくらいで嘆くタカ&ユージなんて、観たくないもんね。
登場人物のやり取りも実に軽妙で、タカ&ユージや透の掛け合いも当時そのまま(薫(浅野温子)は、より誇張された感じだった)。『帰ってきた』というタイトルを意識してか、より今までの映画作品以上に、TVシリーズらしい雰囲気が漂っていました。この言葉では表現しにくい、絶妙な間の取り具合や返事の仕方、そのすべてが、「この『あぶ刑事』が帰ってくるのを待ってた!」と言いたくなるような出来でした。これだよこれ、こそあど言葉しか言ってないけど、これが『あぶ刑事』なんだよ!と声を上げたくなる、かゆいところに手が届くような感じの、素晴らしい絶妙さでした。
そして、映画を観る前に皆気になっていたのが、彩夏がタカ&ユージどちらの娘なのか?ということ。そのオチはぜひ映画館で観てもらいたいのですが、まあこの落とし所がキレイだよねという感じでしたね。
また本作では、『帰ってきた』のタイトルにふさわしく、過去作と関連付けた設定や、振り返りもキチンと挿入。上映前、「なんで公式はTVシリーズ第1作ではなく、第2作(もっとあぶない刑事)と歴代映画作品ばかりプッシュするんだろう?」とメチャクチャ疑問に思っていましたが、映画を観て一気に解決しました。今から映画を観る人は、どのお話でもいいから、最低限『もっとあぶない刑事』を1話観ると、より楽しめると思いますよ。
そうそう、使用されている各種楽曲も、『あぶ刑事』を彩ったあんな曲やこんな曲が多用されているため、必聴です!
初放送から38年経過したドラマとしては、異例すぎるほどの事前のプロモーションが打たれ、大々的に公開された『帰ってきたあぶない刑事』。そのタイトル通り、まさしく『あぶない刑事』が帰ってきたといえる、ファンなら満足し納得出来る作品になっていました。どんな感じなんだろうと不安になっているそこのアナタ、多分開始5分でこの作品受け入れられると思います。
そして同時に、「東映はちゃんとやれば、まだまだ爽快な刑事ドラマを作れる」ということも、この作品から感じ取れました。『相棒』とか『特捜9』もいいけどさ(どっちも水曜よる9時枠じゃん)、80年代くらいまであった、あのギラつくようなとんがった刑事ドラマとかも、もっと作ってくれてもいいんじゃないかな。
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