『銀河旋風ブライガー』、早くも今回で感想記事3回目です
1クール中盤になると、作品スタイルがだんだん確立。かなり展開が重い話もあり、単なる依頼に見せかけた復讐劇もありなど、さらにお話がバラエティに富んできます。
なお、前回(第4~6話)の記事は↓コチラです
第7話「金星監獄大突破」
1981年11月17日放送
依頼人:ポンチョの知り合いの闇商人
依頼内容:金星監獄エルバトラスに収監中の政治犯:チェ・ビボラの脱獄を幇助せよ
「宇宙船の中で、こんがりオーブン焼きされる寸前だったぜ!」
STORY:太陽ヨットの最新機、欲しくてたまらぬボウィーは、金が今すぐ必要だ。仲間に前借りしようとも、そうは問屋がおろさない。そんな中、金星監獄エルバトラスの、監獄破りの仕事の依頼。二つ返事で飛びつくボウィー、しかし世の中、そんなにウマい話はない!ピンチのボウィー救えるか?コズモレンジャーJ9、さあこの始末、どうつける?
600万ボールもする最新型太陽ヨット(宇宙船)欲しさに、アイザックの許可なく仕事を引き受け飛び出すボウィー。この世界の通貨単位である「ボール」の正確な価値は不明ですが、第2話でボウィーが「(70万ボールで)3000m級の小隕石が買える」という旨の発言をしていますから、おそらく1ボール=100円くらいなのでしょう
依頼の中に出てくる、金星監獄のエルバトラス刑務所とチェ・ビボラの名前。エルバトラス刑務所は政治犯を対象にした刑務所で、太陽系独立運動青年行動隊のリーダーだったビボラは、無実の罪で投獄されてしまったようです。チェ・ビボラの名前はおそらくチェ・ゲバラから取っているのだろうと推測されますが、こういったゲリラ部隊も暗躍するとは、『ブライガー』の時代の太陽系は想像以上に不穏なようですね。
この復讐作戦の首謀者は、第3話でブライガーによって甚大な被害を受けたビーナス・コネクションの構成員の1人:ゲーリン。第3話では似たような顔のビーナス・コネクションの構成員が登場していますが、おそらく別人でしょう。想像以上にブライガーにアッサリやられてしまいますが、実はこれには裏があって…
ポンチョの隠し持っていた400万ボールが報酬になる予定のはずが、高速宇宙船のレンタル料金に600万ボールかかったため、結局ボウィーは200万ボールの借りを抱え込むハメに。その際キッドやお町がボウィーにかける言葉が、J9らしい粋なやり取りになっています。
「命知らずと笑わば笑え。明日なき命をマシンにかけて、死に損なってはみたものの、けがの功名救った命。銀河無宿の身の定め、コズモレンジャーJ9、お呼びとあらば、即参上!」
第8話「月に涙の後始末」
1981年11月24日放送
依頼人:ルナティック開発社前社長夫人
依頼内容:自分の息子:カイルを殺したアルデバラン社への復讐
「あんたとあんたの息子夫婦の敵は討ったぜ。安らかに眠ってくれ。」
STORY:月でも進む開発競争。鉱山採掘利権の陰で、ある社長夫婦が殺された。敵はもちろんライバル会社。敵討ちの、依頼を受けたJ9。だが敵の策略狡猾で、ヤツらの狙いは一族郎党皆殺し!依頼の主も始末され、残された子供に魔の手が伸びる。この悪行三昧、決して許してなるものか!コズモレンジャーJ9、さあこの始末、どうつける?
おそらく初期のお話では最も依頼の背景が重く、同時にJ9のバトルの痛快さが楽しめる今回のお話。いかにも始末屋稼業らしいお話でもあるため、私を含めて『ブライガー』でこのお話がわりと好きな方も多いのではないでしょうか
『セーラームーン』など、あらゆる作品で地球に最も近い天体として登場する月。この『ブライガー』の世界では、地球から近いため地球の四大コネクション(後々登場します)はもちろん、金星のビーナス・コネクションや火星のバイキング・コネクションの手が裏に伸びており、悪の組織のるつぼになっているという設定。“地球に近い”という要素からここまでの設定を作り上げているのは興味深いですが、今後劇中で月が出てくるのは…あんまりないんだなこれが
月のバルティック鉱山開発事業の一次審査を通過した、ルナティック開発社とアルデバラン社。前者はコネクション等への関与を嫌い誠実にやってきた会社で、後者はビーナス・コネクションと手を組み成長してきた会社。鉱山開発を何とか自分のものにしようとするアルデバランによる、ルナティック社社長夫婦の謀殺事件が今回の依頼の発端になります。展開自体は単純なのですが、その前に夫婦の仲睦まじい姿が描かれるだけに、なかなか悲しいものがあります。
社長夫婦を殺すだけでなく、その母親も手にかけ、さらには子供たちも消そうとするアルデバラン。依頼人であるお婆さんの死亡シーンは、彼女の悲鳴やそれを目の前にして何もできないJ9の姿も相まって、何度見ても悲痛です。しかしこれだけのアルデバランの悪行三昧の積み重ねがあるからこそ、後半のJ9の活躍(子供の救出やアルデバラン社への殴り込み)が観ていて楽しいです
アルデバラン社の「超合金の装甲」を持つ秘密兵器ロボの前に、初めて敗北寸前のところまでピンチに追い込まれるブライガー。『ブライガー』の時代はまだ人が搭乗する巨大ロボはそこまで普及していないようですが、それゆえにブライガーの巨大ロボとしての強さも、実は他のロボットに比べると多少上回っている程度ということなのでしょうか?いや、でもやっぱりブライガー自身は敗北が少ないから、やっぱり“強い巨大ロボ”なのかなぁ
「月面に、15日ぶりの朝が来る。この後続く昼15日。月の明暗2つに分けて、明日はいずれの人生模様。星から星の涙を渡る、コズモレンジャーJ9、お呼びとあらば、即参上!」
第9話「激走・土星ラリー」
1981年12月1日放送
依頼内容:カッシーニ・ラリーで行方不明になった、自社のマシンの調査
「俺はしょせん、生まれた時から独りっきりで生きてきたのよ。」
STORY:白熱の、土星:カッシーニ・ラリーの予選にて、マシン数台木っ端微塵。この事件に何かの動きを感じた女、J9に事件の調査を依頼する。果たして事件の真相は?ボウィーとオリビアの関係は?恋と陰謀渦巻く最中、ラリーの決勝始まった!ボウィーのレースに祈りを込めて、コズモレンジャーJ9、さあこの始末、どうつける?
事件の内容はいたってシンプルで、早い段階で犯人がコンドル社(ラーク社のライバル会社)のコンドル兄弟だと明らかになるなど、事件の謎にはあまり比重が置かれていない印象。それもそのはず、このお話ではボウィーの過去やラリーでのデッドヒートが中心になるからです
ラーク社の社長令嬢:オリビアの言葉で、過去を思い出すボウィー。フリーのレーサーになる前のボウィーは、ラーク社専属のレーサーだったようです。しかしのちにラーク社を退社。退社の理由は直接明言されていませんが、オリビアと彼女の恋人で同じくレーサーであるジム・ハロルドの関係に「勝てない」と感じたからなのでしょう。これを回想して珍しくボウィーが弱音を吐くあたり、彼の普段の軽いノリの言動は、彼自身の抱える寂しさの裏返しなのかもしれませんね
一方ボウィー不在のキッドたちは、ラーク社のマシン襲撃犯に苦戦。おそらく敵ロボット自体はそれほど強くないのでしょうが、運転担当がボウィーの代わりにアイザックになっているため、さすがに分が悪かったようです。しかし、今回初披露のコズモワインダー(偵察等に使っているスノーモービル型宇宙艇)を変形させた「ブライショット・スペシャル」で逆転勝利。劇中での登場回数は少ないですが、スパロボシリーズでは頻繁に登場しているので、意外に知名度はあるかも…?
あの手この手でレースを妨害し、ボウィー爆殺に失敗するや否や、ジムの宇宙船への直接攻撃を仕掛けるコンドル兄弟。しかしそんな兄弟たちをボウィーは巧みな運転技術で妨害。これを撃破します。このシーンでも特にボウィーの心情は明確には表現されていませんが、このお話での積み重ねから考えると、ボウィーのこの時の心境は…容易に想像がつくことでしょう
「淡い想いを氷の海に沈めるのか、それとも宇宙の彼方に吹き飛ばすのか。飛ばし屋ボウィーよどこへ行く。当たって砕けろGo for broke、俺の愛する合言葉。命知らずのJ9、お呼びとあらば、即参上!」
今回はここまで。次回は第10話から第12話をご紹介予定です。コズモレンジャーJ9、お呼びとあらば、即・参上!
◎今日の特ソン◎
今日ご紹介するのは、1976年放送の『秘密戦隊ゴレンジャー』挿入歌「青い空からアオレンジャー」です。
『ゴレンジャー』では、挿入歌として各メンバーもテーマソングも制作。劇中での利用頻度は低かったですが、それでも数度使われました。