お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『新機動戦記ガンダムW』ちょっとした感想 W-3(第7~9話)

今回は、新機動戦記ガンダムW』の感想記事第3回目です。

 

苛烈化する、OZと地球圏統一連合軍の抗争、ハメられたヒイロたち!今回ご紹介の3話で特に印象に残るのが、OZの暗躍の連続。トップに立つトレーズの策略が、シンプルながら巧みなものが多く、それにまんまとはまってしまいヒイロたちが窮地に立たされるさまを見ていると、敵ながらあっぱれと感じました。もう少し、ヒイロたちにも早い段階から反撃してもらいたかったけど、うーん…。

 

なお、前回(第4~6話)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

第7話「流血へのシナリオ」

1995年5月19日放送

登場した敵他:リーオー、エアリーズ

「連合とOZ、たとえ入れ替わったとしても、世界は変わらん。ならば、なぜ戦うのだ…ゼクス?」

 

STORY:ヒイロたちの次なる指令は、地球圏統一連合軍:ニューエドワーズ基地のOZ部隊の殲滅。それに向かい準備を進める彼らだったが、五飛を除き、全てはトレーズのたくらみであることに気づいていなかった。ニューエドワーズ基地に実際に集結していたのは、平和主義寄りの連合首脳部だったのだ。それを知らないヒイロたちは基地の攻撃を開始し、逆にトレーズは、この機に乗じて各地の連合軍基地でクーデターを起こし、わずか半日ほどで連合軍の主流派をOZへと塗り替えてしまった。そして、ヒイロがノベンタ元帥のシャトルを撃墜したことで、OZのクーデターは完成。ヒイロたちは完全に、OZに踊らされる結果になったのだ。

 

今までは静かに物語が動く形の『W』でしたが、今回はトレーズがその行動を開始したことで、一気に進行。わずか1話の間に連合軍の当初の主流派である平和主義者が一掃され、過激派であるトレーズたちOZが主流派となり、ヒイロたちおよびコロニー連合は完全に踊らされた格好になりました。ノベンタ元帥のシャトルを破壊したのはヒイロなので、今回の作戦では彼が一番悪手を打ったように見えますが、シャトル自体はOZのものだと偽装されており、そもそもコロニー連合がトレーズのたくらみを見抜けていなかったのが根本の原因。今回は完全に、主人公側がやられた形になっちゃいましたね。

 

最近のガンダムたちの工作を問題視し、以前交渉による平和主義を貫こうとする連合軍上層部に不満を持っていたトレーズ。彼は、ガンダムたちを利用して連合軍上層部を一掃する作戦と、ゼクスをはじめとする同志たちを使ったクーデターを計画します。そしてあらゆる手段でニセ情報を流し、世界を攪乱。このニセ情報にはコロニー連合も引っ掛かり。ヒイロたちに、舞台となるニューエドワーズ基地への出撃命令が下ります。この作戦で、OZのトップを叩ける。ヒイロやデュオは、緊張と期待を持ちながら現地へ向かいます。今回は上述のとおり、トレーズのたくらみから始まり、他の登場人物が皆翻弄される形。ただし、序盤はまずその彼とレディ・アンの会話のシーンから始まることから、視聴者は早い段階で彼の真意を知ることになります。しかし、ここでミソなのが、このシーンの発言だけでは、ニューエドワーズ基地での連合軍首脳部暗殺の話はなんとなくわかる一方、世界各国の連合軍基地でのクーデターのことは、わからないという点。本編を最後まで観てから振り返ると、それをにおわせる描写もあったなとは感じましたが、初見ではまず気づかないだろうなぁという感じでした。最初に今回の話の裏側を見せた感じにしておいて、中盤にさらなる驚き(クーデター)を展開する―。なるほど、今回のお話はよくできています。こうしたトレーズのたくらみは、彼の拡散したニセ情報により気づく者は誰もおらず、コロニー連合すらもそれに騙される形に。そのためヒイロたちは誤った指令を受けることになり、来るはずのないOZ首脳陣の殲滅(実際にはトレーズのみ来てるけど)に燃えます。さすがに今回は大きな任務であるため、ヒイロたちも緊張している様子。デュオの発言が、今思うと完全にフラグをビンビンに立ててたなぁ…。

 

ニューエドワーズ基地に実際に集結したのは、ノベンタ元帥をはじめとする連合軍首脳部。トレーズもまた、スペシャルズの代表として、レディ・アンとともに出席していました。相も変わらず交渉だの和平だのを語る主流派に辟易している中、ウイングガンダムなどの襲撃が開始。ニューエドワーズ基地は一瞬にして大規模な戦場と化し、連合軍は対応を迫られます。しかしそれでも、首脳部の考えは大きくは変わらずじまい。そうした中で、トレーズは次なる行動に出ます。Aパート後半より、ニューエドワーズ基地での連合軍の会議がスタート。その内容を前に、トレーズは冷静さを保つ一方、スペシャルズ寄りのセプテム将軍は苛立ちを覚え始めます。連合軍首脳部の理想と問題提起は、それぞれ「地球圏の平和維持」と「地球を統一するための力がいつの間にか目的なき軍備拡張になってしまった」という真っ当なもの。しかし、それに対する答えが「連合軍の全面武装解除」というのは、いくらなんでも極端…というか平和ボケしすぎと言わざるを得ません。いやいや、確かに明確な外部の敵はいなくなったかもしれないけど、現にガンダムの脅威が迫ってるっていのに、その方針はいいのか?あまりにも現状打開に繋がらない提案の前に、思わず頭を抱えてしまいましたね。コロニー連合とは話し合いで解決できる余地もなくはないので、それに力を入れるとも言ってたけど、だからってそれ一本に絞るのは…。そんな連合軍首脳部に冷や水を浴びせるように、大規模攻撃を仕掛けたのがヒイロとデュオ。彼らのウイングガンダムガンダムデスサイズは、怒涛の攻撃を叩き込みますが、さすがに首脳部が集結している基地ということで、その防衛網は頑強。倒しても倒しても出てくる敵の前に、ヒイロたちは長期戦を強いられます。このシーンで登場するのは、リーオーのみ。今まで散々出てきているモビルスーツで、そのたびに簡単にやられてしまっているシーンばかりが思い出されますが、今回チーム戦になるとそこそこの強さを発揮するということを見せてくれました。

 

トレーズから「オペレーションテイブレーク」の指示を受けたゼクスたちOZの各部隊は、世界各国の連合軍基地を襲撃しクーデターを開始。既に内部にまで入り込みその勢力を伸ばしていたOZは、連合軍の想像以上に協力者を抱えており、わずか半日で全ての基地が陥落してしまいます。その状況に混乱し絶望する首脳部をよそに、ヒイロたちの攻撃は、トロワのガンダムヘビーアームズやカトルのガンダムサンドロックも加勢し激化。まだクーデターの主犯がOZだとバレていないうちに、トレーズは首脳部の基地からの退避を促します。トレーズのもう一つの作戦は、全世界の連合軍基地でのクーデター。序盤でわざわざゼクスケニアのナイロビ基地に派遣しているのはどういうことだろうとは思ったけど、こうした狙いがあったとはね…!そんなクーデターに対し、各地の連合軍基地は全く対処できず、ほとんどなす術もなく陥落。通信が錯綜していてクーデターの詳細がニューエドワーズ基地に入ってこない中、トレーズは自ら動き出し、首脳部の優先的脱出をというもっともらしい理由をつけて、シャトルに乗せ始めます。あれだけ大規模なクーデターをやったので、遅かれ早かれOZの仕業だとバレるでしょうが、そうしたことに気づかれる前に、首脳部を一網打尽にすべく素早い行動を見せるトレーズは、さすがという感じ。彼のこの演技は、このタイミングだからこそできるんですよね。これがあと少しでも遅く、クーデターの首謀者がOZだと気づかれれば、トレーズは間違いなく追及を受けるだろうからなぁ…。こうしたトレーズの工作に、ヒイロたちは気づく余裕がなく、引き続きニューエドワーズ基地制圧のために戦闘を続行。ガンダムヘビーアームズガンダムサンドロックも加勢し、戦局は確実にヒイロたちの優勢になっていきます。ヒイロたちはお互いに自分たちがオペレーションメテオの同志だと気づきはじめていますが、自分中心のやり方は相変わらず。だからさ、もう少し連携する意識は持ったほうがいいって!

 

トレーズに言われるがままに脱出を図る首脳部は、そのまま大型シャトルで発信しますが、その識別信号はOZのもの、これによりシャトルを誤認したヒイロは、そのシャトルを破壊し、これにより連合軍は、首脳部の大部分を失ってしまいます。こうして戦闘は終わりますが、地球圏の平和主義者たちの考え方は変わってしまい、コロニー連合にとって苦しい状況へ。また、トレーズに協力してきたセプテム将軍も、用済みとしてレディ・アンの手で始末されてしまうのでした。トレーズが用意していたシャトルは、識別信号がOZのものに変えられており、ノベルタ元帥たちはそれに気づかず乗船。ヒイロもまさかそれに平和主義寄りの連合軍首脳部が乗ってるとは思わず、迷わずそのシャトルを破壊して任務を完了します。ここでヒイロが、いつものごとく「任務…完了」の決めゼリフとキメ顔を見せるのが、少し滑稽。彼はこのときまだトレーズのたくらみに気づいていないので仕方ないのですが、全てを知っている視聴者からすれば、「やっちまったな!」という感じです。こうしたヒイロの攻撃で、ニューエドワーズ基地での戦いは終わりますが、ここでようやく、戦闘に参加していなかった五飛がシェンロンガンダムで到着。彼はトレーズのたくらみに気づいていたためあえて戦闘には参加しておらず、それをヒイロたちに明かします。かなりキレたファイターというイメージがある五飛ですが、今回は知的な一面も披露。出番は少ないけど、彼、キャラとしての魅力はヒイロたちに全く負けていないなと感じましたね。そんな五飛のおかげでトレーズのたくらみを知っても、全ては後の祭り。同じ頃セプテム将軍は、トレーズの用意したシャトルで全世界に向けてコロニー連合への徹底抗戦を呼びかけますが、直後レディ・アンの手で殺害され、今回は幕を閉じます。レディ・アンの殺し方はどこか回りくどく、シャトルからソファーごと叩き落としてその後射殺するというもの。機内で先に射殺してもいいんじゃないか…と思ったけど、そこは彼女の「血で染めたくない」という理想があったからなのかなぁ。

 

五飛「全てはOZのたくらみだった。踊らされたのだ!トレーズ・クシュリナーダの手の中で。それでも俺は、OZと戦う!たとえ1人であろうともな。」

 

 

 

第8話「トレーズ暗殺」

1995年5月26日放送

登場した敵他:リーオー、トラゴス、キャンサー

「消滅しようとしても、消滅できないくらい強い人間が、あそこにはいるのよ。」「…ガンダム、ですか?」

 

STORY:連合軍首脳部を失い、その連合軍も中枢をOZに支配されていたものの、依然としてニューエドワーズ基地の残存戦力は、ウイングガンダムたちへ徹底抗戦をしていた。ヒイロたちは、基地からの脱出のため敵の排除に奔走するが、サリィからOZが基地爆破を企んでいることを知り、その阻止のため行動。結果、爆破阻止と基地からの脱出に成功するが、ヒイロの心は晴れなかった。一方、先に基地を脱出していたトロワと五飛は、戦艦で移動するトレーズの部隊を捕捉し、攻撃を仕掛ける。その中で、トレーズ本人にまで近づく五飛だったが、彼に命を救われるという、最大の屈辱を味わう結果となってしまった…。

 

前回からの続きで、ニューエドワーズ基地とトレーズをめぐるお話。サブタイトルは「トレーズ暗殺」となっていますが、実際にトレーズは暗殺されるどころか死ぬこともなく、代わりにヒイロや五飛の挫折が描かれる形となりました。前半と後半で登場人物をそれぞれ絞り、その描写に力を入れているのは、とても大胆な試み。それと同時に、ゼクスの過去とサンクキングダム滅亡の裏側が触れられていたのも、かなり興味深いものでしたね。細かいところでは、ご都合展開みたいなところもあったけど、そこは『W』の作風とキャラのノリで何とか乗り切ってた感じかな。

 

前回、ニューエドワーズ基地を襲撃し大ダメージを与えた一方、トレーズたちを逃がし彼のたくらみ通りに動いてしまったヒイロたち。この基地にもう長居する必要はなく、トロワと五飛が先行して脱出していきますが、対するヒイロたちは、基地の残存勢力による足止めを食らっていました。脱出路を確保するため、必死の攻撃を続けるデュオやカトルに対し、ヒイロウイングガンダムは攻撃を受けても全く動かずじまい。その様子に、デュオはいらだちます。前回で完結したかに思われたニューエドワーズ基地をめぐるお話ですが、残存勢力がまだ必死の抵抗を続けていた様子。目的は当然ウイングガンダムらの破壊でしたが、彼らの所属はOZではなく連合軍だったようです(この後の描写で、レディ・アンたちが兵士たちもろとも基地を爆破しようとしているため)。連合軍をOZにより制圧された今、彼らの敵はガンダムよりもまずOZなのでは…と思ったけど、彼らは目の前でウイングガンダムによってノベンタ元帥をはじめとする首脳陣がやられているところを見てるし、その弔い合戦という意味合いもあったのかな。そんな彼らの必死の抵抗に、手も足も出なかったのがヒイロウイングガンダム。デュオはそんな彼をもどかしく思っていた一方で、カトルは冷静に彼の感情を分析していました。カトル曰く、ヒイロが全く攻撃をしないのは、ノベンタ元帥を誤って殺してしまったことによる精神的ショックゆえとのこと。まさかヒイロがそんなことは…と思ってたけど、この後の描写や彼の感情表現から見るに、その分析は当たっていたようです。今まで任務に失敗したことがなかったから、堪えたのでしょうか(その割には、第1話から何度も失敗寸前のピンチに陥ってるんだけど)。

 

連合軍側として脱出し生き延びていたサリィは、輸送機の中からOZによるニューエドワーズ基地の爆破作戦をキャッチ。基地の自爆装置の遠隔操作を行う部屋を制圧した彼女でしたが、自爆装置は既に作動した後でした。誰もが爆破阻止をあきらめる中、サリィはヒイロのポテンシャルを信じ、基地の無線放送を利用して直接爆破阻止を指示、ヒイロはそれを受けて直ちに行動を開始し、阻止に成功。さらにデュオたちの計らいで脱出路も確保しますが、その心が晴れることはありませんでした。ニューエドワーズ基地とガンダムの処遇を一手に任されたレディ・アンがとった作戦は、地下格納庫のミサイルの自爆による全ての破壊。しかしそれは、半径300kmを焦土と化してしまうほどの、恐ろしい作戦でもありました。OZの目から見れば、追加の戦力を割くことなく敵を一網打尽にできる良案なのですが…、前述のとおり焦土と化す範囲がデカすぎるほか、現地にいる連合軍兵士は完全に見捨てる格好になるので、やっぱり危険な作戦ですよね。この作戦は結局自爆装置作動まで行きますが、それを阻止したのが、サリィと、彼女からの言葉を受けたヒイロヒイロはその身を挺して格納庫に直接乗り込み、爆破阻止に成功します。第3話以来、久しぶりにサリィが登場。彼女がヒイロのことを、その身体能力含めて知っていることが、Aパート後半の展開のカギになっていきます。誰もが爆破阻止なんて無理だと考える中、ヒイロにすべてを賭け、全幅の信頼を寄せるサリィ。第3話でなかなか死なない彼を見ていることから、そうした考えになるのはわからんでもないのですが、ちょっと過信しすぎじゃないか…?そんな彼女の言葉を受けたヒイロは、見事爆破阻止に成功。さらにデュオたちの計らいで脱出路も確保しますが、彼の心には後悔だけが残っていました。「みじめな仕事だ。俺の…俺のミスだ!」と、珍しく感情を爆発させるヒイロ。彼の思いがよく伝わってくる描写でした。

 

連合軍の中で、唯一陥落していなかったルクセンブルク本部の襲撃の任を受けたゼクスは、単独で潜入。司令官であるダイゴ准将を自ら射殺し、本部制圧を完了させます。同じ頃、トロワと五飛は、トレーズの部隊をキャッチしており、脱出した輸送機そのままで特攻を仕掛けて乗り込むという、あまりにも大胆な作戦を敢行。先にガンダムヘビーアームズを起動させたトロワは、立ちふさがるリーオー部隊を返り討ちにしていきますが、スキを突かれて海に転落。そこには大量のキャンサーが待ち構えており…。後半からは、トロワと五飛の活躍が中心となり、逆にヒイロたちは全く出てこない形に。その彼らは、大胆な作戦を展開して、トレーズを追い詰めんとしていきます。ニューエドワーズ基地所属の輸送機で着艦しようとする作戦は上手いな…と思ってたら、まさかの特攻を仕掛けてきたトロワと五飛。しかも、彼らと愛機のガンダムはピンピンしており、何事もなかったかのようにOZに攻撃を仕掛けていきます。ピンチに陥るどころか、全くの無傷だった彼ら。もうここまで極端だと、なんかツッコむ気も失せて笑えてきます(ほめてる)。このような中で、先に攻撃をどんどん仕掛けていたのがトロワ/ガンダムヘビーアームズ。レディ・アンのとっさの判断により、射出された無人のリーオーによって海中へと追いやられ、さらにキャンサー部隊に囲まれますが、その程度で屈する彼ではありませんでした。レディ・アン渾身の(?)作戦を、いとも簡単に打ち破るトロワ。OZは、早急にモビルスーツの強化をした方がいい気がするなぁ。既に登場している宇宙専用機のトーラスとかを、地上用に転用or改造できないものか…。以上のような、トロワたちの活躍に注目が行くBパート前半ですが、わずかに挿入されているゼクスのシーンも見逃せないところ。彼とリリーナがいたサンクキングダムは、十数年前に崩壊していますが、その原因が地球圏統一連合の侵攻にあり、しかもその根拠はかなりムリヤリなものだったことが明かされます。連合が、表では地球を統一し平和を築き上げてきたとかなんとか言ってたけど、裏では強引なことをやっていたことが明らかになるシーン。しょせんは連合も、人の子の集まりか。


ザコ敵をトロワに任せ、自身はトレーズの艦のみを狙っていた五飛/シェンロンガンダム。彼の挑戦を受けるかのように、トレーズは自らその位置をシェンロンガンダムにさらし、彼をおびき出します。これに乗った五飛は、自らもその姿をさらして、トレーズの専用艦内の部屋で対峙。激しい剣戟を繰り広げますが、その結果は五飛の敗北に終わります。死を覚悟した彼でしたが、トレーズに情けをかけられたことで生き延び、それは彼の心に大きなダメージを残すのでした。次回予告でも使用されていた、トレーズと五飛の戦闘シーンは、ここで挿入。五飛が中国武術をベースとした大ぶりな動きを見せる一方、トレーズはフェンシングをベースとした動きの少ない戦い方を見せており、それが両者の戦闘スタイルだけでなく、心の動静をも表しているのが良い演出です。でも、ちょっとシーンが短すぎたので、思ったほどトレーズの強さがアピールできていなかったのは、もったいなかったかな。こうして自身の敗北に終わり、さらにトレーズの手で生き延びることになった五飛。そのショックは果てしなく、それを察したトロワは、彼にかける言葉がありませんでした。戻ってきたところを無線で呼びかけるも、応答がないことから、五飛がトレーズ暗殺に失敗したのだと悟るトロワ。少しずつですが、5人のガンダムパイロットたちも、心が通じ合ったり、相手のことを察したりということができるようになってきましたね。

 

 

 

第9話「亡国の肖像」

1995年6月2日放送

登場した敵他:トールギス、エアリーズ、トラゴス、リーオー

「無理をするつもりはない。だが、このモビルスーツに…自分の可能性を賭けてみたいのだ。」

 

STORY:ルクセンブルク本部を制圧し、次の狙いを旧サンクキングダム地域に定めたゼクスのもとに、ついにトールギスが届いた。それを用いてサンクキングダム基地制圧を図る彼だったが、暴れ馬にふさわしいその機体性能の前に、制圧目前にして撤退を余儀なくされてしまう。そんな彼を見たオットーは、その身を挺して単身サンクキングダム基地を制圧し、トールギスの機体性能を証明するのだった。一方ヒイロとデュオは、新たなる任務を帯びて中国のOZの基地の近くに潜伏。そんな彼らの前に現れたのは、行方を追って遠路はるばるやってきた、リリーナだったのだ。

 

今までずっと開発・調整中だったトールギスの、待ちに待ったデビュー回。ゼクスが扱うにふさわしい、凄まじい機体性能を持つそれでしたが、その分欠点も多いものでした。今回はヒイロたち主人公側の活躍は最低限に抑えられ、ゼクスらOZ側のドラマが中心。トールギスをめぐるゼクス、そしてオットーの思いが細かく描写されており、メインの悪役モビルスーツ登場回としてかなり濃厚な出来になっていました。しっかしこのトールギス、乗りこなせば間違いなくウイングガンダムたちを倒せそうだけど、果たしてゼクスはこれを乗りこなせるのか?

 

前回、自らの手でルクセンブルク本部を制圧したゼクス。連合軍が未だ情報の錯綜の中で混乱をきたしている中、彼が次に攻略地点として定めたのは、サンクキングダム基地でした。そんな彼のもとに、いよいよトールギスが到着。しかし、その開発と調整を任されていたオットーは、テストパイロットも兼務していたことから、その身体はすでに限界を迎えていました。オットーの働きに感謝したゼクスは、いよいよサンクキングダム基地へと出発します。Aパートでは、ちらりとながら連合軍全体に関する描写が挿入。内部はOZのクーデターに対処しきれていないという、前々回から変わらない状況である一方で、外部からは、その主導権がOZに握られたにもかかわらず、大衆の反応は意外に落ち着いているということが示唆されています。その理由は、もともとの連合軍も、実質的には武力で他勢力を押さえつけて地球統一を果たし、その後も軍備を拡張し続けていたから。根底にある理想や考え方が全然違う連合軍とOZですが、やっていることは奇しくも同じであり、大衆にとっては大して変わらないという認識だったのです。これは連合軍にとって、かなり皮肉な展開。平和を目指していたはずなのに、やってきたこと、そして大衆の印象は、OZと大差ない軍拡集団だったとはね…。そんな連合軍に対し、さらなる攻勢を仕掛けようとしていたのがゼクス。彼は、ついにロールアウトしたトールギスを使って、サンクキングダム基地の制圧に乗り出します。ルクセンブルク本部制圧後、真っ先にサンクキングダムにその狙いを定めるゼクス。OZとしての目的と、彼個人の目的(王国再興)がダブっているのが、見逃せません。


ヒイロとデュオは、新たなる任務を得て中国のOZ基地の近くに潜伏。転校生として学園になじもうとする中、リリーナが現れます。同じ頃、ゼクス率いる部隊は、エアリーズを中心にサンクキングダム基地を急襲。輸送機部隊を全滅させ、一度は基地構内にまでその勢力を広げますが、隠されていたビーム砲による攻撃の雨あられの前に、撤退を余儀なくされます。ゼクストールギスでその中に突っ込まんとしますが、基地到達直前に死を直感し、本能的に引き返してしまうのでした。ヒイロとデュオは、今回一緒に行動。すべては付近のOZの基地破壊のためでしたが、できるだけ目立たずに行動しようとするヒイロに対し、デュオはわざと目立つ行動をとって学園になじもうとします。「スパイが目立つ行動をしてどうする」と語るヒイロの意見はもっともなんだけど、彼は彼でアクロバティックすぎるダンクシュートを見せるなど、およそ常人ではできないような芸当を披露。「目立ってるのはどっちだよ!?」って感じです。そんなヒイロたちの一方で、サンクキングダム基地を狙っていたのがゼクスたち。そこは連合軍の一支部に過ぎないので、ルクセンブルク本部を制圧した彼らなら攻略は容易化と思われていましたが、基地の設計図等に盛り込まれていなかった大量のビーム砲が、その侵攻を阻んできます。トールギスの性能をフルに出せば突破できる可能性は十分にありましたが、ゼクスはあえてそれをしませんでした。トールギスの初陣は、対ガンダムではなく対連合軍への使用。20年前に連合軍が開発しかけていた機体が、ゼクスの手により敵に回るとは、やはり皮肉な感じがします。しかし、このトールギスは、パイロットの安全についてほとんど考慮に入れられておらず、猛烈なパワーを見せるぶんパイロット自身への負担もかなり大。それはゼクスにも扱いきれるものではなく、彼は思わず死を直感して撤退へと舵を切ります。かなりのオーバースペックを持っているらしいトールギス。でも、これの強さがウイングガンダムなどと同等ということは、きっと何かしらの改善の余地があるということなのでしょうね(ガンダムについては、ヒイロら少年たちが操縦できるようになっているため)。

 

生還したものの、重傷を負ってしまったゼクス。ノインは休養するよう進言しますが、トールギスの機体性能に魅せられ、そしてサンクキングダムを何としても奪還せんとするゼクスは、頑として翌日の出撃を譲りません。このさまを見たオットーは、ゼクスの代わりに無断でトールギスに搭乗。勝手に単独で出撃し、なんとそのままサンクキングダム基地に特攻を仕掛けて制圧してしまいます。そのさまを見たゼクスは…。トールギスの真の機体性能は、オットーの捨て身の行動で証明されることに。といっても、彼も完璧に乗りこなせていたわけではなく、半ば勢いに任せて基地に特攻をかけて相手を全滅に追い込むという、かなりムチャな戦法でした。よく考えると…というか、そんなに考えなくても、オットーの行動は無謀以外の何物でもないもの。しかし、ここに至るまでの過程で、ゼクスの思い、そしてそのさまを見たオットーの心の動きがちゃんと描写されているため、シーンの繋がり的にはなかなか感動と悲哀を感じさせるものになっています。オットーは2、3話くらいしか出てきてないので、積み重ねという意味では限界がありますが、そうした中でもきちんと彼のキャラを立てていたのはGoodでしたね。ちなみに、オットーが特攻を仕掛けたことによるトールギスのダメージは、ほぼゼロ。もし見立てが誤っていて大破してたら、どうするつもりだったんだろう?あ、ゼクスもオットーも、トールギスのその異常な機体性能の前に「これは決戦用モビルスーツだ」みたいな認識でいたから、大破してもそこまで大きな問題にはならないか…。

 

制圧されたサンクキングダム基地ではなく、廃墟と化した城にやってきたゼクス。そこで彼は、父:ピースクラフト王の肖像を前にし、王国の再興を誓います。同じ頃、ヒイロとデュオはそれぞれ行動を開始し、中国のOZの基地を制圧。近くにいたリリーナは当然危険な目に遭いますが、彼女はこれに懲りるどころか、ますますヒイロへの思いを強めていくのでした。サンクキングダムの城郭内のシーンで、初めてゼクスがその仮面をとるシーンが描写。なかなかの美青年ですが、リリーナとは違いどこか冷徹さも感じる面立ちでした。自分の今までの行いを悔やむ様子も描写されていますし、本来の彼は温厚ですが、王国再興のためにわざと汚れ仕事を今までやって来たようですね。そんな彼は、同時に王国中枢に戻れるとは思っておらず、妹のリリーナを女王として立て、国を治めようとしている様子。彼はリリーナが生きていることを知ってたのか!そんな兄の目論みなど知らず、ヒイロを追いかけ続けるリリーナは、ある夜爆音とともに起床。それはヒイロとデュオがそれぞれウイングガンダムガンダムデスサイズで基地の破壊活動を開始したためであり、リーオーの部隊の前に彼らは怯まず、割とすんなり基地を制圧します。今回はトールギスの活躍に重きが置かれていたので、ウイングガンダムガンダムデスサイズの活躍は少なめ、正直どちらか単独でも十分制圧できそうな程度の基地でしたが、わざわざタッグで出したのは…販促のためなんだろうなぁ。

 

 

 

 

 

今回はここまで。次回は、第10話から第12話をご紹介予定です。『新機動戦記ガンダムW』。ガンダムは敗北した。コロニーを盾に取られれば、戦士たちは無力だ。戦うことのできない屈辱の時が彼らを襲う―。

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ガンダムW』に登場したモビルスーツガンプラの一部を、ピックアップしてみよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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