お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?ver.2.0

主にウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズなどの特撮関係の話題等を扱っていこうと思います。

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』ちょっとした感想 Conflict-5(第12~13話[終]+α)

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今回は、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の感想記事第5回目です。

 

物語は、いよいよラストへ。今回は、コウとガトーの本当の意味での決着と、コロニー落としをめぐる地球連邦軍デラーズ・フリートの激しい攻防が描かれます。そこに渦巻いていたのは、一部の人々の陰謀とたくらみ。その中で比較的純粋な思いで行動し、自分なりに義を通そうとするコウは、まさに主人公にふさわしい活躍を見せていましたね。

 

また今回は、OVA完結後に発売された「CDシネマ2」も併せてご紹介。シーマの内面、そして過去が詳細に判明することになり、『0083』の物語の幅を、さらに広げてくれていました。

 

なお、前回(第9~11話)の感想記事は↓コチラです。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

第12話「強襲、阻止限界点」

1992年8月21日発売
登場した敵他:ノイエ・ジールリック・ドムⅡ、ドラッツェ、ザクⅡF2型、リリー・マルレーン、戦艦グワジン、ムサイ

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「私はこうして生きてきたんだ!サイド3でぬくぬくとうずくまる者たちの、顎で扱われ…。私は、故あれば寝返るのさ!」

 

STORY:ガンダム試作3号機を載せたデンドロビウムで出撃したコウは、敵の攻撃をかいくぐり、ガトーのノイエ・ジールと対峙。激戦を繰り広げるが、あと一歩のところで取り逃がすハメになってしまう。そして、こうしている間にもコロニー落としを防ぐために“阻止限界点”までの到達時間は刻一刻と迫っていた。妙な落ち着きを見せている地球連邦軍上層部、本性を現すシーマ。コウたちが再び宇宙で奮闘している最中、コロニーは阻止限界点を突破し、デラーズも知らなかった策略が動き始めた!


迫りくるコロニー落としの危機、そしてうごめく新たな陰謀!最終回まであとわずかとなった今回は、コロニー落としをめぐる戦艦アルビオンデラーズ・フリートの攻防がお話の中心。そしてそれと並行して、連邦軍上層部内で明かされる真実、そして反旗を翻すシーマなど、デラーズが予想もしなかったどんでん返しが起こります。戦闘描写も豊富で満足度も高く、なかなか楽しんで観ることができる一編でしたね。


前回、ラビアンローズから出撃した3号機デンドロビウム。それは、コロニーの護衛に当たっていたリック・ドムⅡやザクⅡF2型のモビルスーツ部隊を次々の撃破し、猛スピードでコロニーへと迫ります。しかし、そうした中で敵の軍勢が引いていくの見て、コウは何かが来ると直感現れたのは、ガトーの乗るノイエ・ジールでした。同じ頃、ジャブロー連邦軍本部では、コーウェン将軍がコロニー落とし阻止のための作戦を立案中。そうした中で、連邦軍艦隊がある一点に集中し始めているのを確認して違和感を覚えるのでした。モビルアーマーであることから見た目もゴツく、そして白い機体であるため宇宙空間で目立つ3号機デンドロビウム。当然敵は格好の標的だとして攻撃してくるわけですが、3号機デンドロビウムは想像を絶する機動性を持っており、その攻撃を何と全て回避。そのうえ搭載された武装は短距離から長距離、そしてマップ兵器のようなものまで搭載されていることから、敵モビルスーツは次々に撃破されていきます。「見た目的に絶対動きにくいだろ」と思ったので、てっきり敵の攻撃を避けるよりも、その厚い装甲で突っ切っていくタイプなのかと思われた3号機デンドロビウムでしたが、実際は全然違うもの。その異常ともいえる動きにはびっくりさせられましたね。あれだけの大きさでこれだけの機動性を確保してるなんて、いったいどんなシステムしてるんだ…!?


3号機デンドロビウムノイエ・ジールは、両者攻撃の雨あられを降らせて激しいバトルを展開。ともにIフィールドを展開してビーム攻撃によるダメージを軽減しており、実弾兵器も持つ3号機デンドロビウムのやや優勢で戦闘は進みます。しかし、3号機デンドロビウム側の弾薬が切れかかっていたこと、ノイエ・ジールはビーム兵器しか持たずこのままでは3号機デンドロビウムへの勝ち目が薄いことから、両者一度撤退。戦闘は一時的に終結します。そして補給を受けている間、コウはコロニー落としをいかに食い止めるかを考え続けていました。お互い一度ガンダムを失ってから、初めて戦場で相まみえるコウとガトー。その戦いは、コウの乗る3号機デンドロビウムの優勢で進んでいきます。前回描写されていたように、モビルアーマーとしてかなりの強さを誇るノイエ・ジールですが、武装がすべてビーム兵器系で実弾兵器がないのが弱点。そのため、自身が装備しているバリア兵器:Iフィールドを相手に使用されると太刀打ちできず、3号機デンドロビウムの実弾兵器の前に押され気味になります。今まではほぼ互角の勝負をしていたコウとガトーでしたが、今回初めてコウの方が有利に戦いを進める展開に。3号機デンドロビウムの機体性能に助けられていた面もありましたが、何より彼のアップした操縦技術、そして何が何でもコロニー落としを止めてやろうという気迫が、今回の戦いの結果を生んだと言えるでしょう。


戦艦アルビオン内でデンドロビウムが補給をしている間に、新たな敵のモビルスーツ部隊が出現。キースやモンシアたちの他、コウも3号機単体で出撃し、何とかこれを退けます。その間にデンドロビウムの補給はほとんど完了しますが、時間も大きくロスしており、阻止限界点までのタイムリミットはあと3時間少し。戦艦アルビオン自身がこれ以上の補給と援軍を望めない中、それでもコウは出撃、ニナも艦にとどまる決意をします。同じ頃、ジャブローではコーウェン将軍がジャミトフ・ハイマン等によって拘束され、戦線を離脱。実は、連邦軍上層部には、コロニー落としに対するある勝算がありました。Bパートでも、激しい戦闘描写は継続。戦艦アルビオンを守るため、3号機が単体で出撃したほか、久々にジム・カスタムジム・キャノンⅡも出撃します。モンシアたちの必死の表情、そして前線を突破されるなどといったヒヤリとさせられる状況が、緊迫感を演出していてGoodです。そして、ここで見逃してはならないのが、そんな元不死身の第4小隊所属の彼らとともに、しっかりと戦っているキースの姿。様子や性格は相変わらず序盤のままですが、着実にパイロットとしての腕を上げていることがわかるシーンでしたね。このように、阻止限界点での攻防は熾烈を極めていきますが、それに対して悠長に構えていたのが連邦軍の上層部。彼らはシーマからの情報をもとに、密かにコロニー落としへの対策を立案済み。それを知らず、かつ敵側と内通することに異を唱えたコーウェン将軍は拘束され、どこかへ連行されてしまうのでした。このシーンで、シーマとの情報交換をする高官の1人として、のちにティターンズのボス(『Ζ』より)となるジャミトフが登場。彼の下につくことになるバスク・オムも出てきてるし、ティターンズとなる勢力が、このデラーズ紛争に乗じて力をつけつつあるのが窺えます。


コロニーを眼前にして、コウの3号機デンドロビウムはガトーのノイエ・ジールと再び遭遇。ガトーの執拗な攻撃をかいくぐり、コウはコロニーに接近します。しかし、そこでコロニーは阻止限界点を突破。もはや地球への被害は免れないかと思われましたが、その時見えてきたのは、ソーラ・レイシステムを構えた連邦軍艦隊でした。一方のデラーズ・フリート側では、シーマが反旗を翻してデラーズを拘束。彼を人質にしてガトーの動きを封じ込めますが、デラーズはガトーに継戦を指示。自分のいうことを聞かない彼に対し、シーマはついに銃の引き金を彼に向かって引くのでした。コウは3号機デンドロビウムで猛攻を仕掛けますが、コロニーに阻止限界点を突破され、作戦は失敗。一年戦争時の悪夢が再来するのかと落胆していましたが、その時地球軌道上に見えてきたのは、バスク率いるサラミス改艦隊が設置した、ソーラ・レイシステムでした。連邦軍上層部がシーマから情報を得て作っていたのが、これ。これさえあればコロニーなど破壊も容易であるため、連邦軍上層部は現場とは違い悠長に構えていた理由でした。確かにソーラ・レイシステムは『ガンダム』の頃から強力兵器として登場していますが、こんな地球の間近で使用するのって、大丈夫なのかな…。これにはさすがのデラーズも驚きますが、その時シーマが乗り込んできて艦橋を占領。彼女は自分の本心を吐露し、最初はデラーズを拘束して連邦軍への手土産にしようとしていましたが、あまりにも抵抗するため射殺してしまうのでした。シーマは一年戦争後も海賊稼業で生きてきており、その前は汚い仕事ばかりさせられていたため、ジオン公国軍に対する義理も信条はこれっぽっちもなし。そのため、デラーズ・フリートを利用して、連邦に恩を売ろうとしていました。ここにきて、第三勢力的な動きをし始めたシーマ。戦いは混沌としていく―。

 

 

 

第13話(終)「駆け抜ける嵐」

1992年9月24日発売
登場した敵他:ノイエ・ジールガーベラ・テトラリック・ドムⅡ、ザクⅡF2型、ドラッツェゲルググM、リリー・マルレーン、戦艦グワジン、ムサイ

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「君(ニナ)こそが…“星の屑”の、真の目撃者かもしれない。」


STORY:バスク指揮下のサラミス改艦隊は、ソーラ・レイシステムによりコロニーの破壊を試みるが、ガトーの猛攻により失敗。依然コロニーは落下の危機にあった。死を覚悟したガトーは、自らコロニーに乗り込み直接コントロールパネルを操作。そこに現れたのは、ガトーへの思いを捨てきれないニナと、シーマを撃破し怒りに燃えるコウだった。2人に挟まれ、思いの果てに、あろうことかコウに銃口を向けるニナ。その愛の交錯の前に、コロニー落としは最悪の結果を招いてしまうのか?そして、コウとガトーの決着は?さらに、デラーズ・フリートとの戦いの結末は、極端な危険思想を生むきっかけとなる―。


本作の最終回となる今回は、とうとう第1話から続いたコウとガトーの因縁も決着。その結末は、当然(?)コウ側の勝利に終わるわけですが、その勝利はあまりにも苦々しく、爽快感はほぼ皆無で、悔いばかりを残す結果になりました。今回はコウ×ガトー&デラーズ・フリート残存部隊×地球連邦軍×シーマ艦隊という四つ巴の戦いが描かれ、戦闘シーンも豊富。しかし、その1つ1つが視聴者の予想を裏切る結果に終わっており、それがコウの悔しさ、そして戦いの生んだはかなさを表現しています。コウたちの必死の戦いって、いったい何だったんだろうな…。


前回、ソーラ・レイシステムを配備し、コロニー攻撃に向けての準備を進めていた、連邦軍バスク配下のサラミス改艦隊。コウのガンダム試作3号機デンドロビウムが、ガトーのノイエ・ジールを求めて残存勢力を攻撃する中、勝利を確信していたバスクは予定よりも早くシステムを起動。それは確かにエネルギーも充填されており、コロニーに命中しますが、その制御装置をシステム起動中にガトーが破壊。これによりソーラ・レイシステムは途中でダウンし、コロニーはそのまま破壊されず、引き続き地球への落下軌道をとります。予想外の展開に、さすがのバスクも一瞬呆然とするのでした。『Ζ』の頃はティターンズの幹部であり、態度がデカく傲慢な人物として描かれているバスクですが、その気質は過去に当たる本作でも同じ。横柄な態度で戦艦アルビオンにコンタクトをとってきて、シーマとの裏取引について暴露し、さっさと宙域から撤収するよう促してきます。何もかも初耳だった戦艦アルビオンにとっては、バスクの話したことは受け入れがたいもの。シナプス艦長は、「これでは…軍閥政治ではないか!?」と独り言を言って、怒りをあらわにしていました。シーマとの裏取引は、連邦政府ではなく連邦軍の一部の上層部(ジャミトフ等)が独断でやったこと。連邦軍の中で勝手に過激なことをする集団という、のちのティターンズにつながるような勢力がすでに生まれていることが窺える描写です。このようにバスクは、ソーラ・レイシステムにより余裕綽々でしたが、起動中にガトーにより制御装置を破壊され、想定よりも早い段階でビーム照射が終了。これによりコロニーは破壊されきれず引き続き地球への落下軌道上にとどまることになってしまいます。


ソーラ・レイシステムによる攻撃は、敵味方問わず多数の損害と混乱を生み、戦局はさらに泥沼化。後ろ盾を失ったシーマ艦隊は、彼女の乗るガーベラ・テトラを先頭に、最後の攻撃に出ます。それを迎え撃つのが、3号機デンドロビウムリリー・マルレーンの発した信号を頼りに、それを遠距離射撃して撃墜したコウは、そのままガーベラ・テトラに向かって突撃。3号機デンドロビウムの主砲でガーベラ・テトラを丸ごと振り回し、ゼロ距離射撃で葬り去るのでした。ソーラ・レイシステムの残した爪痕はかなりのもので、連邦軍側、デラーズ・フリート側双方のモビルスーツや戦艦の残骸が散乱。それに他の戦艦が激突して大破していくなどして、被害は拡大します。そうした中で、シーマ艦隊は残りの戦力で、デラーズ・フリート側に攻撃を仕掛けるのでした。シーマの新たなる専用機として、ガーベラ・テトラが登場。最終回においてはじめて登場するため、これがノイエ・ジールと並ぶ最強クラスのモビルスーツになるのかと思われましたが、意外にあっさり3号機デンドロビウムの前に散っていきます。ガーベラ・テトラは強襲用モビルスーツですが、モビルアーマー級の戦力と大きさを持つ3号機デンドロビウムの前では、その差は歴然。ガーベラ・テトラは必死に攻撃しますが、3号機デンドロビウムは一部損傷したのみの被害にとどまり、主砲でその身体を突いて振り回し、ビームのゼロ距離射撃で撃破します。想像以上にあまりにもあっけなかった、シーマの最期。彼女のことだから、最期まで悪役らしい何かを見せてくれるのかと思ったけど、そんな余裕はなかったね…。


ノイエ・ジールでコロニー内にたどり着いたガトーは。自らコントロール室に向かい、地球への落下軌道に向けて最終調整を完了。そこへ、アルビオンから無断で飛び出したニナが現れ、2人は久々の再会を果たします。お互いが3年前の恋人どうしだった時のことを改装していると、今度はコウが現れてガトーに発砲。彼に重傷を負わせてコロニーを止めようとしますが、ニナはそんなコウに銃口を向けるのでした。中盤のコロニー内のシーンで初めて実現するのが、コウ・ニナ・ガトーの3人のそろい踏み。今愛している男とかつて愛した男に挟まれ、ニナが苦悩するのはよくわかりますが、やっぱり彼女、その結果により起こす行動が極端すぎます。ガトーをかばうのはまだわかるとして、コウに銃口を向けてガトーと脱出するのは、さすがにどうなのさ?地球がコロニー落としの危機にある時にあれだけ恐れてたのに、それはいいのか!?このシーンは、ニナの感情表現と行動のヘタクソさにイラっとしましたね。コウが第1話では見せなかったような険しい表情(ネット上でよくネタにされているあの顔)になるのも、よくわかります。

 

コウ「ニナ!そいつはコロニーを…、ガンダム2号機を!」
ニナ「コウ。そういうことじゃないのよ」
コウ「……!」


ニナとともに脱出したガトーは、彼女を部下のカリウスに預け、続いて脱出してきたコウの3号機デンドロビウムと交戦。いまだかつてない激しい戦いを繰り広げます。そんな中、バスクは次なるソーラ・レイシステムの起動を急いでおり、出力を25%程度まで回復させることに成功。あとは味方が退却したのちコロニーを狙うだけでしたが、なんとしてもデラーズ・フリートに一矢報いようとしていたバスクは、あろうことかコウ含む味方がいる状態でソーラ・レイシステムのビームを発射。3号機デンドロビウムノイエ・ジールも、その光に巻き込まれるのでした。部下であるカリウスにニナを託してまで、コロニーのそばでコウを待ち続けたガトー。彼はコウと決着をつけるべく、コウが出てくるや否や戦闘を開始します。以前の戦闘でビーム兵器が全く通用しなかったことを受けて、今回のガトーのノイエ・ジールは、アームによる物理攻撃が中心。コウの3号機デンドロビウムも反撃を繰り返しますが、着実に装備の1つ1つを破壊されていきます。ここだけ見ると、少しコウが劣勢だったけど、このままもし戦闘継続してたらどうなってたんだろう。3号機はデンドロビウムを放棄しても単機で活動できるし、まだまだコウに勝機はあったような気がするなぁ。そんな2人の戦いは、バスクが発射したソーラ・レイシステムのビーム第2弾で中断されることに。両者別々の地点で生き残りますが、二度と相まみえることはありませんでした。


ソーラ・レイシステムの攻撃を受けてもなお生き残っていたガトーのノイエ・ジールは、もはや残存戦力がほとんどないことから、部下たちにアクシズ艦隊への合流を指示。連邦軍艦隊に対し真正面からの攻撃を仕掛け、サラミス改の1つを撃破しながら散っていきます。一方のコウは、デンドロビウムを放棄し、3号機単独となって生存。遠くに見えるバスクサラミス改艦隊を見つめて、虚空にビームライフルを乱射するのでした。ソーラ・レイシステムの攻撃を受け、さすがのノイエ・ジールも限界寸前。もはやこれまでと悟ったガトーは、捨て身の攻撃を仕掛け、結果サラミス改艦隊の攻撃の中に散っていくのでした。第1話から主人公の前に立ちはだかってきた宿敵とは思えないほどの、意外過ぎる最期。まさかコウに倒されないどころか、その一歩手前まで追い詰められもせずに別の要因で散っていくとはなぁ。彼の最後の攻撃は、武人らしさを感じたと同時に、戦いのむなしさを強調してくれているように感じました。


ガトーが戦死したことで、デラーズ・フリートによる蜂起は終結コロニー落としは回避できなかったものの、北米の穀倉地帯に落下したことで、最悪の事態は免れました。事件が終わり、地球に帰還したコウを待っていたのは、一部の過激化した連邦軍の軍人たちと、軍法会議でした。デラーズ・フリートとの戦闘終結後、まず描かれるのはバスクの演説。今回の一連の事件を受け、地球を脅かすジオン公国軍の残党がいることを痛感した彼は、それを排除し、地球至上主義を掲げる勢力を正式に連邦軍内で結成します。これが『Ζ』で登場するティターンズのこと。戦艦アルビオンの乗員の多くもそこに編入され、連邦軍内での新たなポジションを得ることになりました。彼らがみんなティターンズになったということは、『Ζ』の時は、どこかでエゥーゴと戦ってたのかなぁ―。

 

バスク「地球!この宇宙のシンボルを揺るがせにしないためにも、我々は誕生した!地球!真の力を、再びこの手に取り戻すため、ティターンズは立つのだ!!」


軍法会議の結果、3号機を勝手に持ち出した罪などで懲役1年を言い渡されたコウ。しかしその後、連邦軍上層部による一連の事件隠蔽のため、ガンダム試作1~3号機の存在自体が抹消され、これによりコウの罪も存在しなくなり、釈放されたのち北米のオークリー基地に配属されます。そこで彼を待っていたのは…。軍法会議では、一切発言せず黙秘を貫き通したコウ。その根底には、連邦軍への不信感がありました。あれだけ自分が戦ってきたのに、それに対してバスクをはじめとする連邦軍の一部はムチャクチャなことやってたから、そりゃそうなるよね。そんなコウは、軍法会議で言われるがまま懲役1年を食らいますが、連邦軍隠蔽工作の結果罪状が抹消され釈放。オークリー基地に配属されることになった彼は、キースやモーラ、そしてニナと再会するのでした。コウは最後、仲の良かった仲間たちと再会することで、『0083』の物語は完結。しかし、ここでニナが何のしこりもなくコウを迎え入れているのはかなりの違和感がありますね。あんた、コロニーではガトーがらみでコウに散々なことやってたくせに、よくもまあ…。

 

 

 

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。これは、時代に翻弄された者たちがぶつかり合った、激戦の徒花である―。

 

 

 

CDシネマ2「宇宙(そら)の蜉蝣」

1992年12月16日発売
登場した敵他:シーマ専用ゲルググM、ゲルググM、ガンダム試作2号機、ノイエ・ジールリリー・マルレーン、戦艦グワジン

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「私たちは、故郷のマハルに戻るんだ!…結局私たちは、功績を焦っていたんだ。それは、今でも―。」


STORY:コウたちが宇宙に上がってから、コロニージャックによる事件の終盤まで、敵として立ちはだかり続けた女性:シーマ。彼女の行動にはどんな意味があったのか?そして、この戦いの中で彼女は、一体何を思っていたのか?そこには、一年戦争時代から積み重なったジオン公国軍での苦々しい経験と、失ってしまった故郷への思いがあった。シーマの語りとコウの回想により、「星の屑作戦」の持っていた別の側面が今、明かされる―。


OVA最終巻の発売から約3か月後にリリースされた、ドラマCD第2弾。第1弾「ルンガ沖砲撃戦」とは違い、完全に外伝的な作品になっており、シーマ側の視点・感情に基づいた、第5~13話のドラマ&戦闘が描かれます。既にOVAの時点でかなりの強烈なインパクトを残してくれていたシーマでしたが、このCDドラマ2により、そのキャラとしての魅力がいっそう深まった印象。彼女もまた、時代の捨て石にされた、戦争に翻弄された者だったんですね…。


ちなみにこの作品も、CDシネマ1と同じく、現在の視聴手段は発売中のBlu-ray BOXか当時品のCDくらい。ええ、CDシネマ1と合わせて、SHIBUYA TSUTAYAのレンタルフロアでレンタルしてきましたよ。もちろん、アプリ会員限定半額セールの時にね!(ケチ)


一年戦争終結から約3年経った、宇宙世紀0083。ジオン公国軍を離れ、海賊稼業のようなことをしていたシーマは、デラーズからのデラーズ・フリート参加の打診を受け、彼を徹底的に利用し、「星の屑作戦」に乗じて成り上がることを企みます。彼女がジオン公国軍というつながりをあまり信頼しておらず、一方で戦渦を生き抜くということやリリー・マルレーンに異常なまでに固執していたのは、彼女の一年戦争時代の経験にありました。そんな彼女は、デラーズ・フリートに参加後、初めて戦艦アルビオン、そしてガンダム試作1号機との戦いを経験します。序盤で描かれるのは、一年戦争終結時から、デラーズ・フリート参加までのシーマ艦隊の様子。もともとシーマ自身はリリー・マルレーンの正式な艦長ではなく、クルーたちも練度の低い工員上がりの者ばかり。それでも戦いを経るうちに結束していき、じょじょに彼女たちの目標は、「いつか故郷のサイド3・マハルコロニーに帰ること」になっていっていました。シーマは正式なジオン公国軍の中佐でしたが、リリー・マルレーンでの扱いは艦長代理。本来の艦長はアサクラ大佐(『ガンダム』で登場)でしたが、彼はソーラ・レイ作戦のため、またクルーたちがならず者ばかりだったことから、リリー・マルレーンには乗艦どころか一度もその前に姿すら見せませんでした。以上の描写から、シーマ艦隊はハナから戦力の中心ではなく、脇に位置する捨て石部隊の扱いであることは明らか。こんな部隊をいきなり任されるだなんて、シーマもかわいそうだな…。しかし、クルーたちはならず者である一方、故郷への愛着と他に帰る場所がないことから、その結束はだんだんと強固なものになっていきます。


バニング大尉の死の悲しみを乗り越え、彼の死に関わることになったシーマに興味を抱くコウ。そんな中でも戦局は刻一刻と変化し、とうとう観閲旗艦バーミンガムの観艦式の会場へと到着していました。同じ頃、リリー・マルレーン内の老メカニックから“蜉蝣”のことについて教えられていたシーマは、ワイアット艦長に「星の屑作戦」の作戦計画書がわたっているはずであると考えており、事態の風向きは自分の方向に向いていることを確信。しかし、実際にはワイアット艦長のもとに作戦計画書はわたっておらず、さらにガトーがガンダム試作2号機の核を発射したことから、彼女の目論見は狂い始めてしまいます。しかし、それ以上の修羅場を潜り抜けている彼女は、まだ正気を保ち続けていました。物語はOVA第10話前後の時系列へ。ワイアット艦長が目的をもってシーマと接触していたことは既に描写されていましたが、その詳細が明かされます。シーマは最初からデラーズ・フリートを裏切る予定だったこともあって、かなりしたたかなことをやってたんだなぁ。そんな彼女の計画に起きたアクシデントが、ガンダム試作2号機による核攻撃と、それによるワイアット艦長を含む地球連邦軍の大多数の死亡。この時点で計画に大きな狂いが生じているため、クルーたちは混乱しますが、シーマは依然冷静でした。ここで彼女が思い出していたのは、一年戦争序盤で自身が作戦の指揮を執った、毒ガス作戦のこと。上層部からの正式命令であったとはいえ、禁忌である毒ガス作戦を行い、人の死を目の当たりにしてきた彼女は、ちょっとやそっとのアクシデントでは動じない精神力を身に着けていました。シーマですら眼をそむきたくなったという、毒ガス作戦。どれだけの悲惨な光景が、そこに展開していたんでしょうか―。


デラーズ・フリートのコロニージャックは成功し、コロニーは月へ、そして途中からは地球に向けて落下。地球連邦軍が右往左往しデラーズ・フリートが進撃を続ける一方で、シーマは、自分が結んだ密約と作戦の結果、デラーズ・フリートの進撃はある程度のところで止まり、地球連邦軍が巻き返しを見せると踏んでいました。しかし、コウのガンダム試作3号機&デンドロビウムが参戦したことで、彼女の予想以上に部隊は大打撃を受けるハメに。事態を見続けていたシーマも、さすがに焦りを隠しきれなくなっていました。後半からは、『0083』の終盤で展開された、コロニージャック&落としのドラマへ。細かな部分の軌道修正を余儀なくされたものの、まだ概ね当初の計画通りの流れだったシーマの計画は、ガンダム試作3号機&デンドロビウムの活躍により、ほぼ完全に潰えたことが描かれています。OVAの通り、直接的にその計画を妨害したのはガトー(ノイエ・ジールによるソーラ・レイ破壊)でしたが、それまでの間に3号機デンドロビウムは、多くのシーマ側のモビルスーツを破壊しており、シーマにとってそれが最大の脅威になっていました。改めて描かれる3号機デンドロビウムの強さは、やはり半端ないもの。しかしその一方で、この直前のシーマのセリフも見逃せません。このデラーズ紛争は、いったいどこに正義があったのでしょうか。先に武装蜂起してきたデラーズ・フリートが悪いのは間違いないけど、地球連邦軍が絶対正義かと言われると―?

 

シーマ「人は、正義を口にした瞬間から、正義じゃなくなるのさ!あんたたち(コロニー公社)を裏側にひっくり返しゃあ、あたしたちさ!」


ソーラ・レイシステムも破壊されたシーマは、ついにデラーズに反旗を翻し、戦艦グワジンを一時的に占領。彼女の行動に驚くデラーズに対し、シーマは、アクシズに行くことのできなかった自分の過去を語ります。こうして旗艦を押さえたことにより、勝利を確信したシーマでしたが、デラーズが身を挺してガトーに攻撃を指示したことから、作戦は失敗。自分たちだけでも地球圏へと逃亡を図りますが、不用意にリリー・マルレーンが信号を出したことから、3号機デンドロビウムの狙撃を受け壊滅してしまいます。シーマ艦隊唯一の生き残りとなってしまったシーマが、とった行動は―。追い詰められたシーマは、計画を前倒しにせざるを得ず、デラーズを急襲。人質にとって地球連邦軍に差し出そうとしますが、デラーズが予想以上に徹底抗戦の構えを見せたため、射殺してしまいます。このあたりの描写は、第13話と基本的には同じ。ですが、シーマがなぜアクシズに合流しなかったのかということがプラスして描かれており、彼女のはかなさがいっそう強烈なものになっています。キシリアが戦死(正確にはギレンにより殺害)したことで、毒ガス作戦の責任の所在がわからなくなり、シーマの独断という扱いにされて、他のジオン公国軍残党からは鼻つまみ者扱い。いざ故郷のマハルコロニーに帰ろうにも、それはア・バオア・クーで使用されてソーラ・レイのベースにされてしまっており、彼女は頼るツテも、帰るべき場所も失っていました。あまりにも悲しすぎるシーマの過去。やって来たことは決して帳消しにはなりませんが、彼女も一年戦争の被害者だったんだなぁ。そんな彼女は、デラーズを射殺してしまったことで、ガトーたちへの有効な対抗手段も失うことに。リリー・マルレーンも撃沈されてしまったことから、ガーベラ・テトラでコウに立ち向かっていきます。ここでドラマはエンディングを迎えますが、その結果は…第13話の通りです。

 

シーマ「そうかい。一年戦争で、何もかも失ってしまったと思っていたが、こうも身ぐるみ剥ぐかねぇ―?」

 

 

 

 

 

…こうして、『0083』の物語は完結となりました。

 

次回は総括として、改めて『0083』を振り返ってみることにしましょう。

bongore-asterisk.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

ガンプラ Pick Up!

『0083』に登場したモビルスーツガンプラの一部を、ピックアップしてみよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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