お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』ちょっとした感想 Conflict-1(第1~3話)

f:id:bongore_asterisk:20220211091719j:plain

今回は、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の感想記事第1回目です。

 

0080』に続く、シリーズ2作目のOVAとなる本作。ガンダム』と『Ζ』をつなぐという着眼点、そして同時に地球連邦軍の一兵士であるコウ・ウラキの成長にスポットを当てた作劇というのが、なかなか面白いと感じる作品です。デラーズ・フリートの思いはわからなくもないし、地球連邦軍の上層部が腐り始めていることから、単純に彼らを善とすることもできないけど…、やっぱり、ジオン公国軍は「ガンダムシリーズ」の世界では“悪者”の立ち位置だよなぁ。

 

なお、キャラクターとモビルスーツについては、↓下記公式HPをご参照ください。

www.gundam0083.net

 

また、前作(機動戦士ガンダムF91)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

第1話「ガンダム強奪」

1991年5月23日発売
登場した敵他:ガンダム試作2号機、ザメル、ザクⅡF2型、ドム・トローペン、リック・ドム、ガトー専用ゲルググ、戦艦グワジン潜水艇ユーコン

f:id:bongore_asterisk:20220211091710j:plain

「この機体と核弾頭はいただいていく。ジオン再興のために!」


STORY:ジオン公国との一年戦争から、4年。平和を取り戻した地球ではあったが、ガンダムタイプのモビルスーツの開発は続けられていた。地球連邦軍・オーストラリア地域のトリトン基地所属のコウ・ウラキは、着陸してきた戦艦アルビオンに、同僚のチャック・キースとともに潜入。そこで彼らは、2機の新たなるガンダムを見た。そして、操縦テストを控えたその前夜、トリトン基地は何者かの襲撃を受ける。首謀者の名は、アナベル・ガトージオン公国軍の生き残りだった…!


ガンダムシリーズ」2本目のOVAとなった『0083』。前作『0080』とは打って変わって、戦闘中心のドラマ展開となり、今回だけでも、今までのTVシリーズのクライマックス回並みの描写が、長時間にわたり挿入されていました。それと同時に印象に残ったのが、地球連邦軍のあまりのザルさと抜けっぷり。ガトーによるガンダム試作2号機の強奪を許してしまいます。数年前まで熾烈な戦争を繰り広げたのに、どうしてここまで腑抜けになってしまったんだ…。


一年戦争末期。ア・バオア・クー地球連邦軍と戦っていたガトーは、上官であるエギーユ・デラーズからギレンの死を知らされ、また彼の指示により戦線を離脱。そのまま戦争終結とともに行方をくらましていました。それから時は過ぎて、4年後。コウらトリトン基地所属のパイロット候補生たちは、今日もサウス・バニング大尉のもと、訓練に励んでいました。時同じくして、ニナ・パープルトンの乗る戦艦アルビオンが、トリトン基地へと向かっていて―。冒頭に描かれるのは、一年戦争末期のア・バオア・クーでの出来事。『ガンダム』の時は、元からちょっと劣勢でギレンが死んだことで指揮系統がメチャメチャになったジオン軍が割とあっさり描かれていましたが、その中にいたガトーが経験していたことから、『0083』のドラマは始まります。彼の上官だったデラーズは、ギレンが死んだと知るやすぐさま撤退を決断。ガトーも不本意ながらそれに従い、これにより生き延びるのでした。あまりにも早すぎる、デラーズの決断。まあ、彼の発言から察するに彼はギレン派のようだし、キシリアが謀殺したことにも気づいていたから、「今のジオンじゃもうダメだ」と直感したのでしょうね。でもさ、ギレンもギレンで父デギンを暗殺してたし、仮に彼が死なずにそのままついて行っても、デラーズが思い描いていたようなジオン公国は実現しなかったような気がするなぁ。そんな一年戦争も終わり、早4年。地球連邦軍は依然としてモビルスーツ開発を続けており、トリトン基地のコウ含む複数の若きパイロットたちが、未来のモビルスーツ乗りを目指して奮闘していました。コウたちの訓練シーンでは、パワード・ジム(エースとされているディック・アレンのみ)とザクⅡF2型が登場。この時期から、地球連邦軍ジオン公国軍モビルスーツを活用していたんですね。そしてこれが、『Ζ』のハイザックにつながると…。


戦艦アルビオンの着陸を目の当たりにし、興味本位でキースとともにそれに乗り込んだコウ。ニナやモーラ・バシットから大目玉を食らいながらも、2人はそこでガンダム試作1号機と同2号機を目撃します。誰がテストパイロットになるのか皆が気になる中、トリトン基地はいつもと変わらぬ夜を迎えようとしていました。初めてコウとキースが戦艦アルビオンに乗り込むシーンでは、2人の性格の違いがしっかりと描写。本当にメカニックマニアで、ガンダム試作1・2号機の構造に興味津々なコウに対し、機械に対してほとんど興味のないキースは、それよりもニナへのナンパにご執心でした。割と典型的な「主人公のそばにいがちな、茶々を入れるタイプのレギュラーキャラ」をしているキースですが、なぜか鼻についたり、鬱陶しさを感じない印象。なんか全体的に無邪気で、悪い感じがしないんですよね。このままずっと、コウのよき同僚としていてほしいなぁ。そんな彼らを叱り、カフェテリアで夕食をとるニナでしたが、悩みの種はまだ決まっていないガンダムのテストパイロットのこと。バニング大尉以下のテストパイロットにいまいちピンとこない彼女でしたが、偶然再会したコウの発言に、何か違うものを感じ取るのでした。コウはわずかな時間しか戦艦アルビオンの中にいなかったはずなのに、ガンダム試作1・2号機それぞれのコンセプトや兵装などを正確に認識。ニナを驚かせます。こうした才能も、まさかニュータイプ?…いや、やっぱりコウがただオタク気質なだけかな?


日没直前より、ガトーは「星の屑作戦」を開始。自身は内通者であるオービルを使い、いとも簡単に基地内に侵入してしまいます。そしてそのまま、ガトーは戦艦アルビオンの中へ。そこでは、整備に当たるニナとモーラ、そして懲りずに機体の見学に来たコウとキースがいましたが、彼らにかまうことなくガトーは堂々と2号機に搭乗。そしてそのままアルビオンの隔壁を破壊し、艦の外へと出てしまうのでした。ガトーが立てた「星の屑作戦」の一段階目は、ガンダムの強奪計画のこと。オービルから一連の情報を得た彼は、まず自身が先行して基地内に侵入してガンダムを強奪し、近くの島に待機させている自分の部下たちに支援攻撃をさせながら基地を脱出するというものでした。文章に起こしてみてもわかる通り、ガトーが立てている作戦は、ハッキリ言ってそこまで巧妙でもなければ、彼じゃないと絶対に遂行できないという感じでもない作戦。そんな彼の作戦を成功に導いてしまったのが、地球連邦軍の警備のあまりのザルさでした。オービルは、表向きはニナの下で働くメカマンですが、この日は「夕日が見たい」と言って日没前に外出。帰ってきたのが夜遅くで、しかも見慣れない荷物を積んでいたにもかかわらず、トリトン基地の警備兵は何も疑うことなく彼をそのまま基地内に入れてしまいます。いくらID持ってるからって、そりゃないよ!しかもこの後、ガトーは平然と戦艦アルビオンの中に入ってるし(一応地球連邦軍の制服を着て変装はしている)、きっとその入口も、同じ制服着てるからってだけでサラッと通しちゃったんだろうなぁ。「一年戦争を経て間もないのに、どうしてこんなに腑抜けちゃったんだ」とあきれてしまうと同時に、「この程度の軍隊がガンダムモビルスーツの開発を続けていて、さらに核兵器を載せようとしている」ことに戦慄しましたね。


ガンダムモビルスーツ強奪という前代未聞の事態に、基地内は騒然。そこへ、星の屑作戦により基地内に一気に攻め込んだガトーの部下たちのモビルスーツを前に、地球連邦軍はほとんど手も出せないうちに戦力を消耗していきます。完全勝利でのガンダム試作2号機の強奪を確信したガトーでしたが、その前に彼を止めんとするガンダム試作1号機が登場。中に乗っていたパイロットは…!核兵器を積んだガンダム試作2号機を強奪されたトリトン基地は、当然厳戒態勢に突入。戦艦アルビオンにいたコウとキースを除くテストパイロットたちが、次々に出撃していきますが、ガトー軍の攻撃の前に、どんどんやられていってしまいます。終盤の戦闘シーンでは、モビルスーツ同士の戦闘を丁寧に描写。とくに、ドムとザクⅡ(トリトン基地のテストパイロット用)の戦闘シーンでは、ドムがビームサーベルで斬りつけるさまと、それを受けて切断面が融けてそこから爆発するザクⅡがかなり長く描写されており、敵ながらカッコいい!と感じちゃいました。こうした戦闘の中で、ガンダム試作2号機に乗るガトーは悠々と基地を脱出しようとしますが、そこに立ちふさがったのが、ガンダム試作1号機。パイロットは、ニナの制止を振り切って搭乗したコウでした。偶然現場に居合わせ、なりゆきもあってガンダムに乗ることになったコウ。本当、「ガンダムシリーズ」の主人公って、こういうパターン多いよね。

 

 

 

第2話「終わりなき追撃」

1991年5月23日発売
登場した敵他:ガンダム試作2号機、ザメル、ドム・トローペン、コムサ

f:id:bongore_asterisk:20220211091727j:plain

「戦いは一瞬で決まる!迷いのある方が負けだ。」


STORY:ガトーによるガンダム試作2号機の奪取を許し、さらに彼の部下の攻撃の前に壊滅寸前まで追い込まれたトリトン基地。しかし、コウをはじめとするバニング隊の一部は生き残っており、すぐさまガトーの追撃を開始した。ガトーとの技術の差に打ちひしがれるコウだったが、戦いの中でバニング大尉の言葉が、そして戦局が、彼を成長させる。やがて、犠牲を払いながらも再び相まみえる2機のガンダム試作機!コウは、前回の雪辱を晴らすことができるのか!?


前回、ガトーにしてやられた感じのある地球連邦軍ですが、今回はそんな彼らがガンダム試作2号機奪還を図って奮闘するお話。結果的に奪還は失敗しますが、今回の戦いは、コウをパイロットとして大きく成長させるというプラスの結果を生みました。わずか1話の間でのコウの急成長っぷりには目を瞠りますが、それと同じくらい強烈に印象に残ったのが、バニング大尉の素晴らしい指揮官っぷり。心身ともにコウら部下を支えるのは良いのですが、こういうキャラに限って…途中で死んじゃいそうだよなぁ。


ガトーの攻撃を受けたトリトン基地は、依然戦局を打開できない状況。その最中、基地の司令塔がザメルの砲撃により崩落し、指揮系統が完全にマヒしてしまいます。一方、ガトーのガンダム試作2号機と戦うコウのガンダム試作1号機でしたが、技術面でも戦力面でもその差は歴然。「あまりにも差がついている」との理由でとどめを刺さず去っていくガトーを、ミサイル弾幕の妨害もあり、コウはろくに追うこともできませんでした。前回は対峙するだけだったガンダム試作1号機と2号機の対決が、今回初めて描写。試験を突破しているものの実戦経験なしのコウと、一年戦争での歴戦の猛者であるガトーでは、その結果は勝負をする前から見えており、コウはろくにガンダム試作1号機を操られないままガトーに翻弄され、しかも「あまりにも差がついている」という理由でとどめを刺さずに見逃されるという、屈辱的な経験をします。この戦闘シーンで細かく描写されているのが、初めて実戦を経験するコウの緊張感と一種の恐怖心。歴代ガンダムパイロットの多くが、最初の実戦経験の際そうしたものを感じていましたが、コウもその1人となりました。しかし、一応物語開始時点で既に軍人だったということもあって、完全に戦意喪失せずに自我を保っているのは、さすがと言うべきでしょう。


ガトーたちが撤退し、落ち着きを取り戻したトリトン基地。しかし事態は一刻を争う状況であり、残存戦力が多かったコウ含むバニング隊が、ガトー追撃の任に当たります。そして彼らは、ついにガトーの乗ろうとしているコムサイを発見。一気に攻撃をかけようとしますが、逆にドム・トローペンの襲撃を受けてピンチに陥ります。単独でコムサイの前に出ることになったコウは、ビームガンを乱射して―!多くの犠牲者を出したトリトン基地でしたが、コウの所属するバニング隊の犠牲者は、前回ドム・トローペンで撃破されたザクⅡF2型のラバン・カークスのみで、比較的被害が軽微。そのため、そのままガトー追撃の任に当たることになります。ここで面白いのが、コウがガンダム試作1号機に乗ったのは完全に彼の独断で、下手すれば軍法会議もののはずなのに、誰一人それを制止したり問いただしたりせず、彼を作戦の1ユニットに組み込んでいる点。もしかすると単に描写をすっ飛ばしただけなのかもしれませんが、バニング隊そしてトリトン基地の軍人たちの柔軟さを感じました。その後、バニング隊は見事、ガトーがガンダム試作2号機を載せようとしているコムサイを発見。しかし、そのスキを突かれてアレンのパワード・ジムがドム・トローペンの前に倒されてしまい、キースは錯乱。バニング大尉は無線越しに彼を落ち着けつつ、コウに単独でのコムサイの食い止めを命じます。ここでのキースの錯乱は、割と長い時間を取って描写。コウと同じく初の実戦経験である彼の感じた恐怖が、ハッキリとわかりました。


ガンダム試作1号機の攻撃の前に、コムサイは爆散。ガトーは再び、ガンダム試作1号機と戦うことになります。以前に比べてうまく立ち回るコウでしたが、再びドム・トローペンの妨害を食らって取り逃がしてしまうハメに。仲間を多く失い、そして二度もガトーを取り逃がしたことで動揺するコウやキースを、バニング大尉はしっかりとフォローし、次の戦闘に向けての準備を始めます。ガンダム試作1号機は、ビームガンを乱射することで操縦室を破壊し、コムサイの撃沈に成功。それによりガトーのガンダム試作2号機が現れ、再び戦闘になります。1回目の戦闘からまだ数時間しか経っていない状態ですが、コウはある程度ガンダム試作1号機を動かして、ガトーに対抗することに成功。結果的には彼を取り逃がしてしまいますが、並々ならぬ気迫を感じさせてくれました。精神的に興奮状態にあったとはいえ、ここまで一気に動かせるようになるとは、コウはなかなかのセンスを持ってるなぁ。確かに、このまま成長していけば、ガンダムパイロットに向いてるかも…。そしてこの後、コウはバニング大尉やキースと合流し、再度のガンダム試作2号機奪取作戦を立案。最後の望みをかけて、各機素早く展開していきます。キースはアレンを目の前で失い、コウは二度にわたってガトーを取り逃がしたため、メンタル面はガタガタ状態。しかし、それを厳しくかつ優しくフォローしたのが、バニング大尉でした。見た目も口調もゴツいながらも、言っていることは正論で、ちょくちょく部下をいたわるようなことも言えるバニング大尉は、まさに上司の鑑。前回から「いい人っぽそう」とは思っていましたが、今回でその好感度が一気に上がりましたね。


バニング大尉の読みは的中し、狙ったポイントにガトーたちが出現。コウたちは一気に攻撃を仕掛けます。ドム・トローペンやザメルの攻撃を仲間たちに任せたコウは、三度ガトーのガンダム試作2号機と交戦。駆け付けたニナのアシストにより、撃破寸前まで追い詰めることに成功します。しかし、あと一歩のところで撤退を許してしまうことに。パイロットとして成長を遂げたものの、その代償のあまりの大きさなどの前に、コウは朝日を浴びながら嗚咽するのでした。バニング大尉の予測した、敵機上陸地点に、本当にガトーたちが出現。濃霧で視界が効かない中、バニング隊はこれを利用し、一気に畳みかけることを決意します。終盤での戦闘はかなりアツく、ガンダム試作2号機に斬りかかろうとするガンダム試作1号機、それを守るために出現したザメルとドム・トローペンに立ち向かうバニング大尉のジム(改)とキースのザクⅡF2型と、3つの戦いが描写。当然コウの活躍が一番の中心となるわけですが、それに負けないくらい、バニング大尉たちの戦いもしっかり描かれていました。モビルスーツがほぼ破損した状態で、カメラアイをやられようが腹部をビームサーベルで刺されようが、機体をぎりぎりまで動かして何とか敵を撃破したその姿は、めちゃくちゃカッコよかったですね。他方、コウも3度目となるガトーとの対決で、かなり立ち回ることに成功。ニナのアドバイスもあってガトーを撤退に追い込むことに成功しますが、そこに至るまでに失ったものは、あまりにも多すぎました。今回のラストシーンは、朝日に輝くガンダム試作1号機と、その上に立ち嗚咽するコウの姿。セリフは一切ありませんが、彼の感情の発露がよく感じられるシーンでした。

 

 

 

第3話「出撃アルビオン

1991年6月27日発売
登場した敵他:潜水艇ユーコンジム・カスタム

f:id:bongore_asterisk:20220211091734j:plain

「キース。チャンスはこれしかない…。僕は何としても、2号機を取り戻したいんだ!」


STORY:ガトー襲撃の爪痕が深く残るトリトン基地に帰還したコウを待っていたのは、ガンダム試作1号機を操縦したことによる意外な評価だった。戸惑いとガンダム試作2号機強奪を許した罪悪感に彼がさいなまれる中、バニング大尉の馴染みの兵士たちが応援としてやってくる。彼らの態度と挑発に乗ったコウは、1号機の正式パイロットになるべく、無茶な賭けに出る。連邦軍の元エースパイロット相手に、コウは勝つことができるのか!?


前2回がガトーらとの激しい戦いを描いた分、今回はちょっとひと段落して連邦軍内部のことを描いたお話に。今後戦艦アルビオンに乗船し仲間となるベルナルド・モンシア、アルファ・A・ベイト、チャップ・アデルの3人が登場します。話の展開は、「先輩にいびられる主人公」や「戦いを通じて主人公が自分を認めさせる」といったメジャーなものですが、1つ1つのシーンにコウの思いや感情の静かなる爆発が丁寧に描かれており、視聴者の共感を呼んでいます。


ガトーに痛手を負わせることができたものの、ガンダム試作2号機奪還に失敗したコウらバニング隊。失意の中帰還したコウは、ガンダム試作1号機を無断使用したことに伴う重罰を覚悟していましたが、彼を待っていたのは、予想とは真反対の労いの言葉でした。しかし、そうした言葉を受けても、晴れないコウの表情。やがてキースと合流し彼がバニング大尉のお見舞いに向かっていた頃、連邦軍の増援部隊として、3人のパイロットが基地に降り立とうとしていました。冒頭まず展開されるのは、トリトン基地の惨状。前回もその描写はありましたが、今回は兵士たちに焦点を当てているのが特徴的です。死体が転がっていたり、生き絶え絶えの兵士に仲間がタバコを吸わせたりと、細かで緻密な描写が連続。わずかなシーンでしたが、作画の気合の入り方がハンパなかったですね。そんな状況を、ガンダム試作1号機の中から目の当たりにしていたのがコウ。やがて戦艦アルビオンシナプス艦長から連絡が入り、処分を覚悟していたコウでしたが、投げかけられたのは労いの言葉。コクピットから降りて、今度はキースから励まされますが、彼の表情は一向に晴れることはありませんでした。コウの行動は本来であれば軍法会議ものである一方、ガトーらの襲撃という非常事態であったことを考慮しても、このシーンにおけるシナプス艦長の言葉は、コウのことをかなり信頼しているように感じられます。前回までの戦いを通して、この時点でシナプス艦長は、コウこそがガンダム試作1号機のパイロットに適任であるということを確信していたのでしょうか。


トリトン基地にやってきたモンシアたちは、横柄な態度で整備班たちの反感を買いますが、本人たちは気にしていない様子。ガンダム試作1号機を見物した彼らが次に向かったのは、入院しているバニング大尉のもとでした。ガンダム試作1号機のパイロットは自分たちの誰かになると確信しているモンシアたちを横目に、コウはバニング大尉の指示を受け離脱。遺品整理のためにアレンの部屋に向かいます。そこで彼は、1人静かに悔し涙を流すのでした。モンシア・ベイト・アデルの3人は、他の作品でも出てきそうな「厭味ったらしいけど、仲間にするとそんなに悪くなさそうな先輩たち」というトリオ。調子乗りのモンシア、若干自分の戦果を鼻にかけているベイト、2人とは違い落ち着いた性格をしているアデルと、各キャラの性格とその役割が“鉄板”な感じで、逆に「ガンダムシリーズ」ではちょっと珍しいなと感じました。そんな彼らは(主にモンシア)、ニナにちょっかいを出そうとしたり、病院の中でバニング大尉と大声で話しながらコウたちの嫌味を言ったりとやりたい放題。しかしコウは、それに言い返そうとせず、バニング大尉から指示されたアレンの遺品整理の任に従事。最初こそ静かにこなそうとするコウでしたが、壁に貼られていた写真を見た瞬間、感情がこみ上げてくるのでした。Aパート後半のシーンでは、バニング大尉がコウのことをきちんと評価しているのも見逃せませんが、やはりコウ自身の、ためるにためた感情の爆発が印象的。モンシアからあれこれ言われても、アレンの部屋に行ってもただひたすら我慢していた彼でしたが、アレンと恋人が写った写真を目にした瞬間、涙が止まらなくなります。ここでのコウの思いは、もちろんアレンを救えなかったということもそうですが、その背後にいた彼を思う人のことなども守ることができなかったということへの深い自責の念があったのでしょう。コウってかなり繊細な心の持ち主だよね。あっ、この特徴って…。


基地内の休憩所で、偶然再会したコウたちとモンシアたち。モンシアはあからさまな言葉でコウを挑発し、対するコウは、あくまでも冷静さを保ちながらその挑発に乗るそぶりを見せます。そんな中でニナが持ち込んだのが、先の戦いでコウがたたき出したガンダム試作1号機の戦闘データ。そのことをよく思わなかったモンシアは、あろうことか1対1の勝負をコウに持ち掛けます。コウはそれを、キースの反対を押し切って受諾。そこには、彼の強い思いがありました。バニング大尉がコウを一定の評価をしていたこともあり、なんとなくコウのことが気に入らないモンシア。ナンパしようとしてフラれたニナが、データをもとに彼をガンダム試作1号機のパイロットに推薦するような口ぶりを見せたため、モンシア自身の口から出る嫌味は、どんどん過激になっていきます。Bパート前半では、いかにも典型的な、先輩キャラによる主人公(後輩)へのいびりシーンが展開。たいていこうした状況だと、主人公は黙りこくっているか、感情的に反発するという反応が多いですが、コウの場合は淡々としながらも着実に反論していくスタイル。心の内ではきっとモンシアに対するいら立ちや、ガンダム試作2号機を奪還したいというアツい思いがたぎっているのでしょうが、あくまでもモンシアと話すときは、そうした感情をできるだけ悟られないようにしながら話しているのが、非常に興味深いです。表向きは穏やかで物静かに見えて、実はハートがアツいコウ。最初はそうは思わなかったけど、実はなかなか主人公向きな性格してるんですよね、彼。


コウはガンダム試作1号機で、モンシアはジム・カスタムでそれぞれ出撃。訓練でいつも使用している荒野を舞台に、戦いが始まります。最初は余裕綽々で戦いに臨んでいたモンシアでしたが、ガンダム試作1号機の機動性に圧倒されたうえ、自機の重量や大きさを見誤り、途中からミスを連発。そこをコウに突かれて一気に追い詰められ、勝負はコウの勝利に終わります。この勝手な戦いは、すぐバニング大尉にバレて、彼らは独房で1週間の謹慎を命じられますが、バニング大尉の中には1つの確信が生まれていました。今回の戦闘シーンは、お話の展開の都合上ここのみ。序盤こそモンシアが有利に戦いを進めますが、慢心しきっていたうえに、酒を飲んでいたせいかいろいろと見誤り、結果的にコウのガンダム試作1号機に追いつめられるという失態を犯しています。ここでも描写の中心となるのは、激しいモビルスーツうしの戦闘よりも、その中にいるコウの細かな感情変化。冷静さを保とうとしつつも、戦いの緊張感にのまれそうになって息が荒くなったり、意地を見せてチャンスをつかんだ瞬間一気に攻めこんだりと、彼の感情や考えが、視聴者にもよく伝わってきました。彼が無鉄砲なヤツではなく、ちゃんと自分なりに考え行動できる男だというのはわかるけど、まだガンダム自体の機体の性能に頼り気味な戦闘スタイルなのが、気になるなぁ。このままだとそう遠くないうちに限界を迎えそうだけど、そこで彼のパイロットとしての成長が見られるのでしょうか。そんなコウとモンシアの戦いは、コウの勝利に終わるものの、勝手にモビルスーツを持ち出したという罪は重く、2人とも1週間独房で反省させられることに。しかし、バニング大尉はコウのことをきちんと評価していました。今回のラストシーンは、シナプス艦長とバニング大尉のやり取り。ここでコウの名前等をいっさい出さず、しかもたった一言で、「バニング大尉はコウこそがガンダム試作1号機のパイロットに適任だと考えている」ということを視聴者にハッキリとわからせてくれているのは、とても秀逸な演出だなと感じました。このあたりのドラマの流れは、ぜひ実際に本編を観て体感していただきたいですね。

 

 

 

 

 

今回はここまで。次回は、第4話から第6話をご紹介予定です。『機動戦士ガンダム0083』。若き日の夢を、夜の闇に置き忘れる時。一人の男が、彼(コウ)の前に現れた―。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

ガンプラ Pick Up!

『0083』に登場したモビルスーツガンプラの一部を、ピックアップしてみよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

Twitter Instagramやってます。よろしければ↓閲覧&フォローの方お願いします!

Twitter https://twitter.com/CTF_bongore_A

Instagram https://www.instagram.com/bongore200706/