お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『機動新世紀ガンダムX』ちょっとした感想 X-5(第13~15話)

今回は、機動新世紀ガンダムX』の感想記事第5回目です。

 

今回ご紹介の3話で、ガンダムXディバイダーの登場回にしてカリスをめぐるお話が完結。前回も述べましたが、とても心にグッとくる、見ごたえのあるドラマが展開されていました。人工ニュータイプの話は、過去作にもありましたが、ここまで色んな意味でドラマチックな描き方をしたのは、『X』が初めてと言っても過言ではないでしょう。いやはや、本当に心に残ったなぁ。

 

なお、前回(第10~12話)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

第13話「愚かな僕を撃て」

1996年6月28日放送

登場した敵他:ベルディゴ、ガンダムアシュタロン、パトゥーリア

「方向を見失った者には、時には拳を振り上げ、突き放す勇気がいる。氷の湖を思い出せ!」

 

STORY:カリスとエニルに挟まれ、ピンチに陥っていたガロードを救ったのは、コクピット恐怖症を克服したジャミルの乗るガンダムXディバイダー等による、ガンダムアシュタロンとの戦いだった。その中でガロードは、ガンダムXディバイダーがカリスのベルディゴとも戦うさまを見て、常人がファンネル攻撃に勝つ余地を見出す。一方のカリスは、シナップスシンドロームに苦しみ、またノモア市長の心を読んだことで、彼の真意を知った。ニュータイプの力の面でも、頼りにする人という面でも、信じてきたもの崩れつつあるカリスは、独断でガロードに戦いを挑む。ジャミルの戦い方をヒント、ガロードはカリスを打ち破ることができるのか!?

 

今まで散々苦しめられてきたカリスのベルディゴに、常人であるガロードが、ガンダムXディバイダーでついに勝利を収めるお話。ただ敵を倒して万々歳という展開になっておらず、前回のラストをきっかけに、カリスを救いたいと思うガロード、同じことをきっかけに、逆に自分の今まで信じてきたものが崩壊し精神が不安定になっていくカリスと、登場人物たちの細かい心情変化も、きちんと描写されていました。ガロードが勝ったという喜びと、本当にカリスを救えるのかというある種の不安・むなしさが同時に押し寄せる感じが、秀逸です。

 

前回、カリスにティファを人質に取られたうえ、エニルに銃口を突き付けられ、大ピンチのガロード。ところが、ここでフリーデンとオルバのガンダムアシュタロンとの戦闘がフォートセバーンまで迫り、その混乱に乗じて奇跡的に脱出を果たします。ガロードを逃がさまいとベルディゴで出撃したカリスでしたが、ここで立ちはだかったのが、ジャミルの乗るガンダムXディバイダー。コクピット恐怖症を何とか克服していた彼は、なんと自身のニュータイプとしての能力を使わず、常人としての力のみで、ベルディゴのファンネル攻撃を完全に封じ込めてみせるのでした。絶体絶命のガロードを救ったのは、フリーデンの戦闘。感情だけで先走ったオルバは、ガンダムアシュタロンで出撃するも、さすがにガンダムエアマスターガンダムレオパルドを同時に相手にするのはキツく、追い詰められた末偶然フォートセバーン市街地に近づいていました。ちょっとガロードに都合がよすぎる展開とも感じますが、まああの状況から生還するなら、こうしたアクロバティックなことがない限り無理だよなぁ…。こうした混乱の中、脱出したガロードとティファ。しかし、カリスのベルディゴが執拗に追跡してきます。ここで、登場したのが、ガンダムXディバイダー。パイロットは、コクピット恐怖症を克服したジャミルであり、彼はニュータイプとしての能力を一切使わずに、ベルディゴのファンネル攻撃を封じ込めてみせます。ジャミルが乗ったガンダムXディバイダーの動きは、ガロードが操縦しているときよりも、かなりスマート。それでいて時折ダイナミックな動きを見せ、最後にはビームライフルで的確にビットを撃ち落としていくさまは、もう言葉が出ないくらいのカッコよさを誇っていました。こんなのズルいよ、カッコよすぎるじゃん!しかも、コクピット恐怖症を克服できた理由が「ガロードに感化されたから」で、今回の戦いで一切ニュータイプとしての能力を使っていないというのだから、これまた驚き。さらに、この展開が単なるアツい要素にとどまらず、キチンとストーリーに影響を与えている(終盤でガロードがカリスに勝つ)のが興味深いところです。

 

フリーデンにティファと生還したガロードは、休む間もなく、自身が耳にしたノモア市長の正体を吐露。これによりジャミルたちは、彼の恐ろしい計画と、そのためにカリスは利用されていることを知ります。同じ頃カリスは、シナップスシンドロームに苦しめられ、戦いを放棄して帰還。昏睡状態のまま治療を受けますが、そんな彼をよそに、ノモア市長らは次なる計画を練っていました。ただでさえジャミルガンダムXディバイダーに押されていたカリスが、突然発症したのが、シナップスシンドローム。一種の人工ニュータイプの副作用であり、最も完成された人工ニュータイプであるカリスは、ほぼ一定周期で起きることからいつも悪化しないうちに手を打てていましたが、今回は突然発症してしまったことから、戦いを放棄しなければならない状況に追い込まれます。このシーンから、カリスのお話内での転落(どんどん追い詰められていく)が開始。彼はノモア市長から治療を受けるも、治療中は誰一人彼を人間として心配している者はおらず、また復活後は、ノモア市長の心を読んだことで、その隠された真意を知り絶望します。人工ニュータイプとはいえ、心を読む能力はある程度備わっているため、その気になればカリスはいつでもノモア市長の真意を知ることができたはず。しかし、そこに「カリスのノモア市長への信頼」があったことから、今までそうしたことは行われてきませんでした。これも、数話前からしっかりと何度も描写されているから、このシーンでこうした展開が成立するんですよね。よく考えられてるよな~。

 

カリスの状況を知り、彼を救いたいことから、戦うことに迷いを覚えるガロード。これに対しジャミルは、「戦うことこそもまた彼に対する優しさである」と暗に説き、ガロードに勇気を与えます。それと時同じくして、カリスのベルディゴが再びフリーデンを襲撃。ノモア市長の本心を読み取ってしまった彼は、心の支えとなるものを失っており、ガロードとの決着にすべてを賭けようとしていました。ノモア市長のたくらみを、そしてカリスの抱えているものを知り、じょじょに彼を救いたいという思考にシフトしていたガロード。「アイツ(カリス)を救いたいんだ」というガロードの言葉に対し、彼に的確なアドバイスと気づきを与えたのは、ジャミルでした。ここでのガロードジャミルのやり取りは、第11話の終盤を踏まえたもの。最低限のことのみを話し、そこでの経験で得たものをガロードに気づかせるジャミル、マジでカッコよくて、かつ頼れる大人という感じがしましたね。ジャミル、「ガンダムシリーズ」のメインキャラクターとしては珍しい、純粋に“良い大人”ですよね。このようなやりとりで、だんだんと希望を感じ始めていたガロード。その一方で、カリスは絶望の崖っぷちにおり、心身ともに追い詰められた彼は、ベルティゴでガンダムXディバイダー/ガロードを倒すことに執念を燃やします。以前の戦闘等を踏まえれば、モビルスーツ戦においてガロードを恐れる必要はないようにも思えるカリス。ですが、今回の序盤でジャミルにコテンパンにやられていることから、「ニュータイプもオールドタイプに負けるかもしれない」という恐怖心を抱いているのが、興味深いところです。

 

カリスを救うため、戦うことを決意したガロードは、ガンダムXディバイダーで出撃。最初こそ、以前と同じくファンネル攻撃に苦しめられるも、ジャミルの戦い方を思い出し、自力でその攻撃に対抗。最終的には、完全にビットの動きを読んで的確に撃墜できるようになり、カリスを戦慄させます。やがて戦いは接近戦へと移り、ビームサーベルうしの激しい剣戟の末、ガロードが勝利。カリスを救うため、彼はすぐにベルディゴのコクピットに向かいますが―!終盤では、ガロードVSカリスのリベンジマッチが実現。最初こそ感覚をつかめず劣勢だったガロードガンダムXディバイダーでしたが、コツをつかんでからは次々とビットを撃ち落とすようになり、最終的にはビットを全て撃滅するという、序盤のジャミルすら成し遂げられなかったことを兵器でやってのけます。オールドタイプであるはずのガロードが、持ち前のセンスと努力により、人工ニュータイプを超えた瞬間。視聴者そしてガロード自身も、カリスの抱えているものを知っていることから、手放しで喜べるものではありませんが、このシーンは私も思わず画面越しでガッツポーズをしてしまいましたね。こうして戦闘は終わり、ガロードはカリスを救うため、ベルティゴのコクピットへ。しかし、そこには銃を構えたカリスがおり、ガロードは身を守るためとっさに至近距離で発砲してしまいます。敗北を悟ったカリスは、死を決意。しかし、それをあえて自殺ではなく他殺という形にしようとしたのは、他人を利用してやろうという考えよりも、他人に殺されることで自分をより痛めつけようという、自罰意識の結果なのでしょう。至近距離で胸を撃たれたけど、カリスは本当に生還できるのか―!?

 

 

 

第14話「俺の声が聞こえるか!」

1996年7月5日放送

登場した敵他:パトゥーリア、ポーラ・ベアー、ガンダムヴァサーゴ、ガンダムアシュタロン

「死ねば全部チャラになると思ったら、大間違いだからな!そんなやり方、俺は絶対に認めないぞ!」

 

STORY:ガロードの銃弾に倒れたカリスは、テクスの懸命の治療により一命をとりとめた。だが、自らの罪に苦しむ彼は、フリーデンから離れようとする。そんなカリスを追うガロードたちが、彼の心を開いたと思った矢先、エニル率いるポーラ・ベアー部隊の襲撃を受け、カリスの誘拐を許してしまった!すべての準備が整ったノモア市長は、ついにパトゥーリアを起動し、全人類に宣戦布告する。あまりにも巨大なそのモビルアーマーは、真っ向勝負では勝つことはできない。カギとなるのは、カリス。ガロードたちは、カリスを救うことができるのか!?

 

フォートセバーンを舞台にした、カリスとのお話の完結編。様々な障壁があり、パトゥーリアの起動の攻勢を一度は許してしまったものの、ガロードたちがそれを倒し(正確には機能停止に追い込んだというべきか)、カリスの身も心を救うさまが描かれていました。お話の中で、ガロードたち側とノモア市長側を、それぞれ正義と悪とするだけではなく、未来を切り開こうとする者と過去にとらわれ続けている者と定義しているのも興味深いところ。さらに、こうした構図だと前者を善としがちですが、あえてどちらが善かをぼかしているのも面白いです。

 

前回、やむを得なかったとはいえ、カリスを撃ってしまったガロード。すぐさまカリスは、ベルディゴとともにフリーデンに担ぎ込まれ、テクスの手術が始まります。それは成功し、カリスはなんとか一命をとりとめますが、自分の犯してきた罪にさいなまれている彼は、密かにフリーデンから逃亡。いち早く気づいたガロードとティファは、彼を追いかけて説得し、やっと心を開かせますが、そのときエニルのポーラ・ベアー部隊が現れて…。ガロードに撃たれたカリスは、テクスの治療によりなんとか生還。これだけ観ると、割と描写があっさりしているように思えますが、この直前、ガロードがカリスの拳銃を見て、その弾倉に弾が全く入っていないことに気づくシーンが挿入されていることから、彼の悲壮な覚悟を感じられるようになっていることから、サラッと流されているようには全く感じませんでした。ちゃんとタメ(カリスの悲壮な覚悟がわかる描写)を作っているのが、Goodなんですよね〜。そんなカリスは、目を覚ますと、自分の罪にさいなまれ、自らフリーデンを脱出。それにいち早く気づいたガロードとティファは、バギーで追いかけ合流しますが、ここでエニルの襲撃を食らいます。ガロードの必死の説得に、初めて笑みを浮かべたカリス。彼の心が開かれたことがよくわかる、象徴的な描写でした。

 

ガンダムエアマスターガンダムレオパルドの必死の抵抗があったものの、カリスの誘拐を許してしまったガロードたち。時同じくして、フォートセバーン地下にあるパトゥーリアの最終調整も完了。カリスを組み込んだノモア市長は、いよいよパトゥーリアを起動し、フォートセバーンを蹂躙し始めます。事情を知らない、街の警護に当たるポーラ・ベアー部隊が抵抗を試みますが、全く効果なし。ガロードたちが駆け付けた頃には、街は業火に包まれていました。後半の戦闘でガンダムXディバイダーが存分に活躍することから、ここではガンダムエアマスターガンダムレオパルドが活躍。カリスの誘拐は許したものの、しっかりとガロードたちを守りながら、ポーラ・ベアーをヘッドショットで撃破しており、巧みな戦術を見せてくれていましたね。こうした戦闘のせいで、部下の多くを失ったエニルでしたが、カリスを連れ帰ることには成功。これを受けてノモア市長は、すぐさまパトゥーリアの最終調整に入り、ついにそれの起動に漕ぎつけます。パトゥーリアの開発には、エニル以外にも多くの技術者が関わっていたものの、ほぼ全員フォートセバーンを守るために資するもの思い込んでいた様子。パトゥーリア起動時に、すぐ逃げ惑っていることから、それがよくわかります。そんなパトゥーリアのデカさは、「ガンダムシリーズ」の中でも最大クラス。「こんなものどうやって倒すんだよ!?」と、視聴時は本気で心配になりました。

 

戦争の亡霊を止めるため、そしてカリスを救うため、ガロードたちはそれぞれ、ガンダムXディバイダー・ガンダムエアマスターガンダムレオパルドで出撃。パトゥーリアのオールレンジ攻撃を回避しながら距離を詰めますが、あと一歩及びません。カリスの状態が心配される中、ついにガンダムXディバイダーも倒れピンチに陥りますが、そのときなんとベルディゴが加勢。中に乗っていたのは、ジャミルとティファであり、彼らの先導のもと、パトゥーリアへと接近します。後半からは、ガロードたちとパトゥーリアの戦闘が展開。そのあまりのデカさと範囲攻撃の広さの前に、さすがの彼らもかなりの窮地に立たされます。パトゥーリアの攻撃の最大の特徴は、無制限にオールレンジ攻撃を繰り出せること。これだけでももはや勝ち目は無いんじゃないかと思えてきますが、ガロードたちは神がかった回避とカウンターアタックを何回も見せていました。確かにガロードは、自力でニュータイプ専用機であるベルティゴを破ったけどさ、それを加味しても、このシーンのガンダムXディバイダーの動きは、いい意味で異常だったよ…。こうして、パトゥーリアに食らいつくも、効果的な一手を打ち出しきれていなかったガロードたち。そこへ加勢にやってきていたのは、ジャミルとティファの乗るベルティゴでした。ベルティゴが修理されている描写は、今回の序盤でチラッと映っていましたが、こんなに早く、しかもジャミルたちの乗機として戦線復帰してくるとは、思ってもみませんでした。これだけでもアツいのですが、ここでティファが進んで戦闘に参加(正確には、ニュータイプの能力を使ってカリスに話しかけている)しているのがいいところ。皆で一丸となって戦っている感が出ていていいんですよね〜。そうそう、このシーンでは、ノモア市長がいつまでも過去に囚われているオールドタイプであるのに対し、ジャミルたちが未来を見据えたニュータイプという構図になっているのも注目ポイント。これだけでも興味深いですが、どちらがストーリー的に正しいのか、あえて明示していないのがこれまたGoodです。

 

ジャミル「戦争はもう終わったのだ!怨念を次の世代にぶつけて、何の進歩がある?なぜ未来に託さない!?」

 

パトゥーリアに接近しつつ、ガロードと同様にカリスに呼びかけたティファは、彼の心を取り戻すことに成功。ガロードも、ガンダムXディバイダーのハモニカ砲でパトゥーリアの装甲を破り、カリスの捕らわれているコクピット部分への突入を果たします。既に錯乱状態であり、エニルにすら銃を突きつけるようになっていたノモア市長は、カリスが奪われたことで敗北を悟ったのか自決。こうしてパトゥーリアは機能を停止し、一連の事件は終結します。すべてから解放されたカリスは、あえてフォートセバーンに戻ることを決意し、人工ニュータイプとしての宿命に抗いつつ、街の復興に尽力することを誓い、ガロードたちに別れを告げるのでした。ティファたちの尽力により、カリスが心を取り戻したことで、スキが生まれたパトゥーリア。これを見逃すガロードではなく、そのままガンダムXディバイダーでコクピット部分へ突っ込み、そのままカリスをカプセルごと回収し、パトゥーリアを機能停止に追い込みます。パトゥーリアとの決着は、真っ向勝負で競り勝つというものではなく、カリスを取り戻すという形でつくことに。これ自体はいいのですが、ノモア市長の扱いがちょっと雑だったのは残念かな。復讐にかられた挙げ句錯乱するのはいいけど、カリスを奪われた途端、急に冷静になって自決するのは、ちょっと違和感があります。どうせなら、ゲスい敵らしく、最後まで悪あがきをしてほしかったですね。こうした一連の戦闘を経て、カリスは本当の意味でノモア市長から解放されることに。しかし、人工ニュータイプとしての宿命は残ったままであり、今後の人生にも苦難が予想されますが、彼の顔に不安はありませんでした。ラストは、笑顔とまでは行かないものの、明るさを取り戻したカリスが、決意を述べてフォートセバーンへと戻っていくさまが描写。ジャミルの発言等で、人工ニュータイプの持つ負の側面(シナップスシンドローム)をアピールしていましたが、個人的には、このシーンにそこまで悲しさは感じませんでしたね。だってカリスは、そうした苦しみも受け入れたうえで、フォートセバーン復興のために生き抜くと誓ったのだから。これから、人工ニュータイプではなく、いち少年としてのカリスの人生が、良い方向へ再び動き出すことを予感させる幕切れでしたね。

 

 

 

第15話「天国なんてあるのかな」

1996年7月12日放送

登場した敵他:ジェニス改、ドートレスタンク

「俺、モビルスーツ乗りになったんだ。おふくろが世界で一番嫌いな、モビルスーツ乗りに―。」

 

STORY:フリーデンから休暇をもらった、ウィッツとロアビィは、ある分かれ道を境に、それぞれの向かう場所へと分かれた。ロアビィが恋人たちのもとを行脚する一方、ウィッツが向かったのは実家。ガンダムエアマスターに搭乗して稼いでいることを言い出せないウィッツだったが、ショーラ・スーら彼の家族もまた、彼に大きな隠し事をしていた。お互いの秘密が暴かれ、実家を飛び出してしまうウィッツ。しかしその後、バルチャーたちが村を襲撃し始めた。ウィッツは、ガンダムエアマスターを駆ることができるのだろうか?

 

ガンダムXディバイダーどころか、ガロードたち主人公やメインメンバーすら一切登場せず、しかも一話完結となっている、『X』の中の異色回。他のメインメンバーが登場しない分、ウィッツとロアビィの描写にかなり力が入れられており、今までぼんやりとしか語られていなかった、彼らの膨大な背景が一気に語られます。提示される情報量が非常に多いのですが、その多くを彼らのモノローグ等にして描写を圧縮しているのがGood。また、そうした語りをすることに都度理由付けをしており、違和感を減らしているのがなお良いです。

 

フリーデンから休暇をもらい、それぞれの目的地へと向かうことにした、ウィッツとロアビィ。ロアビィは、大量のバラの花を買い込んでおり、自分が付き合ってきた女性たちとの関係維持のために奔走します。しかし、そんなバラの花の中に、1輪だけ黄色いバラが。それは、彼の本命である、ある相手に対して渡す予定のものでした。アバンタイトル〜OPを挟んだのち、ウィッツとロアビィが分かれ道に立っているところから、物語がスタート。ここで、ナレーションの語りにより、彼らが休暇をとったことが明かされます。フリーデンって、そもそも休暇の制度なんてあるんですね。思った以上にしっかりしてるんだな、フリーデン…。そんな2人は、それぞれの向かうべきところへ。ロアビィは恋人たちのもとを行脚し始め、行く先々でバラの花を渡していきます。女性たちとの関係維持のためには、こまめなやり取りが必要。今なら現実世界でもスマホがあるので、チャットアプリなんかでやり取りする描写になるのでしょうが、『X』放送当時はそんなものないので、こうした描写になったのでしょう。でも、こうしたクサい立ち回りのほうが、ロアビィにマッチしていていいですよね。

 

ジープを使って、実家のある村に帰ってきたウィッツ。彼はまず、亡くなった父と弟の墓を訪れますが、そこで偶然、同じく墓参りに来ていた妹たちのコルトス・サエリアと再会します。彼女らに連れられ、実家に戻ってきたウィッツ。そこでは母ショーラや妹オニミム、弟ドラッソが元気に農作業に励んでいました。実家を飛び出した2年前と、何も変わらない家族の生活。しかし、ショーラたちは、ウィッツにある隠し事をしていました。Aパート後半より、ドラマの中心は、ウィッツと彼の家族へ。大家族であると言われていた彼の身内が総登場し、仲睦まじい様子が描かれます。ここでは、ウィッツの家族の背景を描写するために、彼単独の語りが使用されていますが、単純にそれを挿入するのではなく、父や弟の墓に語りかける形にして違和感を軽減しているのが興味深いところ。そりゃ、相手が故人ならしゃべれるはずがないので、自分(ウィッツ)が話すしかないですよね。地味ながら効果的な演出です。その後、生きている家族たちとウィッツの仲が描写されますが、楽しげな中に、不穏な空気(今回の場合は隠し事)を感じさせるのが、非常に「ガンダムシリーズ」っぽくていい感じ。若干におわせすぎなところもありましたが、悪くないでしょう。

 

自分の部屋で休み、夕食の時を迎えるウィッツ。そこで彼は、次々と実家の変わった点に気づき、ショーラたちが何かを隠していることを見破ります。隠しきれないと判断したドラッソは、真実を語りますが、ショーラは逆にウィッツの隠していたことを暴露し、両者の溝は深まるばかり。居ても立っても居られなくなったウィッツは、実家を飛び出してパブに入り浸りますが、そこのバーテンは…。Bパート前半にて、ショーラたちの隠し事が判明。ショーラは実は再婚相手がおり、父のことにこだわるウィッツに対して、怒らせないように黙り続けていました。ショーラに再婚相手がいるというのは、視聴者に対しては少し早い段階で明かされますが、だからこそ、このBパート前半においてウィッツが次々と家の中にある違和感に気づいていくさまは、鋭いなぁという印象を与えてくれます。幾多の戦闘をくぐり抜けたことから、そうした観察力がより研ぎ澄まされたのでしょうね。そうしたことをしてきたことをキッカケに、ショーラに再婚相手がいることをしり、非難するウィッツ。しかし、ショーラもまたウィッツがモビルスーツ乗りになっていることに気づいており、2人の溝が深まってしまいます。実家を飛び出したウィッツは、そのままパブへと入り…。この、偶然入ったパブのバーテンこそ、ショーラの再婚相手。パブ内の設備や、バーテンの趣向から、彼から何も訊き出さずとも、ウィッツが「バーテンがショーラの再婚相手だったのか」と気づく演出はGood。ただ、少し視聴者視点とウィッツの視点をごっちゃにしてるところもあり、もっと深いシーンにもできそうだなぁという感じでした。そんなバーテンは、なかなか落ち着いた人物。ショーラに裏切られたと思っているウィッツを、優しく諭します。よくよく考えてみると、ここでの論理は、バーテンにとって都合が良すぎるような話にも感じ取れるのですが―、彼の人柄的に、邪な考えは全くなく、純粋にウィッツのことを思った結果出た話なのでしょう。

 

周辺の村を荒らしていたバルチャーが、ついにウィッツの実家の村に目をつけ、ジェニス改で襲撃。用意されていたドートレスタンクも、ほとんど太刀打ちできず破壊されます。村を守るため、ウィッツはガンダムエアマスターに搭乗して応戦。村を荒らすバルチャー程度は、彼の敵ではなく、あっという間に倒されます。こうして夜明けを迎えたウィッツは、休暇が終わったことから、金塊をショーラたちに託し、冒頭通った分かれ道へ。そこにはロアビィもいましたが、浮かない様子で―。終盤で、ガンダムエアマスターとバルチャーの戦闘が挿入。ジェニス改程度の軍勢で彼が怯むはずがなく、あっという間に全滅させて撤退に追い込みます。ここでは、ウィッツとガンダムエアマスターの出会いについて、サラッと言及されているのが聞き逃がせないところ。あれ、かつて身を寄せていたバルチャーのリーダーからの、譲りものだったんですね。そんなウィッツは、戦闘後、心の中でショーラと和解し、金塊を残してもといた分かれ道まで帰還。そこには、時同じくしてロアビィもやって来ていました。この休暇は、ウィッツにとってある種散々なものでしたが、ロアビィにとっても同様だった様子ガンダムレオパルドをくれた本命の彼女が、既に故人だったため)。しかし、2人とも決して暗い顔はしておらず、つきものが取れたような表情でした。おそらく2人は、今回を通して、ある種過去と決着をつけることができたからなのでしょう。そんな2人の進む未来には、何があるのかな―。

 

 

 

 

 

今回はここまで。次回は、第16話から第18話をご紹介予定です。『機動新世紀ガンダムX』。禁断の月光は、水平線の彼方に消えた。その果てに何があるのか?ジャミルは、事実を見極めるべく、フリーデンを出航させる―。

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