お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『ウルトラマンアーク』第9話 ちょっとした感想

理想の実現方法を誤った悲劇

 

 

 

皆、今目の前にあることしか見ていない!未来を犠牲にしてどうする!?今回の『ウルトラマンアーク』は、2回目となるリンの主役回。彼女の恩師であるゲストキャラクター:山神との関わりを通して、彼との過去を回想する形で学生時代のリンの様子が判明したほか、怪獣細胞を巡る彼女と彼の別れが描かれた、前回から一転してハードな雰囲気のドラマが展開されました。

 

やや駆け足気味ではありましたが、現代における山神への調査と、リンの回想を交互に挟み込んで、2つの要素を同時並行で進めてドラマとキャラに深みを与えてくれているのはGood。山神が悪事に手を染めた理由もしっかり作られており、ドラマも十分楽しめました。30分間で収めるにはややギチギチな感じもしましたが、そうした限られた中でもこれだけのことを描けているのは、素晴らしいと言えるでしょう。

 

なお、前回(第8話)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

◎ストーリー面

リンの恩師であり、SKIP入隊のキッカケを作ったゲストキャラクター:山神にかかる疑惑と、無実を信じながらも内部調査に協力するリンの姿、そしてその最後に末悲しい別れを描いた一編。今回はユウマの出番は最低限であり、かなりリンと山神の描写に注力されていたことから、リンのキャラクターがメチャクチャ深まったように感じられました。山神の悪事に手を染めた動機は、確かに根底にある理想は一理あるものでしたが、その手段やそれを肉付けする彼の考え方は、ちょっと賛同しかねるものだったかなぁ。

 

市街地に出現したネロンガを、リンの発案をもとに、過剰給電によりショック死させて倒した、SKIPと防衛隊。そこへSKIP本部より、山神という男が研究調査のためにやって来ます。彼はリンの恩師であり尊敬の対象でしたが、裏では怪獣細胞の横流し疑惑が浮上しており、リンはシュウから持ちかけられた内部調査を買って出ていました。山神と話したユウマは、彼が悪い人には見えないと感じていましたが…。今回は、いきなりネロンガが出現しており、それをリンの発案で倒すところからスタート。彼女の発案には、以前のVSネズドロン戦で関わったカワミ重工の協力がありました。ネズドロンに給電されたうえ、本社ビルまでぶっ壊されていたカワミ重工、ちゃんと立ち直っていたんですね。こうした、作品内で過去出てきた要素をちゃんと拾ってくれるのは嬉しいですよね。そうして倒されたネロンガの調査のため、SKIP本部から派遣されてきたのが、山神。彼はリンの恩師でしたが、裏で怪獣細胞横流しの疑惑があり、リンは内部調査の密命を受けていました。リンの回想という形で、彼女が山神の調査を請負うことになる過程が描写。ここでは、「なぜ山神への疑惑が生まれたのか」という点をしっかりと描写しており、1つ1つの事象の原因を出来るだけちゃんと説明しようとする『アーク』の良い一面が出ていましたね。山神が犯人ではないかと特定された理由が、「署名が残っていたから」というのはお粗末な感じがしますが、今回で事件の発端から結末までを描かなければならなかったことを踏まえると、こうした設定による描写の圧縮は、まあ仕方ないでしょう。

 

山神のある行動をキッカケに、リンの彼への疑惑が深まっていくも、彼女の脳裏によぎるは、彼との思い出ばかり。リンにとって山神は、怪獣学に興味を持ち、SKIP入隊のキッカケとなった、人生にとって重要な存在でした。激しく葛藤する中で、リンはついに、山神に対して怪獣細胞横流しの疑惑の件を話し、人気のない倉庫へと誘導。そこへのこのことやって来た山神は、リンがシュウを通じて手配していた防衛隊の一般兵たちに囲まれます。中盤では、リンがさらに山神のことを思い出し、高校生の頃のことを回想。彼女は図書館で偶然彼と出会ったことをキッカケに、怪獣学に興味を持って、彼の大学の講義に出たり研究室に出入りしたりするようになっており、彼が大学を辞してSKIP入りすることを知りわ自身もSKIPに入ることを決意していました。若干時系列が前後しているのでわかりづらかったですが、回想形式でテンポよくリンの山神との思い出を描写し、彼女のキャラを深掘りしているのはGood。同時に、過去山神の見せた何気ないクセを先に回想シーンで描写し、その後彼に怪獣細胞横流しの話をぶつけた際に同じ行動をさせることで、リン的にも視聴者的にも「山神はウソをついている」と認識させる流れにしていたのは秀逸でした。あからさま過ぎると言えばそうかもしれませんが、ドラマを盛り上げる効果は十分にあったと感じましたね。そんな山神への疑念が確実になったリンは、あえて彼に怪獣細胞横流し疑惑の件を話し、人気のない倉庫に誘導。これに引っかかった山神は、リンと再会した直後、シュウら防衛隊に取り囲まれます。

 

倒したはずのネロンガが、まさかの復活。また、空に金色の虹がかかってパゴスが出現し、ユウマたちはその対処に追われます。これに乗じて逃げ出した山神を、リンは追跡し、追い詰めた末彼の動機を聴取。そして、アークによってネロンガとパゴスが倒されたのち、彼が悪事に手を染めていることに涙しながら、彼を防衛隊に引き渡すのでした。リンとの思い出など忘れたと語る山神でしたが―?山神を取り囲んだ直後、復活するネロンガと、新たに現れたパゴス。この理由についてもキチンと劇中で触れられていたのには、好感が持てました。「パゴスに追われてネロンガが地上に出てきた」って、パゴスってそんなに強い怪獣なのか?あんまりイメージわかないけど…。ちなみに、ネロンガとパゴス、そしてガボラとマグラー(劇中未登場)は、『アーク』の世界では祖先が同じであることが言及。これは明らかに、オリジナルが全てバラゴンのスーツ改造であることを元にしたネタですよね。そんなネロンガとパゴスは、アークが激戦の末撃破。その間リンは、逃げ出した山神を追いかけ、最終的に彼が防衛隊に拘束されていくのを背中で見届けます。山神が語った怪獣細胞横流しの動機は、怪獣をただ倒すだけでなく、もっと有効活用すべきだと考えており、そのための研究資金が必要だったから。彼は、持っている理想は崇高だけれども、それを実現するための手段を誤ったパターンのキャラでしたね。怪獣の力の利用は考えるべきものだとは思いますが、現状怪獣を倒すので精いっぱいな防衛隊とSKIPに、そんなことをしている余裕はないだろうしなぁ。それに、山神は「未来のために今多少の犠牲を払うべきだ」と語っていますが、その犠牲に対する始末を誰がつけるのかという観点が欠落しているので、彼もある種身勝手な考え方を持っていると言えるかもしれません。こうして全てを白状した山神は、防衛隊に拘束され裁きを受けることに。「リンとの思い出は忘れた」と語って去っていきますが、その際の彼は、ウソをつくときに必ずするあのクセが出ていました。今回のラストシーンは、本当に強く印象に残るものになっており、山神のクセの所作ののち、リンの表情をかなり長めに撮ることで、彼女の感情をしっかりと表現しているのがGood。そして、セリフとして「さよなら、リン」のみを言わせることで、今回のサブタイトルにいくつもの深い意味を与えてくれていたのが素晴らしかったです。「さよなら、リン」は、山神の彼女との別れであると同時に、彼女自身が、過去の自分と思い出に別れを告げるという意味でもあったのですね―。

 

 

 

◎特撮面

ネロンガとパゴスという、スーツ的にバラゴンルーツを持つ縁深い怪獣2体が出現した今回。どちらもそこそこ知名度があり、「ニュージェネレーションヒーローズ」作品には登場している一方で、そこまで強敵という印象はなかったのですが、今回は各々の特性を存分に見せてくれており、アークを苦しめていました。また、それら怪獣たちやアークの活躍にかかるミニチュア特撮やCG合成も、ダイナミックで見ごたえがありましたね。

 

リンの作戦で倒されたかに見えたネロンガが、夕方になってまさかの復活。そして、それを狙っていたかのように、地底からはパゴスが出現します。市街地のど真ん中でぶつかり合う二大怪獣は、周囲に甚大な被害をもたらしていきます。ネロンガもパゴスも地底から出てくる怪獣であるため、今回はその登場の仕方にかなりこだわられていた印象。特にパゴスは、金色の虹が空にかかったかと思うと、地上にうねりをもたらして建物をなぎ倒した挙句、工場をぶっ壊してそのまま登場するという、かなりドハデな登場の仕方をしてくれていました。しかも、こうした一連の表現を、ミニチュア特撮主体でやってくれているのがGood。パゴス登場シーンは、リアタイ時思わず声を出して唸っちゃいましたよ。

 

暴れる二大怪獣に応戦するため、ユウマはアークに変身。最初こそ、2体のど真ん中に登場してタックルでひるませますが、各怪獣の攻撃の前に、じょじょに太刀打ちできなくなっていきます。太陽が沈みかけ、カラータイマーも点滅する中、アークはソリスアーマーの力を使用します。戦闘シーン中盤から、アークが登場。最初は見上げるようなアングルで堂々と登場し、タックルでネロンガとパゴスを怯ませてくれましたが、途中からそれら怪獣の攻撃に押され気味になってしまいます。アークが押されるシーンでは、各怪獣の特性を存分に生かした攻撃をきちんと描写しているのがGood。ネロンガの透明化能力、パゴスの地中潜行能力が、ちゃんと挿入されていました。アークもアークギガバリヤーで防御していたけど、さすがに挟撃には対処しきれていなかったよなぁ。以前みたいにバリヤーは真っ二つにできるんだから、それを応用して両側を防御!…ってのは、やっぱりムリか。

 

ソリスアーマーにチェンジしたアークは、ネロンガとパゴスの攻撃を完全に押し返し、そのまま両者をおびき寄せることに成功。そして、1か所に固まったときを見計らって上空へ飛び立ち、ルーナアーマーキューブを利用したアークアイソードで、一刀両断!ネロンガとパゴスはきらめくように爆発四散し、アークは逆転勝利を収めるのでした。ソリスアーマーになってからのアークは、今までの苦戦がウソのように反撃。特に、2体の攻撃を受けてもまったく動じず、アーマーの防御力で粘り切っていたのには、かなりの強さを感じました。その後、アークは上空へ飛び立ち、アークアイソードで2体を一気に切り裂いて勝利。このとき放たれるスラッシュのCGエフェクト、そして爆発四散するネロンガとパゴスの演出は、どちらも美しく素晴らしいものでしたね。今回は久々のソリスアーマーの登場になりましたが、アークキューブの販促のために、わざわざアークアイソードに装填するアークキューブをルーナアーマーキューブにしているのも、よく考えているよなぁと感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウマの友人:カズオのアマチュア無線が奇跡的につないだ、はるか遠くの星との交流。しかしその電波は、怪獣ノイズラーを引き寄せるものでもあった。ノイズラーを抑え込むために、ユウマたちは、せっかくつながった未知との交流を遮断するしかないのだろうか!?

 

次回は、数年前にスーツは完成していたのに、諸事情によりしばらく出番がなかったノイズラーが、ついに、ついに登場!音ではなく音波に引き寄せられる特性になっているようですが、オリジナルから設定が微妙に変えられているのでしょうか?とにかく、新たなる『80』怪獣の再登場に伴う活躍に、期待です!

 

 

↓次回も走れ、ユウマ!

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

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