アオベエミは、決して止まらない
やっぱ皆、ノーコンだと思ってたんだー!!今回の『ウルトラマンブレーザー』は、後半戦の開幕編一発目。超音速で飛行する強敵デルタンダル撃破への試行錯誤と、地球防衛隊が隠蔽しようとしている(?)宇宙怪獣襲撃に関する情報V99にエミが迫るという、2つのドラマを同時並行的に描く形になっていました。
どちらか一方のドラマに重きを置くのではなく、どちらのドラマもしっかりと見せ場を作り隊員たちの新たな一面も描こうとしていたのがGood。ここに来て、ドラマも登場人物もさらなる広がりを見せてくれました。エミもメインヒロインっぽくなってきたし、今後の彼女の活躍がかなり気になるなぁ。
なお、前回(第13話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
◎ストーリー面
冒頭述べたとおり、ゲントたちデルタンダル撃破のドラマと、エミによるV99の謎に迫るドラマの2つが展開されていた今回。話が交互に展開される形になっていましたが、全く混乱することもダレることもなく、それぞれの隊員の個もしっかりと描写されていて、非常に面白く、そしてバランスのとれた一編だなと感じました。エミにどうしても注目が行きがちだけど、アンリも負けじと頑張っていましたよね。
世界各地に現れる、月光怪獣デルタンダル。防衛隊の哨戒機が撃墜されたことから、SKaRDにも出動命令がくだり、ゲントたちはアースガロンで出動します。しかし、マッハ9で悠々と飛行するデルタンダルに対し、マッハ4で移動が精いっぱいのアースガロンではほとんど太刀打ちできず、ろくに戦果も上げられず帰ってくることに。ハルノ参謀長からの雷が落ちますが、その中でエミは1人、ほぼ単独で別行動を取り続けていました。デルタンダルを初めて捕捉し戦いを挑むSKaRDでしたが、飛行性能に特化した相手に、移動のための飛行手段しかない兵器で空中戦を挑むのはどだいムリな話。案の定倒せず帰ってくることになりますが、そんなゲントたちにハルノ参謀長は説教するのでした。ゲバルガのときはまだ対処のしようがありましたが、さすがに今回のデルタンダルは、現状戦力でまともに戦うためには、研究・準備をしないとムリ。ハルノ参謀長もそれをわかってて説教してるんだろうけど、やっぱり前々回に比べるとちょっと理不尽感が否めなかったよなぁ。ちなみに、今回は空中戦が主体となることから、ここで飛行用のMod.3ユニットが出てくるのかなと思いましたが、最終的にMod.2ユニットで戦い抜いていたのには、少し驚かされました。
ゲントたちがデルタンダルの脱け殻を発見していたころ、ゲントから半ばムリヤリ了解を取付け、別行動を取るエミは、V99の謎に接近。その実験施設の事故にゲントや自身の父:樹(タツキ)が関わっていたこと、現施設長が元防衛隊長官の土橋(ドバシ)であることを突き止めます。ところが、防衛隊側もこうしたエミの動きに気づいていないはずがなく、彼女は呼び出され土橋と面会することに。その彼に疑問を直接ぶつけるエミでしたが…。デルタンダルとの戦いと同時並行で描かれるのが、エミのV99にかかる調査。彼女が危ない橋を渡ってあれこれ調査するだけでも興味深いのですが(キャラ設定どおりの活躍をしてくれていていいですよね)、このV99の調査にゲントやエミの家族、そして新キャラである土橋が関わってくるのが、とてもドラマ作りとして面白いなと感じました。言葉では形容し難いですが、最初はエミだけのドラマかと思われていた要素が、どんどん他のメインキャラや彼らを取り巻く人々に広がっていっているさまが、ドラマの広がりを見せてくれていてGoodなんですよね〜。そんなエミは、可能な限り隠密行動していたものの、やはり防衛隊の一部からは嗅ぎつけられており、それもあって土橋と面会することに成功。単刀直入に疑問をぶつける彼女でしたが、土橋ははぐらかすばかりでした。土橋を演じるのは、円谷プロ作品でも馴染みが深い寺田農さん。今回の演じ方だと、V99の謎の鍵を握っているようにも見えるし、逆に本当に知らないお飾りのトップとも捉えられるんだよなぁ。はてさて、真実はどっちか―?
デルタンダルは地球怪獣であり、積乱雲を渡り歩いて巣にしている―。全てを突き止め、またデルタンダル捕捉の情報を入手したゲントたちは、そのまま次の出現予測地点に向かい、ここでデルタンダルを撃破することを決意。アースガロンMod.2は、持てる火力を投入して応戦し、デルタンダルに大ダメージを与えます。また、ゲントがブレーザーに変身し、レインボー光輪とチルソナイトソードを叩き込んだことで、デルタンダルは爆発四散。サード・ウェイブかと思われた地球怪獣の脅威は、こうして排除されるのでした。終盤で、SKaRD&ブレーザーとデルタンダルの戦闘が展開。トドメを刺すのはやはりブレーザーでしたが、それまでの基盤を作り、またデルタンダルの謎をほぼ全て解き明かしたのは、間違いなくSKaRDのほうでした。現状、単独での勝利が一度もないSKaRDですが、彼らに残念さが無いのは、今回のように毎回重要なことを解き明かしていたり、ブレーザーの怪獣撃破につながる好アシストを見せたりと、とにかくいいところまで自力で頑張っているからなんですよね。今回は理屈よりも半ば気合いで突破した側面もあったし(アンリのノーコン攻撃)、単独撃破は出来なかったけど、SKaRDはブレーザー以上によく頑張っていたなと感じましたね。
危険を承知で、引き続きV99の調査をしたいと要望したエミは、ゲントから再び了解を取付け、実験施設に潜入。最終的にハルノ参謀長に発見されたため、いったん撤収しますが、彼女は全くあきらめてはいませんでした。ラストでは、エミを中心としたシーン展開が連続。ハルノ参謀長から監視命令が出ているにも関わらず調査を許可するゲント、それを涙ぐみながら感謝し、研究所に現れたハルノ参謀長の言いつけも無視して調査続行を宣言するエミと、各キャラの個性と感情が炸裂していて、グッとくる仕上がりでした。エミとハルノ参謀長って、SKaRD以前からの知り合いだったということも明かされましたよね。さあ、これでエミそしてSKaRDは、後戻り出来なくなったぞ。果たして彼らは、無事にV99の秘密を暴くことが出来るのか―!?
◎特撮面
一部シーンを除き、ほぼ全てが夜空を舞台とする、異色のシーンチョイスとなった今回の特撮パート。特に戦闘シーンでは、ミニチュア特撮をほぼ使わずに、ワイヤーアクションとCGエフェクト合成により表現されており、デルタンダルにふさわしい、目まぐるしく縦横無尽に動き回る激しい戦闘シーンが展開されました。パソコンやタブレットで観るにはちょうど良かったけど、TVで観るには若干暗すぎるような印象も受けましたが、まあいいでしょう。
超音速で移動するデルタンダルを、SKaRDが初めて捕捉。空中戦をするには満足でない装備のアースガロンが出撃しますが、案の定撃破出来ずじまい。しかしSKaRDは、その後民間からの通報により、デルタンダルの脱け殻を発見しそれが地球怪獣であることを特定します。今回は、早い段階から特撮パートが挿入。縦横無尽に空を飛び回るデルタンダルと、飛行するのがやっとのアースガロンでは、前者のほうが圧倒的でしたが、アースガロンも負けじと食らいついていました。夜空の中、爆炎をつんざいてまっすぐ向かってくるアースガロンの姿は、メチャクチャカッコよかったなぁ。その後、アースガロンはデルタンダルの脱け殻の調査にも従事。発見したときに口をあんぐりと開けるさまは、可愛さを感じました。
Mod.2ユニットを装備したアースガロンMod.2は、デルタンダルを捕捉したことから再び大空へ。多少の攻撃をものともせず突っ込み、さらにはビームを放っていく相手に押され気味のアースガロンMod.2でしたが、粘りを見せて応戦します。後半より、再びアースガロンMod.2とデルタンダルの空中戦が展開。デルタンダルは地球怪獣とは思えないほどの超越的な力を見せ、アースガロンMod.2も相応のダメージを受けていきますが、限界を迎えて墜落することは決してありませんでした。このシーンで特に印象に残るのは、やはり素早く高速飛行で反撃してくるデルタンダルの姿。風圧でアースガロンMod.2を怯ませ、そのままビームを撃ってきたときは、さすがのアースガロンMod.2もこれまでかと、ハラハラさせられました。でも実際はアンリたちの全力回避とノーコン攻撃で粘りを見せていてGood。CG合成も上手くフィットしており、見応え抜群でした。
アースガロンMod.2のピンチを知り、ゲントはブレーザーに変身。初めての本格的な空中戦と、闘争本能に駆られるがごとく食らいついてくるデルタンダルに苦しみますが、アースガロンMod.2のアシストもあり、最後はレインボー光輪とチルソナイトソードのコンボで撃破に成功します。終盤でブレーザーが登場し、空中戦を展開。どちらかと言えば、空中というシチュエーションよりも、荒々しいデルタンダルの気性に苦しめられていた感があり、アースガロンMod.2によるアシストを受けてからは、大きく苦戦している印象は受けませんでした。ただでさえ空中戦で縦横無尽に動いているのに、そこにチルソナイトソードに噛み付くような荒っぽいデルタンダルが来るんだから、メチャクチャ迫力がありましたね。レインボー光輪もほとんど効いてはいなかったし(怯んでいたけど致命傷にはならなかった)、デルタンダルは本当に強敵だったよなぁ。
ゲントの息子:ジュンの友人アラタの描いた怪獣の絵。それが、謎の宇宙線の影響を受けて、ガヴァドンAとして実体化してしまった!ほとんど暴れないものの、日増しに巨大化していくガヴァドンAに、SKaRDは、ブレーザーは、どう立ち向かうのか?
次回は、以前から登場が告知されていたガヴァドンAがついに登場。今回から打って変わってコメディチックな雰囲気になりそうですが、ブレーザーががどのように決着をつけるかが気になります。そのまま倒すってことはないだろうけど、ブレーザーならやりかねないしな…。
無邪気な落書きに、ご用心―。
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