
今回は、『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』の感想記事です。
完全フルCGで「ガンダムシリーズ」を描く『MS IGLOO』系統の3作目にして完結編である本作。前2作とは異なり、地球連邦軍の一般兵側の視点から一年戦争を描き、激しい戦闘に身を投じるさまや、物語を通して介入してくる死神に翻弄されるさまがその中心となっており、そのストーリーのテイストはかなり違いました。結局死神は、極限状態の中狂気に取り憑かれた軍人たちの幻覚か、それとも―?
なお、キャラクター等については、↓下記公式HPをご参照ください。
また、前作(『機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
第1話「あの死神を撃て!」
2008年10月24日発売
カギとなる兵器:M-101A3 対MS重誘導弾リジーナ
登場した敵他:ザクⅡ、戦闘機ドップ

「戦場は死で満ち溢れている。そして、生き残った者だけが、死神と呼ばれるんだ―!」
STORY:ジオン公国軍の地球降下作戦が激化するにつれ、地球連邦軍は劣勢を強いられていた。その中で、ヨーロッパ南方戦線に従軍する、対MS特技兵小隊の指揮官ベン・バーバリーは、ジオン側の指示の誤りで他の部隊から孤立したというザクⅡ3機の足止めを命じられた。対モビルスーツ用兵器:M-101A3 対MS重誘導弾リジーナを携えて、死神と呼ばれる彼は、生き抜いてこの戦いを乗り切ることが出来るのか?
第1話となる今回は、ジオン公国軍の地球降下作戦が始まり、まだ地球連邦軍がザクⅡ数機だけにもひいひい言ってた、一年戦争最初期が舞台。幾多の死線を潜り抜けてきた一般兵:バーバリーにスポットが当てられ、ザクⅡ3機との激戦が展開されていました。やや口調は粗野なものの、軍人としては決して悪くないバーバリー。ここまで奇跡的に生き延び続けてきたのも、彼の軍人としての勘と運の賜物だったのに、それを他人からは「死神」と揶揄されるなんて、かわいそうだったな…。
ジオン公国軍の地球降下作戦が激しさを増し、地球連邦軍が劣勢に立たされていた、宇宙世紀0079 4月。ヨーロッパ南方戦線にて従軍していたバーバリーは、先のザクⅡとの戦いを思い出し、部下を失った悲しみと悔しさを噛みしめていました。そんなとき、上官であるミケーレ・コレマッタから呼び出された彼は、対MS特技兵小隊指揮官として、先の戦地付近に誤って降下したというザクⅡ3機の足止めの命令を受けます。彼に与えられたのは、M-101A3 対MS重誘導弾リジーナと、一部を除くまだ従軍して間もない新米兵士たちでした。序盤では、一年戦争序盤における地球連邦軍の苦戦っぷりが描写されたのち、バーバリーの様子と、ミケーレとの掛け合いが描写。バーバリーは今まで何度も対モビルスーツ戦を乗り越えて生き延びてきましたが、そのたびに舞台は全滅していることから、身内の兵士たちからは死神と揶揄されており、自身もそのことを知っており半ばヤケになっていました。バーバリーは、登場当初こそはかなり粗野な態度で、上官であるミケーレとのやり取りも、皮肉を交えて返す等、不真面目そうに見える兵士ですが、それは早い段階で、今まで率いてきた部隊を全滅させてしまった業に対する後悔等の裏返しであることが、早い段階でわかるのが興味深いポイント。また、彼が過去の戦場で活躍しているシーンにおいても、ムチャな指示を出したり自分だけ生き延びるように抜け駆けしたりという行動はとっていないことから、軍人としては任務に忠実であることも窺えます。幸か不幸か、悪運が強すぎるあまり、今まで生き残れてきてしまったバーバリー。その結果ついたあだ名が「死神」って、本人としてはやり切れないですよね。そんな彼に、今回与えられた任務が、ザクⅡ3機の撃破。対モビルスーツ用兵器であるリジーナを与えられたものの、あてがわれた兵士たちの大部分は訓練を終えたての新米兵士ばかりであり、バーバリーは頭を抱えます。兵士たちの姿を見て、渋い顔をするバーバリー。このときの彼の感情は、「こんなのでどう戦えっていうんだ?」という怒りよりも、「こんな新米兵士たちが自分の下についてしまうのか」という悲しみのほうが強かったのではないかと思われます。だって、今までの戦績から考えると、この新米兵士たちは全滅する可能性が高いのですからね―。
右腕であるパパ・シドニー・ルイスを中心に、夜間に駐屯地を出発したバーバリー。ザクⅡ3機のいる地点まで向かう間、彼は不思議な幻覚を見ます。目の前に現れる、死神を自称する女性は誰なのか?しかし、その答えが出ることはなく、彼が気付いたときには、既に日は高く上り、部隊はもうすぐ目的地に到達するところでした。目的地に向けて出発したバーバリーたち。夜闇の中ジープで進軍するバーバリーは、その中で死神と思われる女性と遭遇し、会話を重ねます。『MS IGLOO2』は、特定の主人公がいない作品になりますが、全3話に共通して登場するキャラはおり、それがこの死神とミケーレ。死神は狂言回しの役割も担っており、思わせぶりなセリフを連発してバーバリーを揺さぶります。死神って、死に急いでいる人等に取り憑きそうなものですが、バーバリーってそういうタイプではないですよね。でも、いくつもの部隊の全滅という他人の死の業を背負っていますから、そういう意味では、確かに死そのものに取り憑かれているといえるのかもしれません。
バーバリーは、各部隊に散開するよう命令。彼が確認できる限りだと、ザクⅡは1機のみかつこちらの存在に気づいていない状態であり、先手必勝のチャンスがありました。ザクⅡは地球連邦軍の輸送トラックを追いかけており、バーバリーはザクを撃破するため、やむを得ずその輸送トラックの乗員たちを見捨てる戦法をとり、ザクⅡがリジーナの有効射程範囲に到達した瞬間、一気に攻勢を仕掛けます。その結果、この1回目の一斉発射で完全には撃破出来なかったものの、大ダメージを与え足止めすることに成功します。後半より、バーバリーの部隊とザクⅡの戦闘が描写。部下である新米兵士たちの練度は決して高くなく、また友軍のドライバー1名を見殺しにする形になってしまいましたが、リジーナを使用した連携プレーにより、まずは1機撃破に成功します。ここにおけるザクⅡの登場シーンは、バーバリーたちの視点から描かれており、彼らの感じた脅威がよくわかるような形で描写。ザクⅡは『ガンダム』の最初期から何度も登場しているモビルスーツですが、これにここまでの脅威を感じたのは、今回が初めてでしたね。一応、視聴者目線では、パイロットもまた新米兵士であることが早い段階で明かされるのですが、それを加味しても、ザクⅡの存在そのものが恐ろしく感じられました。そんなザクⅡは、バーバリーの部隊とは異なる地球連邦軍の輸送トラックを発見し、破壊。バーバリーはこれを機に先制攻撃を駆けるよう指示し、リジーナやマシンガンにより、2個ほど小隊を犠牲にしながらも、その撃破に成功します。結果的に、輸送トラックのドライバーを見捨て、自分の部隊でも一定数の犠牲を出してしまったバーバリーでしたが、前者については状況的にやむを得ない部分が多いし、後者については彼が待避を呼び掛けるも間に合わなかったことが明示されていることから、これらの点からも、バーバリーが血も涙もない軍人ではなく、むしろ戦況をきちんと見極めながら、よく戦っている軍人であることが窺えます。彼が悪くない軍人であることも、やむを得ない事情が重なったこともよくわかるけど…、それを加味しても、確かに呪われているのかと心配になるような犠牲の出し方だよねぇ。
リジーナ着弾の音を耳にして、別のザクⅡも合流。マシンガンによる射撃を受け、バーバリーの部隊はダメージを受け散り散りになってしまいます。それでも、部隊の兵士たちは敵前逃亡することなく戦い抜き、ルイスたちはその命と引き換えに、ザクⅡ1機の撃破と、もう1機の足止めに成功。唯一残されたバーバリーは、己の悪運の強さと戦争の現実を呪いながらも、至近距離からリジーナを発射して、足止めされていたザクⅡの撃破に成功します。目に見える範囲の敵は全滅し、バーバリーはまたも自分だけが生き残ってしまったと感じましたが―。終盤では、バーバリーたちと残るザクⅡ2機との戦闘が描写。残った兵士たちによる捨て身の攻撃と、バーバリーの至近距離からのリジーナ発射で2機目を撃破しますが、潜んでいた3機目の存在にはバーバリーも最後の最後まで気づけず、それが彼の最期につながりました。2機目のザクⅡは、1機目よりも経験があるようであり、散開するバーバリーの部隊を次々に攻撃。ところどころ、まるで『ゴジラ』を意識しているような構図も挿入されており、改めてバーバリーたちの感じたザクⅡに対する脅威が、しっかりと描かれていました。そんな2機目は、ルイスたちの捨て身の攻撃と、バーバリーの命がけのリジーナ発射で撃破。中盤で登場する、「このあたりは石切り場だったので、地下が空洞になっている箇所が多々ある」という描写が、ここで生きてくるのは面白いのですが、ルイスたちがやや死に急ぎすぎなのはちょっとマイナスポイント。最終的な結果は変わらなかったかもしれませんが、ルイスたちも、もう少し生き延びれる立ち回り方が出来たんじゃないかなぁ。こうして、またも部隊を全滅させてしまったものの、任務を遂行したバーバリー。相変わらずの自分の悪運の強さを自嘲しますが、そのとき飛び出してきた3機目のザクⅡと遭遇。使える武装が拳銃しかなかった彼は、死を悟って応戦するも、やはり及ばずにその命を散らすのでした。最後の最後で、いるはずなのに見当たらなかった3機目のザクⅡが登場。バーバリーが完全に油断したこともそうですが、先ほど利用した石切り場の跡を相手にも利用され、それが自分の死につながるというのが、彼の戦死の虚しさと哀れさを引き立てているように感じました。やはり、死に取り憑かれた者は、最後は自分の死を招くのか―?
第2話「陸の王者、前へ!」
2009年1月23日発売
カギとなる兵器:M61A5 61式戦車5型
登場した敵他:ザクⅡホワイト・オーガー(エルマー・スネル専用機)、ザクⅡ、マゼラアタック

「いや、敵も味方もない。どの魂もが、最期には、家族を思いゆくさまを―。」
STORY:レイバン・スラーは、第44機械化混成連隊への着任早々、部隊内で最もクセのある指揮官兼戦車長のハーマン・ヤンデルとタッグを組むことになり、彼の戦闘スタイルと容姿、そしてその言動に、驚きを通り越して恐怖すら覚える。一度はヤンデルの指揮権剥奪まで具申したレイバンだったが、彼と話し合い行動を共にするうちに、彼の抱えているものを知る。ヤンデルがここまで、戦闘にこだわる理由は何なのか?やがて、彼の仇敵である白い鬼が、その姿を現す―。
見た目的にも抱える背景的にも、本作中最もインパクトのあるヤンデルと、彼とタッグを組むことになったレイバンを主役に据えた一編。基本的なテイストは第1話と変わりませんが、お話を回す主要キャラが2人に増えたこと、またレイバンの視点が視聴者とほぼ同じであることから、ストーリーがテンポよく進み、かつヤンデルと彼の仇敵であるホワイト・オーガー(エルマー)の各掘り下げがしっかりと行われていることから、想像以上に濃密で楽しめる一編になっていました。観ていて気持ちのいい話ではありませんが、「観てよかった!」と思えるお話でしたね。
第44機械化混成連隊に、戦車のドライバーとして着任したレイバン。彼がコンビを組むことになったのは、第301戦車中隊第1小隊指揮官兼戦車長であるヤンデルでした。なかなか顔も見せないうえ、着任早々演習に駆り出されたレイバンは、ヤンデルのムチャクチャな戦法についていき続け、何とかその演習をクリア。その後彼は、砲台から出てきたヤンデルと初めて対面しますが、その容姿とまるで復讐と死に憑りつかれているようなさまに、絶句するのでした。今回は、レイバンがミケーレの連隊に着任するところからスタート。マジメなドライバーである彼は、コンビを組むことになるヤンデルに挨拶しようとしますが、61式戦車の前に行くや否や、顔も見せずにいきなり乗るよう指示され、言われるがままムリヤリ戦車を起動させると、すぐに演習に突入させられてしまいます。この一連のシーンのおかげで、ヤンデルが顔を全く見せていないにもかかわらず、その強烈なキャラ付けを視聴者に強く印象付ける形になっているのがGood。これはメチャクチャインパクトがあり、私もガツンと頭を揺さぶられた感覚を覚え、一気にドラマに引き込まれました。このあと展開される演習シーンも、ヤンデルの豪快ながら理にかなっている戦術がこれでもかというほど描かれていて、面白さはさらに加速。そのインパクトで見逃しがちだけど、彼のムチャクチャな戦術に、着任早々なんだかんだでちゃんとついて行けてるレイバンも、地味にすさまじいよなぁ…。そして、こうして展開された演習は、やはりヤンデルの圧倒的勝利で終了。戦車から出てレイバンが休もうとしたとき、時間をおいてヤンデルも出てきて、そこで彼は初めて、ヤンデルの容姿を目の当たりにします。ヤンデルは、顔のいたるところに古傷があって無精ヒゲを生やし、脚は義足で不自由そうに歩く等、いかにも戦いを乗り越えてきた軍人といういでたち。ですが、この時点で視聴者には少しだけ、彼が過去経験した戦場での恐怖が回想として明かされているため、このいかにも軍人という形の見た目と言動が、彼の恐怖心の裏返しではないかと推測できるようになっているのも、とても興味深い演出でした。
宇宙世紀0079 7月。地球連邦軍の陽動作戦により、ヨーロッパ北方戦線のザクⅡ部隊が引っかかり、ヤンデルとレイバンの部隊は、他の戦車隊と同様にがら空きになった敵部隊撃破の任を拝命。しかし、モビルスーツと戦うことしか眼中にないヤンデルは、自身の61式戦車の不調を理由に、出撃を取りやめてしまいます。ヤンデルがあまりにも自分勝手で、かつ何かに憑りつかれているように感じられたレイバンは、ミケーレにヤンデルの指揮権剝奪を具申しますが―。地球連邦軍がようやく盛り返しの兆しを見せ、ヤンデルの部隊含む各戦車隊に下った出撃命令。しかし、対モビルスーツ戦にしか眼中にないヤンデルは、実際に発生した自身の戦車のトラブルを理由に、平気で戦線を離脱してしまいます。この態度に、さすがに疑念を持ったレイバンは、ミケーレに具申しますが、ミケーレはなぜかヤンデルを徹底的にかばうのでした。ミケーレはいかにもインテリであることを鼻にかけている軍人であり、通常であれば、ヤンデルのようなタイプの軍人とはそりが合わなさそうな印象。しかし実際は、ミケーレはヤンデルのことを信頼しているようであり、ヤンデルも自身の行動をある程度許容しているミケーレに心を許しているようであることから、不思議な連帯が生まれていました。ミケーレとヤンデルが、このような関係になっているのは意外。ヤンデルが彼に対し媚を売るような立ち回りをするとは思えないので、多分本当にと馬が合ったのでしょう。
ミケーレの協力もあって、ジオン公国軍のエースザクⅡであるホワイト・オーガーのいる部隊をおびき出すことに成功したヤンデルたち。レイバンは、待ち伏せしながら戦地を見渡す中で、ヤンデルがなぜホワイト・オーガーに固執し、そして死神の話を頻繁に出すのか、その事情を知ります。途中、ヤンデルは自身に憑りついている死神のことを、レイバンが最初から気づいていたことに怒りますが、やがて再び打ち解け、ついにホワイト・オーガーの部隊と対峙することになります。後半から、ヤンデルがミケーレに協力を依頼して張ったという偽情報作戦が展開。敵であるジオン公国軍はこれに引っかかり、ヤンデルたちは戦車隊を率いて出撃し、じっと相手が来るのを待ち構えていました。この待ち構えているシーンで、再びレイバンとヤンデルが1対1で会話をするシーンが描写。これを通じて、ヤンデルの過去と彼が戦いにこだわる理由が判明します。以前の戦いで、白いザクⅡであるホワイト・オーガーに戦車を踏みつぶされ死にかけたヤンデルは、同時期に故郷も戦火で失っており、いつしかそのホワイト・オーガーこそがすべての元凶であり、それを倒せば自分を変えられると信じていました。シャアザク等のカラーリングと異なる、真っ白なザクⅡが、今回初めて登場。それに乗るエルマーは、ジオン公国軍側のエースパイロットでしたが、死に場所を探すような言動が多々見られており、彼もまた死神に取り憑かれているといえる状態でした。エルマーは声のみの登場で、その姿自体は最後まで出てこないという異色のキャラ。その言動だけで、彼がどんなキャラでかつどのような背景を抱えているのか想像できるようになっているのが、これまた面白く感じられました。
ヤンデルの部隊は、ホワイト・オーガーの部隊に対して先制攻撃を開始。機動力では圧倒的に上回る相手の攻撃に、味方機が1台また1台と撃破されていきますが、レイバンの的確な状況察知とヤンデルの攻撃により、とうとう残るはヤンデル機とホワイト・オーガーのみになります。動く戦車の姿に先に気づいたのはホワイト・オーガーであり、攻撃を仕掛けて戦車を撃破。ホワイト・オーガーは、自身の勝利を確信しましたが―。終盤では、ヤンデル隊とホワイト・オーガー隊の激突が描写。機動力や総合的な戦闘力は、ザクⅡのほうが上回っている一方、61式戦車は持ち前の火力と相手が想像しないような挙動で相手を徹底的に混乱させ、大きな犠牲を払いつつも、ホワイト・オーガーを除くザクⅡすべてを撃破します。61式戦車の動き方は、通常の戦車以上の高機動性を誇っており、キャタピラで砂漠を縦横無尽に走り回る他、砲塔の可動域外の敵を狙う際は、スクラップになって放置されている廃戦車にわざと乗り上げて高さを確保する等、「こんなことが本当にできるのか!?」と驚かされるものばかり。しかし、そんなことを気にする余裕もなく、次々と戦闘シーンが展開されていくため、非常にテンポよく楽しむことが出来ました。こうしたアクロバティックな高速戦闘は、3DCGだからこそ描けるシーンだよなぁ!そんなヤンデル隊とホワイト・オーガー隊の激突は、最後はヤンデル機とホワイト・オーガーのみが残ることに。先に攻撃したのはホワイト・オーガーであり、エルマーは事前の情報から部隊の車両数を知っていたので、この攻撃による破壊でヤンデル隊を全滅させたと思い込んでいましたが、直後ヤンデル機が背後からホワイト・オーガーを狙撃して逆転勝利。このような芸当が出来たのは、今回のヤンデル隊が、特別編成の都合から、8両ではなく9両で構成されていたからでした。車両数の話は若干都合が良すぎるようにも感じますが、この戦いを通じてヤンデルはホワイト・オーガーに勝利。これで彼は、仇敵を倒し自分を変えられると思いましたが、直後やってきた別のジオン公国軍の歩兵部隊の攻撃の前斃れます。ヤンデルの最期はやや唐突ですが、ホワイト・オーガー撃破からの流れを考えると、順当な最期だなという印象。エルマーはホワイト・オーガーもろとも格下と思っていたヤンデルの戦車隊に敗れ、ヤンデルもまた、戦車隊より格下である歩兵部隊に敗れており、死の際の構図が酷似しているからです。そして彼らのこの最期もまた、戦争の虚しさを引き立てているように感じましたね。このようにヤンデルたちは全員死亡しましたが、レイバンだけは奇跡的に生き延び、その後終戦まで生き残ることが、エンディングのモノローグで判明。さらに、ここでの語りにより、彼もまたヤンデルと似ている部分があったことが明かされます。似たような経験をしたにもかかわらず、正反対の気質と容姿の兵士になった、レイバンとヤンデル。彼ら2人における決定的な違いとは、何だったのでしょうか―。
第3話(終)「オデッサ、鉄の嵐!」
2009年4月24日発売
カギとなる兵器:RTX-440 陸戦強襲型ガンタンク
登場した敵他:ドム、グフ、ザクⅡ、ザクⅠ、ダブデ、マゼラアタック

「聞こえるか?あえて裏切り者となり、この戦いの趨勢を決める情報を、連邦に流し続けた男の声が。」
STORY:第44機械化混成連隊改め独立混成第44旅団に配属されたのは、ジオン公国への情報流出幇助の罪で終身刑を食らっていた、アリーヌ・ネイズン率いるRTX-440 陸戦強襲型ガンタンク部隊だった。囚人兵ということで見下していたミケーレだったが、オデッサの戦いにおいて陸戦型ジムが苦戦する一方、あらゆる攻撃をものともせず突き進む彼女らに、やがて称賛を浴びせるようになる。彼女たちをここまで突き動かしていたのは、アリーヌの抱える復讐心にあった。仲間が次々と自爆していく中、アリーヌが達成した復讐の先にあるものは、いったい何なのだろうか。
第1・2話とは趣がかなり異なり、女性囚人兵であるアリーヌを主人公に据え、オデッサ作戦の中で復讐を成し遂げようとする彼女と、その先にあった悲哀を描いた一編。戦闘シーンは今までの中で最も力が入れられており、またドラマも最後の最後で意外な展開が待ち受けていたことから、両方の面からしっかりと楽しむことが出来る、本作最終回にふさわしいお話になっていました。アリーヌの生死は不明のまま終わるけど、あれだけの攻撃にさらされていては、おそらく―。
宇宙世紀0079 10月。ジオン公国軍に対して反撃し盛り返しつつあった地球連邦軍は、ついにオデッサにてマ・クベ率いる部隊と衝突。やや優勢に戦いを進める一方、ミケーレ率いる独立混成第44旅団は、苦戦を強いられていました。そんな中、部隊に配属されたのは、アリーヌ・ネイズン率いるRTX-440 陸戦強襲型ガンタンク部隊でした。囚人兵である彼女らは、ミケーレから明らかに見下された態度をとられますが、アリーヌは文句を言わずに1人コクピットで夜を明かすことに。その際、彼女の背後に現れたのは…。今回は、前2話とはテイストが大きく異なり、地球連邦軍が優勢となったオデッサの戦いが舞台。今までに比べると、ミケーレも気をもむことはないはずでしたが、その優勢の戦局の中で自身の部隊はなかなか戦果が挙がらず、焦りを隠しきれなくなっていました。飄々としていてやや厭味ったらしいものの、比較的冷静だったミケーレですが、今回はかなり感情豊かになり、感じたことをすぐに口に出すように。気持ちはわからんでもないけど、勝っているときのほうが情緒不安定だなんて、面倒くさい上官だな…。そんなミケーレのもとに、新たに着任したのが、アリーヌの部隊。皆何かしらの罪で投獄されていた、元軍人の囚人たちで構成された部隊であり、ミケーレは彼女らのことを見下していた一方、当の彼女らは反感を抱きつつも、大きく反抗することはありませんでした。囚人兵と聞くとギョッとしますが、アリーヌ以下この部隊の兵士たちは、非常にまともで練度もある程度高く、十分戦力になる軍人たち。傍から見ると、「逆になんで収監されたの?」と首をかしげたくなるようなヤツらばかりです。見た目だけなら、ヤンデルとかのほうが数倍囚人兵っぽいよ…。そんな部隊の中で、アリーヌは夜、自身の陸戦強襲型ガンタンクの中で過ごしていると、目の前に死神が出現。死神は、アリーヌの恨みの感情に着目していました。今回、アリーヌと死神は同じ井上喜久子さんが担当。キャストが同じなのは偶然か、それともドラマ的に何らかの意図をもっての起用なのか―。今回を視聴してから改めて考えると、どちらともとれるなぁという印象でした。
翌朝、戦闘が再開。陸戦型ジムが追加で配備されたことと、戦果を焦っていたことから、ミケーレは積極的な攻勢を指示しますが、肝心の陸戦型ジムは敵の罠にはまり、次々に撃破されていきます。頭を抱えたミケーレは、半ばヤケクソでアリーヌたちに後方支援を指示。こうして出撃することになった彼女らは、勇猛果敢な戦闘スタイルで、想像をはるかに超える戦果を挙げていきます。中盤より、オデッサ作戦の戦闘が展開。何としても戦果を挙げたいミケーレは、配備された陸戦型ジムを積極的に投入しますが、敵のワナに引っかかり多くが大破。一気に戦力を削がれた彼は、後方支援のために待機させていたアリーヌの部隊に泣きつくことになります。陸戦型ジムは、真っ向勝負をかけて競り負けたというのであれば、まだ体面が保てますが、勢いよく突っ込んだものの、作られていた濠に落っこちて集中砲火を食らったり、相手のザクマシンガンの銃撃に耐えられすっ転んだりと、正直ダサい負け方ばかり。前者はまだしも、後者は荒野での戦いの基本を考えれば、だいぶ被害は軽減できるような気がしますが…もしかしてミケーレ、指揮官としての能力は高くないのか?そんなミケーレに泣きつかれて、後方支援のはずが急遽最前線で戦うことになったアリーヌたち。しかし、彼女たちは最前線に放り込まれることは慣れており、また駆っている機体が、アリーヌ自身が手塩にかけて開発した陸戦強襲型ガンタンクであったため、全く混乱等せずに戦闘に介入。あれだけ陸戦型ジムが苦戦していたザクⅡとザクⅠの混成部隊を鎮圧し、進軍していきます。陸戦強襲型ガンタンクは、その名の通りガンタンクの発展機ですが、ガンタンクとはとても思えないほどの柔軟な動きとアクロバティックな攻撃を披露。ザクⅡに対し怯まないどころか、逆に恐怖感を植え付けるほどの怒涛の攻撃っぷりは、「陸戦強襲型」の名にふさわしい力強さがありました。『ガンダム』では、登場当初からモビルスーツの出来損ないのように揶揄されていたガンタンクでしたが、技術革新によりこれだけ強くなっているのであれば、もうバカにはできないよねぇ。後述の事情がなくガンタンクの開発が進んでいれば、本当にジムと肩を並べる地球連邦軍の主力兵器になっていたかもしれませんね。
アリーヌ隊の戦果にミケーレが興奮する中、敵指揮艦であるダブデを発見したアリーヌたちは、迷わずそれに突撃。ドムやザクの攻撃も次々にはねのけて接近しますが、やはり敵の攻撃も苛烈化し、部下であるドロバ・クズワヨやミロス・カルッピも、自爆して散っていきます。そうした犠牲を払い、ついにダブデに張り付いたアリーヌでしたが、なんとダブデは2機いたうえに、ミケーレからうち1機は攻撃するなという命令を受けます。後半も、引き続きアリーヌたちの優勢は続きますが、ダブデに近づくに連れ敵の攻撃も激しくなり、ドロバやミロスは命を散らすことに。しかし、ハナから自爆覚悟で出撃し攻撃を仕掛けていた彼らに、後悔はありませんでした。後半で、アリーヌ以外の隊の全員が戦死。しかし先述のとおり、彼らは最初から相討ち覚悟で戦闘に挑んでいたため、悲壮感はほとんどありませんでした。そのためこれよりも、陸戦強襲型ガンタンク単体で、ザクⅡだけでなくグフやドムまで倒していたことに驚かされましたね。ガンタンクとは思えないほどの驚異的な強さ。この時期アムロのガンダムは、黒い三連星をようやく倒した頃ですから、下手すりゃガンダムよりも強かったんじゃないか、この機体!?こうして、多くの犠牲を払いながらもダブデに張り付いたアリーヌ。しかしダブデは2機いたうえ、一方を攻撃するなというミケーレの命令が、彼女を追い込みます。ここであの死神が再び現れ、比較的無傷なダブデを攻撃しろと助言。死神はこのときアリーヌの運命を知っていたはずだから、意図的に彼女を絶望のどん底に叩き落とすつもりだったんだろうなぁ。
ミケーレの指示に納得ができず、また死神の言葉を頼りに無傷のダブデに対し攻撃を仕掛けることにしたアリーヌ。その読みは当たっており、中には復讐の対象であるクライド・ベタニーがいました。無線越しに彼は釈明してきますが、アリーヌはそれに耳を貸さず、陸戦強襲型ガンタンクで自爆しダブデを破壊。こうして、彼女はその命と引き換えに復讐を達成したかに思われましたが、なんと彼女は奇跡的に生き延びたうえ、死神から衝撃的な情報をもたらされることになります。終盤で、アリーヌはミケーレの命令を無視し、ダブデに対し攻撃。ここで、断片的にほのめかされていた、彼女の恨みの原因と投獄された理由が明かされます。アリーヌはもともと、同僚王のクライドとともにガンタンクの開発に携わっており、恋仲になりますが、クライドは地球連邦軍を裏切って、ガンタンクの情報を手土産にジオン公国軍へ。これのせいで、彼女は情報漏洩幇助の罪で投獄されることになり、以来、クライドに恨みを抱き続けていました。アリーヌは前2話の主人公よりも複雑な背景を抱えていますが、それをギリギリまで明かさず、かつ明かす際も直接的に言及する形にしていないのが、興味深いポイント。流し見しているとわかりにくく感じる部分もあるかもしれませんが、面白いドラマ構成でした。そんなアリーヌは、クライドの乗るダブデに特攻する形でそれを撃破。彼女自身も死を覚悟しましたが、なぜかコクピットから放り出されて生きており、ダブデの沈黙を見届けます。しかしその直後、死神からクライドの真実を告げられ、慟哭するのでした。復讐を達成したアリーヌに知らされる、クライドの真実。それは、彼が二重スパイで本当は地球連邦軍を裏切っておらず、ガンタンクの情報を持ち出したのは、もともと上層部の方針で開発中止が予定されており、「流出しても構わない情報」として選定されていたからでした。死神に語らせすぎているのが、少し興醒めにも感じますが、最後の最後で一気にアリーヌを叩き落す急展開は、ガツンとインパクトがあり、このドラマを忘れられないものにしてくれました。このときのアリーヌの悲しみは、ハンパないものがあっただろうなぁ。そしてラスト、地球連邦軍からの最後のジオン公国軍側へのミサイル攻撃が到達し、アリーヌはその爆風の中に消えて終了。その生死は明言されていませんが、死神が離れてしまった彼女が、あの状況下で生き残っているとは思えないよなぁ…。
こうして、『MS IGLOO』の名を冠する、2種3作品の物語は完結となりました。
次回は総括として、改めてこれら物語を振り返ってみることにしましょう。
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☆ガンプラ Pick Up!
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