今回は、『機動戦士ガンダム』の感想記事第14回目です。
物語は、いよいよ一年戦争の終局へ。今回ご紹介の2話では、最終決戦の舞台となる宇宙要塞ア・バオア・クーが登場したり、アムロとララァがニュータイプとしてその力がひかれあったりなどしていき、「ニュータイプの力」がよりクローズアップされていきます。また、ガンダムがマグネットコーティングにより強化されたことで、もはや向かうところ敵なしという状態に。しかし、だからと言って地球連邦軍が無双状態になるわけではなく、敵であるジオン公国軍も踏ん張って応戦しているのが、いい塩梅ですね。
なお、前回(第37~39話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
第40話「エルメスのララァ」
1980年1月5日放送
登場した敵他:エルメス、シャア専用ゲルググ、リック・ドム、戦艦グワジン、戦艦ザンジバル、空母ドロス、ムサイ
「せっかく減った人口です。これ以上増やさずに、優良な人種だけを残す。それ以外に、人類の永遠の平和は望めません。」
STORY:月基地グラナダと宇宙要塞ア・バオア・クーを最終防衛ラインと定めたギレンは、デギンの言葉を振り切り、その準備を進めていた。キシリア経由で指示を受けたシャアたちは、途中連邦軍と接触。これはエルメスの活躍により撃破されるが、この戦いは味方の兵士たちに影響を与えることになった。一方、オーバーヒートしたガンダムは、モスク博士により、マグネットコーティングのパワーアップを受ける。機動性を増したガンダムが、今宇宙を舞う!
刻一刻と迫る、最終決戦へのカウントダウン!今回のお話は、前回登場したエルメスが本格的に実戦投入されるほか、ギレンが連邦軍との最終決戦のために最終防衛ラインの形成を始めるなど、どちらかと言えばジオン公国軍を中心に物語が展開される形に。アムロたちの出番はそれほど多くはなかったものの、ガンダムがパワーアップし、存分にその強さを見せてくれるという「見せ場」が用意されていました。何気に今回が、武器以外では初めてのガンダムのパワーアップ回なんですね。
前回の戦いでオーバーヒートし、限界に達してしまったガンダム。それを修理するため、ブライトはコンペイトウに連絡を取り、入港して技術顧問のモスク博士による改良を受けることになります。一方ジオン公国では、ギレンを中心とした最終防衛ラインの形成が着々と進行。己の道を突き進むギレンに対し、暗に忠告するデギンでしたが、ギレンはほぼ聞く耳を持っていませんでした。ガンダムの修理に対して、意外にも連邦軍は速やかに対応。技術顧問であるモスク博士が中心となって、彼の理論に基づいた新たな技術:マグネットコーティングが施されます。これによりガンダムの反応速度は無限大近くにまで上昇しますが、難点なのが、この技術がまだろくにテストもされていないこと。なーんだ、連邦軍の対応が速かったのは、新技術をガンダムでテストしてやろうって狙いもあったのかな…。一方ジオン公国のズムシティでは、ギレンがデギンに対して最後の作戦を説明。彼の偏りきった思想にデギンは危機感を覚え忠告しますが、ギレンは気にしてはいませんでした。ギレンの作戦は、月基地グラナダと宇宙要塞ア・バオア・クーを最終防衛ライン都市、その間にあるコロニーの民間人は強制疎開させるというもの。民衆の不安をあおる形になり、あまりにも勝利を優先した作戦(戦争なので当たり前っちゃあそうなのですが)でしたが、その根底にはギレン独自の思想がありました。ギレンが持っていた思想は、独裁政治と選民思想。それを聞いたデギンは、かつてのナチス・ドイツのヒトラーを例に出し彼に忠告しますが、ギレンは気にすることなく作戦を進めるのでした。立ち去るギレンに対し、「ヒトラーは戦争に負けたのだぞ…」とつぶやくデギンのこの一言が、内包された様々な感情を感じさせて興味深いですね。
キシリアから指示を受け、彼女のもとへ向かっていたシャアたち。そこで彼らは、偶然にも連邦軍の艦隊と接触します。これに対しシャアは、ララァの乗るエルメスとリック・ドム2機の出撃を指示。ララァはこれが初の実戦になるため、リック・ドムを先行させる形で戦いを進めます。エルメスは戦艦2隻を沈めるなど驚異的な戦果を挙げますが、これにビビったリック・ドムは、エルメスを守るはずが逆にそれを前線に出し、援護に回るのでした。前回でもエルメスの戦闘描写はありましたが、あれは連邦軍が攻撃してこない状況下でのものだったため、本当の意味での実戦は今回が初。ララァの能力そしてエルメスの攻撃力は、戦艦2隻を沈めるという戦果を挙げますが、これは味方であるリック・ドムをビビらせる結果にもなるのでした。シャアから命令されたにもかかわらず、エルメスの強さを見て自ら後ろに引いたリック・ドムたち。いや、気持ちはわかるけどさ、強いとはいえララァは今回が初実戦だよ?そんなの前線に出してどうするんだよ!まあ、でも一応のちの描写でその理由とかをちゃんとシャアに白状したりするところがあったから、その点は良かったかな。このようにいきなり最前線に放り出される形になったララァは、一気に精神が不安定になり、ビームがまともに当たらなくなってしまうハメに。しかし、そこへシャアがゲルググで駆けつけてアシスト。ララァはなんとか、連邦軍艦隊を全滅させることに成功するのでした。
コンペイトウにおいて戦力を結集した連邦軍は、星一号作戦の実行を開始。各艦隊に出撃命令を出し、各々が別ルートを取って月方面に向かっていきます。ホワイトベースもその艦隊のうちの1つでしたが、ガンダムがパワーアップ中のため出撃が遅延。そのパワーアップが終わった直後、急いで発進。艦隊たちを追いかけるのでした。今回名称が初めて登場した「星一号作戦」。これは宇宙要塞ア・バオア・クーを叩くための作戦でした。ホワイトベースも当然これに参加することになっていましたが。ガンダムがパワーアップ中だったため、それが済み次第の出発になります。この出撃が遅延したおかげで、結果的にホワイトベースはエルメスなどからの攻撃を回避することに。もし他の艦隊と一緒に出撃ししてたら、たとえガンダムの力をもってしても、あの戦局を乗り越えるのは難しかったかもしれなかったろうなぁ。そして、ようやくガンダムのパワーアップが終了。マグネットコーティングは成功し、ホワイトベースは満を持して出航します。初登場時は不愛想だったモスク博士ですが、後半になると冗談めかしたことも言う人間味ある人物に。「戦闘データを持ち帰るために生き延びてくれよ」なんてアムロに言ってましたけど、あれは半分本音で、もう半分はアムロたちに純粋に生きながらえてほしいということだったんでしょうね。
遅れを取り戻すべく航行するホワイトベースは、その航路上で戦闘を確認。それは、連邦軍艦隊とエルメスなどのシャアの部隊の交戦でした。指示を受けたアムロたちは、一斉に出撃。これに対しシャアたちは、エルメスやシャア専用ゲルググなどで挑みますが、ガンダムの方が機動性も戦闘力も上回っており、シャア専用ゲルググは大きく損傷。ララァがこれにより精神的に不安定になったため、エルメスの攻撃力も低下し、アムロたちはシャアたちを撤退に追い込みます。しかし、連邦軍艦隊を守り切ることはできませんでした。マグネットコーティングされたガンダムは、異常ともいえる反応速度を発揮。もう笑っちゃうくらいの凄まじいスピードできびきび動いていました。これだけ反応速度がいいと操縦しやすいだろうけど、アムロが言うようにすぐメカにガタが来そうだなぁ…。そんなガンダムは、シャア専用ゲルググやエルメス相手にまともに応戦。特にシャア専用ゲルググに対しては大立ち回りを見せ、左腕を切り落として見せます。エルメスのビットからのビーム攻撃を巧みに避けつつ、シャア専用ゲルググに対して的確に攻撃を当てるガンダム。強いし速いし、もうガンダムは向かうところ敵なしって感じですね。こうしてシャア専用ゲルググが損傷したことで、ララァの精神は不安定になりエルメスの戦闘力も低下。結果的に、シャアたちは撤退を余儀なくされてしまいます。エルメスは確かに強力な兵器ですが、今回の戦いのように操縦者の精神面に大きく左右されるのが、最大の弱点と言えるでしょう。
第41話「光る宇宙」
1980年1月12日放送
登場した敵他:エルメス、シャア専用ゲルググ、リック・ドム、戦艦グワジン、戦艦ザンジバル、ムサイ
「これだけ戦い抜いてこられたホワイトベースの皆が、ニュータイプです!」
STORY:デギンが連邦軍のレビル艦隊に向かい出発していた頃、ギレンは連邦軍の動きを予測し、それを受けたキシリアたちは、ホワイトベースの撃破に乗り出した。エルメスとシャア専用ゲルググが中心になり攻撃を仕掛けてくる一方、それに対抗するのは我らがアムロ=ガンダム。戦いの中で、アムロとララァはお互いニュータイプとしての力を強め、それはお互いを引きつける。アムロ・ララァ・シャア・セイラの思いが交錯する中、この戦いに勝つのは―!
激しいニュータイプ同士の戦い!それにさらに絡み合う、シャアとセイラの戦いの結末は?今回は、前回の次回予告でも触れられた通り、アムロ=ガンダムとララァ=エルメスの一騎討ちが中心。それにプラスして、ララァを守ろうとするシャア、アムロを援護するセイラが絡み合い、4者がそれぞれの思いを抱えながらぶつかり合うという濃密な戦いが描かれていましたね。アムロとララァの精神世界での掛け合いは、もはや哲学だったな…。
前回、ジオン公国軍としての最終防衛ラインを、月基地グラナダと宇宙要塞ア・バオア・クーに定めたギレン。彼はそのための準備を着々と進めており、連邦軍の攻撃ルートも予測。そのドサクサの中、父デギンが艦隊を組んでズムシティを出発したことにも気づいていました。ギレンの指示を受けたキシリアは、シャアに命じてア・バオア・クー方面へと航行。同じく月方面に向かうホワイトベースの艦隊を叩くことを決めるのでした。自分の国が(自分の意思に反するとはいえ)最終決戦をかけるべく準備を進めているというのに、出かけてしまったデギン。その理由は、今回の後半の描写で、連邦軍との和平交渉を進めるためであることが判明します。ギレンはデギンの行動の意味に気づいていたようですが、ぼそりとつぶやく程度で特に追跡等はせずじまい。今回のラストシーン含めて考えると、彼はこの時点で、デギンを連邦軍艦隊もろとも消すつもりだったのでしょうね。そんなギレンは、連邦軍の攻撃ルートを、ア・バオア・クーを回避したジオン公国の直接攻撃ルートとすると予測。これを受けキシリアたちに指示を出し、キシリアおよび配下のシャアたちは、ホワイトベースを倒すべく行動を開始します。ギレンの読みによれば、連邦軍は今までの戦いでかなり戦力を消耗しており、ア・バオア・クーをまともに突破する力はないのではないかとのこと。いやいや、戦力を消耗してるのは、むしろ自分たちの方じゃ…?ちなみに、この後最終的には決戦の地がア・バオア・クーになるはずですが、ということは結局、ギレンの今回のこの読みは外れたということなのでしょうか?まあ、それは次回以降わかるかな。
ホワイトベースにおいて、アムロが覚醒しつつある“ニュータイプ”について話し合うブライトたち。そんな中、シャアとララァが、エルメスとシャア専用ゲルググを中心に攻撃を仕掛けてきます。出撃したガンダムが驚異的ともいえる攻撃の命中精度を見せる中、アムロそしてララァは、お互いの“声”を聴くことに。やがて彼らはお互いがつながったことを確信し、その中で激しくぶつかり合うのでした。アムロがニュータイプであるというのは、もはやホワイトベースの船員たちの総意。これに対しアムロは、確かに自分には他の皆とは違う何かがあると感じている一方で、今までの戦果は自分だけのものではなく、ホワイトベースの船員たちの活躍あってこそのものだったと語ります。「これだけ戦い抜いてこられたホワイトベースの皆が、ニュータイプです!」と言ってみせるアムロ。こういうことを言うのが、アムロらしいですね。そんな中、シャアたちの攻撃が開始。彼の戦略でエルメスが中心となり前線に出てきたのに対し、ホワイトベースはガンダムたちモビルスーツを出撃させます。ガンダムは相変わらずの機動性と攻撃力で敵を次々に軽々と突破。だんだんとエルメスへと近づいていきますが、その中でアムロは、ララァの声を感じ取ります。同じくララァもアムロの呼びかけを感じ取り、2人は精神的につながることになるのでした。エルメスはビットを大量に放ち、予測不能のビーム攻撃を仕掛けてきますが、ガンダムはビームに一切当たることなくビットを破壊。それどころか、途中からビットの軌道までをも予測するようになり、ビームを撃たせる前に撃破するということまでやってのけます。「ニュータイプはエスパーじゃない」ってさっきホワイトベースで話してたけど、もうここまで来るとエスパーとしか言いようがない能力って感じだな…。
精神世界で、アムロとララァは激しく意見をぶつけ合うことに。最初はララァが優勢でしたが、じょじょにアムロが盛り返し、それに応じてエルメスの攻撃も縮小していきます。これを見かねたシャアは、専用ゲルググで加勢。これに対しセイラはGファイターでガンダムの援護に回り、2対2の戦いになります。やがて、シャア専用ゲルググはガンダムに追い詰められ、右腕を切り落とされ大ピンチ。ガンダムは対にとどめを刺そうとしますが、そこに割って入ったのはララァでした。ニュータイプ同士の精神世界では、お互いの考え方だけでなく素性等も読み取れるようで、ララァはアムロが天涯孤独の身であることを知り(本当はテムがいるけど)、「なぜ守るべきものが無いのに戦うのか」と問います。これに対し、アムロは「守るべきものがなければ戦ってはいけないのか」と回答。予想外の答えに戸惑ったララァは精神が不安定になり、それによりエルメスの戦闘にも影響が出始めます。ここで、アムロに先述のようなことを言わせたのはGood。この手のセリフだと、たいてい「僕はホワイトベースの船員のためor地球のために戦ってるんだ!」と言いそうなものですが、こういうのはアムロにはちょっと似合わないですもんね。まあ、ララァの問いかけに対し逆に問う形での回答だから、もしかすると彼の根底にはそうした考え方があったのかもしれないけど…。これが原因でエルメスは弱体化。シャアも専用ゲルググで出撃しガンダムと戦いますが、右腕を切り落とされてしまいます。おまけにGファイターの中にセイラがいるのを目撃し動揺。このスキをつきアムロはとどめを刺そうとしますが、それを妨害したのがエルメスのララァでした。もはやこの時期になると、シャアはアムロにとってライバルではない存在。あっという間に追い詰められてしまいます。おまけにセイラの姿を見てしまったものですから、彼は完全に動揺。ガンダムに倒されそうになりますが、これを救ったのがララァでした。シャアを守りたい一心で飛び出し、そして命を散らしていったララァ。今回の戦いは、アムロとシャア双方に禍根を残す結果になりました。
エルメス撃沈を受け、シャアたちは撤退。ホワイトベースは再びア・バオア・クーを目指して航行を開始します。順調に針路をとるホワイトベースでしたが、途中アムロがそれに待ったをかけるのでした。同じ頃、ギレンは連邦軍艦隊を叩くべく、ソーラ・レイによる攻撃作戦を発動。光のビームが照射され、連邦軍艦隊へと向かっていきます。その中には、デギンの乗る戦艦グワジンも…!ジオン公国軍側が今回発動したのは、ソーラ・レイによる攻撃。これはソロモン攻略戦の際連邦軍が使用したソーラ・システム攻撃と似たようなものであり、光のビームで対象を攻撃するというものでした。ジオン公国軍側にも、似たような技術があったんですね。その光のビームが目指していた先にあるのは、レビル将軍率いる連邦軍艦隊と、和平交渉に臨もうとするデギンの艦隊。このすべてをニュータイプの能力で見通したアムロは、ホワイトベースの航行に待ったをかけます。すでに光のビームは照射済み。ホワイトベースはこの攻撃を回避できるのか?そして、レビル将軍たちの運命は―!?
今回はここまで。次回は、第42話と第43話(終)をご紹介予定です。『機動戦士ガンダム』。君は、生き延びることができるか…?
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☆ガンプラ Pick Up!
今回紹介したお話に登場したモビルスーツのガンプラを、ピックアップしてみよう!
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