今回は、『新機動戦記ガンダムW』の感想記事第13回目です。
ウイングガンダムゼロVSガンダムエピオン!そして、新たなる勢力:ホワイトファングとは!?第3クールラストとなる今回ご紹介の3話で、最も注目すべきは、やはりウイングガンダムゼロとガンダムエピオンの激突。単なる物語後半の最強機どうしのぶつかり合いではなく、かなりひねりが入れられているのが、面白く感じました。そして、過激な第3勢力と言えるホワイトファングの登場も見逃せないところ。物語はリリーナの願いに反し、どんどん新たな火種が投下され、戦闘が拡大していきます。
なお、前回(第34~36話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
第37話「ゼロVSエピオン」
1995年12月22日放送
登場した敵他:ウイングガンダムゼロ、ガンダムエピオン、ビルゴ、リーオー、トーラス
「では、この戦いに何の意味がある?…どんな意味があるというのだ!?」
STORY:ウイングガンダムゼロでサンクキングダムに駆け付けたゼクスだったが、既に国そのものは崩壊、そこにいるのは、孤軍奮闘を続けるヒイロ/ガンダムエピオンだけだった。お互いを視認した両者は、機体に導かれるように戦いあうが、やがて機体に翻弄されていたことに気づき、危機を脱した。しかしその一方で、地球圏ではリリーナがデルマイユ公爵の要望を受けてロームフェラ財団のトップとなる苦渋の決断をし、宇宙ではコロニー革命同志「ホワイトファング」が、月面基地の制圧を敢行。五飛/アルトロンガンダムの介入もあり、それに成功してしまう。人類は今、新たなる戦いの火種に直面しようとしていたのだ。
ウイングガンダムゼロとガンダムエピオンの決闘!その周囲で繰り広げられる大きな歴史のうねりとは?今回は、サブタイトル通りウイングガンダムゼロとガンダムエピオンの決闘が描かれるお話。ヒイロとゼクスは最初こそぶつかり合うものの、その誤解も解け、いよいよヒイロが前者に、ゼクスが後者に搭乗する形になります。しかしその一方で、地球圏や宇宙では、それぞれ大きな動きがあり、さらにそれらが新たな戦いの火種を生む予感。それぞれの登場人物たちが、良かれと思って行動しているのが、また厄介なんだよね…。
前回、リリーナの宣言を受信したゼクスは、全速力でサンクキングダムへ向かいますが、既に国は崩壊しリリーナの身柄は財団に引き渡された後。現地に残っているのは、ヒイロのガンダムエピオンと、それと戦うモビルドール・ビルゴ部隊のみでした。戦いの中でウイングガンダムゼロを視認したヒイロは、ガンダムエピオンに導かれるように戦い始め、ゼクスもまたガンダムエピオンと戦闘を開始。機体がボロボロになるまで戦いますが、やがて共振するかのような反応が生まれ、両者機体に操られるようにぶつかり合っていたことを自覚するのでした。序盤から、サブタイトルを回収するかのように、ウイングガンダムゼロとガンダムエピオンの戦闘が描写。「この戦いに意味はあるのか?」という疑問は、割と早い段階でゼクス側が気づくのですが、ヒイロはそれでもウイングガンダムゼロに挑んで来るほか、ウイングガンダムゼロもそんなヒイロ/ガンダムエピオンの気迫に影響を受けたのか、ゼクスの精神に作用し始め、両者引くことが出来ない戦闘へと突入していきます。ストーリー展開的にもあまり意味のない両者の対決(絵面という意味では、これほど見ごたえのあるものはないですが)を、両機体のの暴走の設定を利用して長引かせているのは、上手いなという印象を受けました。そんな両者の対決は、ボロボロになった末、共振現象のようなものが起きたことで、強制停止。ヒイロとゼクスも正気を取り戻します。似た者どうしのシステムだからか、不思議な現象を起こしたゼロシステムとエピオン。これは一体、何を意味するのか―?
財団本部へと連れてこられたリリーナは、彼女の予想とは真逆の、丁重な扱いを受けることに。そこには、財団のトップに彼女を据えて、財団の権力と地位を確固たるものにしたいという、デルマイユ公爵の意図がありました。公爵の意図を感じ取りつつも、自分がモタモタしている間に戦闘が長引いてしまうという事実を重く見たリリーナは、自身が財団のトップになるという、苦渋の決断をします。Aパート後半とBパート終盤では、リリーナの様子が描写。デルマイユ公爵の提案は、明らかにリリーナを象徴として利用してやろうという企みがまるわかりなのですが(リリーナもそれに気づいている)、自分が原因でサンクキングダムでの戦いが長引いていることに気づいた彼女は、やむを得ずデルマイユ公爵の提案を受け入れることにします。リリーナの選択は、最終的にはストーリー展開として十分アリだと思いますが、これをやるならば、リリーナの葛藤や苦しみを、もっと描いてほしかたかったなぁという印象。リリーナが、サンクキングダムの惨状をダイレクトに痛感する描写があれば、もっとリリーナの決断が「やむを得ない苦渋のものだった」という印象を視聴者に訴えかけることができたことでしょう。
デルマイユ公爵より指示されていた、財団とOZの象徴になり得る宇宙戦艦:リーブラの完成も目前。ひと仕事終えて月面基地に戻ろうとしていたツバロフ特佐でしたが、直後部下の兵士たちの襲撃を受け、拘束されてしまいます。すべては、宇宙のOZの中にいたトレーズ派の一部が結成した、コロニー革命を目指す組織「ホワイトファング」の仕業でした。そのトップであり創設者であるカーンズは、コロニー革命の理想を各コロニーに向けて発信しますが、デュオはそれを冷ややかな目で見ていました。ウイングガンダムゼロの脅威があるものの、比較的財団とOZの支配が安定していた宇宙/コロニー側。ツバロフ特佐もそこにかまけて、君主制の利点をフル活用してリーブラの開発に注力していましたが、彼が月面基地に戻ろうとした瞬間、ホワイトファングの蜂起が始まります。宇宙のOZの中にも、トレーズ派が潜伏していたようですが、その中でも過激な連中は、カーンズのもとに結集してコロニー革命を目指す集団を結成。それこそがホワイトファングであり、今回より急速に『W』の中で存在感を強めていく形になります。ホワイトファングのOZ内部への入り込みようは相当なもので、一般兵だけでなく、ツバロフ特佐の右腕レベルの兵士(士官)までその一員になっており、これがリーブラの制圧と月面基地への侵攻を実現します。OZが一枚岩ではないことは、以前どころか『W』序盤から描かれていたけど、ここまでくるともうガタガタだな…。
月面基地にて、ホワイトファングの兵士から脱出したツバロフ特佐は、密かに用意していたモビルドール・ビルゴ部隊を起動。月面基地の制圧にあたっていた、ホワイトファングのリーオーやトーラスを攻撃し始めたことで、大規模戦闘が勃発します。劣勢に立たされるホワイトファングでしたが。ここで五飛のアルトロンガンダムが登場し、ホワイトファングのモビルスーツごとビルゴ隊を次々に撃破。ツバロフ特佐も、その攻撃に巻き込まれたことで死亡し、結果的にホワイトファングは、月面基地とリーブラ両方の制圧に成功するのでした。ツバロフ特佐も、ホワイトファングにただ拘束されているようなタマではなく、警備兵を突破して、非常用に用意していたコンピュータールームへ移動。モビルドール・ビルゴ部隊を出撃させ、可能な限りの抵抗を試みます。ここらへんの流れは、ホワイトファングの動きがお粗末。月面基地含めて本来ツバロフ特佐ひいてはOZのものなんだから、こうした隠し玉を持っていることなんか、容易に想像できたはずなんですよね。しかも、その後のビルゴ部隊には押されっぱなしで、全然戦果も挙げられてなかったし…。そんな、グダグダなホワイトファングを、結果的に手助けすることになったのが、五飛のアルトロンガンダム。彼は、「自分の正義を貫き、その前に立ちはだかる者こそ敵」という認識を確固たるものにしており、OZだろうがホワイトファングだろうが、見境なく攻撃(この時点で、五飛はホワイトファングの存在を知らない可能性もあるので、仕方ない行動でもありますが)。ツバロフ特佐もこの攻撃の中に巻き込まれたことで死亡し、五飛の行動はホワイトファングに資することになりました。相応の犠牲が出たものの、一気にリーブラと月面基地2つの制圧に成功してしまった、ホワイトファング。この手の危険な組織が、大きな力を一気に持つと、ろくなことにならないんだよなぁ。ホワイトファング、『W』の終盤まで、物語に介入してきそうですね。
第38話「女王(クイーン)リリーナ誕生」
1996年1月12日放送
登場した敵他:トーラス、リーオー
「君(トロワ)は、僕(カトル)を…僕の心を救ってくれた。だから今度は、僕が皆を守るよ。ガンダムは、そのために作られたんだよね。」
STORY:ホワイトファングの蜂起は、宇宙全体に混乱を引き起こし、新たなる戦いを呼んだ。しかしそんな中でも、ノインやカトルは、サンクキングダムの完全平和主義の維持、そして真の平和の実現のため、戦いの中に飛び込み、五飛やデュオといったガンダムパイロットたちと接触する。結果的には彼らを仲間にすることはできなかったが、カトルはデュオの情報をもとにトロワと再会した。トロワ本人は記憶を失っており、さらにキャスリンの猛烈な抵抗に遭い、ショックを受けるカトル。しかし、そのコロニー近くで戦闘が勃発した時、彼はすべてを守るために戦うことを決意する。同じ頃、地球ではリリーナの女王への即位式が行われていた…。
サブタイトルを見ると、リリーナが主役となりそうな感じですが、実際は宇宙に上がったカトルとノインが主役のお話。同じ平和を願いつつも、細かい点で考え方の相違があるためすれ違っていくガンダムパイロットたち、トロワの状態に悲しみを覚えつつも、全てを守ると強い決意をして戦いに身を投じるカトルなど、印象に残るシーンが多くあり、面白い一編に仕上がっていました。今回のおかげでトロワは記憶を取り戻したようにも見えたけど、どうやら次回予告によると、まだそれは実現できていないらしい。彼が戦場に戻ると決意したのは、カトルの姿に胸を打たれたから…なのかな。
ホワイトファングの蜂起以降、宇宙各地で戦闘が勃発。あちこちでそれとOZの戦闘が繰り広げられており、宇宙は混乱の様相を呈していました。その中でも、自分の正義を貫こうとする五飛は、アルトロンガンダムで孤独な戦いを継続。そんな彼を発見したノインは、自らトーラスで近づき、平和のために共闘することを申し出ますが、五飛がそれを承諾することはありませんでした。前回、宇宙へ上がる決断をしたノインとカトル。今回はそんな彼女らの様子が描かれることになり、序盤ではまずノイン側の様子が挿入され、五飛との接触が描写されました。引き続き、ホワイトファングの存在も良しとせず、OZもろとも攻撃を加える五飛。彼なりに自分の正義を貫こうとしている様子が窺えますが、その中には彼の迷いも感じられるような気がします。アルトロンガンダムの異常なまでの攻撃も、その表れでしょうね。故郷を、そして師を失い、まさに頼れるのは自分だけとなった五飛。「正義を貫く」その先に彼は何を見据えているのか、気になるところです。そんな彼を、自分たちの仲間にしようとしたノインですが、これには失敗。ですがお互い、以前出会ったときのような対立やわだかまりは、氷解していました。五飛に「サンクキングダムの精神をともに守りたい」と持ちかけるも、「女の考えそうなことだ」と一蹴されるノイン。なるほど、五飛の言うこともわからんでもない…。
ノインと同じく宇宙に戻っていたカトルは、ウィナー家の資源衛星の開発広告で、モビルスーツのパイロット募集を開始。それに食いつきやってきたのは、デュオでした。彼との再会を喜んだカトルは、今までのこと、そしてサンクキングダムの完全平和主義のことを嬉々として語りますが、宇宙の未来や平和について、まだ疑問をぬぐい切れないデュオは、カトルとは行動を別にする選択に出ます。しかしそれは決別ではなく、また代わりにトロワに関する情報を提供するのでした。Aパート後半以降での主役は、カトル。宇宙に上がった彼がまず接触できたのは、デュオでした。「ガンダムパイロットなら食いつくだろう」と意図したのかどうかは不明ですが、カラのコロニー開発のためのモビルスーツパイロット募集広告を出し、デュオと再会したカトル。2人は以前から対立等が無いので、割とすんなり共闘することになるのかなと思われましたが、意外にもこれは、デュオからの申し出によりご破産となります。デュオ曰く、ホワイトファングの台頭により、宇宙でも戦禍がそこら中に拡大したため、自分の信じていた平和や未来が信じられなくなったからとのこと。確かに、コロニーが平和を望んでいると思って、自分が負の側面全てを背負って戦う覚悟で今まで活動してきたのに、そのコロニーが(最終的には平和を目指しているとはいえ)自分たちから戦いに介入してくるだなんて、デュオにとってはショックでしょうね。
デュオ「俺は、信じられなくなっちまってるのかもしれない。俺たちが夢見ていた未来を。平和なんかしょせん、実現しない夢じゃないかってね。」
デュオの情報を頼りに、とあるコロニーで巡業に来ていたサーカス団に接触。ライオンに餌付けするトロワを発見し、その再会を心から喜びます。しかし、トロワ本人が記憶を失っていること、さらにキャスリンからの猛烈な抵抗に遭い、大きなショックを受けます。そんな中、このコロニー付近で戦闘が勃発。トロワの状況も踏まえ、「全てを守る」と誓ったカトルは、ガンダムサンドロックで奮戦します。その姿を見た、トロワは―。Bパートの大半を使用して、カトルとトロワの再会を描写。以前のデュオと同じく、キャスリンからの激しい非難と抵抗に遭いますが、責任を感じているカトルは、それに大きく反抗することはありませんでした。ここでは、カトルの立場が弱いので(トロワの記憶喪失の直接の原因を作り出したのも彼だし)、何も言えなくなってしまうのは仕方のないこと。ですが、キャスリン側の論理もかなり強引だったので、個人的には、無理をしてでも多少カトルに反論してもらいたかったかなぁ。このような中で、ホワイトファングとOZによる戦闘が、付近で勃発。戦えないトロワたちを守るため、カトルは1人ガンダムサンドロックで出撃。そのさまを見たトロワは、ある決意をします。ガンダムサンドロックの、獅子奮迅の活躍、そしてカトルの強い決意。それに胸を打たれたトロワは、記憶が戻っていないながらも「自分は戦う力を持っている」ということを確信し、自ら戦場に赴きます。キャスリンの涙を拭って、1人静かに歩き始めるトロワの姿は、超カッコいい。のちに後期OPとして使用される「」も(今回が劇中使用2回目)も、いい味を出しています。
地球では、ロームフェラ財団の本部で、リリーナがクイーン・リリーナとして女王に即位。それにかかる演説が行われ、そのさまは地球・宇宙各地に中継されていました。正しい判断とは考えていないけれども、人類の平和のために全力で行動するリリーナ。この演説のさまを見ていたトレーズは、財団の思惑に気づいていただけでなく、ある可能性を見据えていました。最後の最後で、サブタイトルにもなっているリリーナの即位のさまが描写。彼女なりに世界平和を願っての行動でしたが、それが正しいのかどうか自分でも迷っているからか、その言葉にはどこか力がなく、そして絵空事のような途方もないことを語るような、フワフワした感じになっていました。こんなに戦闘が各地で勃発してるのに、「地球統一による1つの国家の設立」なんて、どだいムリな話だって、誰でも想像つくよねぇ。そして、この演説は世界や宇宙に中継されていたため、ヒイロやトレーズも視聴。トレーズはこのさまを観て、1つの可能性を見据えます。彼が感じた可能性は、リリーナ支持者が増えることで、財団内旧体制であるデルマイユ公爵への支持が失われ、財団は実質リリーナのものになるのではないかということ。なるほど、この可能性は確かにありえますね。でも、もし本当にそうなったら、世界はようやく平和をつかむ…とは、ならないんだろうなぁ。
第39話「トロワ戦場へ帰る」
1996年1月19日放送
登場した敵他:ビルゴⅡ、リーオー、トーラス
「優しすぎるんだよ…あんたたちは」「だから…生きられるんだ!」
STORY:ロームフェラ財団内で、リリーナが着実にその勢力を伸ばし続けていた頃。宇宙で勢力を伸ばすホワイトファングは、地球への反抗の象徴としてガンダムを求め、ゼクスやデュオと接触を開始。しかし、デュオはそれを真っ向から断り、独自の戦いを続けることを変えなかった。一方、ガンダムサンドロックの調整等のために、ウィナー家の資源衛星に向かっていたカトル・トロワ・ノインは、途中無差別に攻撃を仕掛けるOZの一個小隊と遭遇。トロワがトーラスで先陣を切る形で戦闘に突入するが、相手の数の前に苦戦を強いられる。カトルの決死の攻撃もむなしく、戦局を打開できない中、現れた頼もしい味方の正体は…!
前々回より登場し、その勢力を伸ばすホワイトファング。今回は、ガンダムパイロットの一部が彼らと明確に道を別にするさまが描かれたほか、トロワが久しぶりに戦線に復帰するさまが描かれました。サブタイトル的にはトロワが主役のように思えますが、実際、劇中で最も長く活躍し、そして見せ場がたくさんあったのはデュオ。普段はおちゃらけた態度の裏に隠された彼の強い決意、そして終盤にドドンと登場するガンダムデスサイズヘルは、観る者のハートをアツくさせてくれました。本当、終盤のガンダムデスサイズヘルの登場はカッコよすぎるよ。あんなのズルいや!
リリーナをトップに据えたことで、世界の潮流は再び変わり、財団を中心とした世界国家の樹立へと向かっていた地球。密かに地球に帰還していたゼクス/ミリアルドは、それをむなしく思っていました。そんな中、カーンズ率いるホワイトファングの一部が、密かに接近。地球への、そして財団への反抗のため、自分たちに協力するよう持ち掛けてきます。「そんなものに興味はない」と一蹴するゼクスでしたが、その内心には迷いがありました。ホワイトファングは、既に着実に宇宙への影響力を拡大しており、それと同時に組織も巨大化。カーンズは、組織の統制のため、そして自分たちの行動そのものに対する象徴として“ガンダム”を求め、各所に散らばるガンダムパイロットへコンタクトを取り始めていました。このあと、デュオのシーンで彼がセリフで明確に触れることになりますが、ホワイトファングは目的こそ違えど、組織体制ややっていることは、財団やOZと全く同じ。最初に接触されたゼクスも、その匂いを感じ取り、一度はその話を断りますが、心の中ではずっと迷い続けていました。ヒイロらオペレーションメテオのガンダムパイロットたちと、ゼクスの大きな違いの1つが、「心のよりどころ」。ヒイロたちは宇宙のためにすべてを背負って戦うという覚悟があり、これまでの苦境を乗り越えてきた一方、ゼクスは今まで祖国復興を目的としており、リリーナが財団側に回ったことで、自分の心のよりどころを失っていました。ゼクスはなんだかんだで、今までも組織や個人とつながっており、常に誰かと一緒にいたんですよね。初めて孤独な戦いを覚悟しなければならなかったときにやってきた、ホワイトファングの勧誘―。ゼクスはおそらく、ホワイトファングの思想が正しいとは思わなくとも、こちら側に属してしまう感じかな。
財団内でリリーナが着実にその影響力を増し、デルマイユ公爵を引きずり落そうとするエリッジ公爵らの勢力も現れていた頃。ホワイトファングの別動隊は、あるコロニーに潜伏するデュオに接触。ゼクスと同じく仲間になるよう持ち掛けますが、デュオがそれを良しとするはずがありませんでした。力をちらつかせて脅迫をはかるホワイトファングに対し、デュオは堂々と真っ向から反抗。それは同時に、自身がホワイトファングから狙われる身となることを悟っていた彼は、ヒルデを、そしてこのコロニーを守るため、彼女に一時的な別れを告げ、宇宙へと飛び立つのでした。前回のトレーズの見立て通り、リリーナの影響力が増したことで、デルマイユ公爵を降ろそうとする勢力が出現。エリッジ公爵がその先駆者でしたが、そのバックにはなんとドロシーがいました。デルマイユ公爵の反論にすぐ引き下がってしまった時は、「あれ? そんなのであきらめちゃうの?」と思ってしまったエリッジ公爵でしたが、ドロシーという強力な協力者がいることから、水面下でまた別の工作を開始。財団内に、再び不穏な空気が流れ始めます。自分の理想のために、親族であるデルマイユ公爵を追い落とそうとするドロシーもなかなかのもの。そこまでして彼女が求めるものって、結局何なんだろう?一方宇宙では、ホワイトファングが今度はデュオと接触。当然ながら、彼らの誘いにデュオが乗るはずがなく、ヒルデらを守り、自分の戦いを続けるため、コロニーを離れることを決意します。“死神”の異名と強い覚悟を持つデュオに、ホワイトファングの勧誘など無意味。ここでバッサリはねのける彼のさまは、カッコよかったですね。そして、ヒルデを思い、自ら孤独な戦いに再び身を投じるさまも―。
宇宙での戦いを切り抜け、ガンダムサンドロックの修理・調整のため、ウィナー家の資源衛星へと向かっていたカトルたち。途中、戦闘終了直後の宙域を抜けようとした際、そこに残っていたOZの一個小隊が、識別信号も確認せずに攻撃を仕掛け、戦闘が勃発します。記憶がないものの、パイロットとしての腕は鈍っていないトロワでしたが、さすがに大多数相手にトーラス1機では厳しい状況。カトルもノインも、それぞれガンダムサンドロックとトーラスで応戦しますが、数があまりにも違いすぎることから、劣勢に立たされます。Bパートより、カトルたちが登場し、そのさまが描写。完全にとばっちりを食らう形で戦闘に巻き込まれ、ギリギリのところまで追いつめられてしまいます。不要な戦いを始めるきっかけを作った、OZの一個小隊。ホワイトファングとの戦闘直後で、気が立っていたのはわかるけど、信号くらい確認すればよかったのに…。しかも、彼らの勘違いに次ぐ勘違いの末、「ガンダムがホワイトファング側についた」と財団とOZ内で認識されたら、ますます厄介だなぁ。そんなOZの一個小隊に対し、真っ先に戦いを挑んだのがトロワ。記憶は全然回復していない状態でしたが、身体はモビルスーツの操縦方法を覚えており、記憶喪失となってからは初めて乗るトーラスを、難なく乗りこなして応戦します。彼がトーラスを駆るシーンでは、ところどころガンダムヘビーアームズを想起させるような戦いをしているのが注目ポイント。そのおかげで、あっという間にビームライフルが玉切れ起こしちゃったけど、なんだか「ああ、トロワが戻ってきたな」という感じがして、ちょっと嬉しかったです。
一か八か、シャトルの自爆を利用して、ピンチのトロワのもとに駆け付ける選択をしたカトル。この作戦は成功しますが、それでも、トーラスの軍勢をすべて排除することはかないません。万事休すといった状況の中、突然宇宙の闇の中から現れたのは、ガンダムデスサイズヘル。デュオの乗るそれは、獅子奮迅の活躍を見せ、これに刺激されたカトルも負けじと活躍。こうしてOZの一個小隊は全滅し、デュオは、カトルやトロワと行動を共にすることを決意します。カトルのガンダムサンドロックは、先の戦いで損傷していることもあり、本調子ではない状態。そのため思うような動きができず、さらなるピンチを招きます。そんな彼、そしてトロワたちを救ったのが、ガンダムデスサイズヘルでした。終盤のガンダムデスサイズヘルの登場シーンは、宇宙の暗闇から突然シルエットがぬっとあらわれ、緑の両目が輝いた瞬間に攻勢に出るという、カッコよさMAXの描写に。いや~、これはシビれましたね。後期OPとして使用予定の「RHYTHM EMOTION」をBGMに、縦横無尽に活躍しまくるさまで、さらに惚れ惚れしちゃいました。そして、今回の戦いを通して、デュオ・トロワ・カトルが一堂に会する形になり、3人は行動を共にすることを決意。段々と、ガンダムパイロットたちも結集してきましたね。
地球にてようやくウイングガンダムゼロの調整を終えたヒイロは、宇宙解放のためには財団を倒すことが先決であるという考えを崩しておらず、そのまま財団本部方面へと直行。指導者を暗殺し、その組織体制を破壊することを企てます。暗殺すべき対象は、そう―リリーナだ―!
今回はここまで。次回は、第40話から第42話をご紹介予定です。『新機動戦記ガンダムW』。トレーズによって、クイーンリリーナは財団代表の座から追われてしまった。その頃、宇宙では覇権を巡る戦いの火蓋が遂に切って落とされる―。
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☆ガンプラ Pick Up!
『ガンダムW』に登場したモビルスーツのガンプラの一部を、ピックアップしてみよう!
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