お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『新機動戦記ガンダムW』ちょっとした感想 W-4(第10~12話)

今回は、新機動戦記ガンダムW』の感想記事第4回目です。

 

第1クール終盤となる今回は、ウイングガンダムの敗北&大破、そしてヒイロの一時的な戦線離脱(ドラマ内ではちょくちょく出てくる)という、普通なら中盤に存在しそうな大胆な展開が連続。そのぶん、デュオら他のガンダムパイロットにスポットが当てられるようになり、より彼らの掘り下げが行われるようになります。本来の主人公であるヒイロが実質的に不在でも、ストーリーが成り立ち展開のさせようがあるのは、『W』が各ガンダムパイロットをヒイロと同列に扱ってるからゆえと言えるでしょう。

 

なお、前回(第7~9話)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

第10話「ヒイロ閃光に散る」

1995年6月9日放送

登場した敵他:トールギス、トーラス、エアリーズ、リーオー、トラゴス

「最強の敵として認め合い、戦う…。この申し出を受けざるをえまい。ガンダムパイロットとして!」


STORY:ゼクスたちと合流したトレーズは、いよいよガンダム5機を叩くべく、レディ・アンを中心とした新たな作戦遂行を命じた。それを受けた彼女が編み出したのは、陸空二段構えのトーラス輸送作戦だった。五飛を除き出撃したヒイロたちは、それぞれ陸と空それぞれに別れ、激戦を繰り広げる。地上に待つリーオー部隊、空から襲うトールギス!戦いが苛烈になる中、レディ・アンはあろうことか、コロニーすべてを人質にとる戦法に出た!それを前にゼクスたちは彼女を軽蔑し、ヒイロは決死の行動に出るしかなかったのだ…。

 

サブタイトル通り、本当にウイングガンダムが大破し、ヒイロが生死不明となってしまうお話。第7話に続きヒイロたち側がOZの作戦に引っかかりやられてしまうさまが描かれますが、ヒイロたちが“最後の抵抗”を見せること、そしてレディ・アンの作戦の前に、ゼクスをはじめとするOZ内部でも亀裂が生じ始めるなど、きちんと変化がつけられているのが見逃せません。「トレーズのため」という思いは強くなるのに反して、そのやり方はどんどんトレーズの意志に反していくレディ・アン。このままだと彼女は、いつかOZとの決別を余儀なくされるような感じがするなぁ。

 

前回ロールアウトしたトールギスの確認、そしてゼクスの部隊との合同作戦のため、ルクセンブルク本部を訪れたトレーズとレディ・アン。ゼクスとノインをベタ褒めするトレーズに対し、レディ・アンは嫉妬に似た怒りを燃やしていました。そうした中で、彼女は全部隊にトーラス輸送作戦の概要を発表。アフリカからOZの勢力圏を幾多も経由してシベリアまで輸送するこの作戦は、ガンダム撃滅作戦も兼ねており、激しい戦いになることが予想されていました。今回の肝となるのが、陸と空からの2方向によるトーラスの輸送作戦。かなり大掛かりな戦力が投入される本作戦は、同時にガンダム撃滅の目的もありました。序盤の早い段階で、作戦の全貌が明かされると同時に、レディ・アンの細かな感情表現が丁寧に描写されているのが、これらシーンの注目すべきところ。最初は「ゼクスを褒めすぎると増長するかもしれない」などともっともらしいことを言っていましたが、時間が経つに連れ、その真意がゼクスやノインに対する嫉妬の思いが強いことが明らかになっていきます。彼女の思いに反して、トレーズがさらにゼクスたちを褒めるのが、彼女のそれをさらに強いものにしていくんですよね~。そうした中で、トーラス輸送作戦は実行に移され、レディ・アンがゼクスとノインに命じたのは、それぞれ単独でのウイングガンダム(OZは正式名称を知らないので、ガンダム01と呼称)の撃破と、基地での司令補佐。それぞれそれなりの理由付けをしてたけど、これ絶対私怨が混じってるよね…。

 

トーラス輸送作戦にかかる指令を受けたヒイロ。同時にそれはデュオも受けており、2人はガンダムの特性からそれぞれ空と陸の輸送部隊を襲撃することに決めます。さらに、トロワとカトルも出撃し、五飛/シェンロンガンダムを除く4機のガンダムがトーラス輸送作戦を襲撃。先行してガンダムサンドロックと配下のマグアナック部隊がリクルートを襲撃しますが、それは囮であり、ガンダムデスサイズとともに、貨物列車内から出てきた大量のリーオー部隊との戦闘を強いられます。トーラス輸送作戦の阻止と破壊につき、命じられたヒイロたち。珍しく彼らの多くが自然に協力&分業体制での襲撃を検討する中、五飛だけは出撃を断念していました。第7話でのOZの目的を見抜いていた彼ですから、今回も何かしらの不穏さを感じてあえて出撃しないという選択をした可能性は十分ありますが―、あまりにも彼の登場シーンが短かったので、その真意はわからずじまいでしたね。そんな五飛を除いて、それぞれ出撃したヒイロたち。先に陸ルートをデュオ/ガンダムデスサイズとカトル/ガンダムサンドロックが襲撃しますが、こちらはダミーであり、大量のリーオー部隊の抵抗に遭ってしまいます。特に示し合わせたわけでもないのに、たまたま似た地点に現れ、共闘を始めるデュオとカトル。レディ・アンからは、ガンダムは「1機として組織戦には長けていない」とバッサリ言われていましたが、その気になれば出来ないことはないんですよね。まあ、お互いの戦闘スタイルと利害が一致したときだけだけど…。

 

空の輸送ルートに対しては、ウイングガンダムガンダムヘビーアームズが対応。後者が割とすんなり中継地点(基地)までの襲撃に成功する一方、前者はトールギスの襲撃に苦しんでいました。ウイングガンダムを明確に“最強の敵”と認めたゼクスは、重火器を捨ててビームサーベルのみでの決闘を希望。これを受けたヒイロビームサーベルを引き抜き、ウイングガンダムトールギス、両者初のバトルが開始されます。Bパート前半で、いよいよウイングガンダムトールギスの1対1の戦闘が実現。圧倒的なパワーと機動力で挑むトールギスゼクスに対し、ウイングガンダムヒイロは、それがリーオーのプロトタイプだと見抜き、ひるまず挑んでいきます。彼らの戦闘シーンは、ビームサーベルのみという、ムダを排除した決闘形式の戦闘になっているのが特徴的。その戦いに視聴者全員を注目させてくれますが、若干挙動がお互いカクカクしていたのが、ちょっと残念でした。せっかく両者ともに機動力の優れたモビルスーツなんだから、もっと華麗な戦いが観たかったよなぁ。こうしてウイングガンダムトールギスを相手にしている間、ガンダムヘビーアームズ/トロワは自分の仕事を着実にこなし、基地に大ダメージを与えることに成功。OZは緩やかに押されつつありました。

 

思ったよりもガンダムたちが粘り、作戦がなかなか進まないことにいら立ったレディ・アンは、禁忌ともいえる全コロニーを人質にとる作戦を展開。ゼクスやノインの反対を押し切ってもそれを断行する彼女を前に、ドクターJは通信ジャックして降伏を申し出ます。しかし、彼のガンダム引き渡しの拒否の意志は固く、ヒイロもまた自らコクピットから出、ウイングガンダムを自爆。他の3機も速やかに撤退します。ガンダムを追撃しようとするレディ・アンでしたが、ノイン経由で入ったトレーズの命令により、作戦はここで打ち止めとなるのでした。追い込まれ始めたレディ・アンがとったのは、人工衛星が装備するミサイルを、全て各コロニーに向けるという、実質的に民間人を盾にした人質作戦。これにはさすがのヒイロたちも手出し出来なくなり、ドクターJもモニター越しに自らその姿を表し、降伏を宣言します。コロニーを盾にとる作戦は、その気になれば以前もとることができましたが、さすがにそこまで非人道的なことは、OZが…というよりトレーズが許さなかったらしい。一応OZは敵役だけど、確かに今まで民間人に手出しはしてないんですよね。連合軍の乗っ取りが当面の目標だったから、民間人に手を出す必要がないし、むしろ今後彼らに代わって統治していくうえで、民間人の反感を不用意に買うのはマズいので、そうした意図もあったのでしょう。そんなレディ・アンの手法は、トレーズ自らの指示で中止されることに。デュオたちも次々に撤退していきますが、ヒイロだけは、「ガンダムは渡さん!」というドクターJの発言を忠実に守り、自爆の道を選ぶのでした。別に自爆せずとも、いくらでもこの場から脱出する方法があったはずのヒイロ。でもそれをしなかったのは…、彼なりに筋を通すため、だったんだろうなぁ。

 

 

 

第11話「幸福の行方」

1995年6月16日放送

登場した敵他:リーオー、トラゴス

「私もバラの花は似合わないものです。私には…OZの穢れた返り血が似合います!」


STORY:OZの作戦により、ガンダムは敗走を余儀なくされた。ヒイロというパートナーを失ったデュオは、カトルと合流することになり、彼が身を寄せるマグアナック隊の人々に触れる。しかし、そんな穏やかな時間は長く続かず、OZの一部隊が現地の街を急襲。デュオとカトル、そして一般人たちを逃がすことに全力を賭けるマグアナック隊は、見事それを達成するが、デュオたちは彼らと別れざるを得なくなってしまうのだった。一方、モスクワでレディ・アン暗殺に失敗したリリーナの前に現れたのは…。


ナレーションと回想シーンを除き、主人公のヒイロが全く登場しない異色回。そのぶん、デュオとカトルという今までありえなかった2人の関わり合い、そしてなんとなくでしかわかっていなかったカトルやマグアナック隊の背景など、『W』の世界観がしっかりと描かれたお話になりました。マグアナック隊の奮戦、優秀でカッコよかったなぁ。このように彼らの活躍が目立つため、リリーナの出番もまた少なめ。しかし、レディ・アンに一矢報い、さらにノインに保護されるという、インパクト大な行動を多くとってくれていました。

 

前回、OZに完全にやられた格好になり、ヒイロウイングガンダムを失った他のメンバーたち。その中でデュオ/ガンダムデスサイズは、1人に脱出に遅れてしまっていました。そうした中で、彼を全面的に助けてくれたのがカトル/ガンダムサンドロック。そのまま彼とマグアナック隊のもとに身を寄せたデュオは、自分とカトルの境遇を共有し、さらにマグアナック隊のことについて知るのでした。トロワや五飛が、前回のうちに早々に脱出していたのに対し、それに遅れたのがデュオ。彼がカトルともに行動を始めることから、今回のお話は始まります。今回は上述のとおり、ヒイロが終始登場しないため、実質的な主人公はデュオ。彼のカトルとマグアナック隊への認識は、視聴者と大差ないことから、彼がカトルからその境遇と隊について教えてもらうこと、そして地理に不慣れなため行動をともにすることが、全く違和感がない形になっています。地味ではありますが、なかなかよく練られた構成だと感じますね。こうしたデュオとカトルたちの行動により、カトルの境遇が今回判明。彼はアラブ諸国でも有数の富豪の跡取りでしたが、コロニーのために戦うため勘当同然で宇宙へ。そしてそこでガンダムサンドロックを与えられ、オペレーションメテオに参加していました。現地で顔が効くから、こうしてマグアナック隊へもすんなりと身を寄せることができたんですね。

 

トレーズの命令を受けたレディ・アンは、コロニー側の反抗勢力を叩くに先立ち、モスクワへ。それを知ったリリーナは、彼女を追って自身もモスクワへ。ウェリッジ侯爵などのピースクラフト家ゆかりの人々と偶然出会ったリリーナは、最終的にはレディ・アンの暗殺に失敗するも、ピースクラフト家と地球圏統一連合の過去について知るのでした。トレーズ曰く、OZへの支持者が多いらしいロシア・モスクワの街。レディ・アンが現地に向かい、OZに懐疑的な一部の貴族を懐柔しようとしますが、そこにはそれを聞きつけたリリーナの姿もありました。前回の次回予告だと、まるでリリーナが主役になるようなシーンの繋ぎぶりでしたが、彼女の目立った活躍はこのAパート後半のみ。しかし、ウェリッジ侯爵から自分とピースクラフト家のことについてさらに理解を深めるほか、何よりレディ・アン暗殺未遂という行動が、強烈なインパクトを残してくれていました。リリーナとウェリッジ侯爵は、お互いに偶然その場に居合わせただけですが、侯爵側がリリーナのことに気づいたため、ことは若干彼女の有利に進む形に。地球圏統一連合に滅ぼされたサンクキングダムですが、それを語ることは特にタブーにされておらず、また国が存続していた頃のピースクラフト家を知っている人も多くいるようです。ウェリッジ侯爵は今回重要な役目を果たしていますが、彼が「リリーナが来るかもしれない」という事前情報等のなんの前提もなくリリーナを認識できているのには、ちょっと違和感がありますね。リリーナのことが、彼のように「見る人が見れば一発でわかる」くらいの知名度なら、第5話までリリーナ自身がその正体を知らず、またドーリアンの娘として生きていけてたのが逆に不思議だよ…。

 

現地の街の人々にも触れ、じょじょにマグアナック隊との関係を深めていくデュオ。その後再びカトルと1対1で話す場を持った彼は、自分たちの任務のこと、そして自分たちはなんのために戦っているのかということについて共有します。そんな中、OZの一部隊が街に出現。表向きは行軍にかかる補給のためとしていましたが、真の目的は、マグアナック隊の殲滅にありました。Bパート前半で、今度はマグアナック隊の秘密が判明。彼らはゲリラ組織ではなく国の軍の一部であり、軍をも世界統一を図る連合軍に対し抵抗する者たちでした。かなり統率が取れていて、かつ練度も高かったのは、そうした背景があったからなんですね。しかし、そうした動きを連合が良しとするはずがなく、今回はこの街に基地があると踏んだ一個小隊が、街ごと基地を爆破するため工作活動を行うさまが描写。マグアナック隊とともに、デュオたちはそれを知ることになります。ガンダム2機を狙ったのではないかとも思えるタイミングですが、ここでラシードがきちんと状況を分析し、「敵はガンダムに気づいておらず、あくまでも狙いはマグアナック隊だ」と結論づけているのがGood。そして、今後の展開を違和感のないものにしています。

 

OZの部隊の目的を看破したラシードは、デュオとカトル、そして一般人を脱出させるため、マグアナック隊を率い、時限爆弾の爆発とともに攻撃を開始。砂漠を舞台にした激戦は、マグアナック隊の勝利に終わり、デュオたちは何とか脱出に成功します。同じ頃、レディ・アン暗殺に失敗したリリーナは、モスクワの街で指名手配犯となってしまっており、とうとうOZ一般兵たちに包囲されてしまいますが、そんな彼らを蹴散らし、保護を申し出る女性が出現します。その正体は…。終盤で、いよいよ戦闘シーンが挿入。お話の展開の都合上、ガンダムデスサイズとガンダムサンドロックの活躍はロケット砲による援護射撃程度にとどまり、最前線で活躍したのはマグアナック隊という形になりました。マグアナックは、単機のみでもトラゴスを複数機撃破するなど、ガンダム並みの獅子奮迅の活躍を披露。脇役モビルスーツながら素晴らしいカッコよさを誇っていました。でもさ、そうなると、連合とOZのモビルスーツの弱さが目立っちゃうよなぁ。一国の軍ですらこれだけのモビルスーツを開発・量産できるのに、地球圏を統一した軍のモビルスーツがそれ以下だなんて…。ちなみにこの戦闘シーンでは、マグアナックのホバータイプとトラゴスの二足歩行タイプが登場。ええ、君たち下半身を換装して戦うことができるの!?こうした戦闘の一方で、不利な逃亡を強いられていたのがリリーナ。OZ一般兵らに囲まれ大ピンチの彼女でしたが、それを救ったのはノインでした。リリーナのことをピースクラフト家の末裔だと知っていて保護するノイン。ああ、こりゃきっと、ゼクスからピースクラフト家に関することをひと通り聞かされているパターンだな…。

 

 

 

第12話「迷える戦士たち」

1995年6月23日放送

登場した敵他:リーオー、エアリーズ

「五飛。あなたは、弱い者を助けられる人なの。見失わないで、あなたの優しい心を!」


STORY:トロワの介抱によって、ヒイロは奇跡的に一命をとりとめたが、彼がウイングガンダムを爆破してから既にひと月が経過していた。その間、デュオたちが独自に行動を開始していたのに対し、五飛は自分の戦いと強さに迷い続けていた。そんな中、彼はブント共和国の反政府ゲリラ組織に身を寄せるサリィと出会い、弱くても自分の信念と正義のために戦う彼女の姿を見た。その行動を理解しきれなかった五飛だったが、国を率いるブント自身がOZに国そのものを売り渡し、サリィが捨て身で五飛を守ろうとしたとき、彼の心に戦う意思が復活した!

 

序盤でヒイロの生存&復活が描かれるも、基本的には五飛のメイン回となった一編。「弱い者は戦うべきでない」という哲学を曲げない一方で、自分がその「弱い者」になってしまったという現実に苦しむ五飛、OZの行動に刺激を受けてクーデターを起こすも、最終的にそのOZの犬に成り下がるブント大佐など、様々な人間の思いや戦う理由を描き出そうとした、濃厚な仕上がりでした。要素を盛り込みすぎたため若干さばき切れていない感もありますが、五飛とサリィのやり取りに焦点を当てる形で彼の立ち直りを描いているのは見事。そしてこれにより、シェンロンガンダムの活躍シーンをしっかり確保しているのもGoodです。

 

前々回で、ウイングガンダムの自爆に自らを巻き込み、地上に投げ出されたヒイロ。誰しもが彼のことを死んだと確信していましたが、なんと彼はトロワの介抱を受け、奇跡的に一命をとりとめていました。ひと月の昏睡状態から目覚めた彼は、トロワから現在のOZや地球圏の状態について聞きますが、身体は本調子ではない状態。自機もないためまだ動けない中、トロワのサーカス団に、OZの基地への慰問の仕事が舞い込みます。今回は、トロワのサーカス団でヒイロが目覚めるところからスタート。これにより、彼の生存が確定的となり、同時に彼がトロワに眠っていたひと月の間に何があったかを問うことを通して、視聴者も『W』の世界の現状を把握できるようになっています。トロワによれば、このひと月の間、コロニー側から任務は無く、OZも足場固めのために各地の連合軍基地や現地軍の制圧を優先しており、幸いヒイロたちの活動に関わる重大なことは起きていませんでした。このシーンでは、トロワが今までになく饒舌にしゃべっているのが面白いポイント。比較的カトルとの関わりが多かった彼ですが、なんならこのシーンでは、そのカトルとの一連のシーン以上に積極的にしゃべっています。もしかしてトロワ、意外に話し好き?そんなトロワの話が終わったのち、任務がないことには動くことができず、これからどうするか考え始める2人。会話の流れで、ヒイロは「自爆は死ぬほど痛い」と忠告します。うん、死ぬほど痛いというか、普通の人なら死んでるから…。

 

ヒイロ「ひとつだけ、忠告がある。…死ぬほど痛いぞ。」

 

OZに取り込まれた連合軍と決別したサリィは、ゆかりある中国内陸部の自治区域に里帰りしていましたが、そこは現地軍のブント大佐がクーデターを起こし、ブント共和国化。サリィはこれに抵抗する反政府ゲリラ組織に身を寄せ、日夜戦い続けていました。そうした彼女らに、偶然五飛/シェンロンガンダムが合流。「弱い者は戦うべきではない」という哲学を崩さない彼でしたが、同時にサリィだけに対しては、自分の中でその哲学に矛盾が起きていることの苦悩を吐露するのでした。Aパート中盤より五飛が登場し、彼とサリィメインでお話が進行。サリィの素性が追加で判明する他、五飛が今まであまり見せていなかった一面も見せてくれており、興味深く感じます。サリィは中国内陸部あたりの出身らしく、連合軍を追われたため里帰り。ところが現地はOZのクーデターに刺激を受けたブント大佐率いる現地軍がクーデターを起こして実権を掌握しており、サリィは成り行きもあって、自由を求める反政府ゲリラ組織に身を投じていました。ブント大佐の軍は、OZの思想に共感しつつも、兵士たちはOZからの独立意識旺盛。そのため、この軍を叩いたところで、OZの体制には(この時点では)特に影響が無いとされているのが、構図として面白いです。OZと敵対するサリィは、戦う理由が無いようにも感じるけど…まあ、故郷を軍の独裁政権が牛耳ってたら、それを倒したいとして戦うのは、まあ当然ですかね。そんなサリィと偶然出会ったのが、五飛。彼はシェンロンガンダムで敵を蹴散らし、相変わらずの態度を崩しませんでしたが、初めてその弱さを見せます。依然として「弱い者は戦うべきではない」と考えつつも、自身がOZの作戦にしてやられたことで、その「弱い者」になってしまったことを自覚していた五飛。彼は早い段階でサリィにその悩みを打ち明け、苦しんでいることを吐露します。ヒイロやデュオは面識があるものの、五飛がサリィと出会うのは、今回がほぼ初めてのはず。そんな彼女に対し、ここまで五飛が自分をさらけ出すのは、ちょっと異質に感じます。そこまで思い詰めていたのか、はたまたサリィの雰囲気が彼にそれを語らせたのか―。

 

市街地へ買い出しに行き、ブント軍の横柄な態度に辟易するも、力で上回れないサリィに、ますます彼女が戦う理由が理解できなくなってしまった五飛。その一方でブント軍は、現れたシェンロンガンダムを倒すべく、サリィの反政府ゲリラ組織へ一大攻勢をかける計画をしていました。そしてその作戦は実行に移され、ろくな装備を持っていないサリィたちは、かなり厳しい状況に立たされることに。頼みの綱はシェンロンガンダムでしたが、パイロットの五飛は姿を見せなくて…。Bパートでは、ブント軍による強権政治の実態が描写。兵士たちは皆横柄な態度であり、市民からの略奪や代金踏み倒しなどは日常茶飯事。見過ごすことができなかったサリィは、軍人らに注意しますが、五飛の助けがなければ危ないところでした。サリィは連合軍所属でしたが、彼女の専門は軍医。そのうえ1人で戦うのにはやはり限界がありますから、ここでの苦戦は仕方ないでしょう。そんな彼女の様子を見て、ますます「弱いのになぜ戦うのか」という思いを強めていく五飛。自分自身を未だ弱いと思いこんでいる彼の苦悩は、そのままブント軍の襲撃時にも続いており、五飛の助けがないサリィの反政府ゲリラ組織は、リーオーや戦闘ヘリ部隊を前に、次々にやられていきます。反政府ゲリラ組織は、士気こそ高いものの装備は貧弱。モビルスーツ1つすらまともにもっておらず、組織は壊滅の危機にありました。さすがに軍を相手にするのに、モビルスーツがないのはキツいよなぁ。しかも相手は、生身の人間に対して容赦なくリーオーで銃撃を仕掛けてくる相手。サリィたちの劣勢は誰の目から見ても明らかでしたが、それでも彼女たちが戦い続けるのは…やっぱり、信念の強さゆえだろうなぁ。

 

ブント大佐は目先の利益と権力に目がくらみ、OZと結託して自国軍をサリィたちとともに全滅させることを計画。その身勝手な攻撃、そしてサリィの戦う信念を理解した五飛は、自分に対して完全に答えは出し切れていないものの、シェンロンガンダムへの搭乗を決意。こうして動き出したシェンロンガンダムは、エアリーズの一個小隊ごときに苦戦するはずがなく、逆に返り討ちにしてブント大佐もヘリごと撃破。こうしてブント大佐の支配体制を撃破した五飛は、サリィと再び会話しますが、その顔には明るさが戻り始めていました。終盤、ブント軍は優勢だったにも関わらず、OZのエアリーズ部隊の急襲を受けて一気に劣勢へ。突然のOZの介入は、目先の利益と権力に目がくらんだブントの独断によるものでした。戦局的に、完全に余計なことをしたブント。いくらシェンロンガンダムが動きそうになかったからって、反政府ゲリラ組織襲撃中に内輪もめを始めるのは、悪手でしょう。このような敵の内紛、そしてサリィを取り巻く人々の犠牲を目の当たりにした五飛は、自分の哲学はいったん横に起き、目の前のサリィたちを守るためにシェンロンガンダムに搭乗。彼が本腰を入れればエアリーズ部隊など敵てはなく、あっという間にブント軍はブント大佐含めて全滅に追い込まれるのでした。自分の考えにではなく、心(感情)に従って戦い、良い結果を導き出した五飛。ラストでの彼の顔に明るさが戻っていることから、サリィとの出会いと今回の経験が、彼に大きな影響を与えたのは間違いありませんね。今回の彼は、未だかつてない大きな成長をしたと言っても過言ではないでしょう。

 

 

 

 

 

今回はここまで。次回は、第13話から第15話をご紹介予定です。『新機動戦記ガンダムW』。戦争とは非情なもののはずだ。だが、ヒイロは、ノベンタ婦人に自らの運命を委ね、ゼクスは戦士としての決着をつけようとしている―。

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