今回は、『機動戦士ガンダム』の感想記事第7回目です。
ランバ・ラルとの決着、リュウの死、そしてそれを通じたアムロをはじめとするホワイトベースのメンバーたちの心の成長―。今回ご紹介の3話は2クール中盤に当たるお話ですが、どれもストーリーが大きく動くことになり、見逃せない展開の連続になりました。ランバ・ラルの死もインパクト大だったけど、それ以上にリュウの死がショックだったな…。
なお、前回(第16~18話)の感想記事は↓コチラです。
bongore-asterisk.hatenablog.jp
第19話「ランバ・ラル特攻!」
1979年8月11日放送
登場した敵他:陸戦艇ギャロップ、グフ、ザクⅡ
「小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだということを、忘れるな!」
STORY:砂漠地帯のとある町にたどり着いたアムロ。そこで彼は、偶然にもランバ・ラルとその連れハモンたちと出会い、彼らに気に入られてしまった。その後フラウの介入で素性がバレてしまうが、ランバ・ラルの計らいで見逃してもらえることに。しかし、敵もそう優しさばかり見せてくるわけではなかったフラウを追跡しホワイトベースを見つけたランバ・ラルは、一気に攻撃を仕掛ける。今、ガンダムとグフの、壮絶な戦いが始まろうとしていた―!
ガンダムとグフの一騎打ち、そしてそれを経たアムロの心の成長の始まりと、物語的にもアムロ自身にとっても重要な回となるお話。「ランバ・ラル特攻!」というサブタイトルなので、「これでランバ・ラルも退場かぁ」と思いきや、そうではありませんでした。よく考えてみると特攻もしてないような気がするけど、まあ、ガンダムに食らいついて乗り込もうとしてたし、それっぽいことはしてたと言えるか…。
ガンダムを砂漠地帯に隠し、水を求めてさまよっていたアムロがたどり着いたのは、小さな町。そこに入ったレストランで食事をとる彼でしたが、そこへランバ・ラル隊の一行もまた食事に訪れます。警戒し、彼らの話に耳を傾けるアムロでしたが、彼の正体を知らないハモンとランバ・ラルはアムロのことを気に入り、アムロはこれに抵抗するも、そのせいでますます気に入られることになるのでした。前回触れられた通り、現在アムロたちのいる中央アジア一帯は中立地帯。しかし、両軍の武装の輸送や開発などは許されているらしく、ランバ・ラルたちも、特にグフを乗せたトレーラーなどを隠しもせず、路駐してレストランに乗り込んできます。レストランの店主がビビってる当たり、“中立地帯”って設定は、もう形骸化しつつあるのかなぁ。そんな中で、1人黙々と食べるアムロを発見したのがハモン。彼女は一目見て彼のことを気に入り、さらにランバ・ラルもまた、彼のことを気に入るのでした。ハモンがなんでアムロのことを気に入ったのかは、結局のところ不明。でもね、なんとなくわかるんですよ。アムロの中に残る幼さと心の影―、それに惹かれたんじゃないかなぁ。料理をおごろうとするハモンの好意を断ろうとするアムロでしたが、そんな彼の反応を見たランバ・ラルが、今度は彼のことを気に入り、自分にもおごらせてくれと言ってきます。ランバ・ラルは気のいいおっちゃんといった印象。戦争で敵同士じゃなければ、アムロと彼はきっといい知人どうしになれたろうなぁ。
アムロのことをあきらめきれないフラウは、ホワイトベースを出、無断でアムロ捜索を再開。彼の行動を読んで彼のいるレストランに入りますが、ランバ・ラル隊につかまってしまいます。フラウとアムロ、お互いが名前を呼びあったことでアムロ自身もその素性がランバ・ラルにバレてしまいますが、ランバ・ラルはアムロの度胸を気に入り特別に彼を放免してやることに。しかし、当然その裏には彼なりの狙いがありました。前回はブライトたちの命でアムロを探していたのに対し、今回は勝手にホワイトベースを飛び出して捜索を続けるフラウ。ランバ・ラルにつかまったことでアムロの素性はバレるわ、不用意にホワイトベースに戻ったことで位置を特定され攻撃を食らうわと、次々に事件の原因を作っていきます。彼女の気持ちはよくわかりますが、前回に続き今回も、彼女が足を引っ張っている感が否めない印象でした。そんなフラウがレストランを訪れ、アムロの名前を呼んだことで、ランバ・ラルに正体がバレたアムロ。その場で射殺されてもおかしくない状況でしたが、彼自身を気に入り、またこの場における彼の度胸を称えたランバ・ラルは、特別にアムロとフラウを放免し解放します。すぐに街を脱出する2人でしたが、当然、ただで彼らを返すランバ・ラルではありませんでした。アムロたちを放免するという、異例の措置をとったランバ・ラル。そこにはアムロを気に入ったという事情がありましたが、同時にわざと彼らを泳がすことでホワイトベースの位置を突き止める狙いもありました。まんまとこれに引っ掛かったフラウは、アムロと別れた後、そのままホワイトベースに戻ったことでその位置を特定されてしまいます。いくら非戦闘員だからとはいえ、フラウのこの行動はあまりにもうかつ。ちょっとは敵の行動も予測できたろうに…。
ホワイトベースの位置を突き止めたランバ・ラルは、グフとザクⅡで出撃。2体の急襲を受けたホワイトベースは、ガンキャノンとガンタンクを出撃させたうえでホワイトベース自身も砲門を展開しますが、かなり押され気味になってしまいます。追い詰められたリュウたちは、最後の手段としてアムロのガンダムを呼び戻すことを決意。陸戦艇ギャロップと交戦中だったガンダムを発見します。ガンダム不在の状況下では、ホワイトベースにとってモビルスーツどうしの戦闘はかなり不利。それでもガンキャノンであればうまく立ち回ってザクⅡを撃破する程度ならできますが、今回は先行したガンキャノンがグフと交戦状態に入ったうえに、直後出撃したガンタンクが、その戦闘スタイル的に苦手とするザクⅡと鉢合わせしてしまったことで、ホワイトベースはかなりの苦戦を強いられます。戦闘の最中、ガンキャノンは砲門の1つを、ガンタンクはキャタピラを破壊され行動不能に。今まで何度もピンチに陥ることはあったけど、ここまで追い込まれるのは初めてじゃないかなぁ。しかし、この程度のことでへこたれるホワイトベースの面々ではなく、各々必死に戦いザクⅡ1体を撃破することに成功します。ピンチを乗り越えるため様々な策を講ずるメンバーたちでしたが、一番面白いと思ったのは、ガンタンクに乗っているリュウとハヤト。今回の戦いにはガンダムの力も必要だと考えた彼らは、わざとガンタンクの機体を分離。使えなくなった下半身を捨て上半身を砲台代わりにしてハヤトが応戦を続け、その間にコアファイターに乗ったリュウがアムロを呼びに行くという作戦をとります。この作戦は、ガンタンクが2人乗りで動かすシステムだからこそできるものなんですよね~。うまいこと考えたなぁ。
ホワイトベースの元へ戻ったガンダムは、生き残っているグフを見つけ、1対1の勝負に出ることに。両者コクピットの一部を破壊されお互いのパイロットの顔を見、さらに接近戦中心の激しい戦いになる中で、それを制したのはガンダムの方でした。勝利をおさめたアムロでしたが、当然脱走の罪を問われ独房送りになることに。独房の中で、彼はランバ・ラルへの対抗心と、自分がガンダムのパイロットであることのプライドを静かに燃やすのでした。今回最大の見どころが、ガンダムとグフの一騎打ち。お互い遠距離用の武器が使えなくなったとわかると、すぐに接近戦用の武器に切り替え、激しくぶつかり合い続けます。ところどころ作画が妙なところもありますが、この戦いの作画も気合十分。アムロとランバ・ラル、両者の戦士としての心のぶつかり合いもよく表現されていると感じました。コクピットが破壊されて、アムロとランバ・ラル、お互いがお互いの顔を見てさらに戦いを続けるシーンがたまりませんね。この激しい戦いの結果、ガンダムが勝利。ランバ・ラルは撤退に追い込まれます。戦果を挙げたアムロでしたが、脱走の罪は免れず独房に入れられてしまうことに。その中で、彼はランバ・ラルへの対抗心を燃やし、自分こそガンダムのパイロットであるというそのプライドに固執するのでした。ランバ・ラルに「勝因はアムロの腕ではなくガンダムの性能」と言われたことで、彼への対抗心を燃やすアムロ。これが彼の心の成長につながるんですね~。一方で、ガンダムのパイロットであるというプライドは、彼の中でより高まっていくばかり。以前のお話で「アムロはガンダムのパイロットであることにうぬぼれてない」って書きましたけど、今回のこの時点では完全にうぬぼれてますね。自分から脱走しておいて、いざ独房に入れられて「僕の話を聞いてくれ!」って、そりゃ道理として通らないでしょ…。
第20話「死闘!ホワイト・ベース」
1979年8月18日放送
登場した敵他:陸戦艇ギャロップ、ザクⅡ、揚兵戦車キュイ
「君たちは立派に戦ってきた。だが、兵士の定めがどういうものか…よく見ておくんだな!」
STORY:未だにその心を変えないアムロに、苛立つリュウ。だが彼は、ブライトと同じくアムロを見捨てたわけではなかった。しかし、それがハヤトたちのホワイトベース脱走と言う事件を引き起こす。船内の結束がバラバラになる中、ランバ・ラルは最後の攻撃として、ゲリラ戦を展開しホワイトベースを乗っ取る作戦に出た!激しさを増す戦いの中で、ついにセイラは自分の正体を知る。そしてアムロたちは、ランバ・ラルの兵士としての生きざまを見た―!
アムロがホワイトベースに戻ってきたことを引き金に、ホワイトベース内の結束が乱れる一方で、ランバ・ラルが最後の作戦を展開してくるお話。ランバ・ラルが展開するそのゲリラ戦はかなり壮絶なものになっており、ホワイトベースも陥落寸前にまで追い込まれるなど、戦闘面でも楽しめるお話でした。ランバ・ラルが死亡退場するほか、セイラの正体にも触れられるなど、ストーリー的にも見逃せないところが多かったですね。
前回、独房に入れられてしまったアムロ。様子を見に行ったリュウでしたが、アムロの心は更生するどころかひねくれる一方で、リュウの鉄拳制裁もあまり響かない結果になってしまいます。しかしそれでも、彼そしてブライトたちは、アムロを見捨ててはいませんでした。同じ頃、前回までの戦いで痛手を負ったランバ・ラルは、ジオン公国軍本体へ補給を要請。しかし、それはマ・クベの策略により握りつぶされ、ランバ・ラルは別の作戦を考案するのでした。独房に入れられ、頭を冷やすよう言われていたアムロ。普通ならちょっとは反省しそうなものですが、彼は逆にますますひねくれてしまい、リュウに殴られても、そのスタンスが変わることはありませんでした。今まで何度かいじけることのあったアムロですが、今回の彼はただいじけるだけでなく、その心の中にはランバ・ラルが再び攻めてくると言う確信と、それに対抗するために強くなりたいという願いがありました。要するに、まだ彼の中で戦意までもが失われているわけではないんですよね。しっかり話せばリュウにもわかってもらえそうだったけど、いかんせん彼は自己表現が苦手だからな…。同じ頃、ランバ・ラルは補給を求め軍へ打診。しかしそれは、キシリアの指示を受けたマ・クベによって握りつぶされ、ランバ・ラルは補給を受けることがかなわなくなってしまいます。それを受けたランバ・ラルは、作戦方針をゲリラ戦に変更。最低限の装備だけで、ホワイトベースを叩こうとします。同じジオン公国軍にもかかわらずマ・クベたちがランバ・ラルに不利なことをしたのは、自分たちが発見した鉱山や組織した部隊の情報が、ランバ・ラル経由で彼の上官であるドズルに漏れるのを恐れたため。以前のお話でも描かれていましたが、ザビ家の兄弟どうしがあまり仲が良くないことで、ジオン公国軍も一枚岩でないことがよくわかる描写になっています。
今は独房に入れているものの、最終的にはアムロを戦線復帰させるつもりだったブライト。その処遇に不満を持つハヤトたちは、なんとアムロと同じようにホワイトベースを脱走してしまいます。ブライトからの指示を受け追いかけたリュウは、彼らをたしなめ、結果的に全員でホワイトベースに帰還することになりますが、その時ホワイトベースに近づく陸戦艇ギャロップの姿を捉えるのでした。リュウたちの会話、そしてハヤトへの回答で、アムロに対する思いを語ったブライト。いつもは結構厳しめにアムロに当たっているブライトですが、内心では彼のパイロットの腕を信頼しており、毎回の戦いの中でも重要視していました。ここまでなら今まででも何度かチラッと語られてきていたことでしたが、さらに今回ブライトは、アムロがいなくなった時は恐怖などを感じたと、自分の抱いたマイナス面の感情を正直に話していることに注目させられます。この直前にリュウに対して「(アムロの更生も)もう少しだとは思わんか」と語っていることから、なんだかんだでブライトはアムロのことを大切にしていたんだなということがよくわかりますね~。しかしこれは一方で、アムロが最終的に戦線復帰することが確実であり、そのために処分も軽くなることが容易に予想可能。これに不満を持つハヤトとカイは、他の兵士を連れてホワイトベースから脱走してしまいます。彼らの脱走はのちにその理由を語っているものの、アムロほどの深い理由はなさそう。若干パフォーマンスも入っていたんでしょうね。そんな彼らを追いかけたのが、またもやリュウ。鉄拳制裁で彼らの目を覚まそうとし、「帰ってくるのは君たちの良心に任せる」として、一人去っていくのがカッコいいですね~。しかしリュウ、気苦労が絶えんな…。
補給を受けられなかったランバ・ラルは、陸戦艇ギャロップ・ザクⅡ・揚平戦車キュイを使って、ホワイトベースへの突入作戦を決行。完全に敵の策にはまったホワイトベースは、敵の侵入を許してしまいます。非常事態に伴うアムロの戦線復帰、セイラのガンダム再搭乗、帰ってきたリュウたちの加勢でなんとか応戦するものの、船内の一部を占領され、このままでは陥落するのも時間の問題でした。最低限の装備しか残されていないランバ・ラルは、ゲリラ戦を展開するために、大胆にも陸戦艇ギャロップとザクⅡをおとりに使う作戦を決行。ホワイトベースは通信隊員であるマーカーたちを一時的に休ませていたこともあり、完全に敵の攻撃を食らい、そして作戦にはまっていってしまいます。大型兵器の方をおとりに使うという、戦争屋でゲリラ戦が得意なランバ・ラルらしい作戦。でも、これはホワイトベース側にとってはあまり予想付かない作戦だよなぁ。ザクⅡをおとりにして直接乗り込んでくるだなんて、思いもしないもん…。敵の攻撃に対抗すべくホワイトベースは、動ける戦闘要員を総動員して対応。ガンダムにはセイラが搭乗して出撃し、独房に入っていたアムロはセイラが出撃したためガンダムではなく機銃で外の敵に応戦します。ガンダムはザクⅡ1機を討ち取る戦果をあげますが、敵のホワイトベース侵入を許してしまい、壮絶な白兵戦が展開されます。セイラ、ガンダムで2度目の出撃。アムロに比べればやはり戦闘に不慣れな感じは否めませんが、今回はザクⅡの攻撃をよけるなどしたうえで、そのザクⅡの頭部をビームライフルで撃ち抜き、初めて勝利をおさめます。途中でアムロに搭乗者変更させられると思ってたから、セイラがここで奮闘したのには、驚いたと同時によくやった!と感じましたね。しかし、こうしたセイラの尽力あってもランバ・ラルたちのホワイトベース侵入は食い止められず、戦いは徐々に白兵戦へ。敵味方双方ともに多数の負傷者や死者を出し、リュウ自身も大ケガを負ってしまいます。
ホワイトベース陥落を何としても防ぎたいブライトは、セイラとアムロにガンダムの操縦の交代を命令。これを受けたアムロは、ガンダムでホワイトベースを破壊する勢いで外部から攻撃を仕掛け、ランバ・ラル隊は一気に形勢逆転されます。戦いの最中、セイラに遭遇したランバ・ラルは、一目見て彼女の正体を看破。しかし、それにより彼にスキが生まれ、追い込まれてしまいます。追い詰められたランバ・ラルは、敗北を悟り自ら命を絶つのでした。既に船内の一部が陥落し、このままでは全体の陥落も時間の問題となったホワイトベース。何が何でもそれを阻止したブライトは、アムロにガンダムの操縦を交代させ、ホワイトベースを破壊してもいいから敵を倒せと命じます。これを受けたアムロは、その命令通りホワイトベース上で大胆な戦い方を見せ、ほぼ最低限の武装しか持っていないランバ・ラル隊の兵士たちはあっという間に追い込まれてしまうのでした。ホワイトベース上でかなり暴れまくるガンダム。ホワイトベース自身も今回かなりのダメージを食らったけど、よく落ちなかったな…。一気に形勢をひっくり返され、窮地に陥ったランバ・ラル。次なる一手を考えたまたま船内の廊下に飛び出した際、セイラと遭遇します。その顔を見て、彼女の正体に気づくランバ・ラル。しかしそれが、彼にスキを生みます。今回のこのシーンで、セイラがジオン・ズム・ダイクンの娘であるアルテイシアであることが判明。シャアと彼女が兄妹であることも、ここで確定します(彼女自身はまだ気づき切れていないけど)。ランバ・ラルがこれに気づいたのは、彼の父親であるジンバ・ラルがセイラのことをかわいがっていたかららしい。ジオン公国軍って、結構一族数代にわたって軍人ですとかいう人多いのかな?ランバ・ラルはセイラの正体を言い当てますが、そのせいで攻撃をすることができなくなり、逆にホワイトベース内から攻撃を受け被弾してしまうことに。逃げ込んだ部屋の外にガンダムが待機していることを知ったランバ・ラルは、ブライトたちに兵士としての生きざまを見せつけるかのように、自ら命を絶つのでした。ランバ・ラル、最期はカッコいい軍人として散っていったなぁ。退場するにはちと早すぎると感じるくらい、いいキャラだったぜ…。
第21話「激闘は憎しみ深く」
1979年8月25日放送
登場した敵他:陸戦艇ギャロップ、ザクⅡ、大型輸送車サムソン、マゼラトップ(戦車マゼラアタックの砲塔)
「勘弁してくれ、リュウ。勘弁してくれよ!俺たち、これからどうすりゃいいんだ…。」
STORY:ランバ・ラルとの戦闘後、ホワイトベースを修理する一方で、再度アムロを独房に入れたブライト。しかしリュウは、そんな彼の行動に潜む、彼自身も気づかぬ本心を見抜いていた。同じ頃、ランバ・ラルの復讐に燃えるハモンは、装備を揃えて特攻前提の作戦を展開。敵の不意討ちと恐れを知らない攻撃に、ホワイトベースそしてガンダムも大ピンチに陥る、完全に背後を取られたガンダムを、特攻で救うコアファイター1機。それに乗っていたのは―!
アムロのホワイトベースからの脱走と、それによって引き起こされたホワイトベース内のゴタゴタも、今回で一応決着。その結末は、彼らの再結束のために誰よりも奔走していたリュウ自身が戦死することで実現するという形になりました。リュウの死を通して、各々の行動、そして未熟さを嘆くアムロたち。アムロたちホワイトベースの船員たちの、新たなる物語が始まることを予感させる終わり方でもありましたね。
前回のランバ・ラル隊との戦いで、大きな痛手を食らったホワイトベース。その修理には負傷兵を除く船員が総出で取り掛かりますが、一方でアムロは再度独房送りになったままでした。同じ頃、ガルマそしてランバ・ラルの仇討ちにはやるハモンは、マ・クベから補給されたわずかな武装を整備し、ホワイトベースを叩く作戦を考案。自ら前線に立ち、出撃します。前回のランバ・ラルの襲撃による被弾や損傷はすさまじく、モビルスーツを出しても修理は遅々として進まない状況。それどころか、部品不足に陥り満足な修理もできそうにない状況でした。このシーンでは、前々回で損傷したガンキャノンとガンタンクも出動。修理を受けて動けるようになったようですが、まだ完全ではないようですね。このようにホワイトベースが対応に追われている頃、次なる一手を考えていたのが、ハモンとランバ・ラル隊の生き残りたち。マ・クベからの補給もほとんど得られなかったことで半ば見捨てられつつあることを悟った彼らは、捨て身を前提としたホワイトベースの襲撃作戦を考案。その実行のための準備に着手するのでした。マ・クベが補給してくれた武装は、使い古しのザクⅡ1機と、大型輸送車サムソン2台、そしてマゼラトップ3個(戦車マゼラアタックの砲塔部分)。最低限過ぎる補給で、マ・クベがハモンたちのことを見捨てていることが明らかになりますが、ハモンたちはそんなことには屈さず、ホワイトベースを落とすための作戦を練り上げます。
重傷を負いながらも、身体に鞭打って何とか動ける程度にまでは回復したリュウ。彼が真っ先に行ったのは、ブライトとアムロの元を訪れ、その人間関係の修復にあたることでした。そんな中で、とうとうハモンによるホワイトベースの襲撃作戦が開始。完全に不意討ちを食らったガンキャノンとガンタンクは必死に抵抗しますが、まだその装備自身も完全に直っていないこともあり、劣勢に追い込まれてしまいます。ブライトとアムロの元を訪れるリュウ。本当は動くのもつらいはずなのに、彼がそこまでしてこの2人の所へ向かったのは、人間関係の修復にあたるためでした。今までリュウは自分の意見を持ちながらも大筋はブライトに賛同するような感じでしたが、今回はブライトとは真逆の意見を言ってみせ、初めて両者の間にちょっとしたすれ違いが起きます。ブライトがアムロを再度独房に入れたことを、アムロ自身の更生のためでなく、ブライトがアムロのことを恐れているからだと見抜くリュウ。ホワイトベースに乗る前からブライトの近くで一緒に仕事をし続けてきたからこそ、リュウには彼の、彼自身も気づかぬ本心を見抜いていたんですね。そしてこの後、リュウはアムロの独房を訪問。アムロの状態が落ち着いているのを見て安心した彼は、ブライトの本心をアムロに伝えます。前回まではあれだけ尖っていたアムロでしたが、ランバ・ラルを倒したこともあってか、今回はかなり落ち着きを取り戻していましたね。一方のハモンたちは、ホワイトベースを落とす作戦を展開し、まずは先行したザクⅡによって奇襲を開始。さらに大型輸送車サムソンの襲撃を受け、応急修理状態のガンタンクは再び行動不能に陥ってしまいます。ハモンたちがとったのは、「錘の作戦」。現状戦力ではホワイトベースに対し圧倒的に不利ですが、弱いと思われる部分を一点集中攻撃すれば必ず突破できるという考え方であり、これに従ってランバ・ラル隊はホワイトベースを攻撃してきます。
外の惨状を知ったリュウは、自ら責任を取るとして、セイラにブライトからアムロの独房の番号を訊きだすことに成功。解放されたアムロは格納庫へ向かいますが、ガンダムが修理中であったためコアファイターで出撃します。やがてガンダムの修理も終わり、アムロは空中換装によりガンダムへ合体。飛び交うマゼラトップや走るサムソンを次々に撃破していき、突進してくるギャロップを何とかして抑え込みますが…。前回の戦闘で損傷を受けていたのは、ガンダムも一緒。ガンダム自身も修理中だったため、アムロは動けるコアファイターのみで出撃します。この出撃シーンで、初めてアムロが「アムロ、行きまーす!」と発言。なんだ、このセリフの初出って、ガンダムの出撃シーンじゃなかったんですね。こうして出撃したアムロは、コアファイターでわずかながら敵を撃破。弾を打ち尽くした時にガンダムのパーツの修理完了の報せを受けたため、ブライトの命令を半分無視して空中換装し、ガンダムに合体。ここからガンダムの反撃が始まりますが、同時に迫りくるギャロップに対し、違和感を覚えるのでした。ガンダムに合体してからは、アムロの方が優勢に。まだ本調子ではないとはいえビームライフルでサムソンなどを蹴散らし、ギャロップを押しとどめている間はザクⅡに背後を取られる形になりますが、スキを突いて空中へ投げ飛ばし、マゼラアタックと体当たりさせて同時に倒すなんて戦法もやってみせます。戦い方がかなりうまくなったなぁ、アムロ!なお、ここでガンダムがギャロップを破壊せずに押しとどめていたのは、その中には大量の爆薬が積まれていると予想されたため。その軌道から特攻前提の攻撃だと見抜いたアムロは、だとすればその中にはホワイトベースを破壊するための爆薬が積まれているはずだと予想したのでした。
ギャロップの推進力はすさまじく、ガンダムの力をもってしても押しとどめ続けることは不可能。しかもその間にガンダムはハモンのマゼラトップに背後を取られ、攻撃を受けてしまいます。このままではガンダムが大破してしまうと思われたその時、マゼラトップに特攻を仕掛けるコアファイターが出現。それはリュウの乗る機体であり、これによりリュウ・ハモンともに死亡します。リュウの死を悲しむアムロたちは、戦いへの決意を新たにするのでした。マゼラトップの攻撃力自体は大したことありませんが、それでも超至近距離から一転集中攻撃を何度も食らえば、さすがのガンダムでも厳しい状況。ギャロップを押しとどめることで精いっぱいなガンダムは、そのまま攻撃を受け続け、大破寸前にまで陥ります。もはやこれまでかと思われましたが、リュウの捨て身の特攻で戦局はひっくり返され、ギャロップも安全に破壊されるのでした。リュウの特攻は、まずいきなり彼が飛び込んでくることで彼の死亡が描かれ、その後彼を弔うシーンでメンバーたちが彼の行動を回想する形で、どうしてこうなったのかというプロセスが描かれることに。通常とは逆の構成にすることで、視聴者を引き付け、そしてリュウの死がより印象に残る形になっています。最期までホワイトベースを、そしてメンバーたちのことを考えていたリュウ。誰よりもそのことに腐心していたリュウが死ぬことで、メンバーが再結束して問題が解決の方向に向かうって、悲しい展開だなぁ…。リュウの死を受けたメンバーたちは、皆号泣。己の未熟さを嘆き、そしてそれを克服し戦争を終わらせるべく、立ち上がることを誓うのでした。リュウの死はブライトにとってもつらく、手をついて泣いたり珍しく人前で弱気なことを行ってみたりという珍しい行動がみられることに。ブライトの動揺っぷり、そしてリュウへ寄せていたその信頼の厚さが窺えます。
今回はここまで。次回は、第22話から第24話をご紹介予定です。『機動戦士ガンダム』。君は、生き延びることができるか…?
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☆ガンプラ Pick Up!
今回紹介したお話に登場したモビルスーツのガンプラを、ピックアップしてみよう!
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