気張っていこうぜ!シンカリオンN700Sかもめ フェリーフォーム
目立つことはなくても、確実に仕事をこなして、安全を守る。それが、私たち指令員の役目―だと思います。今回の『新幹線変形ロボ シンカリオン チェンジ ザ ワールド』は、九州を舞台とした海風ツクモ登場回の前編。彼とその乗機であるシンカリオンN700Sかもめのデビューが描かれ、どちらも魅力たっぷりで好感の持てるキャラクターになっていました。
鉄道要素もたっぷり盛り込みつつ、ビークル合体にかかる障壁について、運転士の適正値等ではなく、指令員側の練度の低さを原因としていたのは興味深いところ。本作では、前2策とは違い指令員にはあまりスポットが置かれていなかったので(タイセイたちと最も接するのがカドミチであるため)、この視点は非常に新鮮に感じられました。これについては今回で解決しきれなかったので、次回以降どう料理していくのか、かなり期待です。
なお、前回(第19話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
東京から東海道・山陽新幹線に乗り、はるばる九州・小倉までやってきたタイセイたち。彼らはそこで、九州支部所属の運転士:海風ツクモと出会います。気さくな彼に連れられて、九州支部に到着した彼らは、模擬戦を始めますが、ツクモの乗るN700Sかもめはビークル合体に失敗。その理由は、ツクモの技量不足ではなく、彼をサポートする指令員:香月リカと足立ユカの経験不足にあり、彼女ら成長させることが、タイセイたちを大宮本部から呼び寄せた真の理由でした。今回は、序盤の早い段階でタイセイたちが小倉に到着することから、全編にわたって九州を舞台にドラマが展開。小倉駅にてツクモと出会い、そこからすぐに模擬戦へと移行します。ツクモの初登場シーンは意外に短かったですが、それでもそのインパクトは超巨大。もともと目を引く見た目をしていますが、あの風貌で九州弁をしゃべり、かつ行動もなかなか大胆であることから、視聴者の印象にガツンと焼き付くものになっていましたね。それでいて、性格はかなり他人思いなんだから、もうキャラとしての好感度バクアゲですよ。そんなツクモは、実践経験はないものの運転士としての適正は高く、タイセイたちともほぼ互角に渡り合えるほどのレベル。しかし、彼にとって唯一の弱点は、未だビークル合体を実現できていないことであり、その原因は彼自身ではなく、司令員であるリカとユカの経験不足にありました。冒頭でも述べた通り、ビークル合体ができない理由を指令員に置き、それを通して今まで本作ではあまり注目されてこなかった指令員たちにスポットを当てるのは、面白い試み。大宮本部のメイン指令員である落合ミヨシも、序盤からずっとタイセイたちをサポートしてきているのですが、ここまでクローズアップされたのは今回が初めてですよね。そんな彼女も、今まで幾多の戦闘を経験してきたことから、自然と指令員としての使命や感覚をしっかりと身に着けており、リカたちに対してしっかり先輩しているのは、Goodでした。
模擬戦が終わり、フリーになったタイセイたちは、小倉をはじめとする北九州の街を観光。タイセイが組んだ長崎への横断観光ルートの話を聞きながら、門司や折尾の町を散策します。そうした中で、ツクモのスマホに、彼の弟と妹であるカイとスズから着電。彼らは長崎から九州新幹線に乗り、武雄温泉・博多経由で小倉を目指していましたが、そんな折、タイミング悪くアンノウンが出現します。中盤では、『シンカリオン』において遠征した際はおなじみといえる、現地の観光シーンが挿入。小倉が北九州であることから、門司港駅や門司港レトロ観光列車、そして折尾駅がピックアップされていました。折尾駅も鉄道ファンでは有名なスポットですが、ここも北九州市内というのは、ちょっと知らなかったなぁ。ちなみに、この観光シーンでは、タイセイが翌朝始発で長崎方面に向かう場合の旅程も提示されており、それを組むのにデルタの協力を得たことが示唆。わざわざここに改めてデルタのことを挿入しているということは、やはり彼、前回だけの登場で終わるキャラではないということですよね…。そして、こうした観光中に、ツクモにかかってきた電話は、弟と妹であるカイたちからのもの。2人はツクモに確認し、小倉に向かってかもめに乗車しますが、そこでアンノウン出現に伴う運転見合わせに巻き込まれてしまいます。2024年現在、長崎から小倉へ向かうには、武雄温泉まで西九州新幹線を使い、リレーかもめで博多まで出て、そこから山陽新幹線もしくは在来線を使用するルートが最短。初めての子供たち単独での旅行で、しかもあまり鉄道を頻繁に利用することのない地域の子たちが、こんな2回も乗り換えるルートを辿るのはかなり大変な気がするけど…。まあ、最終的にはちゃんと辿り着けていたので、良かったですけどね。
出現したアンノウンに対し、速やかに出撃するタイセイたち。相手となるアンノウンは、バスモチーフで小型であり、すぐに倒せるかと思いきや、各シンカリオンを上回るスピードで撹乱攻撃を展開し、タイセイたちを苦しめます。ここで、ミヨシは自らエルダドローンを駆ってエルダフェリーを投下。完璧なタイミングにより、ツクモのN700Sかもめは初めてビークル合体に成功。N700Sかもめ フェリーフォームとなってすべてのアンノウンを撃破し、カイとスズの初めての旅路を守り切るのでした。今回登場したアンノウンは、初めて鉄道施設とは関係のないもの。しかし、バスなんてある種新幹線の天敵とも言える存在ですし、九州はバス文化なので(これは劇中でも触れられていましたね)、このチョイスは最適だったと言えるでしょう。そんなアンノウンは、スピードと連携攻撃が得意で、タイセイたちを意外なほど追い詰めることに。この状況を打破し、逆転勝利を呼び寄せたのは、今回初めて実現したN700Sかもめ フェリーフォームの活躍でした。N700Sかもめ フェリーフォームは、合体しているエルダフェリーの特性をそのまま受け継いだ、滑るように縦横無尽に動き回って攻撃を叩き込むさまが特徴的。E8つばさとはまた違った俊敏さが興味深く、そしてカッコよく感じられました。こうしたN700Sかもめ フェリーフォームの活躍自体はいいのですが、結局そのビークル合体は、ミヨシの尽力により実現しており、リカたちがタッチしていないのが難点。ここから彼女たちが、いかにして一人前の指令員になっていくのか、そのドラマにも期待したいところですね。
カイとスズの楽しい旅行も終わり、彼らを故郷:伊王島に送ることになったタイセイたち。ところが、なんと海上にアンノウンが出現し、初めてのフィールドと敵の属性を前に、タイセイたちは大ピンチに陥ってしまう!そんな中判明する、ツクモのトラウマ。彼の海に対する恐怖の原因とは、一体何か!?
次回は、ツクモデビュー回の後編。気さくで怖いものなしで家族思いと、いいところしかないように見えた彼の弱い一面が、初めて明かされます。リカたち指令員の練度向上のタスクもあるし、これを1話で捌ききれるのか?というのはちょっと不安ですが、そこは、以前からこのシリーズの脚本を担い続けている、山下さんの筆力に期待ですね。
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