今回は、『銀河疾風サスライガー』の感想記事第8回目です。
相変わらずのノリでトライを決めていくJJ9。しかしそんな中、最大級の難関が彼らの前に立ちはだかります。ブラディ・シンジケートの妨害も激しくなり、戦闘面でも『サスライガー』の物語は多彩になっていきますね
第23話「コーミャ星大脱獄」
1983年9月6日放送
トライポイント:コーミャ星(第2マース)
サイン場所:同星サンジコ共和国・虎の檻収容所
「どうして俺たちって、こう金になんないことばっかりに巻き込まれんのかね?」
STORY:ブラディの手下に不意討ちくらった上に、おまけに燃料尽きかけて、大ピンチのサスライガー。何とか着いたコーミャ星。だが不運なことに、そこは独裁政権のお膝元。ワケも分からず収監されてこれまたピンチのJJ9。しかしこれで黙ってるヤツらじゃないぜ。牢獄見事に脱出し、ワルの親玉叩き出せ!Behappy, good Luck!残り6割のトライを夢見て、明日はいずこの星巡り。
レッド惑星海をコンプリートし、地球付近のブルー惑星海へとやってきたJJ9。しかしその直前アクシデントの連続で、コーミャ星で足止めを食らうことになり…。賞金首になっているからか、行く先々で捕縛されることが多いJJ9。今回もその1つとなるお話ですが、サブタイトルに「大脱獄」と銘打たれているだけあって、牢獄脱出におけるブルースたちの作戦が興味深いです。
ブルー惑星海に乗り込もうとしたら、ブラディの手下の襲撃を受けるJJ9。本来なら反撃したいところですが、燃料の関係もあって急遽コーミャ星へ進路変更。命からがらコーミャ星に着いたものの、運悪く独裁政権の都市国家の眼前に着陸してしまい、メンバーたちは無実の罪で逮捕され「虎の檻」と呼ばれる収容所へ収監されてしまいます。今回の舞台は、『バクシンガー』終盤でチラッと登場したコーミャ星。前作ではそれほど深い描写はありませんでしたが、酷寒の星であり人々は都市国家を築いて暮らしていました。JJ9が到着したのは、つい最近独裁政権になったというサンジコ共和国の前。現在政権を握っているのはビドラー総統という人物で、「虎の檻」で武器を製造させて、太陽系の制服を狙っているらしい。彼のバックに輝くマークは卍マーク。そして部下たちの敬礼ポーズはナチス・ドイツ式…と、明らかにヒトラーのナチス・ドイツを意識した設定。今ならぎりぎりアウトな感じがしないでもないですが、まあ当時だから許されたのでしょう
「虎の檻」はどうやら政治犯の収容所。収監されて黙っているようなJJ9ではなく、この国のもと元首であったケネーティという人物と協力し、綿密な脱獄作戦を計画していきます。この「虎の檻」は今まで脱獄に成功したものは1人もいないという、まあこういったのではありがちな設定の牢獄。しかしそれにくじけず、ブルースたちは脱獄計画を練っていきます。脱獄計画の策定にはかなり長い時間がとられており、ケネーティとその協力者による「虎の檻」の見取り図の入手、モールス信号による女子房にいるバーディとのコンタクト、看守や見回りにばれないようにさりげなく話し合い、作戦を詰めていく…など、まるでこちらも脱獄作戦に協力しているように錯覚できるのが、観ていて楽しいですね。女子房とのコンタクトでは、上述の通りモールス信号を利用。DDは元地球連邦海軍の少尉だったらしく、お手の物といった感じでバーディに信号を送ります。軍人だったはずの彼が、なぜ闇商人に転職したのか?それが今後明かされる可能性は―低いかな…
J9-Ⅲ号が溶鉱炉行きになることを知り、急いで脱獄計画の決行に入るJJ9とケネーティたち。スージーの仮病を発端に脱獄作戦を敢行し、JJ9はJ9-Ⅲ号を奪取。敵もあの手この手でJ9-Ⅲ号を溶鉱炉に落とそうとしますが、間一髪、セットアップが完了したJ9-Ⅲ号は溶鉱炉を脱出。サスライガーに変形します。今回の脱獄は、スージーの仮病で敵を欺いてバーディが火薬を奪う→ビートとジミーがタンクローリーを奪う→男子房と女子房に突入して残りのメンバーを回収し、J9-Ⅲ号に乗り込むという手順。途中ビートが少しヘマをやらかして危なっかしい場面もありましたが、割とスムーズに脱獄作戦は成功します。後半のクライマックスは、溶鉱炉に落ちる寸前のJ9-Ⅲ号におけるメンバーたちの活躍。「まあ結局は助かるんだろうな」とはわかっていても、ハラハラさせてくれるのが面白いです。しかしJ9-Ⅲ号、燃料はガソリンなうえにセットアップまでそこそこ時間がかかるとは、意外にローテクなメカなんだな…。
サスライガーが登場してから、形勢は逆転。ビドラーの戦車隊を一掃したサスライガーは、直接ビドラーのもとへと突入して彼とその部下を捕縛。ケネーティたちの前に突き出し、こうしてサンジコ共和国の独裁政権は終わりを告げたのでした。サスライガーの活躍シーンは少なめですが、終盤のシーンは様々な工夫が凝らされていて、観ていてこれまた面白い。まず今回のトライのサインは、JJ9の活躍に感謝する国民たちの整列によって描かれるという、粋な演出がなされています。まあ、サインが「JJ9」ではなく「JJ-9」になっちゃってるけど…。そして、コーミャ星を離れたのちに、ロックのボヤきから始まるメンバーたちの掛け合い。ここもJJ9らしいノリの良い会話シーンになっていて良いですね。今回のコーミャ星トライをもって、トライした星の数は21個。つまりおよそ4割の星をトライしたことになっていますが、ブルースは「わずか3か月で」と発言しています。なるほど、劇中の時間の流れは、初放送時の時間の流れ(約5か月、23話)は一致してないんですね
「OKベイビィ残りは6割、彼方に広がる宇宙を目指し、Be happy, good Luck!明日を夢見て突進だ。」
第24話「ぶっちぎりアステロイド」
1983年9月13日放送
サイン場所:同宙域・スペースローズ密輸船上
「積み荷といえば、ここにいるクルーと、少しばかりの冒険心だけだな。」
STORY:ブラディの裏をかき、西アステロイドにやって来た、我らがJJ9。そこで起こっていた事件それは、違法植物:スペースローズの密輸事件。バーディの知人に会ったのもつかの間、突如入る密輸のタレコミ、そして暴走族の小競り合い。しかもその暴走族:ワイルドキャッツのリーダーは、バーディの旧友だった!さあどうするJJ9?Be happy, good Luck!若さゆえの暴走に、意味を見出すか少女たち。
ブルー惑星海はブラディの攻撃が激しいため、前回に引き続き裏をかくことにしたJJ9。しかしそこでも、彼らは結局事件に巻き込まれることになります。今回はバーディが主役の回。次回予告では違法植物:スペースローズの密輸事件がお話の要のようにされていましたが、実際は暴走族であるワイルドキャッツのことがその中心でしたね。
西アステロイドの隕石海にやってきたJJ9。そこで彼らはいきなり、スペースローズ密輸事件を追っているという西アステロイドの警察隊の歓迎を受けます。しかしバーディがその長官:ソーンの知り合いであることが判明し、誤解がとけた彼らはソーンと面会します。西アステロイド警察隊が追っている違法植物:スペースローズ。青い花を咲かせるのが特徴で、そこから出る花粉には強い幻覚作用があるとのこと。そのせいで取引禁止の植物に指定されているわけですが、暇を持て余した金持ちたちが道楽ついでに裏取引をしているらしい。『ブライガー』の時代も似たような麻薬、あるいは麻薬のようなものが水面下で流通していましたが、時代は繰り返すものなのでしょうか。一方、西アステロイド警察隊のソーン長官と知り合いだったバーディ。10年前、父親とこの辺りを航行していた際に、いろいろお世話になったようです。バーディの両親が離婚してからは、SF小説家であった彼女の父親は、ネタ探しもかねて頻繁に宇宙旅行をしていたのでしょうか
密輸団が西アステロイド付近のゲートを通過すると聞いて、すぐさま臨戦態勢に入る警察隊。しかし東側ゲートで暴走族:ワイルドキャッツが暴れたことにより、警察隊はその対応にも追われます。しかしそれはすべて敵のワナ。西アステロイド警察隊の副官でもあったバッドルはブラディ・シンジケートと通じており、ワイルドキャッツの騒ぎで警察を陽動していたのでした。アステロイド地域は以前から暴走族がいくつか活動しており、この『サスライガー』の世界でもそれが生き残っているようです。今回登場したワイルドキャッツのリーダーは、バーディの友人にしてソーン長官の娘:リンジー。バーディとリンジーのドラマが、後半の展開のカギとなります。スペースローズ密輸はブラディ・シンジケートの資金源の1つにもなっているようで、その作戦も巧妙。冒頭ソーン長官が「なぜ敵に裏をかかれるのか」とぼやいていましたが、それもそのはず、自分の副官が裏切り者だったからなんですね。バッドルは今まで登場したアウトローやブラディの手下のような、いかにもな悪人顔。視聴者が見れば、一発で「あっ、こいつ敵だな」と分かるようなデザインになっています
リンジーを説得すべく、彼女とレースを行うバーディ。途中小隕石でリンジーがクラッシュした際に、彼女のバイクに爆弾が仕掛けられているのを発見。この連絡を受けたJJ9は、サスライガーでワイルドキャッツを鎮圧。バイクを宇宙空間に放り出した瞬間、バッドルによりバイクは爆発四散します。リンジーが父親に反発して暴走族に入ったのは、父親との関係悪化というよくある展開。このシーンにおけるバーディの説得が、興味深いものになっています。ブラディとの賭けに命を張って挑むバーディらJJ9と、それに対し意味もなく突っ張り続けるリンジーらワイルドキャッツ。それを強調するバーディは、リンジーに父親との和解を強く勧めます。そんな中、ワイルドキャッツのバイク(実はバッドルが持ってきた者)に爆弾が取り付けられているのを発見したバーディ。リンジーの分はバーディによって取り外され、残りのメンバーたちはサスライガーによってバイクから引き離され、事なきを得ます。ここでのサスライガーの活躍、てっきりワイルドキャッツにバイクから離れるよう呼びかけるのかと思いきや、ムリヤリ手でつかんでバイクから引き離すという、かなり荒っぽいことをやっています。まあ、口で言っても聴くような連中じゃないからね…
バッドルに騙されていたことに気づいたリンジーは、単独で彼の乗る密輸船に直行。あわや大ピンチというところでサスライガーが駆け付け、密輸船は警察によって押さえられます。その後フルザ・ゲルナーの暗殺未遂などがあったものの、何とかスペースローズの密輸事件は解決。その花でサインを残したJJ9は、また旅立っていくのでした。終盤のシーンでは、フルザ・ゲルナーが数話ぶりに登場。ロック暗殺を狙いますが、たまたまロックにワイルドキャッツのメンバーが集まったことにより失敗、そそくさと逃亡します。こうしたハプニングがなければ、完全に頭を撃ち抜かれていたであろうロック。いやあ、危なかった危なかった
「恋の命は短く、人もいつかは燃え尽きる。Be happy, good Luck!恋せよ乙女いつの日か、幸せ星に会う日まで。」
第25話「聖アトゥーム祭の異変」
1983年9月20日放送
トライポイント:なし
サイン場所:なし
「ウィウィ、(コズモレンジャーJ9の)生まれ変わりだったりして!」
STORY:惑星海からひとまず離れ、我らがJJ9、向かった先は“木星の息子”サン・ノブ・ジュピター。ヌビア教徒の不穏な動きに、一抹の不安覚えながらも、トライ目指してまっしぐら。ところがところがサン・ノブ・ジュピター、突如軌道を大きく外れ、外宇宙へ移動を開始。このままトライし損ねて、ゲームの敗者となってしまうかJJ9!?Be happy, good Luck!ビッグゲームの運命のせて、迷い星よどこへ行く。
第25~27話は、このサン・ノブ・ジュピターとそれをめぐるJJ9とブラディ・ゴッドの駆け引き、そして相変わらず得体のしれないヌビア教徒も絡んでくる三部作構成に。前編となる今回は、サン・ノブ・ジュピターが軌道を外れて迷い星になるというスケールの大きな展開が中心となります。木星が絡むこともあって、『ブライガー』のコズモレンジャーJ9やカーメン・カーメンの話も登場。ここまで見てきたファンをニヤニヤさせてくれます
ブルー惑星海からさらに離れ、太陽系の外周にある星々をトライしていくことにしたJJ9。そんな彼らが最初の目標としたのは、“木星の息子”サン・ノブ・ジュピター。ヌビア教徒が集まっているという情報に不安を覚えるブルースですが、それ以外のメンバーは木星をめぐっておきた800年前の出来事に花を咲かせるのでした。『ブライガー』終盤、カーメン・カーメンの大アトゥーム計画によって破壊された木星。『サスライガー』の世界ではすでに木星は過去の星扱いであり、新太陽系50惑星のうちの36惑星の生みの親として知られています。その中でもこのサン・ノブ・ジュピターは、比較的木星の姿をとどめた惑星。模様等は木星と酷似していますが、一部が大きく欠けているなど、かつての大アトゥーム計画の爪痕も残っています。大アトゥーム計画のことが歴史として伝わっているということは、当然コズモレンジャーJ9の活躍も、歴史の一部として伝承。子供たちのヒーローのような扱いになっているらしく、ロックたちも子供のころ夢中になったようです。ここで面白いのが、ロックが好きなキャラがキッドで、ビートが好きなキャラがボウィーであり、そして最後にバーディが「自分たちは(J9の)生まれ変わりかもしれない」というセリフ。まさに中の人つながりでのネタというわけです。前2作の積み重ねがあるからこそ、こういったお遊びができるんですね
サン・ノブ・ジュピターにはケン・ヤマオカ彗星という彗星が近づいていましたが、ダール博士の考案した人工衛星による破壊システムで衝突を回避。しかしその影響で、なんとサン・ノブ・ジュピターが軌道をそれて、外宇宙方面へと向かってしまいます。実はダール博士は裏でブラディ・ゴッドとつながっており、サン・ノブ・ジュピターが軌道をそれたのも全てJJ9にトライをさせないための作戦。ブラディ・ゴッドがここまでサン・ノブ・ジュピターに固執する理由は、JJ9がビッグゲームに勝利するには、ここサン・ノブ・ジュピターでのトライが必要不可欠だったからでした。惑星1つを丸ごと動かすなんてかなりスケールの大きい話ですが、よく考えてみると『ブライガー』の世界でもやってましたね。800年前にそういったことができたのですから、今ではもっと簡単にできるのでしょう。ところで、ダール博士がブラディに協力しているのにも何か理由がありそうですが、それは次回以降で明かされるのかな…
サン・ノブ・ジュピターが軌道をそれたという情報を入手し、急いでJ9-Ⅲ号を飛ばすJJ9。しかしその途中でブラディの手下の大群が現れ、彼らの進路を妨害。サスライガーに変形して応戦しますが、キリがありません。サン・ノブ・ジュピターの情報を聞いて、少し考えながらすべてはブラディの仕業ではないかと推測するブルース。他のメンバーたちは最初はブルースの考えすぎだと感じていましたが、ブラディの手下からの襲撃を受けブルースのことを信じます。どうやら惑星1つを動かす大掛かりな計画も、ビッグゲームの賭け金である1,200億ボールに比べれば安いものらしい。1,200億ボールって、現実世界のお金に換算するとどれくらいの価値があるんだろう?サスライガーの戦闘シーンでは、銃を使ったり接近戦をしてみたりと、多彩な戦闘スタイルを披露。しかし、戦闘機の大群の前にはさすがに分が悪かったようです
サン・ノブ・ジュピターが動いている頃、先に惑星内入りしていたプチ・ロッジは、ヌビア教徒の隠れ神殿の1つであるサンクチュアリ寺院の近くに。すると突然寺院から謎の巨大戦艦が現れ、その直後サンクチュアリ寺院は大きく移動巨大なブースターのようなものが露出し、勢いよくジェット噴射してサン・ノブ・ジュピターの軌道を変えようとしていました。プチ・ロッジが見た戦艦は、前面にカーメンの顔が大きくあしらわれた、ヌビア戦艦を模したもの。そしてそのコクピットに乗っていたのは…カーメン25世だ!一方惑星間通信を利用したニュースでは、サン・ノブ・ジュピター移動の原因がヌビア教徒によるものであるという情報が流布。まさか、これはブラディ・シンジケートによるヌビア教徒の陥れ作戦なのか…!?
◎今日のJ9ソング◎
このアレンジの中で私が気に入っているのが、この「サスライガー」。オリジナルに比べて疾走感は抑えられていますが、オリジナルの雰囲気を残しつつさわやかな、しかし壮大な感じがするアレンジがたまりませんなぁ。
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