前回とは打って変わって、メインの4人組の活躍に注目させられる今回紹介のお話群。番組終盤になると、JJ9のノリがさらに良くなっていきますが、やっぱりだんだん『ブライガー』のJ9に似たキャラクターに近づいて行っているようにも感じましたね。
第32話「ウォンテッド狂騒曲(ラプソディー)」
1983年11月8日放送
トライポイント:トルサ星(バイオレット惑星海)
サイン場所:同星カルツァー地方・湖上の花火
「では、“Jの9”で、今晩の締めくくりといこう。」
STORY:JJ9が次に躍り込むのは、ギャンブラーには名の知れた、トルサ星のカルツァー地方。カジノだらけのこの町で、身分を隠して忍び込み一儲けしようとしたところ、そこに現れるカジノ強盗。ヤツらの名前はJJ9!?カッコつけて名を騙り、悪事をするヤツは許せねぇ!旅の資金稼ぎのついでに、汚名返上と行こうじゃないか。Be happy, good Luck!有名人も楽じゃあないぜ。
久々のメインライター:山本優氏の執筆回となった今回のお話は、やはりメンバーの行動に重点が置かれ、サスライガーの活躍は最低限に抑えられる形に。JJ9を騙るニセJJ9とは何か?それに対するJJ9の行動は?そしてブラディは?様々な立場の登場人物たちの行動が交錯し、とても濃密な展開に仕上がっています
バイオレット惑星海・トルサ星。この星のカルツァー地方はカジノ街としてギャンブラーには知られた地名。次のトライポイントにここを選んだブルースはカジノで一儲けすることにウキウキしていましたが、その星ではJJ9がカジノ強盗をしているということで大騒ぎになっていました。本業(?)はギャンブラーであるブルース。やはりカジノだとかそういう話題を耳にすると、心が躍るようです。ここに来ることはある程度前から計画していたようで、DDとともにカジノへの入場準備もキッチリ手配済み。ブルースが本当にギャンブル好きであることがわかる描写です。一方トルサ星では、JJ9というカジノ強盗が2週間のうちに4回も出没。シンジケートが運営するカジノから、ごっそり資金を奪っていっていました。ブルースの声を人工的に作り出し、さらにはニセJ9-Ⅲ号まで用意して強盗を繰り返すニセJJ9。おお、なかなか気合が入ったニセモノじゃないか…
バンドメンバーに偽装して入場したカジノで、ニセJJ9の存在を知った本物のJJ9。最初はニセモノがいいおとりになってくれると思っていましたが、ソーラープラネッツポスト社だけがJJ9に好意的な記事を書いていることから、ビートたちはプチ・ロッジの身を案じます。その不安は的中し、同じ頃ニセJJ9の正体を目撃したプチ・ロッジは、彼らに拘束されてしまうのでした。今回のプチ・ロッジは特派員らしく積極的に行動。山本脚本になると、プチ・ロッジの行動が活発化するような気がしますね。そんな彼女が捕まったニセJJ9の正体は、ジニーと名乗る男性をリーダーとする謎の若者集団。JJ9の活躍を耳にして彼らの栄光に便乗し、強盗を繰り返す間に調子に乗って、J9-Ⅲ号のような長距離クルーズ用の宇宙トレインを購入し、全宇宙のカジノを荒らしてやろうと企んでいる輩でした。ニセJ9-Ⅲ号は、彼らが持っていた旧式宇宙トレインに張りぼてをしたものでした。プチ・ロッジに語る形で、ペラペラと自分たちの目的や夢を語りだすジニーたち。ですが、これだけ出番が長いのにもかかわらず、キャストクレジットでは「男A」などといった素っ気ない扱いに。上述した「ジニー」という名前も、彼の仲間の女性が1回だけ発言しているのみです。このニセJJ9たち、せっかく出番が多かったんだから、せめて役名くらいつけてあげればよかったのになぁ
調子に乗ったニセJJ9は、本物のJJ9がいることも知らずにそのカジノを襲撃。ですがブラディ側も彼らの襲撃は察知しており、逆にブラディたちに拘束されてしまいます。そんなところを助けに来たのが、本物のJJ9。トルサ星連邦警察に通報し、彼らを引き渡すのでした。4回もやられていたので、厳重な警戒網を張っていたブラディ。しかし彼が直々にニセモノだとは知らずにニセJJ9を追い詰めていることから、この事件がブルースたちによるものであると途中まで勘違いしていたようです。思っていたのとは違うチンピラが出てきたことにより、怒りを抑えきれずジニーを殴り飛ばし、奪われた資金を回収した後はメンバー全員を宙づりにするブラディたち。まあやっていることは褒められたことじゃありませんが、気持ちはよくわかります。一方のJJ9は、怒りはあるもののニセJJ9を助けることが自分たちの汚名返上になると考え、行動に移します。彼らがとった行動はブラディと直接対決してニセJJ9を奪還するというものではなく、トルサ星連邦警察に通報してブラディを引き上げさせ、そのうえでニセJJ9を引き渡すというもの。このやり方がJJ9らしいですね
カジノ前の湖上で花火とともにトライマークを残したJJ9。自分たちのさらなる汚名返上といわんばかり、トルサ星の人々に手を振りながら旅立ちます。大気圏脱出直前にブラディの戦闘機軍団の襲撃を受けますが、それはサスライガーによって全滅させられるのでした。サスライガーは本編時間(OP等含む)で21分頃に登場。事件も全て解決して「えっ、これで終わっちゃうの!?」というときに登場して、なんだかホッとしました。時間的都合、そして挿入歌「トライ!トライ!トライ!」のおかげで、戦闘は非常にスピーディーなものに。この戦闘シーンの間にロックとビートの早口な会話が挿入されているのも、そのスピーディーさを表現している感じで楽しいです
「あばよブラディまた会う日まで、命あっての大勝負。Be happy, good Luck!残すトライは19(nineteen)。」
第33話「爆走ラブ・チェイス」
1983年11月15日放送
トライポイント:シンタル星(バイオレット惑星海)
サイン場所:同星ナーカシティ郊外の教会・聖母マリアのステンドグラス上
「恋する若人の味方、」「愛のキューピット参上!」
STORY:シンタル星の森林で、修理に勤しむJJ9。そんな中、バイク野郎の一団から追っかけられる青年ボビーを、助けてやったロックたち。聞けば彼は駆け落ち予定で、相手はブラディの愛娘!向かう相手がブラディと聞いて、黙っちゃ置けないJJ9。ボビーの恋路を手助けし、ブラディに一泡吹かせてやるぜ!Be happy, good Luck!一途な恋に逆境はつきもの、守れ“恋人たちの星まつり”。
サブタイトルからも分かる通り、今回は「ラブ・チェイス」ということで、ゲストキャラクターの恋模様に関するお話。ブラディには愛娘がいるということも判明する、実は重要な回でもあります。JJ9の見事な仕事の手際も楽しめるほか、ブラディの人間味あるところも観ることができる、深みのあるお話になっています
シンタル星の森林地帯で、J9-Ⅲ号の修理点検にあたるJJ9。そんな中サボっていたロックとバーディは、森林地帯の中でバイク集団に追われる一組のカップルを目撃。そのカップルのバイクはクラッシュし女性は連行されてしまいますが、男性の方は何とか救出に成功します。J9-Ⅲ号の修理にあたっているのは、実質的にビートとジミーだけ。ブルースとスージーは別のことをしていたものの、ロックとバーディは「機械が苦手」と言って岩場で寝ころんでいました。以前太陽ヨットを作る際は全員で協力してたのに、今回は上述した態度をとる2人。緊急事態ではない普段はこんな感じなのかなぁ。今回舞台となるシンタル星は、トルサ星付近の星らしく、J9シリーズとしては初登場となる星。しかし星の名前が「シンタル星」、その主要都市の名前が「ナーカシティ」であることから、この星は『銀河烈風バクシンガー』に登場したオズマ・ドラーゴの同志:ナーカ・シンタルと関連が深い星であろうということが推測されます。彼、この星で昔何か偉業を成し遂げたのかな…?
ロックたちが救った青年の名前はボビー。ブラディ・シンジケートの運転手をしていた彼は、ブラディの愛娘であるアイリーンと恋に落ち、駆け落ちをしてブルー惑星海方面へ逃げようとしていました。相手がブラディだと聞き、そしてどこか他人事だと思えなかったJJ9は、彼に協力することにします。初めて明かされる、ブラディに娘がいたという真実。どうやらブラディは妻の他に数人の愛人がおり、その間で生まれた子供も何人かいるようです。中でもアイリーンは彼のお気に入りだとのこと。いつも猫さすってるだけかと思ったら、意外と人間らしいところもあるんですね。シンタル星にはブラディのロッジがあるらしく、ブラディはこの星に立ち寄った際は必ずそこで釣りをするとのこと。前回トルサ星でブラディと一戦交えていたブルースたちは、ブラディがすぐこのシンタル星に向かってくることを危惧します。ちゃんと前回と関連付けられているんですね~
アイリーン救出の作戦を立てたJJ9は、三手に分かれて作戦を実行。途中苦しいところはあったものの、何とか作戦は成功。これによりブラディは烈火のごとく怒りだします。今回のJJ9の作戦は二重のおとり作戦という形で、敵やボビー&アイリーンの服装に偽装したロックたちが敵を攪乱しつつアイリーンを救出し、時間差でおとりとして逃げることで敵を陽動。さらにブルースがサスライガーを出撃させることでさらに敵を混乱状態に陥れ、その間にビートと本物のボビーとアイリーンは、小型宇宙艇でナーカシティ郊外の教会へと逃亡します。アイリーンの救出作戦にはそこそこ時間がとられており、JJ9の手際もよいことからテンポよく物語が進行。視聴者を飽きさせることがありません。前回サスライガーの活躍が少なかったことの反動からか、今回は逆にサスライガーの活躍も多め。ブルースが1人で奮闘していました
ビートによって教会に連れてこられたボビーとアイリーンを待っていたのは、DDが用意した結婚式と、JJ9マークを撮影しようとするプチ・ロッジ。無事挙式を済ませブルー惑星海行のチケットを入手した2人は、無事目的地へ出発。少数のブラディの追っ手もJ9-Ⅲ号によって撃墜されるのでした。DDのはからいにより、アイリーンとの結婚を果たしブルー惑星海へと向かったボビー。ボビー側としては完全なハッピーエンドとなる今回のお話ですが、一方でこのパートでは、ブラディ・ゴッドの行動や心情も同時並行で描かれています。ようやくアイリーンたちのいる教会を突き止め、護衛もつけずに1人でやってきたブラディ。教会の扉を開けた彼を待っていたのはアイリーンの姿ではなく、聖母マリアの上に堂々と描かれたJJ9のトライマークと、ボビーとアイリーンの挙式写真。これを見たブラディは、目を押さえてがっくりと崩れ落ちます。暗黒街の帝王として君臨するブラディ・ゴッド。そんな彼のアイリーンに対する愛情は本物だったようです。もちろんブラディは悪役なのですが、このシーンでは言葉にしがたい悲しさも同時に感じました。ボビーたちの挙式以降のシーンでは、挿入歌「恋人たちの星まつり」が初披露。このシーンをさらに盛り上げてくれています
「愛の勝利か若さの意地か。恋する2人に別れを告げて、目指す明日はハピィ・デイ。Be happy, good Luck!勝負を決めるその日まで。」
第34話「ハイウェイ・スター」
1983年11月22日放送
トライポイント:ゴワハンド星(バイオレット惑星海)
サイン場所:同星シティ・セントラルパーキングタワー付近
「ハイウェイ・スターなんでしょ、ロン兄ちゃん!」
STORY:悪行三昧のポリ公相手に、今日もひた走るバイカー1人。彼の名前は、ハイウェイ・スター!ひょんなことから彼と出会った我らがJJ9。なんと彼はスージーの、いとこのいとこで幼馴染。ポリ公の欲に巻き込まれ、追われる身となるJJ9。立ち上がれの街の住民たちよ。腐りきった警官どもから、今こそ街を取り戻す時!Be happy, good Luck!イキがっていた1人の男は、今戦うことの信念を知る。
『バクシンガー』でも登場したゴワハンド星舞台となる今回のお話は、ブラディとはまた違った純粋なクズの悪役が登場し、それに登場人物が立ち向かうという構図に。脚本を担当されたのは四辻さんでしたが、今までの彼の脚本とは違って音楽要素がほとんど出てこなかったのは意外でしたね
ゴワハンド星のとあるシティの警察の頭を悩ませている、ハイウェイ・スター。彼は連日警察を手玉に取り、彼らに甚大な被害を与えていたのでした。そんなことを知らずに森林地帯で休息をとっていたJJ9は、偶然そのハイウェイ・スターと遭遇。その正体がスージーの知り合いだと判明します。その卓越したドライビングテクニックで、シティの警察のパトカーを次々に自滅させていくハイウェイ・スター。その姿は黒いヘルメットに特徴的な革ジャンと、正体を隠したヒーローのような形で描かれています。彼のやっていることだけを観ていると、彼が悪いことをしているだけのように見えますが、実際はそうでもなさそう。彼を支持する街の人々や、職務そっちのけでお金の勘定ばかりしている所長が登場するなど、この街が裏で“何か”を抱えていることが示唆されているのが興味深いです
ハイウェイ・スターに誘われたスージー。彼はスージーの親戚のロンという男性で、普段はコック見習いをしている一般人。彼がスージーに自分の目的を明かしたのと同じ頃、シティの警察はブルースたちが賞金首であることを知り、彼らを逮捕することに躍起になるのでした。ロンはスージーから見ていとこのいとこにあたる人物。なかなかに遠縁の親戚ですが、2人は親交が深かったようです。幼いころ両親を亡くし里親に預けられたロンは、ある時家を飛び出してこの街に移住。しかしこの街の警察の署長が変わってから、彼らは汚職と賄賂にまみれて腐敗し、それらと戦うべくロンはハイウェイ・スターとして戦っていたのでした。一方そんな腐敗しきった警察は、ブルースたちが賞金首だと知って罪状をでっちあげて逮捕しようと出動。たまたまブルースたちは入れ違いの形で街に繰り出しており、J9-Ⅲ号に残っていたのはDDだけでしたが、そんなことも知らずに警察たちはJ9-Ⅲ号を完全に包囲。最初はおどおどするDDでしたが、強行突破して脱出します。いつもは慎重なDDが珍しく見せた大胆さ、だんだん彼も、JJ9に感化されてきたのかな?
たまたまロンとスージーや警察が居合わせたレストランに入ってしまったブルースたちは、観光から一転して追われる身に。シティのありとあらゆるところを逃げ回りなんとかJ9-Ⅲ号に乗り込みますが、それでも警察の猛攻の前に窮地に立たされます。10億ボールの賞金の前に、もはや警察の皮をかぶったギャングのようになってしまったシティの警察は、ブルースたちを執拗に追跡。ブルースたちも訳も分からずに逃げ回ります。最終的にシティの中心部にあるセントラルパーキングタワーに逃げ込んだJJ9は、DDに連絡をとってJ9-Ⅲ号をタワーの屋上付近に飛行させるように指示。タイミングを合わせて屋根の上に飛び乗りますが、直後に警察の追撃を受けてバーディが転落寸前に陥ります。普段のバーディはラフな格好をしていますが、今回は観光気分だったということもあってフリルドレスの衣装に。それがまさか災いするとはなぁ。
奮闘するJJ9の姿、そしてスージーの言葉に突き動かされたロンは、シティの公園で自らの正体を明かし、市民たちに決起するよう呼びかけを開始。これを受けた市民たちが警察に反抗するようになったことで形勢は逆転。市民たちとサスライガーの活躍で警察は壊滅寸前にまで陥り、諸悪の根源であった署長も、ロックの銃弾の前に倒れるのでした。ロンが自らをハイウェイ・スターだと明かすシーンでは、上野の西郷さんの銅像に似た銅像が存在。これはおそらく『バクシンガー』で登場したイーゴ・モッコスの銅像であり、これがあることで今回のお話の舞台がゴワハンド星であることが判明します。劇中一度も星の名前は出てきていませんが、こういったシーンですべてを暗示するとは、なかなか粋な演出です。市民たちの反抗、そしてサスライガーの前にピンチになった署長は、ロンに対して発砲。彼を負傷させますが、その直後ロックに眉間を撃ち抜かれます。完全なワルだったとはいえ、警察署長殺して大丈夫なのかなぁ…。最後のトライマークは、自分たちの街を取り戻した市民たちによって描かれたものに。街が本当に市民たちの手に戻ったということがわかる、良い演出ですね
「ちょっぴりおませな駆け落ち娘。幼馴染の大人びた、横顔思い憂い顔。銀河巡りてさすらいトレイン。Be happy, good Luck!かける青春ど真ん中。」
◎今日のJ9ソング◎
今日ご紹介するのは、1983年放送の『銀河疾風サスライガー』挿入歌「恋人たちの星まつり」です。
劇中では、今回ご紹介の第33話で初使用となった挿入歌。『サスライガー』終盤には「恋人たちの星まつり」というサブタイトルのお話(第41話)があり、また近年発売された楽曲集ではこの曲が最後に収録されていたので、てっきり第41話にならないと披露されないのかなぁと思っていました。第33話で出てきたときはちょっと意外でしたね。
音楽が少し明るい一方で、歌詞がちょっぴり切ないギャップが魅力の挿入歌。劇中では数回効果的に使われています。「トライ!トライ!トライ!」が『サスライガー』の挿入歌として目立つ傾向にありますが、この「恋人たちの星まつり」もなかなかの名曲ですよ。
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