『シン・ウルトラマン』の浅見光子(違
大丈夫、きっとやり直せます。そのための、“保険屋”ですから!今回の『ウルトラマンブレーザー』は、「ニュージェネレーションヒーローズ」作品にしては珍しい、ゲストキャラたちにスポットを当ててお話を進めていくタイプの一編。しがない保険屋のテツオと、地元の女性ミチコの交流を通し、テツオの人の良さとそれが報われるさまが描かれていました。
怪獣としては、怪彗星ツイフォンコンビであるレッドキング2代目とギガスが登場。その戦闘や関わり合い方は、どこか人間くささがあり、昭和シリーズ作品を想起させるものになっていました。今回を通して、やっぱり「ウルトラシリーズ」というのは、自由で柔軟な作劇が出来るんだなぁということを、改めて実感しましたね。
なお、前回(第21話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
◎ストーリー面
保険屋であるテツオ(スズキ テツオ)と、地元の女性ミチコ(タナカ ミチコ)の交流を中心にドラマが展開されていた今回。しがないサラリーマンが、相手との交流によりじょじょに人間性を取り戻し、新たな気づきを得て再起するさまは、観る者の感動を呼びました。最終的にテツオが職場で一定の存在価値を持ち受け入れられるようになるというのはいいけど、嫌味ったらしい同僚であるアイカワを露骨に対比させるのは、ちょっとやり過ぎだったかな。
日本アルプスで怪獣2体の出現が確認され、エミが周辺の自治体である長野県松本市を訪れていた頃。その松本市で怪獣損害保険の営業を担当するテツオは、上司に詰められ、同僚のアイカワたちからは嫌味を言われ、足で稼ぐ営業は全く成果の挙がらない毎日。今日も周辺への営業はほとんど上手く行かず、疲れ切った彼は、最後の訪問先として、とある一軒家を訪問します。そこには、ミチコという女性が1人で住んでいて…。序盤では、最初にレッドキング2代目とギガスの暴れっぷりや、書類仕事に追われるSKaRDを描いたのちに、すぐにテツオと彼を取り巻く環境の描写へ以降。SKaRDの描写はごくわずかでしたが、書類の山積みの中で苦しむアンリと、普段なら他人の仕事を手伝ってくれるお人好しのヤスノブがそんな余裕なさげに振る舞う等、かなり短い時間で「SKaRDの状況が今までとは違う」ということを端的に表現していてGoodでした。その後描かれるテツオの描写は、ミチコ宅を訪問して保険営業をするまでは、上司や同僚に嫌味を言われるわ、プライベートは寂しげだわ、本人が自負している足で稼ぐ営業は全然成功しないわと散々。職場でのシーンはかなり大げさな描き方だったので、ちょっと現実味がありませんでしたが(子供にもハッキリわかるような描き方としては、これくらいがいいけど)、それ以外の描写はちょっとリアリティーがあり、観ていてなんとも言えない気持ちになりました。ああ、しがないサラリーマンはツラいけど、彼も彼なりにもがいているんだよなぁ…。
最初は保険営業のために入ったはずなのに、ミチコの料理を台無しにしてしまったことをキッカケに、まるで親子のように関係が深まっていく、テツオとミチコ。ミチコはそんなテツオのために保険契約を締結し、これが彼にとって今月初の新規契約となります。その翌日、ついに松本市に、レッドキング2代目とギガスが出現。テツオの同僚や上司たちが、災害鎮圧後の保障申込みに戦々恐々とする中、テツオはミチコのことが心配になり、身一つで営業所を飛び出します。幸いミチコは生きており、ともに彼女の家から脱出しますが、時同じくして出撃していたアースガロンとレッドキング2代目たちの戦闘が、すぐそこまで迫っている状況でした。中盤では、テツオとミチコの仲が深まっていく様子が描写。30分ドラマ内の限られた時間で、どこまで2人の関わり合いの深さを描くのか、ちょっと心配でしたが、テツオもミチコも人が良く、互いが相手のことを思って交流していくことからその仲が深まっていくという流れにしていたのが、描写にかける時間を圧縮することに成功しており、秀逸でした。しかも、これにプラスしてミチコに怪獣損害保険の契約を締結させることで、テツオとミチコとの関係性を純粋な心のみの関係とさせずに、より強固な繋がりを作らせているのが興味深いです。こうしたテツオとミチコの繋がりをしっかり描いたあとに、ドラマいよいよ松本市をレッドキング2代目とギガスが襲撃するシーンへと移行。アースガロンやゲントたちSKaRDの踏ん張りも描写されていましたが、それと同じくらい時間が割かれ描かれていたのは、ミチコを救うためのテツオの奔走でした。ここで、真っ先にミチコのことを思って飛び出していくテツオと、怪獣災害後の仕事に辟易している上司および同僚たちの反応が、いい対比になっていてGood。その後のテツオのミチコを救うさまは、もちろん彼女のために全力疾走するさまも良いのですが、保険契約の特典として渡したヘルメットをキチンと使い、しかもそれがちゃんと役に立っているのがこれまたGoodでした。
逆転の契機を作るため、地上で奔走していたゲントは、テツオたちの姿を目撃したことからブレーザーに変身。アースガロンに加勢し、一時はギガスの冷凍攻撃を食らってピンチに陥るも、最後はファードランアーマーの力を使って、アースガロンとともに2大怪獣を撃破します。こうして怪獣災害は鎮圧され、テツオは再び元の毎日へ。しかし、彼と彼を取り巻く環境は、大きく様変わりしており…。終盤ではブレーザーも登場し、ブレーザー&アースガロンVSレッドキング2代目&ギガスのタッグマッチが描写。詳細は後述しますが、昭和感がありつつも、しっかりとファードランアーマーの特性、そしてアースガロンの活躍を担保しながら描いていて面白かったです。こうして、ブレーザーとSKaRDの尽力により、怪獣災害は鎮圧。その後戻った日常では、テツオはミチコのツテで保険契約を大きく伸ばし、アイカワは災害前の高圧的な営業が災いして逆に下位に転落する格好に。しかし、そうした逆転した状況になっても、テツオの性格とスタンスは変わりませんでした。ラストシーンでは、テツオが一転して優秀な営業マンとなり、逆にアイカワが上司に怒鳴られる立場になるというさまを描いて終了。テツオが今回の一件で大事なものを得、そして営業所内で一定の居場所を得るというのは良いですが、「優秀な営業マンになりました」というのは、ちょっとやり過ぎかなぁという印象を受けました。ちょっとずつ保険契約数を伸ばして行っていて、「最近調子いいじゃない」と周りからサラリと褒められるくらいが、いい塩梅だったのではないでしょうか。
◎特撮面
テツオとミチコというゲストキャラクターにスポットを当てているため、その比重は少なめになるかと思われた、今回の特撮パート。しかし、実際にフタを開けてみると、ミニチュア破壊自体は一軒家1つのみでしたが、日本アルプス山中、怪獣損害保険のTVCM用のビル街、そして松本市庄米地区と、多彩な舞台とそこで暴れまわる怪獣たちが描かれていました。怪獣プロレスみのある戦闘シーンも、観ていて楽しかったなぁ!
社会では怪獣損害保険のCMが放送されている頃、日本アルプス山中では、レッドキング2代目とギガスが格闘中。SKaRDはそれを察知しており、エミを松本市に派遣して調査を開始させますが、その日のうちにとうとうギガスが市街地に出現してしまいます。エミからの連絡を受けたゲントたちは、アースガロンにスカードMOPを携えさせて、現地へ急行します。今回は、序盤でレッドキング2代目とギガスの戦いを描き、その後テツオらのドラマパートを経て、ギガスが先んじて市街地に出現するという流れ。日本アルプス山中での戦いは、その舞台と怪獣の組み合わせだけでもう『マン』オマージュというのは明らかなのですが、わざわざ宮内國郎劇伴を使用して演出しているあたり、『ウルトラファイト』も意識しているのかなと、ニヤニヤさせられました。本編開始わずか1,2分の間で、これでもかというほどネタをぶち込みすぎなんだよなぁ…(ほめてる)。こうした2大怪獣の特撮の合間に挿入されるのが、怪獣損害保険のCM。見慣れない怪獣の着ぐるみは、過去に「ウルトラシリーズ」に登場した怪獣のスーツの改造ではなく、今年7月に怪獣自主制作映画の祭典の中で登場した怪獣がチョイスされるという、予想だにしないところからの登場になっていました。これにより、この怪獣は正式にウルトラ怪獣扱いになる…のかな?ちなみに、この怪獣損害保険のCMでは、保険内容の解説と宣伝をする女性も、ミニチュアの中に登場。ビル街に登場する巨大な女性というと、どうしても『シン・ウルトラマン』を連想してしまいました。
アースガロンは、ギガスに対して有利に戦いを進めていましたが、レッドキング2代目が追加で出現してからは完全に形成逆転。1VS2の構図となり、一気に不利になってしまいます。ゲントはブレーザーに変身して加勢するも、2大怪獣のコンビネーションは意外にも強敵で…。中盤より、2大怪獣の市街地大暴れのさまと、苦戦するアースガロンのさまが描写。アースガロンの戦闘シーンでは、人物を含めた実景との合成がが意識的に取り入れられており、すぐ目の前まで怪獣災害の危機が迫っているさまが演出されていました。正直、ちょっと実景との合成が浮き気味な感じでしたが、そこはドラマそのものの勢いで乗り切っていたなという感じでしたね。その後、ブレーザーが登場し、レッドキング2代目と激戦を繰り広げるも、ギガスの冷凍攻撃という意外なもので苦戦を強いられることに。レッドキング2代目とのバトルは、かなり怪獣プロレスっぽさがあり、ドタバタした感じの戦闘が昭和ウルトラシリーズっぽくて面白かったです。
ピンチに陥ったブレーザーは、ファードランを召喚し、ファードランアーマーにチェンジと同時に冷凍攻撃を排除。その勢いでアースガロンも救出し、さらに闘牛の要領でギガスを翻弄。そのままレッドキング2代目を巻き込んで大ダメージを与えて、最後はチルソファード炎竜射とアースファイアの合体技で一気に倒すのでした。終盤、ブレーザーがファードランアーマーをまとってから、これでもかというほどの怒涛の反撃が開始。キチンとアースガロンも戦いに介入させながら、コンビで撃破しているのが最高にカッコよかったですね。ファードランアーマーが闘牛の要領でギガスを翻弄するさまは、過去「ウルトラシリーズ」で何度も出てきていますが、やっぱり私は『A』のVSザイゴン戦が頭をよぎりましたね。あそこの戦闘シーンも、やや露骨に合成感があったけど、今度は戦闘のスピーディーさとファードランアーマーそのものの強さ、カッコよさで乗り切っていた感じでしたね。
空にデルタンダル、陸にタガヌラー…。かつてブレーザーやSKaRDに倒された怪獣が、世界各地に複数体出現した!これは何かの前触れなのか?対応に追われるSKaRDの中で、ゲントの体調に変化が生じ、ついに倒れてしまった―!
次回より、『ブレーザー』の物語はいよいよクライマックスへと突入。V99に関わる謎も、じょじょに解明されそうです。ラストに向けてのノンストップドラマが、本当に楽しみだぞ!
宇宙の深淵より、最大の脅威が来たる―!
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