今回は、2020年6~12月に放送された、『ウルトラマンZ(ゼット)』の総括感想記事です。
番組始まってからじょじょにその人気が出始め、今まで「ウルトラシリーズ」をほとんど観たことがない人からも評価されたり、特空機をはじめとする防衛隊メカニックも予想外の人気を出したり、Nerdistでは2020年の世界のベストテレビ番組の1つに選出されたりなど、間違いなく「ウルトラシリーズ」の歴史に大きな爪痕を残した本作。私も久しぶりに、毎週純粋に楽しんで観ることができた「ウルトラシリーズ」作品でした。
なお、前回(特別編3)の感想記事は、↓コチラです
bongore-asterisk.hatenablog.jp
『Z』がここまで面白く、そして人気を勝ち得た理由。それは、今までのニュージェネレーションヒーローズ作品とは一線を画した、原点回帰の作風になっていたことに尽きるでしょう。
今までのニュージェネレーションヒーローズのほとんどは、主人公を含む味方側の他、レギュラー悪役である敵側(ジャグラス ジャグラーやウルトラマントレギアなど)がいるのが一般的。敵が怪獣を繰り出し、それに主人公たちが立ち向かっていくという構図でした。
この構図、「ウルトラシリーズ」では『A』の頃から断続的に取り入れられていますし、「レギュラー悪役を倒す」という物語のゴールを明確に設定しやすいのがいいのですが、ニュージェネレーションヒーローズ作品の場合、その悪役が主人公にやたら固執する傾向が強いので、「やっていることはスケールデカいのに争いの内容は小さい」という形になりがちでした。
その一方で、『Z』の場合はセレブロというレギュラー悪役がいたものの、一部のお話以外は物語に全く絡まず、基本的にはかつての「ウルトラシリーズ」のような1話完結型で物語が進行。敵怪獣の大部分が過去作に登場したことのあるものでしたが、変にオリジナルを知っていると楽しめるネタなどを挟まず、また過去作オマージュを挿入するにしても「オリジナルを知らなくてもドラマとして楽しめる構成」にするよう配慮されていたことから、ライトな感覚で、しかしシンプルに深く楽しむことができる物語になっていました。これこそが、シリーズをあまり知らない人たちも取り込むことができた要因でしょう。
また特空機の設定もよかった。主人公が防衛隊に所属しているというのは『X』以来でしたが(『タイガ』のヒロユキはあくまでも警備会社)、『X』よりもメカニック要素を減らし、その分ロボット系怪獣を「特空機」として防衛隊メカにしてしまおうという、ソフビも売ることができる一石二鳥の設定を投入。これにより“怪獣特撮”としての比率が上がり、従来の戦闘機による攻撃とはまた違った防衛隊の活躍が楽しめるようになりました。『X』の時のジオマスケッティが思ったよりウケなかったから、こうした設定を新たに作ったんだろうけど、結果的には大成功だったよなぁ。「ウルトラシリーズ」における防衛隊要素の復権にもつながりましたよね。
これらプラス面の一方で、唯一『Z』でマイナス面だったのが、新規怪獣の少なさ。バロッサ星人はさすがに登板しすぎで、うんざりしてしまいました。でもまあこれは、円谷プロに着ぐるみを作るお金が無くなったというよりも、今年(2021年)公開の『シン・ウルトラマン』の予算確保のための策だったんだろうなぁ。
「ウルトラシリーズ」に大きな弾みをつけてくれた、『ウルトラマンZ(ゼット)』。今年は「ウルトラシリーズ」生誕55周年の記念イヤーであり、『シン・ウルトラマン』の公開が控えていますが、TVシリーズの方はどんな作品がやってくるのでしょうか。
2021年の「ウルトラシリーズ」の飛躍に、期待しましょう!
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