今回は、『銀河疾風サスライガー』の感想記事第7回目。管理人の都合により、日付が変わった直後の更新となります。
第20話「オーガン警部の憂欝」
1983年8月16日放送
トライポイント:シーナイ星(レッド惑星海)
サイン場所:同星スカンジナ半島の砂浜
「私が言っているのはそんなもんじゃない。600億ボールだよ。」
STORY:ブルース捜査に執着しすぎて、注意を受けたオーガン警部。海賊の捜査任されたもの、頭をよぎるはブルースのことばかり。同じ頃の我らがJJ9、救難信号キャッチして、助けに行ったはいいものの、そこにいたのはあの海賊たち!拘束されたメンバーの中で、ブルースが突然裏切った!?彼が持ってる秘策は何か?Be happy, good Luck!ワルの企みに便乗し、IC頭脳が冴えわたる。
サブタイトルではオーガン警部がクローズアップされていますが、実際にはブルースの知略が楽しめる一編となっている、面白いお話となった今回。『サスライガー』では初めてサブライターの担当回にもなりました。今回脚本を書いている平野さんは、のちに円谷プロ作品などでもその手腕を振るう人ですね。
特に証拠もないのに、ブルースの捜査に執念を燃やすオーガン警部。それを見かねた彼の上司は、彼を地球にあるポリスの本部に呼び出し、シーナイ星に潜伏しているという海賊の捜査の任務を与えます。最初は嫌がっていたものの、結局引き受けるオーガン警部。それはこの星が、JJ9の次のトライポイントになる可能性が高いという情報があったからでした。禿頭で白髭をはやしているオーガン警部ですが、年齢はまだ45歳らしい。しかも昔は有能な捜査官と評判だったものの、ブルース捜査に執着している今はブラディの手下などと揶揄されているらしい。…というように、序盤はオーガン警部の詳細な素性がわかる描写が連続。でも、欲を言えばなぜオーガン警部がブルースに執着するようになったか、300億ボール強奪事件の回想を映像付きでほしかったですね(口頭のみなら第1話から触れていますが)
同じ頃、シーナイ星の海上を航行していたJ9-Ⅲ号。救難信号をキャッチして乗組員らしき集団を救助しますが、それは上述したあの宇宙海賊。パイレッヅと名乗る彼らはJ9-Ⅲ号を占拠し爆破しようとしますが、「もっと賞金が稼げる方法がある」とブルースが提案。パイレッヅはブルースを連れてどこかへ行ってしまいます。JJ9が大ピンチの中起こる、突然のブルースの裏切り。まあここまで見ていれば当然ブルースがロックたちを見捨てるわけがないというのが視聴者としてはわかっているので、ブルースがこのパイレッヅを使って何をしでかそうとしているのか―ということをあれこれ考えさせられるシーンになっています。この後もブルースはパイレッヅ手玉に取って、ブラディ・シンジケートに対して600億ボールもの大金を吹っ掛けさせたり、それを提案したことでテレビゲーム機などを貸してもらったりなど、もうやりたい放題。だんだんとパイレッヅもブラディ・シンジケートもブルースに完全にのせられ、うまく動かされている格好になってしまっているのが面白いですね。さすが、この頭脳こそがI.C.ブルースと呼ばれる所以かぁ
テレビゲーム機を改造し、まずオーガン警部に連絡を取るブルース。彼はJ9-Ⅲ号にオーガン警部を救援に行かせ、ロックたちを救出します。その後J9-Ⅲ号と連絡を取るブルースは、すぐに救援を要請するかと思いきや、明朝まで待ってくれと言いだします。パイレッヅを実質的に操ることに成功したブルース。監禁部屋で外部に通信し放題のような状況になっていましたが、見回りは来なかったのかなぁ…。ブルースからの要請を受けJ9-Ⅲ号に向かい、ロックたちを救出したオーガン警部。ロックからブルースの居場所を聞き出し、散々彼の悪口を言ってその場所へ向かうオーガン警部でしたが、実はロックが教えたブルースの居場所は、全くのデタラメ。ロックは「警察が嫌い」だという理由でうそを教えたと言いますが、その前にオーガン警部の「ブルースから救援信号を云々」というセリフを聞いていることから、おそらくブルースが自分たち裏切らず何か策があるのだということを確信したからが故の行動なのでしょう
パイレッヅとブラディ・シンジケートの取引時間であった明朝10時。ブラディの手下がパイレッヅに600億ボールを渡そうとした瞬間、ブルースがそれをかすめ取って待機していたJ9-Ⅲ号に乗車。追ってきたブラディの手下の宇宙船部隊とパイレッヅも、ブルースの通報で駆け付けた警察とともに倒すことに成功しました。第17話から使用されているサスライガーの新変形バンクシーンが、今回初めてフルバージョンで披露。最後に挿入されるブルース・バーディ・ロック・ビートのキメ顔がカッコいいですね。しっかりとサスライガーの活躍シーンも描かれており、ワルを倒して大金を手に入れて万々歳…かと思いきや、やはりそうは上手くいかない。ブラディ・シンジケートが持ってきた600億ボールはすべてニセ札であり、最初からパイレッヅをハメるためのワナだったのでした。ニセ札を持っていても仕方がないため、それでトライポイントにサインをするJJ9。発想としては面白いですが、プチ・ロッジが来るまでよく消えなかったなぁ…
第21話「天使のビターキッス」
1983年8月23日放送
トライポイント:セーダイ星(セーダイン星、レッド惑星海)
サイン場所:同星アレス台地・廃製油所付近の砂漠
「ねぇ、JJ9って聞いたことない?ちったぁ知られた名前だけど。」
STORY:燃料補給の星を探す、我らがJJ9。DDのツテでセーダイ星に、降りたまではよかったものの、そこはワルのはびこる独裁国家。燃料探しどころじゃないぜ。追われたロックが出会った美人、謎のレジスタンスをつなぐ糸は?サスライガーと美人にのろけたロック・アンロック、そしてレジスタンスの「赤い天使団」、三者の共同戦線始まったBe happy, good Luck!普段はクールな抜き撃ちロックも、たまにはハートを射抜かれる。
美人に終始のろけ気味のロック、調子のいいDDなど、メインキャラクターの変わった一面が楽しむことができるお話。いつもに比べてロックのノリが軽いような気がしますが、それが今回のお話をよりテンポいいものにしています。前回に続いてサブライター回となった今回。脚本を担当したのはあの園田英樹さんでした。
非常用の予備燃料も尽きかけていたJ9-Ⅲ号。DDの働きを信じてセーダイ星に着陸しますが、そこはオロッコという独裁者によって住民たちが蹂躙されている、ひどい有様の星でした。今回のトライポイントであるセーダイ星、実は『銀河烈風バクシンガー』にもチラッと名称だけ登場した星。イーゴ・モッコスの説得により、アエイズ星との列星同盟を破棄した星でした。今回の本編中では「セーダイ星」や「セーダイン星」と名称が混在していますが、アエイズ星と同じレッド惑星海に存在している星ですから、『バクシンガー』に登場したそれと同じ星である可能性が非常に高いでしょう。そんなセーダイ星は、オロッコの独裁政治が続いており、商品の値段は吊り上げられ人々は蹂躙されているひどい有様の星。それに対する反乱分子も多いらしく、夜間外出禁止時間が設けられているようです。なんか、『ブライガー』に出てきそうな設定だなぁ…
ひそかに原油を盗もうとしたロックたちでしたが、敵の追撃を受けロックは負傷。彼とDDを救ったのは、ヴェルダという女性でした。彼女はレジスタンスである「赤い天使団」の協力者であり、JJ9に自分たちの指導者:メイホアの奪還に協力してほしいと頼みます。銃撃戦の最中珍しく被弾、ばったり出会った美女に惚れてのろけ気味と、いつもとは違う描かれ方をしているロック。ヴェルダとの会話シーンはDDの調子がいいことも相まって、いつもより楽し気で快活なロックが楽しめます。「赤い天使団」というのは、オロッコに反逆し民主主義を取り戻そうとするレジスタンス。団員たちは皆赤い甲冑をかぶっており、オロッコと幾度となく激しい戦いを繰り広げてきたようです。普段は政治がらみの仕事は嫌がるものの、ロックを救ってくれたことのお返しということで依頼を引き受けるブルース。これにより、ロックはさらに勢いに乗って、勝手に飛び出してしまいます
メイホアが監禁されているという、アレス台地の廃製油所へ向かうロック。しかし当然敵も黙って見ているはずはなく、砂漠に隠した地対空兵器でロックを攻撃します。かなりのピンチに陥る中、やってきたのはJ9-Ⅲ号。サスライガーに変形し、敵の兵器軍団を一掃します。今回のサスライガーの戦闘シーンは、素早く方向を変えて銃をぶっ放し、空から攻めてくる戦闘機軍団に対しては地上から走りながら狙い撃つなど、動きの多い戦闘シーンに。時間的には決して長くはないものの、サスライガー自身の機動性の高さがうかがえるシーンになっています。ブライガーやバクシンガーは宇宙空間内で浮いた状態で戦うことも多かったですが、サスライガーはトライ先の星で戦闘をすることが多いので、前2作のロボよりも地上戦が必然的に多くなってくるんですね
サスライガーの活躍により手薄になった廃製油所。そして、そこに攻め入るロックと赤い天使団。あっという間に監禁されているメイホアのもとへたどり着きますが、メイホア救出の際にリーダーが被弾。甲冑の中から見えた顔は、あのヴェルダでした。幸いヴェルダの命に別状はなく、メイホアも主席を決める会議に何とか到着。民衆の声援を受けたメイホアの前にオロッコは失脚し、セーダイ星は今新たなる一歩を踏み出したのでした。ヴェルダ被弾直後にすぐ撃ち返すロックのシーンは印象的。ですが画力が追い付いていないのが少し残念です。事件が解決し、「らしくないところを見せてしまった」とブルースに謝るロック。しかし、バーにいる女性店員をヴェルダと錯覚しそうになっていることから、彼女への思いはまだまだ消えていないようで…?
「恋の炎も革命も、熱砂に現れ消えていく。Be happy, good Luck!苦いカクテル身に染みて、走れ我らがロック・アンロック。」
第22話「ハート・ブレイク・シティ」
1983年8月30日放送
トライポイント:ネオ・ザッハ星(レッド惑星海?)
サイン場所:同星ハート・ブレイク・シティ付近の荒野
「ロックの後のバラードは、ジンとくるぜ。」
STORY:遊びに女にギャンブルと、娯楽が詰まったネオ・ザッハに、胸高鳴らせるJJ9。ところがどっこいいざ来てみたら、そこは見るも無残な荒廃地。落胆していたブルースたちに、たまたま寄ってきた老人の、ラジカセから出る音楽に、何か気づいたロック・アンロック。ハート・ブレイク・シティで待ち受ける、彼の想い人はいったい誰か?Be happy, good Luck!青春時代の背伸び恋は、甘酸っぱい思い出へ。
前回に続いて、ロックの恋模様を描くお話になった一編。しかし内容は彼の過去にも触れつつ、どこか甘酸っぱい恋模様を描き出しており、前回に比べ大人向けな雰囲気になっています。今回の脚本はプロデューサーでもある四辻たかおさんが担当しており、音楽好きな彼らしい選曲にも注目です
J9ランドを超える一大歓楽街として名高いネオ・ザッハ星。休養を兼ねて降り立つことにしたJJ9のメンバーたちでしたが、そこは1か月前の竜巻のせいで荒廃状態に。そんな中、ある老人がラジカセをもってメンバーの前に近づいてくるのでした。J9ランドはアステロイドベルトのカジノ星を丸ごとレジャーランドにしたところでしたが、本来のネオ・ザッハ星はその10倍を超える規模のレジャーランドとのこと。各メンバーあれこれ妄想して、ここへの到着を楽しみにしているシーンが微笑ましいです。一方ブルースたちに近づいてきた老人が売りつけようとしたのは、1983年型のラジカセ。『サスライガー』の放送年に合わせたのでしょうが、『サスライガー』の設定年代は30世紀。もう2000年近く前の骨董品ということになります。おじさん、それ宇宙の博物館にもっていった方がいいじゃないのかな
ラジカセが受信していた音声を聞いて、突如目つきを変えて同星ハート・ブレイク・シティへと向かうロック。そこで彼を待っていたのは、イカサマポーカーで金稼ぎをするブロンドで青い瞳をした女性:ジュディでした。ジュディとロックの関係は長く、最初の出会いは未成年のロックが密かにカジノに出入りしていた頃。警察に捕まりそうになった時に彼女に助けてもらい、そこからロックが片思いしていたようです。しかしジュディからすれば、歳の離れたロックは彼氏というよりも弟のような存在であり、やがて別の男性と結婚。その後シンジケートに追われる形でロックのもとを去っていたのでした。年上の女性に憧れる…というより恋してしまうという、青少年ではよくある経験。ロックにもやはりそんな思い出があったんですね。でも、彼の思い出によると、ジュディと初めて出会ったのは中学生の頃らしい。ええ、その歳でもうカジノに出入りしてお酒飲んでたのか…
ジュディとの再会を喜んだのもつかの間、突然彼女のもとへとやってくる強面のアウトローたち。しかし外見とは裏腹に、彼らは優しく、JJ9の来訪を歓迎。付近のクラブを貸し切り、歓迎会まで開いてくれます。ここで現れるアウトローたちは、本当にいかにも悪役っぽそうな雰囲気ですが、かなり義理堅くそして優しい人たち。ブラディにJJ9を売りつける作戦かと思いきやそうではなく、本当に心の底からJJ9のことを歓迎してくれていました。いやあ、人は見た目によりませんなぁ。このハート・ブレイク・シティ一帯はアウトローのたまり場ですが、お互いのことには干渉せず、そしてシンジケートの手出ししないようにする特別協定が結ばれている地域とのこと。だから追われる身であったジュディも、ここへ身を寄せるようになったというわけですね。JJ9の歓迎会のシーンでは、地元の人々が呼んできたと思われるロックバンドが演奏。ここで『ブライガー』の挿入歌であった「星影のララバイ」、『バクシンガー』の挿入歌であった「愛のライディング・マシーン」が使用されています。特に前者は、今回の使用をもってJ9シリーズ全作品に登場したことに。こういった選曲も四辻さんによるものなのでしょうが、とにかくニヤニヤさせられます
歓迎会の中、突如響く爆音。それは地元住民の誰かがブラディ・シンジケートに密告したことにより、協定を破って攻め込んできたブラディの手下でした。地元のアウトローたちはこれに対抗すべく出撃し、JJ9もサスライガーに乗ってこれに応戦。見事敵を撃破しました。今回のサスライガーの戦い方もまた特徴的で、ロボどうしの対決の際、銃火器などを使わずに接近戦を行い、敵の両腕をちぎってからコックピットを破壊するという、なかなか荒々しい戦闘を行っています。銃を使って遠距離攻撃をするのがサスライガーの基本戦闘スタイルですが、こういった戦い方もできるんですね。コックピットを破壊されたことで暴かれた密告者の正体は、序盤でラジカセを売りつけに来たあのおじさん。賞金に目がくらんだのが、動機だったのか―、その理由は明かされませんでした。すべての事件が解決し、旅立つことになったJJ9。ここでロックのことを心配するバーディに対するロックの行動が、彼らしいキザな感じになっています
◎今日のJ9ソング◎
今日ご紹介するのは、1988年発売のCDアルバム『山本正之'88』収録曲「銀河熱風オンセンガー」です。
「夜空の星が輝く影で、病の笑いがこだまする。ストレス疲労に泣く人の、涙背負って健康管理。“銀河熱風オンセンガー”、お呼びとあらば即参上!」
J9シリーズの正式な曲ではなく、山本正之氏によるパロディソングの1つ。しかしあらゆる面で「銀河旋風ブライガー」が意識されており、前口上などにその影響が感じ取れます。というか、「ユワイターのユーちゃん」って誰だよ!?
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