今回は、『新幹線変形ロボ シンカリオンZ THE ANIMATION』の総括感想記事です。
異例の放送延長や映画制作という、驚異的な人気を叩き出した前作『シンカリオン』の流れを受け、まさにファンの人々の思いに答える形でスタートした本作。確かにその中には前作のテイストやエッセンスが息づいており、それでいて新たなアプローチを試みたのだろうということはよくわかりましたが、全体的には不完全燃焼感がかなりあるなぁという印象の作品になったような気がしました。
なお、最終回(第41話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
この『シンカリオンZ』という作品、巷ではたらほら気づいておられる方もおられましたが、スタッフ面でかなり混乱のあった作品でありました。
当初シリーズ構成(メインライター)を務めいていた赤星政尚さんは、第1クール終了を目前にして離脱。監督だった山口健太郎さんは、第2クール終了間際に監督補佐に配置換。それらポストを代わって担当したのは、前作の監督であり、当初総監督やサブでシリーズ構成を務めていた池添隆博さんでした。
実際制作側でどういった意図等があったのかは、この記事を作成している時点では詳細は不明ですが、「当初シンはシンカリオンZの運転士であることを隠していたのに、急遽理由をつけて家族に明かす」や「アブトがテオティ側に身を置く期間がやたら長くなる(第13~36話で、シンたち側にいた時よりも長い)」などをはじめとする、大小さまざまな路線変更のようなものがあったので、制作側内での意見の相違があったのかもしれません。
また、それとは直接関係ないでしょうが、シンたちのキャラクター造形がちょっともやっとしていた印象あり。前作のメインキャラをベースとし、違った方向で純粋で一途なキャラを作ろうとしていたのですが、思っていたほど魅力は高まっていなかった感じがあります。特にもったいないのがシン。前作の主人公ハヤトが、超が付くほどの鉄道ファンだったのに対し、シンはその面では一般人であることから、「そうした彼がシンカリオンZや新幹線にどう触れていくか」ということで様々なドラマが作れそうな予感がしましたが、彼をその方面で導く存在になりえたはずのアブトが、第1クールでテオティ側へ。そのため、シンと新幹線とのつながり・かかわる理由が、「シンはシンカリオンZの運転士だから」という以上のものを作り出せていませんでしたね。
せっかくシンは、世界の謎に挑戦する男を自称しているのだから、その情熱を新幹線に向けるお話(それは決して、ハヤトのように鉄道ファンになることではない)があってもよかったのかなぁとは、強く思いましたね。
さて、なんだか先日の『ウルトラマントリガー』の総括感想記事と同じく、ネガティブな書きぶりからスタートしてしまったこの記事ですが、上述したことに負けないくらい、前作と同等か、あるいはそれ以上に面白い要素もたくさんありました。
タイトルにも冠されており、劇中でもメインで活躍するシンカリオンZたちは、前作のシンカリオンよりも、合体機構面・造形面ともに良い方向へ超進化。さらに、待望の在来線(ザイライナー)との合体形態も誕生し、ちゃんと各シンカリオンZに対応するザイライナーが、その会社を代表する車両になっていたのが、Very Goodでしたね。
また、本作のメインキャラの活躍を大事にし、前作のキャラたちをあまりストーリーに介入させなかったのも良いポイント。もちろん、そうできなかった理由は様々な大人の事情もあったのでしょうが、終盤ギリギリまで大半の前作キャラを登場させず(登場しても、そのほとんどは1・2話出演程度のゲスト扱い)、あくまでもシンたちがつくる物語であるということを意識していたことは、評価されるべきでしょう。
当たり前と言えばそうなのかもしれませんが、なかなか貫徹するのは難しいことでもあるんじゃないかな…と思います。
「進化はまだまだ止まらない!」という言葉通り、まだまだその作品そのものの展開が続いていきそうな、『シンカリオンZ』もとい「シンカリオンシリーズ」。しかし、今日現在、それまで公開されている情報以上のものは、まだ発表されていません。
やっぱり、「シンカリオンシリーズ」とは、まだまだお別れしたくない!ということで、今後のさらなる展開に期待したいですね。だって…可能性は、無限大なんだから!
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
Twitter & Instagramやってます。よろしければ↓閲覧&フォローの方お願いします!