さすが課長。俺たちよりも“あぶない”ぜ―。今回は、4月2日に発売された小説『あぶない刑事 1990』のレビューです。
いよいよ公開日まであと10日を切った、『帰ってきたあぶない刑事』。それに関連して、1990年の横浜を舞台にした書き下ろし小説がリリースされました。既に亡くなっている近藤課長こと中条静夫さんをフィーチャーした作品が作れるのは、まさに小説の強みですね。
なお、他にも『帰ってきたあぶない刑事』公開に合わせたイベント開催や商品リリースは多数行われており、そのうち先日行った「『帰ってきた あぶない刑事』劇場公開記念特別企画 あぶない刑事展」のレポートは↓コチラです。
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また、過去復刻発売された「小説版『あぶない刑事』」のレビューは↓コチラです。
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STORY:みなとみらい地区の第一次再開発が大詰めを迎えていた横浜で起きた殺人事件。それは、5年前タカとユージが取り逃がした殺し屋:海老沢錠に繋がっていた。海老沢を追って市内の本牧や黄金町、そして横須賀にまで足を伸ばした2人は、偶然をキッカケに、その海老沢と近藤課長が過去に担当した事件と関わりがあることを知る。そして、標的として狙われることになる近藤課長!タカ&ユージをはじめとする港署は、近藤課長の定年退職日を無事迎えることが出来るのか!?
お話自体は、『あぶない刑事』らしい、シンプルでアクション豊富、それでいてオシャレな感じ。意識的に90年台初頭の横浜の様子や文化がかなり挿入されており、再開発の過渡期で新しさと古さの同居した、いい意味で雑然とした雰囲気がしっかりと再現されています。
小説であるため、その気になれば映画並みの規模のドラマも描けそうなものですが、あえてTVシリーズの延長のような規模のドラマづくりになっているのが、逆にそれが『あぶない刑事』らしさを引き立てていてGood。臨場感MAXで、小説なのにシーンが手に取るようにわかりました。これだけTVシリーズのエッセンスを小説に落とし込めるなんて、驚異的ですよ。
TVドラマをベースとした小説であるため、地の文がかなり少なく、セリフ量が多め。なかには誰がしゃべっているかの記載すら飛ばしているものもあるため、通常であれば「誰がしゃべってるんだ?」となりそうですが、言い回し等で明らかにタカ or ユージだとわかるのが秀逸です。もうね、声色とかシーンだけじゃなくて、どんなイントネーションでどうなそぶりでしゃべってるかまで想像できちゃうんですよね。このあたりは、『あぶない刑事』の各キャラの持つ強烈な個性の賜物と言えるでしょう。
そして、肝心の小説内で展開されるドラマですが、そこまで複雑ではないものの、上述したとおり舞台を細かく変えたり、当初関係ないと思われていた事件がじょじょに近藤課長に収束していくさまがしっかりと描かれているので、ちゃんと面白くてGood。また、TVシリーズ等では明かされていなかった、近藤課長の知られざる一面や、彼とタカ&ユージが互いのことをしっかりと思っているさまがよく描かれていて、ジーンとしました。3人とも強烈なキャラだけど、皆悪い人間ではないし、そして優しさを兼ね備えているんですよね。そのあたりが、しっかりと挿入されていました。
小説オリジナルストーリーという新たなメディア展開ながら、しっかりと『あぶない刑事』のあらゆるエッセンスが落とし込まれていた『あぶない刑事1990』。冒頭触れた過去のTVシリーズのノベライズ版は、1話あたりのボリュームが淡白に感じましたが、今回くらいのボリュームがあれば、もう2本くらい書き下ろしていただいて読みたい!と思いました。
本放送が40年近くまでだから、亡くなった方もたくさんいて、それにより時代に応じて変化を遂げてきた『あぶない刑事』だけど、やっぱり馴染みがあってしっくりくるのが、近藤課長がいた時代なんですよね。映像作品は当然ムリでも、こうした媒体なら、その頃の設定でのお話作れるから、いいよなぁ。
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