奇跡を実現する超能力戦士:ルーナアーマー登場!
お月さまみたいに、皆を守れる人になってね―。今回の『ウルトラマンアーク』は、アークのもう1つの初期タイプチェンジ(アーマーチェンジ)である、ルーナアーマーの初登場回。ホムガー自身もかなり攻撃的な見た目をしていたことから、てっきりハデに撃破するのかと思いきや、逆にホムガー保護のためにアークが尽力するという、「ウルトラシリーズ」だからこそできる一編になっていました。
2回に分けてアークとホムガーの戦闘を描いたり、ホムガーの生態の解明とその保護という2つの謎をストーリー上で追いかけさせていたため、飽きずに最後まで観ることが出来たなという印象。ただ一方で、全体的に欲張りすぎた感があり、ちょっと料理しきれていなかったなとも感じました。正直、杏樹/ホムガーの精霊はノイズでしたよね。
なお、前回(特別総集編1)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
◎ストーリー面
突然現れたホムガーに対して、その生態とは何なのか、そしてユウマだけが知り得る少女=杏樹の存在とその秘密とは何かと、いつも以上に怪獣を主軸にした謎解き要素が強めだった今回。その果敢な挑戦はしっかりと評価されるべきですが、一方でそれらを料理しきれておらず、なんとか生煮え状態で完結させた感じも否めませんでした。杏樹を、もっと何かしらプラスの方向に活用できると、良かったんだろうけどなぁ。
連日星元市を襲う、異常なほどの猛暑。エアコンも壊れてグロッキー状態のユウマたちのもとに、市街地の道路から間欠泉のようなものが出たという通報が入ります。調査に当たるユウマたちは、当初は怪獣の存在を感知出来なかったものの、その後間欠泉が次々と噴き上がり、ホムガーが出現します。ユウマはアークに変身し、ホムガーに挑みますが、エネルギーを吸い取られて敗北。地面に投げ出されたユウマは、そこで先ほど見かけた少女と再会するのでした。今回は、アバンタイトルに幼き日のユウマのこと(ルーナアーマー誕生への伏線)を挿入後、猛暑で完全にやられているユウマたちからスタート。途中からホムガーのことに話題が移行するため、結局この45℃超えの異常高温と、ホムガーの出現との因果関係は明かされませんでした。ということは、この高温って純粋な異常気象だったってこと!?それはそれで、ホムガー以上にヤバい気がするけど…。そんな、試練に晒さられるSKIPそして星元市に出現したのが、ホムガー。ユウマはすぐにアークに変身して応戦しますが、杏樹の声が聞こえ、またエネルギーを吸収されてしまったことから、エネルギー切れを起こして消滅してしまいます。このあたりの展開は、なんだかウルサマ2024後期のライブステージに展開が酷似。まあ、これは本当に単なる偶然でしょう。
シュウの発表やユーの調査を見聞きしながら、1人杏樹に考えを巡らせていたユウマ。そこで彼は、世界各地に残るホムガー伝説の話を思い出します。今回もそれに類似する事例として、ヒロシは星元市一帯に避難命令を発令し、SKIPは誘導に奔走。そしてタイムリミットの夜、ホムガーは目覚め、ユウマは少女と再会します。ユウマが気づいていた、杏樹の正体とは―。中盤では、ユウマたちがホムガーの生態についてあれこれ考察するという、『アーク』ではお馴染みになった描写が挿入。今回は今までとは異なり、ホムガーの生態にプラスして「なぜホムガーが今現れたのか」という謎も付加されており、ユウマたちSKIPのメンバーらが考えるさまで見せ場を作っていました。そのまま展開させると、今回ではとても完結しそうにないため、ユウマがホムガー伝説を知っていたという流れにしたのは、描写を圧縮していてGoodだなと感じましたが、一方で、わざとユウマがホムガー伝説における精霊のことを話さなかったり、ホムガーの腹部における鼓動を「子供がいるんじゃないか」という想像力を働かさせなかったのはマイナスポイント。前者については、今後のドラマ展開を加味すると、百歩譲って受け入れられますが、後者については、鼓動にプラスして「体温が高くなっている」という、妊娠中の症状と思われる兆候が見られていますから、これをSKIPのメンバー全員が見逃すのは致命的に思えるんですよね。むしろ、このあと杏樹の話をやるんだから、ここの時点でユウマたちが「子供がいるのではないか?」ということに気づかせ、ホムガーの生態を守るか、それとも星元市を守るか、杏樹からの意見もありユウマが苦悩するという流れにしたほうが、よりスムーズに違和感なく展開させられたのではないでしょうか?
杏樹から批判されつつも、アークに変身し挑むユウマ。彼はホムガーをなんとか救おうとしますが、産気づいたホムガーは暴れ、なかなかいうことを聞きません。そのとき、アークの脳裏によぎったのは、幼き日の母との思い出。それをもとに、月の力を宿したルーナアーマーへとチェンジしたアークは、特殊フィールドを作ることでホムガーの出産による衝撃を抑え込み、ホムガーの新たな命を繋ぐのでした。杏樹の正体は、ホムガーの精霊。彼女があれだけ、それを倒すことに抵抗していたのは、ホムガーが地上に出てきたのは単に出産のためであり、ホムガー自身に悪意は無いから。杏樹の主張はよくわかりますが、その一言言えば済むことをなかなか言わず、ただひたすら高圧的にわめくさまが、こうした言い方はあまり良くありませんが、女性的な女性の描き方だなと感じました。それに「人類と共存してきた」って言ってるけど、出産のたびに周囲に甚大な被害を出して、伝説として残ってるじゃん。これを共存というのか?杏樹が消滅するシーンがドラマチックでGoodだっただけに、ここの過程の強引さは非常に残念でしたね。そんな、杏樹からあれこれ言われたユウマは、アークに変身し、ホムガー不殺の方向で挑みますが、産気づいたホムガーの抵抗に遭って苦戦。しかし、ここでルーナアーマーの力を初めて発動させ、そのトリッキーな能力でホムガーの爆発を抑え込み、無事ホムガーの命を次の世代へ繋ぐのでした。ルーナアーマーの誕生シーンはドラマチックで、まさにサブタイトルの「満月の応え」に相応しい展開。ホムガーの生態とのダブルミーニングになっているのも秀逸でした。そしてラスト。またいつか、次のホムガーが出現するかもしれないというフラグを残して、今回は終了。ここでユウマが、モノローグで、「だからこそ、ホムガーの記録を残して、次の世代に伝えていくんだ」という形にしていたのは、人類側の視点(ホムガーを出産前に倒したほうが良かった)を汲みつつ、杏樹の意見も尊重し、総じてプラスの方向に持っていっていたのが、いい塩梅でした。
◎特撮面
冒頭述べた通り、ルーナアーマーの初登場回となった今回。お話の都合上アークファイナライズの使用がないことから、1度目の戦闘で通常のアークの戦闘を見せ、2度目の夜戦でルーナアーマーの活躍を見せる構成が、お話にもマッチしていてGoodでした。ルーナアーマーはまさに、「青いウルトラマンは超能力戦士」でしたね。
異常高温に見舞われる星元市に発生した、不可解な間欠泉。それはホムガー出現の前兆!出現しガスタンクに迫るそれを前に、ユウマはアークに変身して挑みますが、杏樹の声とホムガーのエネルギーを吸う能力の前に、敗北してしまいます。前半に挿入される1回目戦闘では、アークがまだホムガーを敵と認識していることもあり、アクション重視の戦闘シーンが展開されているのが特徴。ニュージェネ作品にも、新規四足歩行怪獣は何体か登場しましたが(スフィアザウルス等)、ホムガーはその中でもかなり実際の動物に近い、獣のような感じであることから、それとアークの戦闘シーンは、なんだか新鮮に感じられました。アークとホムガーが、間合いを取りながらお互いの動き出しを探ってるシーンも、緊張感があって引き込まれましたね。
夜になって、再び目を覚ましたホムガーは、咆哮を上げて市街地を侵攻。防衛隊による攻撃が開始される中、杏樹の言葉を受けたアークは、ホムガーを保護しようと試みます。しかし、ホムガーに暴れられてしまったことで、防戦することで精いっぱい。アークギガバリヤーも破られてしまい、窮地に立たされます。後半の戦闘シーンでは、『アーク』初の夜戦が展開。ホムガーに降り注ぐ防衛隊の攻撃による爆発、そしてホムガーの吐く火炎等、火の描写がこまめに挿入されていましたが、ここで最も印象に残るのは、やはりアークギガバリヤーを突き破ってくるホムガーのさまでしょう。ネズドロンのとき以上の迫力と緊張感で描写されたそれは、アークの追い込まれっぷりをしっかり表現できていてGoodでした。
ホムガー保護に行き詰まったアークの上空に照るは、神々しい満月。そこから幼き日のことを思い出したアークは、月の力・ルーナアーマーを発動させます。持ち前の超能力で、ホムガーを撹乱し特殊フィールドを作り出したアーク ルーナアーマーは、ホムガーの爆発を抑え込み、無事ホムガーの次の命と星元市を守り抜きます。終盤で登場、ルーナアーマー!名前やモチーフからコスモス ルナモードを想起しましたが、初登場時の活躍も、それに似たようなものになるとはなぁ。そんなアーク ルーナアーマーの活躍は、CG合成を大胆に多用することで、トリッキーさを表現。持っている能力や戦闘スタイルはわデッカー ミラクルタイプって感じでしたね。
星元市が陥った経済危機。その原因は、ネット上の投げ銭を片っ端から食べる、怪獣カネゴンにあった!ネット上に生息する怪獣相手に、アークは、そしてSKIPは、どう立ち向かうのか!?
次回は、以前から告知されていたカネゴンの登場回。インターネット上に生息しているという設定は、なかなか上手いこと考えたなぁと感じましたね。これでキャッシュレス時代にも対応したってことに出来るし、ネット上だからという理由で、『グリッドマン』みたいなミニチュア特撮も出来ますからね!
↓次回も走れ、ユウマ!
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