お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

「見知らぬ乗客」に見る鉄道トリックの妙

今日は、久しぶりに刑事ドラマに関する話題の記事です。


様々な刑事ドラマで使われている、鉄道を使ったトリック。西村京太郎トラベルミステリーの十津川警部なんかは有名ですが、あれらに共通しているのは「実際の鉄道ダイヤ」を使用していること


世界トップクラスのダイヤの正確性を誇る日本だからこそ成り立つ、鉄道ダイヤによるトリック。しかし、その制作当時の鉄道ダイヤを使用しているので、当然ダイヤ改正されたり、列車が廃止されてしまったりすれば成り立たなくなってしまいます


まあそれはそれでいいのですが、刑事ドラマ等の中には、こうした鉄道ダイヤをトリックのタネとして使わずに、鉄道要素をトリックに取り込んでいるお話もあるのです



その例の1つと言えるのが、太陽にほえろ!』第349話「見知らぬ乗客」です。




第349話「見知らぬ乗客」
1979年4月6日放送

「松永はひかり157号には乗っていない。だが、アリバイは完璧だ…。」


STORY:矢追町の路上で、塚本という男性がひき殺された。単なるひき逃げ事件として処理されるはずだったが、彼の妻からの話を聞いた山村刑事(山さん)は、この事件が巧妙に仕組まれた計画殺人ではないかと推測する。やがて、捜査線上に松永という男性が浮かび上がるが、彼には「19時発ひかり157号に乗っていた」による鉄壁のアリバイがあった。次々に裏付けられていく彼のアリバイ。山村刑事は、このアリバイを崩せるのか!?


太陽にほえろ!』では珍しい、鉄道トリックによるアリバイ崩しをテーマにした一編。そのトリックの要素は、「犯行時間前にその列車(ひかり157号)に乗っていたので犯行は不可能」というシンプルなものですが、興味深いのが、そのタネ。こうしたドラマの場合、「臨時列車の〇〇に乗れば犯行時間前に犯行現場に戻ってこれる」だとか「別ルートの××ので列車に乗れば、犯行時間後でも現地に到着できる」だとかが多いですが、今回の場合は「そもそも列車に乗っていなかった」というのがタネになっています


乗っていない列車にあたかも乗っていたかのように、小道具(切符)や車内であったこと(実は犯人自身が第三者を利用し、それを引き起こした)などを証言して、完璧なアリバイを作り上げてみせた犯人。このアリバイ崩しに挑む山村刑事の活躍が、ドラマのメイン展開です


この話の何が興味深いか。もちろんそのトリック自体も面白いですが、それだけでなく、「鉄道ダイヤ」という要素の導入を最小限に抑えて、鉄道トリックを成立させている点と言えるでしょう


当時の実際の鉄道ダイヤなどを活用した謎ときになっているわけではないので、当時の列車事情だとか、あるいは新幹線の駅の駅構造だとか、そうした鉄道知識がなくてもスッと楽しめるお話になっています。


もちろん、細かいところを見れば「これってどうなのよ」と感じるところもありますが、鉄道トリックの導入の仕方が変わっているのが目を惹き、しかもそれをほとんど無理なく成立させているこのお話。これは、鉄道ダイヤを使わないで鉄道をトリック、そしてお話の中に導入するという、鉄道トリックを使ったドラマの新たな可能性を感じさせた一編だといえるのではないでしょうか


まさに発想の勝利だよなぁ。脚本家の中村さんは、どこからこれの着想を得たんだろう…?






「―そう、証拠は何もなかった。しかし、ウソは必ずバレる。殺人犯を…、このまま放ってはおけないんだよ。」








 
 
 
 
 
 
 
 
それではまた次回、お会いしましょう!
 
 
 
 
 
 
 
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