今回は、『勇者エクスカイザー』の感想記事第1回目です
「勇者シリーズ」の元祖にして、最も勇者シリーズらしさを感じる作品である『エクスカイザー』。『マイトガイン』や『ジェイデッカー』に比べると、作風はより子供向けになっていますが、忘れてはならない大切なものを思い出させてくれるようなお話になっています。大人が観ても、十分に楽しめる作品ですね
第1話「ボクんちの車は宇宙人(エイリアン)!?」
1990年2月3日放送
登場した敵他:ホーンガイスト
狙われた宝物:コウタの祖父の形見のカメラ
「きっと、おじいちゃんのカメラが引き合わせてくれたんだ。新しい友だちに!」
STORY:遠足を翌日に控えた少年:星川コウタは、その日の夜、自宅ガレージに謎の青い発光体が侵入するのを目撃。ところが、実際に調べてみても何も出てこなかった。恐竜の模型盗難事件が世間を騒がせる中、コウタたちが向かった恐竜博覧会の会場で、トリケラトプスが突然動き出した!執拗にコウタのカメラを狙うトリケラトプス。コウタがピンチに陥る時、父親の車が駆け付け、ロボットに変形した!彼の名は…、エクスカイザー!!
『エクスカイザー』の第1話にして「勇者シリーズ」の第1話となる今回は、細かい世界観の説明などを極力省略。コウタとその周りの人がどんなキャラであるか、そして彼とエクスカイザーの出会いを描いたお話となりました。随所に低年齢層向けに意識した表現等があり、当時の制作陣が「低年齢層向けアニメを作る」ということをいかに意識していたかがわかります
主人公:星川コウタは小学4年生。遠足を翌日に控えたある日の夜、たまたまトイレに起きた際、謎の青い発光体がガレージに侵入するのを目撃。彼が調べてみても特に変わったところはありませんでしたが、車のコンピュータが静かに動き始めて…?エクスカイザーの敵である宇宙海賊ガイスターの紹介は、冒頭ナレーションのみ。その後ガイスター同士のいくつかのやり取りののち、コウタのシーンへ移行します。直接的には説明されていませんが、ガイスターたちのやり取りにより、彼らが「宇宙を荒らしまわっている悪いヤツ」で「“宝物”を狙っている」ということがわかるようになっている構成が面白いですね。コウタが目撃した青い発光体の正体は、結論から言えばエクスカイザー。彼は星川家のスーパーカーに憑依していました。エクスカイザーの憑依シーンではコウタたちの家族も映りますが、そのスーパーカーの所有者である父:ジンイチは、いかにも中年男性といった風貌。えらくギャップがあるけど、スーパーカーが趣味なのかな?
翌朝。恐竜の模型の連続盗難事件がニュースとなりますが、徳田から遠足の行き先である恐竜博覧会の恐竜の模型は無事と聞き、安心するコウタ。彼はコトミたちとともに会場を見て回りますが、カメラのファインダー越しにトリケラトプスを見た時、目が動くのを目撃します。CMアイキャッチを含む中盤のシーンでは、コウタを取り巻くレギュラーメンバーたちのほぼすべてが総登場。シーンの長さは各キャラごとに違いますが、「このキャラはこういう性格でこういった立ち位置なんだな」ということが明確にわかるような描写になっています。低年齢層向けロボットアニメであることを意識した、意図的な演出でしょうね。トリケラトプスの目は一度動きますが、コウタの「宝物」という言葉に反応して再び大きく動きます。特にガイスター側にセリフ等はありませんが、彼らが地球にある“宝物”を狙っているということが再確認できるシーンになっています。きちっと描写を作りこんでるんだなぁ
会場内を回っていると、いつの間にかトリケラトプスの模型が移動していることに気づいたコウタ。やがてそのトリケラトプスは動き出して、会場を破壊。逃げたものの祖父の形見のカメラを回収しに行ったコウタを執拗に付け回します。コウタがいよいよピンチに陥ったとき、さっそうと現れる1台の車。それは何と、ジンイチのスーパーカーでした。トリケラトプスがいきなり暴れだし、模型の中からオレンジ色のロボットが出現。会場内を荒らしまわります。このコウタとエクスカイザーが出会うまでの直前のシーンは、まるでウルトラシリーズのような展開に。「大事なものを現場に残してしまったため取りに戻る」、「敵に挑もうとするムチャな行動(コウタの場合、写真を撮ろうとすること)」、「その結果敵に狙われピンチに陥る」など、なんだかエクスカイザーが駆け付ける前にコウタがウルトラマンにでも変身してしまうのではないかと思っちゃいました。メインライターがのちに『グリッドマン』にも参加する平野靖士さんだから…というワケではないか
スーパーカーはやがて塗装を変え、ロボットへと変形。負けじとオレンジ色のロボット=ホーンガイストもロボット形態へと変形し、両者戦闘になります。途中コウタをかばったため劣勢になったものの、そのロボットはホーンガイストを撤退させることに成功。ロボットは壊れてしまったコウタのカメラを修復し、「エクスカイザー」と名乗るのでした。エクスカイザーの初戦闘シーンは、のちの勇者シリーズ全般にも通じる、時には変形機構を機敏に使いこなしつつ素早く動いて戦うという戦法を使用。一方で絵柄はまだ80年代後半のロボットアニメチックなところもあり、なんだかちょっぴりレトロさも感じるシーンになっています。戦闘シーンは短いですが、エクスカイザーがかなり動いてくれたのが印象的でした。本編時間の都合もあってか、今回エクスカイザーは自身の正体や敵のことについてはほとんど語らず。それでもコウタは、エクスカイザーを「新しい友だち」と表現してその出会いを喜びます。爽やかな形で終わる今回。子供向けロボットアニメらしい純粋な発想・展開が、今までのリアル指向のロボットアニメとは違うということを印象付けてくれていますね
第2話「リニア・モーターカーを助けて!」
1990年2月10日放送
登場した敵他:ハシダー(ガイスターロボ)
狙われた宝物:リニアモーターカー
「巨大合体!キングエクスカイザー!!」
STORY:今日はリニアモーターカーの出発式の日。コウタの両親と徳田はそれぞれその運転開始式典に招待されていたが、それを知らなかったコウタは、自分がリニアモーターカーに乗れないと知りガッカリ。おまけにフーコも外出してしまう。だが、ガイスターがリニアモーターカーを狙っていると判明し事態は急転。リニアモーターカーがガイスターロボに襲われる!敵を察知したエクスカイザーは、新たな仲間呼ぶ。さあ出動だ、レイカーブラザーズ!
第2話となる今回は、早くもエクスカイザーの仲間であるカイザーズの一員:ブルーレイカーとグリーンレイカーが初登場。彼らが活躍する上に合体形態ウルトラレイカーまで披露し、さらにはエクスカイザーの巨大合体形態であるキングエクスカイザーまで登場するなど、内容てんこ盛りの回となりました。
とある日曜日。エクスカイザーから自身の素性とガイスターの狙いを聞いていたコウタは、突然の徳田の訪問にびっくり。日曜日なのに彼が星川家にやってきたのは、リニアモーターカーの開通式典に招待されていたコウタの両親に同行するためでした。ところがそれを、ガイスターが狙っていて…。やはり「低年齢層向けロボットアニメを作る」ということを意識しているからか、序盤のシーンではお茶目に感じるシーンが連発。ホーンガイストがドラマを見て興奮してサンダーガイストのしっぽを踏みつけまくり、最終的には炎上させてしまい怒らせてしまい大暴れ。一方のコウタの母:ヨーコは、これからリニアモーターカーに乗るというのに仕込みに2時間かかるカレーを作りだしたり、キャリーバックの中に大量の食材を詰め込んだりなどといった行動をします。前者のガイスターたちの行動はまだかわいいと思えますが、後者のヨーコの行動は天然を通り越して「大丈夫か?」とコチラが心配してしまうような不可解さですね。後半でもどこかのんびりというかズレた行動をしていますし、これが彼女の性格なのでしょう。話は前後して、ガレージの中で、コウタはエクスカイザーたちが地球にやってきた理由などを知ります。前回ほとんど明かされていなかったエクスカイザーたちの素性等が判明。ガイスターたち結構お茶目に感じるけど、これでも宇宙各地を荒らしまわってきた宇宙海賊なんだよね…
盛大に催されるリニアモーターカーの出発式。ジンイチたちはリニアモーターカーの旅を楽しみますが、徳田は自分のミスにより乗り損ねてしまうハメに。ところがそこをプテラガイストが急襲し、ニュースを観たコウタたちが現場へ急行します。ジンイチたちのために弁当を買い込んだものの、うっかり落としてしまった10円玉を拾いに戻ってしまったために乗り損ねてしまう徳田。乗り損ねた結果「弁当3つも食べられるかな」って、それはちょっとズレてるんじゃないかな…。ニュースを観たコウタがエクスカイザーとともに出動しますが、ここで興味深いのがエクスカイザーの反応。リニアモーターカーという語句を聞いたときに「リニアモーターカーとは何だ?」と反応してみたり、現場である東京駅に向かう際も、ナビ機能によりマップ自体は表示するものの「どこかわからないからコウタが指示してくれ」とお願いしたりしています。地球に来たばかりで、地球のことをよく知らないからゆえに出てしまったであろう反応。まだ地球に不慣れなことがよくわかる描写です
東京駅からプテラガイストが逃げたことを知ったエクスカイザーは、仲間たちに連絡。自身はリニアモーターカーを追跡します。一方リニアモーターカーを狙うプテラガイストは、リニアモーターカーの通る橋梁をガイスターロボ:ハシダーに変化させます。捕縛されてピンチのリニアモーターカーの前に駆け付けたのは、エクスカイザーとその仲間:レイカーブラザーズでした。ガイスターが今後自分たちの尖兵として放つガイスターロボ、そしてエクスカイザーの仲間であるレイカーブラザーズが相次いて初登場。レイカーブラザーズはそれぞれ100系新幹線や200系新幹線に憑依したカイザーズで、エクスカイザーと同じく自身の意思で変形します。新幹線に憑依しているためか、いつも自由に出動できるというワケではないらしい。まあ、現役新幹線に憑依しちゃってるから、仕方ないっちゃあ仕方ないけどね。ガイスターロボに捕縛されたリニアモーターカーでしたが、乗客のほとんどは混乱しているにもかかわらず、ヨーコはは特に気にもしていない様子。やっぱりこの人、タダ者じゃないぞ…!?
プテラガイストたちを撤退させることに成功したレイカーブラザーズでしたが、一方でエクスカイザーはその大きさの差によりハシダーに苦戦。しかしここでエクスカイザーがキングローダーを召喚してキングエクスカイザーへと巨大合体し、またレイカーブラザーズはウルトラレイカーへと合体して応戦。最後はキングエクスカイザーのサンダーフラッシュで倒され、事件は解決しました。エクスカイザーの強化形態であるキングエクスカイザー、そしてレイカーブラザーズの強化形態であるウルトラレイカーがここで登場。第2話とはいえ、ここまで様々なキャラ・変形形態を盛り込んでくるとは少し意外でした。ただし、キングエクスカイザーの必殺技は観られたもののウルトラレイカーの目立った活躍はあまりなし。ウルトラレイカーの活躍は、今後みられることでしょう。戦闘の末事件を可決し、最後はカレーの鍋をほったらかしにしたことでフーコに叱られるコウタ。こういったオチでの終わり方も、子供向けロボットアニメという感じがしていいですね
第3話「大停電で大こんらん」
1990年2月17日放送
登場した敵他:テットン、グレートテットン、テットラー(すべてガイスターロボ)
狙われた宝物:電気
「最近は機械にばかり頼りすぎて、便利になりすぎてしまっている。たまには停電もいいかもしれんなぁ。」
STORY:日本各地で不可解な停電が頻発。その原因の調査をエクスカイザーより指示されたドリルマックスが見たのは、ガイスターによる電力強奪だった。それを阻止するドリルマックスだったが、ガイスターはやがて電気のもとである原子力発電所をターゲットにし、ガイスターロボを使って原子力発電所の破壊を企む。現場へ急行するカイザーズ。そこには頼もしい仲間も合流していた。行こうぜ、マックスチーム!
カイザーズのメンバーの一団:マックスチーム初登場回となる今回。ガイスターロボが3種類も登場し、さらには原子力発電所爆発のカウントダウンとも戦わなければいけないなど、様々な条件が戦闘に緊迫感を与えてくれています。でも、最後はまさかあんな形で解決するとはなぁ。
普段と何も変わらぬ平日。コウタは小学校で勉強し、ジンイチは新聞社でお仕事中。その最中、突然停電が発生して社会機能がマヒしてしまいます。エクスカイザーより指示を受けたドリルマックスが見つけたその原因は、やはりガイスターの悪だくみにありました。今回ガイスターが狙ったのは電気。確かに電気は人類の生活に欠かせない宝物といってもいいものですが、実体のないものを盗んで(電気に実体がないため蓄電池に貯めるという発想はあるらしい)どうするつもりだったんだろ…。停電により電力供給がストップしてしまったため、コウタの学校のプロジェクターも、ジンイチの新聞社のパソコンもダウン。授業や仕事がままならなくなってしまいます。ここで面白いのが、電気が止まってしまった際の各キャラの反応。真っ暗になった教室においてコウタはカーテンを開けて日光を取り込んでみたり、新幹線として仕事中だったブルーレイカーは、停電になっていることを知り正体を隠すためにわざと急停車したりします。ジンイチの会社のパソコンもダウンしてしまいますが、自家発電により復旧。しかし保存していなかったファイルは当然ながらすべて消えてしまいます。このシーンでは「パソコン」と「ワープロ」という言葉が混同して使用。ああ、この時代はパソコンと同じくらいワープロが主流だったもんなぁ
ガイスターを逃してしまったものの、蓄電池の破壊に成功したドリルマックス。これにより停電の危機は去りますが、ダイノガイストは電気をちまちま盗むのではなく、電気のもと自体を叩くことを指示。これを受けたガイスターが目をつけたのは、原子力発電所でした。ドリルマックスは血気盛んな性格なのか、プテラガイストを目撃した瞬間にガトリングガンで発砲。確かにガイスターは悪ですが、一応カイザーズは警察なんだから、いきなり発砲するのはまずいんじゃないかな。ドリルマックスの活躍で停電は収まりますが、ダイノガイストの指示を受けガイスターは原子力発電所へとターゲットを変更。原子力発電所を破壊すべく、あれこれ策を練り始めます。今回狙われた原子力発電所は、アメリカなどにあるようなタイプの原子力発電所。日本にあるものとデザインを変えたのは、わざとなのでしょう。
徳田からの連絡により、原子力発電所が謎のロボット軍団に襲われていることを知った星川一家。コウタからそれを聞いたエクスカイザーは、コウタを残して出動。同時にレイカーブラザーズやマックスチームにも出動指示を出します。先行したマックスチームはゴッドマックスとなって敵に立ち向かいますが、敵も合体して…。原子力発電所は爆発の危険があるためコウタを連れていけないと判断したエクスカイザーは、ブレス型メカ:カイザーブレスをコウタに渡して、それで通信を取ります。エクスカイザーがコウタを連れていかなかった理由は、もちろん現場が危険であるということもあったのでしょうが、この状況下で星川家からコウタが消えることによって不審がられることを避けるためという理由もあったのかもしれませんね。エクスカイザーからの連絡を受け、現場に最初に到着したのはマックスチーム。彼らはレイカーブラザーズと同じく複数体で合体し、ゴッドマックスとなってテットンそしてグレートテットンに立ち向かいます。時間の都合があったとはいえ、スカイマックスと―マックスの活躍がほとんどなかったのが残念。まあ彼らの活躍は、今後描かれていくことになるのでしょう
マックスチームに遅れて現場に到着したエクスカイザーとレイカーブラザーズは、すぐさま合体して敵に対抗。彼らがガイスターを撤退させる中、ゴッドマックスはグレートテットンを倒すことに成功します。残るはテットラーもキングエクスカイザーの奮戦により倒され、原子力発電所の爆発は彼らの能力によって食い止められました。当初はグレートテットンとの圧倒的な体格差の前に苦戦するゴッドマックスでしたが、なんと撃退に成功。てっきりキングエクスカイザーがとどめを刺すと思っていましたから、この展開は意外に感じました。一方当のキングエクスカイザー、そしてウルトラレイカーは、ガイスターへの交戦やテットラーとの戦いを担当。テットラーは最終的にはサンダーフラッシュで倒され、原子力発電所の爆発はカイザーズのエネルギー反転光線により食い止められました。もう本編時間的にも時間がないので、どうやって爆発を食い止めるのかと思いきや、カイザーズの超能力で解決するという展開に。観た当初は「ええっ!?」と思いましたが、まあこれはこれでアリでしょう
今回はここまで。次回は第4話から第6話をご紹介予定です。君ん家にも、宇宙人…いる?
◎今日の勇者ソング◎
今日ご紹介するのは、1990年放送の『勇者エクスカイザー』挿入歌「フォームアップ!キングエクスカイザー」です。
劇中、キングエクスカイザーへの変形・合体時に必ず流れていたBGM。この音楽を聴くだけで、「エクスカイザーがキングローダーを呼び出す→キングローダーが変形してエクスカイザーが飛び込むように合体する」の流れが、頭の中で鮮明に浮かびます。
放送当時は玩具がバカ売れしたらしいキングエクスカイザー。確かに、あのカッコよさとエクスカイザーのキャラの濃さから考えれば、そうした結果になったのもうなずけますね。
勇者エクスカイザー 【OST】 フォームアップ!キングエクスカイザー~カイザーソード/田中公平
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