今回は、『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』の総括感想記事です。
2018年1月から放送を開始し、ロボットアニメとしては(TBS側の都合もあったとはいえ)異例の1年超の連続放送を実現。とうとう元号まで飛び越えて全76話放送し、人気を受けて昨年末には劇場版を公開、さらに堅調な玩具売上も見せた『シンカリオン』。近年のロボットアニメの中では大ヒットを記録したと言える作品と言えるでしょう。
なお、本作における作風面での総括感想的な記事は以前書いているので、今回は「ロボットアニメ」という側面から、この作品がなぜ面白く、そしてウケたのかを考えていきたいと思います。
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ロボットアニメという視点から考えて、『シンカリオン』はなぜウケたのか?その理由は単純明快。純粋に「ロボットと登場人物が活躍するアニメ」だったからです。
2000年代、そして2010年代も、多くのロボットアニメが作られました。それ以前に比べると子供向けよりも大人向けの作品が増え、ヒットを飛ばす作品はそんなに多くはありませんでしたが、ロボットアニメというコンテンツ自体の人気が衰えていたとまではと言えないと思います。
ではなぜイマイチ、そのコンテンツ自体に人気が出なかったのか?それは子供たちのメカニックへの憧れが減ったということもそうですが、(もちろん例外があるのは承知の上で)ロボットアニメの多くが難解になっていったからだと思います。
主人公たちがロボットに乗る意味は何か?ロボットの持つ存在意義とは?登場人物の思惑の交錯!やたら出てくる横文字の機体や現象・設定の名称!…数年のうちに何作かこういうのが出てくるのなら別にいのですが、どれもこれもこんな感じの作風になってくると、さすがにお腹がいっぱいになってくるし、新規の人はとっつきにくくなります。
私も今でこそロボットアニメを勉強し始めていますが、以前のそれに対するイメージは「難解で説明臭いもの」というものでした。上述のようなことが複雑に絡み合うのは面白いのですが、要素が過多になると「ちょっともういいっす」って感じになっちゃうんですよね。
そんな最中に、『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』という作品が現れた。確かにロボットアニメだけど、近年あまり無かった、どちらかと言えばリアル系というよりスーパーロボット系のアニメで、変形するのは実在の新幹線という夢たっぷりの設定。ストーリーや登場人物のキャラ立ちはしっかりしているけど、お互いが無駄に足を引っ張ってストーリーをひっかきまわしたりなどの、マイナス的な要素がない。
そう、ここ。ここなんですよ。
『シンカリオン』は人間ドラマを中心に描きつつも、そこに“臭み”がなく、一方でロボットが活躍するパートでは純粋にロボットが戦っている。この徹底したシンプルな構造、そして純粋さこそが、『シンカリオン』のウケた要因だったと私は考えます。
もちろん、難解で重厚なストーリーやハードな作風がダメとは思いません。私だって、そういう作風のもので好きな作品はあります。
しかし、本当にすべての「ロボットアニメ」が、そういう作風にならなければならないのでしょうか。「そうあるべきだ」と考えるのであれば、それはロボットアニメファンの固定観念の押し付けではないでしょうか。ロボットアニメに限らず、全ての作品は、もっと自由な発想をしてもいいのではないでしょうか。
もし『シンカリオン』が上述のような作風だったら、この作品がここまで支持を受けることはなかったでしょう。前作『ドライブヘッド』もそうでしたが、これらの作品があくまでも順当に、そして純粋に「ロボットと人間が活躍するロボットアニメ」だったからこそ、これだけの人気を勝ち得たのです。
『シンカリオン』は、忘れられかけていたロボットアニメの別の形を呼び覚ましてくれた作品だ―。私は本気でそう思います。
平成末期に現れた、ロボットアニメの復権者:『シンカリオン』。テレビシリーズ自体は映画公開を持って完結しましたが、まだまだ商業展開自体は継続するので、今後もしかすると続編が作られることもある…のかもしれませんね。
令和の時代も、おそらく子供向けロボットアニメは作られることでしょう。それがどんな進化を遂げていくのか―楽しみですね。
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