トラウマを振り切って海に立つ、赤と白の勇姿!
船は、街と島を結ぶ、長崎の人たちの大事な足なんよ。いつまでも止めるワケにはいかんたい!今回の『新幹線変形ロボ シンカリオン チェンジ ザ ワールド』は、ツクモと彼の乗るN700Sかもめのデビュー回後編。前回あまり触れられていなかった、彼の弱さにスポットが置かれ、それを克服し、今までのシンカリオンでは決してなしえなかった戦法と攻撃でアンノウンを打ち破るさまが描かれました。
長崎県という海に面した県の、しかも離島出身にもかかわらず、「海の上で揺れる」ということが苦手なツクモでしたが、あまりそれに関するマイナスイメージを感じさせないのが面白いところ。本人も克服する気満々で、全くクヨクヨしていなかったからでしょう。同時並行で、弟と妹であるカイとスズとの不仲にかかるドラマも進められていましたが、こちらはタイセイを上手く使うことで、描写を圧縮し今回だけで解決に導いていたのも、ナイスな采配でしたね。
なお、前回(第20話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
前回、アンノウンを倒したあと、カイたちを迎えに行ったツクモ。翌朝。彼は逆にタイセイたちと一緒に、故郷である伊王島に帰ることにします。タイセイが組んだ独特な行程で、島を目指す彼らでしたが、タイセイたちが目を輝かせているのに対し、ツクモとカイたちの関係は険悪ムード。そんな中、船で伊王島へ向かっていた彼らは、突然の濃霧と、そこから出現した新たなアンノウンに襲われます。唯一会場でも戦える機能を持つ、N700Sかもめフェリーフォームで挑むツクモでしたが、彼のトラウマが災いして、結局アンノウンを取り逃がしてしまうのでした。序盤では、タイセイの知識披露を通して、西九州新幹線や伊王島のことが、説明とともに濃厚に描写。長崎県は離島が非常に多いですが、伊王島はその中でも比較的本土に近く、スピードでは旅客船のほうが速い一方、手軽さでは連絡橋による車移動が勝るという構図になっていました。てっきり、五島列島や壱岐くらい離れているのかと思いきや、意外に近いんですね。確かにこれだけ近くて、しかも連絡橋が身近になった地元の人たちであれば、本土からの移動に船を使おうというマインドには、なりにくいよなぁ。そんな、タイセイたちの楽しい旅路を邪魔するかのように現れるのが、今回のアンノウン。完全に水上・水中での活動に特化したタイプであり、N700Sかもめフェリーフォームでしか太刀打ちできない相手でしたが、神出鬼没なミサイル攻撃と、ツクモ自身の「海の上で揺れることへのトラウマ」により、倒せず取り逃がしてしまいます。なかなかの強さを誇っていたツクモに露呈した、初めての弱点。ここから彼のキャラとしての掘り下げが始まるのはGoodなのですが、一方で、前回ネックとして描かれていたリカたちの経験不足の話は、もう解決したものとして進行していたのは、ちょっともったいないなという感じもしましたね。もうキャプチャーウォールの展開位置を誤らなかったり、ERDA輸送機をガンガン操縦したりと、成長がめざましいのはいいことだけどさ…。
アンノウンの出現により、長崎県内の離島を結ぶ各海路はストップ。伊王島は連絡橋があるため、タイセイたちは遠回りしてバスで現地へ向かいますが、海路を寸断されたことによる影響の大きさを目の当たりにします。そして、そのバスの中で、ツクモのトラウマの原因を知ったタイセイたちは、ツクモ自身の希望もあって、それを克服するための特訓を開始。しかし、なかなか思うようにすぐに成果は上がらずじまいでした。そんな中、岩の陰からツクモの努力を見守る、カイたちの姿に気づいたタイセイは…。中盤では、混乱をきたす長崎市街地と、ツクモのトラウマ、そしてそこからの克服を目指す特訓が描写。「シンカリオンシリーズ」において、敵が出現したため付近の交通機関をストップさせるということは頻繁に観られますが、今回のようにダイレクトに市民生活に影響が出ている描写は珍しく、おおっと感じさせられました。こうしたシーンを挟むことで、この長崎や伊王島の移動文化の傾向もわかるし、「タイセイたち運転士がこの事態を打開しなければならない」ということを強調して、彼らのヒーロー性をアピールしていてGoodだったな~。そんな中明かされる、ツクモのトラウマ。彼は幼い頃軍艦島に観光に行った際、偶然船上で波にあおられて怖い思いをしたことをキッカケに、「海の上で揺れること」がトラウマになっており、克服したい気持ちはあるも、なかなかそれを乗り越えられないでいました。このシーンでは、ツクモの告白とそこからのビーチでの特訓のシーンに目が行きがちですが、個人的には、そんなツクモを見守るカイたちと、彼らに話しかけるタイセイの、ドラマ上での使い方の上手さに注目したいところ。タイセイが話していること自体は、いつもの彼らしいものですが、このシーンを挟むことで、ツクモとカイたちが仲直りするうえで絶対に乗り越えなければならない「ツクモの抱えている事情をカイたちが察する」という過程をサラッと乗り越え、描写を圧縮しドラマの流れをよりスムーズにしてくれているんですよね。同じことをもしツクモがやっていたら、カイたちはまともに話を聞かなかったはず。しかし、タイセイは彼らから見れば第三者的な立ち位置のお兄さんであるため、話を無下にするはずがないから、聞いてくれる。どこまで意図して挿入されたシーンかはわかりませんが、タイセイの使い方がでつみょうで、唸らされましたね。
ツクモのトラウマ克服を待たずして、アンノウンが再び出現。またも出現場所が海上であったため、ツクモとN700Sかもめフェリーフォームにすべてが託されますが、ツクモはアカネの言葉をヒントに、個性的な戦法を編み出すことでトラウマを克服。まさに海上を駆けるがごとく動き回ってアンノウンを撃破します。こうして事件を解決し、伊王島から再び門司に戻ることになったツクモ。彼はカイたちとの関係を心配していましたが、当の本人たちは、彼を応援し力強く送り出そうとしていました。なぜなら―!今回は、戦闘フィールドが特徴的であるため、N700Sかもめフェリーフォームしか出撃不可能。まだトラウマを克服しきれていないツクモに、少し不安が残るタイセイたちでしたが、ツクモはアカネの言葉をヒントに、出来るだけ海面に接触せずに戦うという戦法を編み出し、見事アンノウンを撃破します。「海上で揺れるのがダメなら、出来るだけその海上そのものにいなければいい」というシンプルな理論で、トラウマを乗り越え堂々と立ちまわってみせたN700Sかもめフェリーフォーム。これを実現するために、独自機能であるホバリングがフル活用されているのも、設定として上手いなぁと感じました。そんな、このツクモの奮闘は、当然表に出る者ではないため、それを知る者はタイセイたち以外なし。しかし、カイたちは何となくそのことを察しており、これによりツクモとの仲を取り戻し、門司に戻る彼を力強く見送るのでした。遠くの海上で見た水しぶきをキッカケに、「ツクモが何かと戦っているんじゃないか?」とカイたちが察するのは、ちょっと飛躍している感がありますが、これまでのドラマ、そしてカイたち自身が気付いたそぶりを見せつつも、何に気づいたかまではわざとセリフとして言わせていないこの描写が、グッとくるシーンを作ってくれていたので、ほとんど気になりませんでしたね。トラウマも克服し、運転士としての適性もお墨付きで、さらに家族から絶大な信頼を得ている―。なんだよツクモ、お前メチャクチャ幸せ者じゃないか!
進開学園で開かれる文化祭。喫茶店をやることになったタイセイのクラスは、賞を取るためにあらゆる努力をしますが、肝心の本番の日にアンノウン出現!タイセイと、文化祭に遊びに来ていたテンとシオンが出撃する中、イナはある奇抜な提案を繰り出してきた。それは―!
次回は、玩具で実現可能な、エルダビークルの取り換えによる亜種合体が続々登場するお話になりそう。特に何か重い雰囲気もなさそうだし、単発回という感じでライトに楽しめるテイストになるのかな?
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