そんな今回は、アーウィン家とゴーショ家双方の血を受け継ぐ男:ユーリ・カズン・アーウィンが初登場。この男の登場が、太陽系の動乱をさらに混乱させていくことになります。時代の流れの中で、“なりゆき”に賭けたユーリ、烈の意地を通し続けようとする銀河烈風…。時代はどこへと向かっていくのでしょうか
第22話「揺れる惑星海」
1982年11月30日放送
「敵も味方も、一夜明ければ分からねぇ世ン中だけどなぁ、俺たちは烈の意地を通す!」
STORY:アーウィン14世、急死!この情報は太陽系をすぐ駆け巡り、よからぬ動きも見え始めた。14世の後継としてユーリ・カズン・アーウィンという男が担がれることになったが、彼を快く思わない連中もいるようだ。そして俺たち銀河烈風が、彼の警護をしている最中に事件は起こった。俺たちはいつでも、烈の意地を貫くだけだ!銀河烈風バクシンガー、参るッ!
日に日に激化する太陽系の動乱、そしてこの大事な時に死んでしまうアーウィン14世。そして、後継者に指名されたユーリ・カズン・アーウィンをめぐる不審な動き…。今回は前回よりもさらにバクーフ側に重点を置いたお話。時代に翻弄されそうになる中で、あくまでも自分たちの精神を貫徹しようとする銀河烈風のスタンスに燃えます!
結局リリィにお別れも言えず、ひどく落胆する士郎。その後バクシンバードにただならぬ様子でスリーJが飛び込んできて、アーウィン14世が急性心臓発作により死亡という情報を伝えます。前回リリィが探していたシンザークを倒してしまったことにより、リリィにどう伝えるべきか悩む士郎。しかし彼がいざホテルに会いに行くと、彼女は父親の命によりオフス星に戻った後でした。録音テープのようなものであらかじめ士郎にメッセージを残していたリリィ。「いつまでも素敵な笑顔を忘れないように」という言葉が、心に響きますね。一方アーウィン14世はバクーフ閣僚を集めての会議の中、心臓発作により急死。大多数の目撃者がいることで死を隠すこともできず、瞬く間にこの情報は太陽系中に広まってしまいます。体制に急なほころびができたことで焦る銀河烈風らバクーフ側に対して、新惑星系側はこれがチャンスだと考えている様子。しかし今回は特に目立った活動はしませんでした
バクーフの次なる代表を誰にするか―。バクーフ側が悩む中、これに乗じて自身の復権を狙うゴーショ家は、アーウィン家とゴーショ家双方の血を引く男性:ユーリ・カズン・アーウィンを指名。彼を15世にしようと画策する中、密偵中のライラはユーリと遭遇。二言三言かわして別れるのでした。今回初登場の新キャラ:ユーリ・カズン・アーウィン。西洋の将軍のようないでたちをしたハンサムな男性ですが、その血筋ゆえ、今までアーウィン家とゴーショ家双方から疎まれ続けて生きてきたようです。『バクシンガー』の世界は28世紀という設定ですが、そんな時代になってもまだ“血筋”というものにこだわり続けるバクーフ側。そりゃあ、遅かれ早かれ息詰まるときが出てくるわな…。このプリンス・ゴーショのユーリ指名の後にユーリの自宅のシーンに移り、そこで彼と対面するのがライラです。ユーリとライラは、顔は違えどナイフ投げが得意ということやその性格にいくつかの共通点が。おまけに、ユーリが使った投げナイフはライラが常用しているナイフとほぼ同型のものです。これはつまり―?
バクーフ側もひとまずユーリを迎え入れることに決めるも、タクラ将軍などの一部が反発。ユーリの暗殺計画を企て始めます。銀河烈風はモーリ・アーウィンからユーリの警護命令が下りますが、その任務にあたるのは銀河烈風のみ。シュテッケンは、モーリたちも銀河烈風やユーリを「時代の捨て石」にしようとしていることを察知します。このユーリの地球のバクーフに向かう動きを利用してやろうという勢力も多く、しかもそれは身内であるはずのバクーフ側の人間。ユーリという“異物”が入ってくることで、ただでさえ一枚岩ではなかったバクーフが徐々に表面化していることが窺えます。さすがに今回のバクーフ内部の情勢不安などは、シュテッケンだけでなくディーゴもある程度気づいていたらしく、特にシュテッケンは自分たちが「時代の捨て石」にされそうになっていることまで深読みします。これに対して奮起し、烈の意地を貫徹することを誓うシュテッケンとディーゴ。このシーン、かなりアツいです!
ユーリらの乗る宇宙船が地球付近のラーガ隕石海を通るとき、突如「テングーム改造」型ロボット軍団の襲撃が。それはバクーフへの入城を阻止しようとするタクラ将軍一派でした。これに対し銀河烈風は、「テングーム」型を何機か出撃。そののちにディーゴたちがバクシンガーで出撃し、ビーム砲でロボット軍団を一掃。これによりユーリは無事バクーフへの入城を果たしますが、一方でタクラ将軍はこの責任を取り自害するのでした。バクーフの専用ロボである「テングーム」型。その改良型が今回初登場します。従来の「テングーム」型に比べて、デザインも強さもかなりスタイリッシュになった「テングーム改造」型。しかしバクシンガーの前では、その力は大したことはなかったようです。今回のバクシンガーの戦闘は、ただひたすらビーム砲を使うのみ。バクソードすら使用しませんでした。そして終盤、バクーフの新代表として堂々と名乗るユーリ。銀河烈風含め、バクーフの関係者は彼に対して忠誠を誓います。ユーリを迎え入れたバクーフ。さあこれが、太陽系の動乱にどう影響するか―?
「時代は、どっちへ流れていくんでしょう?」
「わからねぇ。ただ、俺たちは俺たちの生き方を貫くだけさ―。」
第23話「炎上ゴーショ・シティ」
1982年12月7日放送
「時の流れが、厄介者を歴史の表舞台へ担ぎ出した。面白いなりゆきさ。」
STORY:俺たち銀河烈風は、ユーリ公の意向もあり地球に駐留することになった。だが時を同じくして、キョーラーク星のゴーショ・シティに、不審な地震が発生し不穏な噂が立ち始めた。俺たちがいない間にこんなことが起こるとは、なんかキナ臭ぇ。そして案の定、新惑星系の連中が何か企んでやがった!お前らの好きにはさせねぇ!銀河烈風バクシンガー、参るッ!
前回のユーリ・カズン・アーウィン護衛のために銀河烈風が地球へ旅立ったことで、戦力が手薄になったキョーラーク星。それに乗じて、新惑星系の連中が何かを狙っている―。今回は、前半はユーリに関するお話、中盤以降は新惑星系の連中による攻勢作戦のお話になっています。最終的には、銀河烈風が政局的な意味で初めての敗北を喫するという点にも注目です
ユーリ本人から身辺警護を依頼された銀河烈風。彼がわざわざ人目に付きやすい展望台に夜に向かったのは、自分を狙ってくるであろう刺客たちを返り討ちにするためでした。長年連れ添った側近を失うも、ユーリの作戦は銀河烈風の協力もあって成功します。展望台のシーンでは、ユーリが自ら呼んだライラに対して、自分の身の上話を長く語るシーンが。こういった会話はどうしても説明口調になりがちですが、前回からほのめかされている「ユーリはライラといるとなぜか落ち着く」といった要素を活用しているのが興味深いですね。ユーリの父親はアーウィン13世の息子、母親はゴーショ家関係者であり、2人は両家の反対を押し切って密会。結果的には情死してしまうのですが、その直前に生まれたのがユーリ。彼はその後も、言うなれば“禁忌の子”として、外部との接触を極力抑えられていたようです。そんな疎まれていた男が、今ではバクーフのトップ。なるほど確かに、ユーリの言うように「面白いなりゆき」ですね
同じ頃、ケイ・マローン、イーゴ・モッコス、オズマ・ドラーゴは、某所のレストランの個室で密会。銀河烈風が地球にいることをいいことに、キョーラーク星のゴーショ・シティを焼き払い、プリンス・ゴーショを連れ出す大胆な計画を再び立てていたのでした。倒バクーフ側となったゴワハンド星含む新惑星系側ですが、彼らが民衆からできるだけ反感を買わないようにするために準備として行ったのが、「デマの流布」。ロングー星の科学力による人工地震と、オズマが流した「大地震が来る!」というデマに踊らされ、ゴーショ・シティの民衆はパニックに。民衆が一斉にゴーショ・シティを脱出するという事態にまで発展します。オズマたちの作戦は成功したのはいいとして、28世紀でも「大地震が来る」という程度の噂でここまでパニックになるのかなぁ。しかし、この事態をきな臭いと感じている男が1人。そう、銀河烈風のシュテッケンだ!
ゴーショ・シティでの一件に何か裏を感じたシュテッケンは、急遽バクシンバードごとキョーラーク星へ帰還することをディーゴに進言。しかし銀河烈風、それより少し前にキャシー・ルーを心配してゴーショ・シティに向かった佐馬が到着した時は、既にゴーショ・シティはあちこちで火の手が上がり、スクランブルポリスとアエイズ星大使館は全焼というありさまでした。シュテッケンが早い段階でこの事態に気づいたのに、ゴーショ・シティがここまで短期間でやられてしまったのは、ケイとイーゴがキョーラーク星に駐留していた軍隊を利用したから。アエイズ星大使館では「テングーム」型を用意していたようですが、さすがに新惑星系の連中の軍備、特にケイとオズマの艦隊の物量作戦の前には押される一方でした。一方イーゴは別行動をとり、密かにゴーショ・キャッスルからプリンス・ゴーショを連れ出すことに成功します。うーむ、敵ながら鮮やかだ。
銀河烈風は総力を結集し、バクシンガーとコズモバイク部隊でこれに応戦。バクシンガーのニューバクソードによる圧倒的な強さ、そしてコズモバイク部隊の連係プレーにより、オズマたち新惑星系側の艦隊を追い出します。しかし、戦闘終了後ディーゴたちが見たのは、無残に焼け落ちたゴーショ・シティ。シュテッケンは特に、今回の一件には静かに怒りを燃やすのでした。二度目の実戦投入となった、バクシンガーのニューバクソード。一般量産型ロボに使用されたのは今回が初ですが、一斬りするだけでロボを文字通り消滅させるほどの驚異的な強さを発揮。外宇宙の科学の驚異を感じますね。しかし今回の戦闘で注目したいのは、銀河烈風は戦闘では新惑星系側に勝利したものの、彼らにゴーショ・シティをやられプリンス・ゴーショを連れ出されたため、政局的な意味では初めて敗北をしているということ。今まで連戦連勝を誇ってきた銀河烈風、今回の戦闘は彼らの心に深い傷負い、屈辱を味わったことでしょう。余談ながら、ラストシーンでの怒りに燃えるシュテッケンの顔、劇画タッチということもあってかなり怖いです
第24話「運命の嵐」
1982年12月14日放送
「もともと俺たちは、J9の遺志を継いだ。烈の意地を見せてやるさ!」
STORY:アエイズ星大使館を襲うニセ銀河烈風!ユーリ公を襲うニセSP隊!この事件には、やっぱり新惑星系の連中が絡んでいやがった。どうもゴーショ家内で、何かが起きたらしい。疑いは晴れたが、アエイズのモーリ公はどうしてもユーリ公と手を組もうとしない。どんな状況になろうとも、俺たち銀河烈風は烈の意地を通すぜ!銀河烈風バクシンガー、参るッ!
ユーリ・カズン・アーウィンがバクーフに入ってから、内部で不穏な動きが続くバクーフとゴーショ家。今回は新惑星系の連中の作戦や各自の思惑が入り乱れ、銀河烈風の立場が少し苦しくなるお話です。今は内部抗争をしている場合ではないのに、こんなことで足並みを乱していたらバクーフ体制は―!
かつて虐げていたユーリがバクーフの中枢に入ったことにより、プリンス・ゴーショはユーリにおびえきり発狂。この事実を隠すためイーゴ・モッコスら新惑星系側は、モーリとユーリをそれぞれ銀河烈風orスクランブルポリス隊に変装させたアウトローたちに襲撃させて、戦闘をでっちあげる作戦を展開。この作戦は部分的には成功しますが、襲撃に気づいたシュテッケンらの機転により最悪の事態は回避されます。そして、逃走するアウトローの中にジル・クロードの姿を見た士郎。だが彼の視界はかすんで…?話は前後してしまいますが、プリンス・ゴーショはユーリに対してかなりひどい仕打ちをしていた模様。そんなユーリがバクーフの中枢になったのですから、自業自得とはいえ復讐を恐れるのは無理もないでしょう。一方新惑星系側によるモーリとユーリの間を引き裂こうとする作戦は、銀河烈風の活躍によりある程度阻止。しかし士郎は「視界がかすむ」という症状が再び現れ、徐々に戦闘にも支障をきたすようになります。彼が抱える病気は、いったい何なのでしょうか
銀河烈風の活躍でモーリへの襲撃は新惑星系の連中の謀略だと発覚したものの、モーリはバクーフの“血統”を重視することにより、ユーリへの協力を拒否。それどころか銀河烈風をバクーフ特別警護隊の任から解除してしまい、銀河烈風は第1話のような独立部隊に戻ってしまうのでした。前回の描写でも観られましたが、この28世紀の世界にもかかわらずバクーフは血筋や血統を重視するようで、その血筋ゆえにユーリをよく思わない勢力も多い様子。モーリも変な意地を見せずにユーリと協力すればバクーフの現体制の維持もできたかもしれませんが、この一件によりバクーフ内部はさらに分裂していくことになります。そして、再びアウトローと変わらない一独立部隊となってしまった銀河烈風。しかしこの程度のことでへこたれるディーゴやシュテッケンではなく、自分たち烈の意地を見せるべく、ひと暴れすることを誓います、状況は深刻ですが、この展開はアツいですね
連日の発狂のうえプリンス・ゴーショが頓死する中、銀河烈風はジル・クロードのアジトを突き止めてこれを襲撃。部隊に大打撃を与え、ジル本人は取り逃がすも重傷を負わせることに成功。しかしその直後モーリ艦隊がゴワハンド星艦隊の襲撃を受けていることを知り、銀河烈風は救援に向かいます。士郎ら一番隊がジル・クロードのアジトを突き止めて戦闘を開始しますが、ここで不運にも再び士郎の目の症状が悪化。一時半盲の状態での戦闘を強いられます。しかし偶然か士郎の剣裁きがよかったのか、ジル・クロードの右義手を切り落とし、彼に深手を負わせます。いつもは好青年な士郎ですが、今回はその病気のこともあり終始厳しい顔つきに。こんな表情を見せる士郎も珍しいです。その後モーリらアエイズ星艦隊の救援に向かう銀河烈風。これはバクーフ側から要請されたことなどではなく、銀河烈風の独断によるもの。あれだけ啖呵きって銀河烈風と決別したのに、すぐ銀河烈風に救援されるなんて、やっぱりモーリは銀河烈風やユーリと手を組んだ方がよかったんじゃないかなぁ。
バクシンガーとコズモバイク部隊で、ゴワハンド星「クラウワンカ」部隊を倒した銀河烈風。その後、ユーリの強い希望により彼らはユーリの親衛隊として登用されることになります。そして時を同じくしてスリーJが運んできた新型ロボ。それは銀河烈風専用特注機動ロボ「ブライダー」でした。「ブライダー」は、ブルーをベースレッドやホワイトをあしらったなかなかハデな配色に。その名前はシュテッケン曰く、コズモレンジャーJ9の「ブライガー」から取ったようです。しかし機体デザインはブライガーとは大きく異なり、いかにも量産を前提とされたようなシンプルなデザインです。今後「ブライダー」も実戦投入されていくことになりますが、このことを考えると、銀河烈風がバクーフ特別警護隊の任を解除されたことがさらに悔やまれますね…
◎今日のJ9ソング◎
今回ご紹介するのは、1981年放送の『銀河旋風ブライガー』使用BGM「COSMO」です。
劇中、J9が敵の本拠地に訪れたときやエンディングシーンなどに使用されていたBGM。主さの中に軽快さを感じる独特の曲調は、印象に残りますね。
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