あきらめない探求心がつなぎ続けた絆
想像力は、俺たちの翼だからな!今回の『ウルトラマンアーク』は、ヒロシにスポットを当てた単発回。次回予告で、ゲストである牧野博士と何か因縁があるような演出があり、どうなるのかなと思いましたが、その話し合いによる解決は『アーク』の作風にマッチしており、過度にお話の雰囲気を重くしておらず良い塩梅だったなと感じました。
特撮面では、「ウルトラシリーズ」ではもうかなり久々と言える、本格的な水中戦が展開(『トリガー』の水中戦は、あんまり水の描写がなかったよね)。実際の水を使った演出も大胆に挿入され、「「ニュージェネレーションヒーローズ」作品の単発回でもここまで出来るんだぞ!」と、底力を証明してくれたような気がして、嬉しくなりましたね。かつての平成三部作のような予算度外視の演出はムリだけど、あのとき並みに特撮描写のバリエーションを増やすのは、今の円谷プロなら難しくないんじゃないかな。
なお、前回(第4話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
◎ストーリー面
怪獣の化石が発見されたことをキッカケに、峠一帯が一夜にして塩湖になる怪現象が描かれた、『ウルトラQ』や『怪奇大作戦』のようなテイストも多分に含んでいた今回。怪現象やリヴィジラにかかる説明描写をかなり挿入している中で、キチンとヒロシと牧野博士のことを描いていたのには、好感が持てました。いや~、でもまさか、事件解決のヒントがゆで卵にあるとはねぇ。
大光峠で発見された謎の化石の調査にやって来たのは、巷で恐竜博士として有名な牧野博士。ユウマが目を輝かせながらそのさまを観る一方で、ヒロシは複雑そうな表情をしていました。その後、一夜にして大光峠に塩水が流入し塩湖を作るという怪現象が起き、SKIPにも出動要請が。ヒロシも現場に赴き、牧野博士と会って彼が恩師であることが判明しますが、依然としてヒロシの表情は明るくなりませんでした。今回は、リヴィジラが原因による事件は早い段階で起きるも、その姿は終盤まで出てこないため、ドラマの主体となるのは、「大光峠に塩湖ができた」という怪事件の調査にかかる人間模様。恐竜博士こと牧野博士も序盤から登場し、SKIPにかかわってくることになります。ヒロシは中盤まで、固くて暗い表情ばかり。このときは、その原因が明かされていなかったので、牧野博士との間の溝は修復不能なほど深いものかと思いましたが、実際はそうではなくて、ホッとしましたね。そんなヒロシは、調査となるとかなり熱を入れて打ち込むようになり、シュウたちが調査続行に懐疑的なことを言っても、アツく反論。彼のまた違った一面を見れたように感じました。
塩湖ができた怪現象の発生から1週間。その発生は事実である一方、怪獣災害の危険性が確認できないことから、防衛隊は翌朝に避難命令の解除を決定。それでも、ヒロシたちはこれには何かあると考え、あきらめてはいませんでした。しかし、調査や研究をしても、有力な手がかりは得られずじまい。そして避難命令解除の日の朝、ヒロシは同じくSKIPに詰めていた牧野博士と1対1で再会します。2人の間にあったわだかまりの原因は、K-DAY前に大学であった、ある化石のことが原因。腹を割って話し合い、お互いの考えを知った2人は、ともに手を取り合って調査を再開するのでした。中盤では、ヒロシと牧野博士の1対1のやり取りで、彼らの間にある溝が判明。ヒロシは大学時代、大光峠で発見した化石を持ち込み、巨大生物の化石ではないかという仮説を立てますが、牧野博士はその意見にほとんど耳を傾けなかったことがあり、その数年後、あのK-DAYが起きていました。この中盤でのやりとりは秀逸で、ヒロシと牧野博士の因縁を明かすと同時に、大光峠ひいては星元市がヒロシにとって縁の深い土地であったこと、またこのこととK-DAYのことを絡めて、お互いその出来後につき思うところがあったことを同時並行で描写しており、ヒロシと牧野博士各々のキャラの魅力が、グンと深まるシーンになっていました。牧野博士が意見を聞かなかったことを後悔しているのに対し、ヒロシはヒロシで、このことを通して「納得いくまで突き詰めて調査する」ことをモットーにしたと、両者の変化を描いているのがいい塩梅。この手の展開だと、牧野博士だけを悪者扱いしてしまいそうですが、単純にそうしていないのがGoodです。
避難命令解除まで、あと30分。シュウが朝ご飯として食べていたゆで卵をキッカケに、1つの仮説を立てたヒロシたちは、ユーの調査で怪獣リヴィジラを発見。それは地上に出るやいなや、潮を吹き散らかして暴れ始めます。これを食い止めるため、ユウマはアークに変身。慣れない水中戦と、リヴィジラの持つクジラの特性に苦戦させられますが、持ち前の想像力を活かし、最後はアークファイナライズでトドメを刺すのでした。ヒロシと牧野博士が考え付いたのは、塩湖は地殻変動等でできたのではなく、怪獣によってその塩水自体がもたらされたというもの。この予想は的中しており、ユーの調査の結果怪獣リヴィジラがあぶり出されます。怪獣の出現および事件の原因にかかる丁寧な描写は、今回も健在。ただ、リヴィジラが出現したとき、牧野博士に「リヴィジラだ!」と言わせたのは、ちょっとミスかなと思いました。これにより、牧野博士は以前からリヴィジラの存在を知っていたことになりますから、前回のネズドロンと同様に、早い段階で「この事件はリヴィジラによって引き起こされたのではないか」という説が頭に浮かんでいないと、辻褄が合わない形になるんですよね。ここでは単純に、「怪獣だ!」と叫ばせていた方が無難だったかなと思います。そんなリヴィジラは、アークの奮戦により倒され、これにより塩湖の水位も低下。その一方で、ヒロシと牧野博士の探求心は未だ衰えることを知らず、無邪気に調査研究に打ち込もうとするさまを、ユウマたちは微笑ましく見届けます。今回の事件を通して、その絆を回復したヒロシと牧野博士。まさに、「想像力は俺たちの翼」になっていましたね。
◎特撮面
リヴィジラが水棲怪獣であるという特徴を生かし、水の描写や長い水中戦が強く印象に残った今回。今までのお話とまた方向性が違うその特撮描写には、終始唸らされました。ここまで水中戦関連の描写ができるのであれば、そろそろ「ウルトラシリーズ」で潜水艦戦用メカ復活してほしいよなぁ。ドルファー202とかガッツマリン、子供の頃スゲェ好きだったからさ…。
大光峠で謎の化石が発見された日の夜、突然大量の塩水が峠に流入!一夜にしてあたり一面は塩湖となりますが、SKIPや防衛隊の調査では、その原因が何なのか突き止められずにいました。今回は、序盤からミニチュアセットによる特撮パートが挿入され、実際の水を使用して、押し流される地盤や造形物を表現。規模は違いますが、『レオ』OPのような構図に酷似しており、「ニュージェネレーションヒーローズ」作品でも、ここまでの水の特撮をやることが出来るようになったのかと、感無量でした。いやあ、序盤からこんなダイナミックな特撮を観ることが出来て、これだけでも今回はかなりの収穫でしたよ。
ヒロシたちの仮説をもとに、ユーが調査の結果遭遇したのは、怪獣リヴィジラ。ユーを見つけたことで地上に出てきたそれは、潮を吹き散らし、ボートに乗っていたヒロシと牧野博士に危機が迫ります。ここでユウマは、アークに変身。リヴィジラの顎を押さえ込みますが、すぐに水中へと引きずり込まれる格好になり、視界不良の中超音波で攻撃してくるリヴィジラを前に、想像以上の苦戦を強いられます。終盤から、いよいよリヴィジラが登場。見た目的には、『レオ』のハングラーを想起させるデザインですが、巨鯨水獣の二つ名にふさわしい、水中での俊敏性を見せ、アークを苦しめます。リヴィジラも、ネズドロンに似て攻撃のバリエーションが決して多くはないため、アークのやられ方で表現を多様化。水中でなす術もなく押されるアークの姿には、ハラハラさせられましたね。また、今回戦闘の舞台となった塩湖は、もともと地上(峠)だったところが水没していることから、湖底にショベルカーや木々といった造形物があるのが面白いところ。水中戦なのに地上戦っぽい要素も含んでいたのが、とても興味深かったですね。
リヴィジラに追い詰められたアークは、ここでアークトリッキーテクニックを発動。超音波だけで相手の位置を特定していることを逆手に取り、アークギガバリヤーとアークエクサスラッシュを組み合わせておとりを作り出して誘導。さらに木を引っこ抜いて、潮吹きを封じ込みます。こうしてすべての特性を封じられたリヴィジラは、反撃することが出来ず、アークファイナライズの前に爆発四散するのでした。もはや勝利への確定演出と化しているアークトリッキーテクニック。今回彼が想像力で編み出した技は、なかなか乱雑なものの、理にかなっているものでもありました。「バリヤーを割って八つ裂き光輪で吹っ飛ばす」だなんて、本当にアークしかできない芸当ですよね。そして、そうしたかなりトリッキーな技も違和感なくCG合成で実現してしまう、特撮技術の自由さにも舌を巻きました。また、薄暗い水中で七色に輝く、アークファイナライズ発射モーションもカッコよかったですね。
山中にある旅館:あけぼの荘。変わった女将と番頭によって運営されているそれに、シュウは何かあると直感していた。あけぼの荘にある秘密とは何か?再び現れるシャゴンに、アーク ソリスアーマーの力が炸裂するぞ!
次回は、(ストーリーにガッツリ介入してくる宇宙人としては)バロッサ星人以来の完全新規デザインのクロコ星人が登場!その正体が誰なのか気になるけど…やっぱり、ゲスト出演するアキラ100%さんなのかな?
↓次回も走れ、ユウマ!
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