誰1人として画面を90度傾けようとしないSKIPの皆さん
まずは、信じること。僕はそう思います。今回の『ウルトラマンアーク』は、純粋な1話完結の単発回。ゲストキャラクターであるハヤトとその父ヒトシを中心にドラマが展開され、最後はアークが駆けつけてリオドを倒すという、本当に順当な「ウルトラシリーズ」の一編という形になっていました。
前回と同じく、1つ1つのドラマ展開や、各キャラの行動に、キチンと理由付けがなされているのが良いところ。お話的には第2期「ウルトラシリーズ」にありそうなテイストなのですが、要所要所にそうした理由付けや現代的な解釈も盛り込まれていて、既視感があるのに新鮮な印象を受けるお話でした。アークよアクションも泥臭くて、味がありましたね。
なお、前回(第1話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
◎ストーリー面
昔からの伝承にある怪獣が、人間の行動により復活してしまい、ユウマたちやアークが後始末をするという、大まかなあらすじ自体は決して珍しくない、むしろありがちな一編となった今回。しかしながら、冒頭で述べたような、しっかりとした理由付けのほか、ところどころにミスディレクションを挿入することで、新鮮さを感じさせると同時に、視聴者を全く飽きさせないドラマづくりになっていました。キチンと肉付けをすれば、令和のこの時代でも第2期「ウルトラシリーズ」のようなドラマが作れるというのは、かなり驚きですね。
シュウを迎えたSKIPに飛び込んできた、ホットラインの電話。それは、地元の少年ハヤトからの、マンション建設中止を求めるものでした。彼と合流して建設現場に向かった、ユウマとシュウですが、彼の父:ヒトシは工事を中断させるつもりはなく、シュウも子供の通報にここまで調査をするのかと言い出す始末。しかし、それでもユウマは、ハヤトのことを信じて疑いませんでした。なぜなら―。今回は、アバンタイトルの時点でハヤトから通報(ホットライン)が入り、OPを挟んでAパートの最初から調査を開始する、かなりスピーディーな展開。リオドの昔話に基づき、マンション建設工事を止めてくれと懇願するハヤトに対し、ヒトシは中止する気は全くありませんでした。第2期「ウルトラシリーズ」だと、開発業者側が完全に悪という感じで、ハヤトに聞く耳を持たないパターンになりそうですが、今回の場合、ヒトシ側にも「怪獣災害で被災した人たちのために家を作らなければならない」という事情を付加し、さらにリオドの昔話をハヤトに伝えたのは彼自身とすることで、ヒトシを悪者扱いしていないのは、Goodな采配だと感じました。むしろ、これらの設定によりヒトシへの好感度もあがり、さらに『アーク』における怪獣災害の頻発する世界観にリアリティーを与えてくれていましたね。
建設現場に謎の構造物が出現し、工事は強制的に中断。ユウマはその間、古道具屋に行ってリオドに関する情報を集めます。そして、先人たちがそれを倒した知恵を引っ提げてSKIPに戻ると、シュウが防衛隊の衛星を使って建設現場付近をスキャン。地下深くに埋まっていたのは、間違いなくリオドであり、昔話は本当であることが証明されます。中盤では、おそらくユウマが何度も訪れている古道具店が登場。ここでリオドに関する多くの謎や対抗策が明かされ、ハヤトの話があながち間違いではないかもしれないということが判明していきます。古道具店でのやりとりを通じて、リオドに関する設定をしっかり掘り下げているのはGood。ただ、1200年前に先人たちがリオドを封印した丸薬の入った甕が、その古道具店にあるのはやっぱり不自然なので(この後のドラマ展開を考えると仕方ない面もありますが)、シュウを通じて防衛隊でも調査が進められていて、そちら側で丸薬の件が判明したという流れにしても良かったかもしれませんね。そして、このような需要な情報を引っ提げて、ユウマがSKIPに戻ると、シュウが自身のツテを使って、謎の構造物を解析。その結果、それは祭壇等ではなくリオドの足の裏であることが判明し、直後そのリオドが復活してしまいます。謎の構造物というのは、このお話における一種のミスディレクション。私もてっきり「リオドを封印するために先人たちが作った祭壇」か何かかと思っていましたから、これにはやられた!と思いました。またこのシーンで、シュウがユウマの言葉を踏まえて行動している様子が窺えるのも良いですよね。彼は防衛隊の一員であるため、SKIPに明かせていない情報も多いようですが、間違いなく悪い人間ではないと言えるでしょう。
脚が外気に触れ続けたことがキッカケで、リオドは復活。避難誘導のためSKIPは出動し、ハヤトのピンチを目の当たりにしたユウマは、アークに変身します。最初こそ、リオドの力押しに負け気味だったものの、ユーの投下した丸薬により、リオドが弱ったことをキッカケに反撃開始。最後は地底深くでのアークファイナライズをゼロ距離発射して勝利をおさめるのでした。終盤では、アークとリオドの戦闘シーンが挿入。詳細は後述しますが、撮影アングルに新たな試みが取り入れられていた一方で、そのファイトスタイルがやっぱり昭和ウルトラマンチックであるというギャップが、とても興味深かったですね。そんなアークによって、リオドは地底深くで撃破。この事件を通じて、家族の絆を取り戻したハヤトからは、後日SKIP宛に手紙が届くのでした。自筆の手紙とイラストでお礼の手紙が届くという、あまりにもベタすぎる今回のエンディング。ですが、いざ観せられると、やっぱりグッと来ちゃいますよね。
◎特撮面
泥を吐きつけるという特殊能力を持ちながらも、基本的には力押しで挑んでくるリオドとアークのバトルが描かれた、今回の戦闘シーン&特撮パート。前回以上に昭和ウルトラマンらしいアクションが感じられた一方で、短い時間ながらアークアイソードを巧みに活用したり、アークとリオドそれぞれの視点を盛り込んで戦闘シーンを描いたりと、既視感と新鮮さが同居する、不思議ながらも面白いものに仕上がっていました。アークのアクション、これはこれで味があっていいよなぁ。今後パワーアップしていっても、こうしたファイトスタイルは崩さず行ってほしいな。
リオドに吸い込まれそうになったハヤトを救うため、ユウマはアークに変身。颯爽とハヤトを救出しますが、力押しのリオドの前には、渾身のキックもパンチも通じずじまい。アーク側が押され気味になりますが、それでも彼は踏ん張り続けます。登場シーンはカッコよかったのに、その後しばらく苦戦シーンが続くことになるアーク。ダブルドロップキックのシーンは、「直前スペシャル」でも使用されていたので、リオドをハデに吹っ飛ばしてくれるのかなと思いましたが、まさか吹っ飛ばすどころか逆に通用せずにすっ転ぶとは思ってもみませんでした。リオドの強さをアピールするという意味ではGoodでしたけど、うーん…。その後、アークはリオドとの接近戦に持ち込みますが、パワーでは相手のほうが上。押し負けた挙げ句地面に叩きつけられてしまいます。ここでのアクションシーンは、アークが空手チョップを使うなどして昭和ウルトラマンらしさを感じさせる一方で、アークとリオド双方の視点から見た戦いの最中のアングルを挿入しているのが面白いところ。画面の繋ぎ方も違和感がなく、ナイスな試みだと感じました。
泥攻撃を受けそうになったアークは、すぐさまアークアイソードを抜刀し、それらを弾き飛ばして反撃開始。しかし、ちょうどリオドの電撃を放つツノに剣先を当ててしまい、自爆して再度ピンチに陥ってしまいます。しかし、ここでユウマがあらかじめ考えていた作戦をユーが敢行。丸薬を吸い込んだことで、リオドは苦しみ始めますが…。中盤からは、アークアイソードによる戦闘シーンが挿入。『ゴースト』のサングラスラッシャーを想起させる大胆なデザインは賛否両論でしたが、今回は戦闘中において大変魅力的に描かれており、素晴らしい玩具販促になっていたように感じました。アークアイビームもそんなに悪い感じじゃなかったし、リオドの泥攻撃を弾いて斬りつけるアークの姿は、やっぱりカッコいい。最終的に攻撃を受けて消滅してしまいましたが、とても魅力的な武器に見えましたね。今回を観て、欲しくなったちびっ子も多いんじゃないかな?その後、再びピンチに陥るアークでしたが、ユーが放った丸薬によりリオドが苦しみだし、逆転のチャンスが到来します。丸薬を投下するユーは、飛行シーン自体は合成ですが、それ自体はCGで描かれたものじゃなくて、実際に作られたミニチュアのようにも見えました。もしかしてこれ、部分的に操演が復活していたりするのか?
リオドを弱らせることに成功したものの、その鼻の中に吸い込まれてしまったユー。アークは彼を救うために、木を引っこ抜いてリオドの鼻を刺激し、くしゃみをさせてユーを脱出させることに成功します。このあと、アークはアークエクサスラッシュで地面をえぐり取り、そこから地底へとリオドを誘導。最後は自らも地底深くへ飛び込み、リオドともみ合いの末、アークファイナライズのゼロ距離発射でとどめを刺すのでした。吸い込まれたユーをどうやって救うのかと思いきや、木で鼻をくすぐるというなかなかの先方を取ったアーク。思わず笑ってしまう滑稽なアクションですが、こうしたところにも昭和ウルトラマンみが感じられ、懐かしく思えました。使っている木も、ちゃんと造花等ではなく生きている木だったのはGoodでしたね(円谷特撮では、実際の木をミニチュアに使用していることが多い)。そんな笑えるパートのあとは、CG合成を惜しみなく活用した、ダイナミックなパートが連続。アークエクサスラッシュを披露したので、「これでリオドを首チョンパしてフィニッシュかな」と思いきや、地面をえぐってさらに戦闘が続くとは、完全に予想外でした。昔に比べて描写の制限が厳しくなっており、他国への配信を見据えてこうした形にしたのでしょうが、逆に予想しえなかった面白い戦闘シーンを生み出してくれていましたね。その後のアークファイナライズでのフィニッシュ→その勢いで地上に飛び出してそのままフェードアウトも、美しかったなぁ。
16年前のK-DAY。幼いユウマは、モノゲロスの襲撃に巻き込まれてしまっていた。ユウマが聞いた父の言葉とは何か。そして、目の前に現れた光の巨人とは何なのか。そして現代、ディゲロスが市街地で暴れる中で、悪夢に終止符を打つべく、ユウマは走り出した!
次回は、K-DAYそしてユウマとアークの出会いにも大きくかかわっているであろう怪獣:モノゲロス&ディゲロスが登場!ドラマ的にも特撮的にも、重要かつドハデなものが待ち受けているでしょうから、これはもう絶対見逃せませんね!
↓次回も走れ、ユウマ!
bongore-asterisk.hatenablog.jp
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