お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『機動新世紀ガンダムX』ちょっとした感想 X-3(第7~9話)

今回は、機動新世紀ガンダムX』の感想記事第3回目です。

 

今回ご紹介の3話でエニルとザコット一味を相手にするお話が完結。ガロードのセリフとしてあまりにも有名な「ガンダム、売るよ!」が登場する等、ちょくちょくギャグ描写も挟まれますが、全体的に1つ1つしっかりと、各キャラの心情描写やその変化を、セリフだけに頼らず表情や行動で表現しようとしていたことに、とても唸らされました。ストーリーは意外にシンプルなんだけど、1話1話本当に見ごたえがあるよなぁ、『X』は。

 

なお、前回(第4~6話)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

第7話「ガンダム、売るよ!」

1996年5月17日放送

登場した敵他:DHMCワイズワラビー、DHMファイヤーワラビー

ガンダムが売りに出されたですって?」「ああ!それも、新品同様のGX-9900だぜ!」

 

STORY:動力炉爆発に巻き込まれたガロードたちは、ガンダムXのサテライトキャノンを利用して脱出に成功するが、ジャミルが重傷を負ってしまった。フリーデン内で自身の信頼が失墜していることを知り、また責任を感じていたガロードは、フリーデンとの決別を決意。ガンダムXをオークションにかけて売り払い、以前の稼業に戻ろうとすることを決意する。同じ頃、動力炉爆発の影響が、自身の隠し金塊の場所にまで及んでいることを知ったウィッツは、現場に駆け付けるが、そこにはエニルの部下とザコット一味のDHMファイヤーワラビー部隊がいた!なんとしても金塊を取り返さんとするウィッツだったが、戦いは泥沼化して―。

 

二度にわたりドジを踏んでしまったガロードの葛藤と、金塊を取り戻すために奮闘するウィッツの姿が、同時並行で描かれる一編。そのお話の構成の都合上、ドラマパートはガロードのほうに、戦闘パートの方ではウィッツのほうに、それぞれ比重が置かれる形になっており、どちらとも次回が気になる幕引きになっていました。いささかウィッツの登場が突飛な感じがしないでもないですが、そのぶん彼の愛機であるガンダムエアマスターの活躍が存分に描かれているのがGood。またドラマパートにおいて、ガロードと彼を取り巻く人々の思いのすれ違いが、これまた絶妙な形で描かれています。

 

前回、動力炉爆発に巻き込まれそうになったガロードたち。彼は、ジャミルの指示に基づき、ガンダムXのサテライトキャノンを推進力に使って脱出に成功しますが、その際動力炉の破片がコクピットに激突し、ジャミルは重傷を負ってしまいます。責任を感じつつも、何をすればいいかわからないガロードは、ただ手術室の前で突っ立っていることしかできずじまい。そんな彼に対し、サラたちの行動は冷たく、またティファも別の事情により面会を拒否したことから、ガロード自身の心は、さらにフリーデンから離れてしまいます。お話の都合上、ガンダムXの戦闘シーンは、この序盤のみ。短時間のうちに見せ場を作るためか、サテライトキャノンの発射シーンが、バンクシーンではなく新たに描き起こされて描写されました。「強大な武器を推進力にする」というのはよくある発想だけど、サテライトキャノンはチャージに時間がかかるうえ、その威力は異常なほど強力。脱出のための推進力、しかも動力炉爆発というこちらも強大なパワーを持つもの相手にサテライトキャノンを使うのは、いろんな意味でちょっとやりすぎな感じもします。チャージ時間もえらく短かったし(威力調整をしていたのかもしれないけど)、ムリヤリ挿入した感じのある描写だったなぁ。そして、このようなサテライトキャノンの発射により、ガロードたちは脱出に成功。しかし、その中でジャミルは重傷を負い、緊急手術を受けることになります。当然、ガロードにも非難が向けられることになり…。メインキャラクターのガロードに対する非難は、皆が激昂するといったものではなく、サラがただ無言で平手打ちをするのみ。こう記載すると、非常に淡白な描写に感じられますが、そのときのサラの表情、そして無音の間が、ガロードに対してぶつけては無いけれどもこみあげている、静かなる怒りを感じさせてくれていました。これだけでもなかなか良い描写なのですが、このあとのティファとのシーンがさらにGood。ティファはガロードとの面会を拒否するのですが、ティファにとっての理由が「化粧をしていること」や「サラに非難されたこと」にあるのに対し(前回参照)、ガロードはそれを知らないことから、ティファの態度の理由がやはり自分の行動にあるのではないかと“勘違い”しているのが秀逸です。こうしたすれ違いでドラマを生んでいるのは、面白いですよね~。

 

翌朝。廊下での立ち聞きで、ジャミルの生存を確認したガロードは、ひと安心した一方、またも自分への批判を耳にし、さらにいたたまれない気持ちになっていきます。そして、彼はフリーデンから離れることを決意し、ガンダムXに搭乗して出撃。向かった先は、とある街中のジャンク屋であり、彼はそこの一角を借りて、ガンダムXのオークションを始めます。それは、情報屋のツテのおかげで多くの人間が知るところになり、ガンダムXを狙うエニルも、それを知ることになります。Aパート後半の早い段階で、ジャミルの生存は確定。無事だったのは何よりだけど、せめて入院してるときくらいは、いつものサングラスとってもいいんじゃないかな?そして、この情報を知り安堵するガロードでしたが、すぐにトニヤたちの自分に対する非難を耳にし、再び表情が暗転。フリーデンを離れることを決意し、今後の生活資金のために、ガンダムXを売却することにします。本作を視聴していない人にも有名であり、かつ今回のサブタイトルにもなっている「ガンダム、売るよ!」のセリフは、この場面で登場。このセリフが飛び出すシーンの前後は、今回唯一のギャグっぽいシーンとなっており、ジャンク屋が偶然ロアビィのガンダムレオパルドを修理し終わり、「これでガンダムを修理したと箔がつくぞ」と興奮していたところにガロードがやってくるという、笑える展開になっています。しかもこのジャンク屋、ちゃっかり値下げと引き換えにガンダムレオパルドと記念撮影しちゃっており、おちゃめな一面をのぞかせています。微笑ましかったなぁ。

 

動力炉爆発の影響圏内に、自身の稼いだ金塊の隠し場所があることに気づいたウィッツは、現場に急行。そこには、偶然その金塊を発見した、エニルとザコット一味の部下がいました。なんとしても金塊を取り戻そうとするウィッツは、ガンダムエアマスターで怒涛の攻撃を加えますが、じょじょに戦いは泥沼化。場所を転々としたうえで、それでも何とか増援含む部隊を一掃しますが、ザコット一味の本拠地に誘い込まれていたことに気づいておらず…。Aパート終盤より、ガロードたちとの話とは別に、ウィッツが登場。隠し金塊をめぐる泥沼のバトルに、身を投じていくことになります。ウィッツ登場&戦闘突入の事情として、「金塊の隠し場所が動力炉爆発の影響範囲内にあった」・「そこを偶然エニル&ザコット一味の部下たちが捜索していた」という理由付けがなされていますが、ちょっと無理があるかなぁという気がしないでもない感じ。ウィッツ/ガンダムエアマスターの戦闘シーンを挿入するために、考え出されたドラマ展開なのでしょうか。そんな彼のガンダムエアマスターは、DHMファイヤーワラビーと対戦。1対3と、頭数では不利なものの、スペック的には勝てるだろ…と思っていたら、意外に苦戦。その後も増援がきて約10体くらいを倒していきますが、エネルギー切れを起こし、ザコット一味の本拠地に到着した頃は、ほとんど戦えない状況にまで追い込まれていました。ちょっと息切れが早かった気がするガンダムエアマスター。前回ガンダムXが余裕で倒していたので、余計にその感じが目立つ形になりました。多分、ガンダムXが強すぎるんだろうけど…ねぇ?

 

しっかりと防御策をとったうえで、ガロードガンダムXのオークション。賑わうものの、思ったように金額が上がらないそれでしたが、そんな中で、突拍子もない値段を提示する客=エニルが現れます。彼女の正体を知らないガロードは、嬉々として売却を確約。引き渡しのための代金を待つだけとなり、それまでの間、彼は彼女と過ごすことになります。エニルは、ガロードからいろいろと訊きだそうとしますが…。オークションを始めるガロード。さすがもともとこれを稼業にしていたこともあって、キッチリ自分を殺して強奪しようとする輩の対策をとっていたり(機体各所に爆弾を仕掛けている)、Gコンを取り外していてさらに金額を吊り上げようとしたりと、なかなか商売上手。完全にオークションの参加者たちが手玉に取られており、「ガロード、巧みだなぁ!」と感心しました(ほめられることではないんだろうけど)そんなこのオークションにおいて、最終的に落札したのがエニル。彼女はガロードに近づき、その後も何かといろいろ訊きだそうとします。彼女が代金の支払いを待ってくれと提案したのは、元手の金(上述のウィッツの金塊)が入るのに時間がかかるからですが、これが本当の理由なのかどうかはちょっと疑問です。彼女の気質なら、隙あらばガロードからかすめ取ろうとするのが自然ですからね。さあ、彼女の真意はどちらなのか?次回へ続く―!

 

 

 

第8話「あの子、許さない!」

1996年5月24日放送

登場した敵他:ガンダムヴァサーゴ、ガンダムアシュタロン、DHMCワイズワラビー、DHMファイヤーワラビー

「気持ちを、わかる。人の気持ちを―。」

 

STORY:ザコット一味の攻撃から何とか抜け出した、ウィッツ/ガンダムエアマスター。その理由は、ガンダムXを付け狙うフロスト兄弟の手引きによるものだった。それを知らないウィッツは、偶然合流したロアビィとともに、再びフリーデンに合流する。一方ガロードは、エニルの誘いを断るも、それが彼女の執着を生むことになり、ガンダムXをおびき出すためのフリーデン襲撃という事態を招いてしまう。ピンチに陥るウィッツとロアビィ、そして、執拗にガンダムXに再度搭乗するよう迫るフロスト兄弟。一度はフリーデンと決別したガロードは、その決断を変えるのか?

 

エニルのガロードという個人に対する執着、ウィッツとロアビィがフリーデンにしばらく在籍することになる事情、そしてガロードの心情変化を描いた一編。各ドラマが違和感なくつながっているうえ、スルーされてしまいそうな何気ない描写にまで、前後の展開を踏まえると各キャラクターの細かな心情が感じ取れるようになっており、なかなか描写の完成度の高さを感じる一編になっていました。ガロードガンダムXに再度乗り、そしてフリーデンに戻る理由付けが、様々な方面からなされますが、フロスト兄弟の介入だけはちょっと毛並みが違う印象。今までクールな敵キャラって感じだったのに、ここにきて一気にストーカー気質っぽい感じになっちゃっていました。それでも、それを大真面目&クールにやっているものだから、何とか受け入れられる描写になっているのが、これまた面白いですね。

 

前回、エニル&ザコット一味の部下たちの攻撃に苦しめられていたウィッツ/ガンダムエアマスター。しかしこれは、突然飛来した謎の輸送機の援護射撃によって、何とか窮地を脱することになります。その輸送機に感謝するウィッツでしたが、彼はそのパイロットらの正体に全く気付いていませんでした。同じ頃、ガロードは、エニルから言葉巧みに誘われますが、真っ向からそれを拒否。彼女はやむを得ず撤退しますが、これがガロードに対する執着を生むことになり、そしてフリーデンへの全面攻撃を決意させることになるのでした。前回あれだけ描かれたウィッツのピンチは、フロスト兄弟の介入によりアッサリ解決。もちろん、ウィッツ自身は敵に助けられたと思っておらず、またフロスト兄弟自身も、ただの善意で助けたワケではありませんでした。ここでのフロスト兄弟の行動の理由は明言されていませんが、のちの描写などから考えるに、ガンダムXとの戦うためにフリーデンを襲撃しようとしており、その足がかりとしてウィッツを利用しようとしたのでしょう。理屈はわからんでもないけど、この時点でのウィッツは、フリーデンとはいったん関係が切れた身。彼がフリーデンに向かうとは限らない状況だったはずですが、フロスト兄弟らはそれを知らなかったのか…?同じ頃、エニルと1対1の静かな心理戦を繰り広げていたのがガロード。エニルはあの手この手でガロードをたぶらかそうとしますが、彼がそれに屈することはありませんでした。ガロードによる威嚇射撃は、エニルにとって相当ショックだった様子。おそらく彼女は、ザコットへの接し方からも考えるに、今までこうして様々な人間を懐柔してきたのでしょう。そしてこれにより、エニルとガロードの、ガンダムXを抜きにした因縁ができているのが秀逸です。

 

金塊の隠し場所を探していたウィッツが、偶然出会ったのが、ロアビィ/ガンダムエアマスター。彼がフリーデンに向かうということから、ウィッツ自身もそれに同行することにします。しかし、アテにしていたジャミルガンダムXの状況を知り、おまけに金塊を隠し持っていることまで知られてしまったため、その保管・管理と引き換えに、しばらくの間、ロアビィとともにフリーデンを守る任務に就くことにするのでした。ウィッツとロアビィが、フリーデンに再び合流。このシーンでは、トニヤの偶然の行動からウィッツの金塊の件がバレる等のオチャメなシーンがある一方で、何気ない会話シーンに、各キャラごと複雑な思いの含みを持たせているのが見逃せないポイント。一番力が入れられているのがサラで、彼女はテクスとの会話時「(ティファへの冷たい態度を受けて、しかしそれを真っ向から指摘せずに)表情がキツくなったな」と言われており、直後廊下でロアビィと出会った際は、「きれいになったね」と真逆のことを言われています。これらセリフに対し、彼女はそれぞれ一言程度しか返していませんが、内心にどんな複雑な思いを抱いているかは、手に取るようにわかります。描写の積み重ねが上手いよなぁ。

 

トニヤが、ウィッツの抱える家庭事情を知ったのち、エニルらによるフリーデンの総攻撃が開始。ジャミル&ガンダムXが不在でガンダムエアマスターが修理中のため、サラが指揮を執り、ガンダムレオパルドが出撃します。最初はテンポよく相手を倒していたガンダムレオパルドでしたが、ガンダムエアマスターも苦しめられた「炎の時計部隊」の攻撃に引っかかり、一転劣勢に。ガンダムエアマスターの修理が終わり加勢したため、最悪の状況は回避されますが、エニルらの部隊は同時並行でフリーデンへの攻撃も行っており、このままでは艦の放棄も決断せねばならない状況でした。ウィッツとトニヤの会話シーンを挟んだのち、今回の戦闘シーンが挿入。ガンダムエアマスターが修理中のため、ガンダムレオパルドのみが先行出撃しますが、最初こそコンスタントに倒していたものの、「炎の時計部隊」の攻撃(時計状に円陣を組んで、効果的に火炎放射攻撃をする)に苦しめられます。前回のガンダムエアマスターの活躍に対して、今回はガンダムレオパルドが大活躍。ガンダムエアマスターのほうも負けてはおらず、いいところで加勢に来る等の見せ場を作っていました。これだけでも十分見応えがあるのですが、それにプラスして、「火炎放射攻撃がフリーデンにも及んでいる」というさらなるピンチを描いているのがGood。フリーデン自体はジャミルの関係で身動きが取れないほか、ウィッツたちも自身の目的のためにフリーデンに戻らざるを得ないという構図が出来上がっていることから、この状況が、フリーデン側のメインキャラにとってどれだけ深刻なことなのかがハッキリとわかります。

 

街中を歩いていると、ガンダムXを狙う輩に襲われたガロード。彼を救ったのは、まさかのフロスト兄弟でした。ガンダムXへの強い思いを語り、ぜひそれに再び乗ってほしいと語る彼らに対し、かたくなにそれを断るガロード。フロスト兄弟が最終手段としてフリーデンの襲撃を示唆した直後、情報屋より、近くの森でフリーデンが襲撃を受けているという話が入ります。これに便乗しようと、フロスト兄弟はガンダムヴァサーゴとガンダムアシュタロンで出撃。再び1人になったガロードは、考えた末に、1つの決断をします。前回ガンダムXを落札し損ねた輩から、襲撃されるガロード。それを救ったのは、まさかのフロスト兄弟でした。フロスト兄弟が彼を救った理由は、もちろんガンダムXがその目的でしたが、単に機体そのものではなく、「ガロードの乗るガンダムXと戦って勝つこと」に比重が置かれているのが興味深いです。そのおかげで、彼らの話し方が「あのガンダムに乗るんだ」・「ガンダムに乗ってくれないか?」と、敵か味方かわからないような言い回しになってるのが面白いです。おまけに、一連の話はカフェでしているのですが、お代は全てガロード持ち。しかもそのことは、早々にオルバがガロードに釘を刺しています。もしかしてフロスト兄弟、戦士としては確かに優秀だけど、人間としてはけっこう天然というか純粋な一面があるのか?そんな話をしているうちに、情報屋(エニルから雇われた者たち)が街角で「フリーデンが別のバルチャーに襲われている」と騒ぎ立て、ガロードにもそれが耳に入ることに。ガロードをけしかけるように、自らもフリーデンを襲うと宣言し去っていったフロスト兄弟たちに対し、ガロードは、ガンダムXでフリーデンに戻る決断をします。自らの意志で、フリーデンに戻る決断をしたガロード。でも、先方はそのままスッと受け入れてくれるのかな…。

 

ガロード「行くしか…ないのか? ―行くしかないんだ!」

 

 

 

第9話「巷に雨の降るごとく」

1996年5月31日放送

登場した敵他:ガンダムヴァサーゴ、ガンダムアシュタロン、DHMCワイズワラビー、DHMファイヤーワラビー

「俺の、帰る場所は…この船(フリーデン)なんだ!」

 

STORY:エニルらの攻撃に万事休すとなったフリーデンを救ったのは、帰還したガロードガンダムXだった。彼の活躍により、一時的に危機を脱したフリーデンで、艦長代理を務めるサラは、ティファの意見を無視し、湖の方面へと向かう。しかし、その判断は誤りだった。そこにはザコット一味が待ち構えており、フリーデンは湖上で業火に包まれてしまう。さらに、フロスト兄弟やエニルも再び介入し、戦場は混沌としていく。ガロードは、エニルに勝利することができるのか?そして、復活したジャミルは、ガロードガンダムXに、全ての命運を託した!

 

エニルやザコット一味とのお話の完結編。ガロードはフリーデンに帰還し、ジャミルは復活。ウィッツとロアビィは、ジャミルが本調子でないことからしばらく同行することになり、ティファとサラの間のわだかまりもとけるなど、ようやく今回をもって、フリーデンの結束がととのった形になります。こうして見ると、ガロードらにとってハッピーなことばかりが描かれているようにも感じますが、キチンとそれまでにおいて、各自の葛藤を描いているのがミソ。しかも、それをセリフやモノローグではなく、瞳や顔の表情等で表現しているのが、アニメ作品という観点から非常に挑戦的だなと感じました。

 

前回、エニルとザコット一味らの襲撃を受けたフリーデン。ウィッツのガンダムエアマスターとロアビィのガンダムレオパルドが必死に応戦しますが、事態を大きく打開することはできず、それどころか、フロスト兄弟のガンダムヴァサーゴとガンダムアシュタロンがやってきたことから、さらなる窮地に追い込まれるハメになります。エニルのDHMCワイズワラビーが艦橋を襲撃しようとし、もはやこれまでかと思われたそのとき、ガロードガンダムXが帰還。DHMCワイズワラビーを排除し、その場から一気に脱出します。束になってかかってくると厄介とはいえ、いわゆるザコ敵であるDHMファイヤーワラビー程度では苦戦しないウィッツたち。Aパート前半の戦闘シーンでは、それよりも、「炎の時計部隊」の攻撃を避けることにスポットが置かれます。ここで興味深いのが、「ウィッツとロアビィ単独なら脱出の余地があるものの、フリーデンの脱出は困難であり、かつウィッツとロアビィがそれぞれフリーデンを見捨てられない事情を抱えている」という構図になっている点。しっかりと前回までで過程を踏まえているので、無理なくピンチシーンの演出がなされてもいるのがGoodです。そんな彼らを救ったのが、ガロードガンダムX。ウィッツたちの前に姿を現した際は、いつも以上にお調子者の一面を見せますが、その前のシーンで、フリーデンへ帰ることに激しく葛藤しているシーンを挟んでいることから、このときのガロードはある種無理をしているんだなということがわかります。ガロードの感情が読み取れる、秀逸な描写。彼って繊細だけど、そうした一面がわかるからこそ、とても魅力的に思えるよね。

 

「炎の時計部隊」のような攻撃を避けるため、ティファの嫌な予感を無視し、フリーデンを湖上へと進めるサラ。そのときジャミルが目覚め、サラにティファと同様のことを指示した直後、ザコット一味が湖底から現れ、攻撃を開始します。再び業火に見舞われ、ピンチのフリーデン。一刻も早くここから脱出する必要がありましたが、ウィッツとロアビィはまたもフロスト兄弟の襲撃受けることになったほか、ガロードはエニルの執拗な攻撃に対応を余儀なくさせられていました。サラの判断は確かに一理あるものであり、対するティファの意見は根拠のないもの(ニュータイプとしての勘)であることから、サラがティファの意見を無視するのは、ある意味当然。しかし復活したジャミルの発言と、その直後起きるザコット一味からの攻撃が、彼女に判断の誤りを痛感させます。ザコット一味の攻撃が始まるシーンでは、サラがティファに向ける視線とその目つきに注目したいところ。厳しいものではありますが、第6〜7話で見られた嫌悪感だけではない何かを感じさせてくれます。おそらく、ここでサラは、ティファのニュータイプとしての勘が、ある程度信用に足るものであると痛感したのではないでしょうか。

 

エニルの精神的な攻撃の前に、苦しめられるガロード。しかし、彼はフリーデンこそ自分の帰るべき場所であると認識し、DHMCワイズワラビーの腕を切り落として戦闘不能に追い込みます。そして、残るはザコット一味のみ。この業火から脱出し、敵を全滅させるため、ジャミルはすべてをガロードに託し、決死の作戦を敢行します。その内容は、サテライトキャノン発射時に使用するマイクロウェーブを、直接武器として利用するという荒業でした。Bパート前半こそ、今回のクライマックス。ガロードが自力でエニルを倒してみせるほか、ジャミルの指示を受けながら、第5話のような連携を見せてザコット一味を一掃するさまが描かれます。エニルはなかなかネチっこく精神攻撃を仕掛けますが、それに屈さず、「フリーデンこそ自分の帰る場所」と心に決めて反撃するガロードが、マジでカッコいい。彼自身の心の成長を、ひしひしと感じさせてくれました。そして、このあと展開されるのが、ザコット一味を一掃する作戦。通常であれば、サテライトキャノン発射に使用するマイクロウェーブを、そのまま湖に照射させ、高波と衝撃波を起こして倒すという荒業でした。サテライトキャノンを使うのかと思いきや、まったく予想しなかった形での技を繰り出してきたのにはビックリ。ですが、あの状況下で、サテライトキャノン発射まで待つ余裕がないこと、またサテライトキャノンは威力が強すぎて脱出したフリーデンにまで巻き込みかねないことを踏まえると、このジャミルの作戦は、非常に合理的なものと言えるでしょう。さすが、元ガンダムXパイロット。機体を熟知しているからこそ出来た芸当と言えるでしょう。

 

ザコット一味を全滅に追い込んだ、フリーデン。ジャミルは身体が本調子ではないものの艦長として復帰し、ウィッツとロアビィはしばらく雇われパイロットとして行動を共にすることに。ガロードガンダムXパイロット兼ティファの世話係として籍を置くことになり、ティファの示したニュータイプがいる場所を目指し、発進していきます。今、フリーデンは、新たなる一歩を踏み出そうとしていました。第6話から続いたお話も、このシーンで完結。終盤では、ガロード側のメインメンバーが全員フリーデンに揃い、その結束が強まっていくさまが描かれます。ガロードたちとって、完全なハッピーエンド(エニルが生きていることが示唆されているけど)で終わる形ですが、今までのなかなかの窮地をくぐり抜けてきているため、そこまで都合のいい展開という感じがしないのがGoodです。そしてラスト、ティファによって示される、ニュータイプの居場所。必死にその街の風景を描いてくれたのはいいけどさ、ちょっと情報量が少なすぎるぞアレ…。

 

 

 

 

 

今回はここまで。次回は、第10話から第12話をご紹介予定です。『機動新世紀ガンダムX』。皮肉にも、求めていたニュータイプ:カリスは、ガロードに牙を剥いた。その戦いの裏側で、復讐に燃える者たちが暗躍する。追い詰められたガロードに、ジャミルは、ある決意を固めるのだった―。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

機動新世紀ガンダムX』の本編は、各種サイトで公式配信中!↓コチラもチェックだ!

 

 

 

 

 

ガンプラ Pick Up!

ガンダムX』に登場したモビルスーツガンプラの一部を、ピックアップしてみよう!

 

 

 

 

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

Twitter Instagramやってます。よろしければ↓閲覧&フォローの方お願いします!

Twitter https://twitter.com/CTF_bongore_A

Instagram https://www.instagram.com/bongore200706/